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熟母レイプ! · 第5部

熟母レイプ! 第5部 (5/5)
前の話

翔子が差しだした手を握った正紀は、そのとき突然、次のターゲットは翔子にしようと心に決めた。だから、そのマンション名と舞坂翔子という名前をしっかりと心に刻みつけることを忘れなかった。

家に帰ると、正紀はシャワーを浴びて、すぐに自室にこもってしまった。ベッドにもぐりこみ、翔子のことを考えた。年齢はわからないが、亡くなった母と同年配の三十五、二十一歳ではないか。

小牧家に入ることを断念させるために犯す……。

このアイデアに正紀は大いに満足した。そうなれば、翔子は自ら辞退を父に申しでるに違いない。そしてその理由を、彼女は決してしゃべったりはしないだろう。

よし、次のターゲットは決まった!……

正紀は興奮したのか、なかなか寝つかれなかった。時計を見ると十一時近い。

オモチャと遊ぶか……。

正紀は香澄専用の電話にかけてみた。理恵が出る気づかいはない。呼出音が鳴っているのに、なかなか出ない。切ろうとしたとき「もしもし」と香澄の声がした。

「ぼくだよ……眠ってた?」

「ううん、たった今、お風呂から出たところ……ふふふ、裸なのよ」

その声には媚びがあった。正紀はくだらないおしゃべりをして切るつもりだったが、裸なのという声を聞いて、考えを変えた。貴美子とホテルへ入ったときのことを思いだし、それと同じ趣向を香澄にやらせてみようという気になった。あのときは、貴美子に電話をかけさせて、矢崎と無理やりテレフォンオナニーさせたのである。

それを電話の向こうにいる香澄にやらせるつもりでいる。はじめはとりとめもない話をした。そして、次第に核心に迫った。

「ねえ、裸って、本当に素っ裸なのかい?」

「バスタオルを腰に巻いてるわ」

「じゃ、オッパイは出てるんだ……」

「ええ……」

そのあたりから、香澄の声が湿ったものになった。

「実はね、ぼくも素っ裸なんだ」

正紀は嘘をついた。電話の向こうで、息を呑む気配がした。

「君のオッパイに触りたいな」

香澄は答えなかった。

「ねえ、触りたいよ」

正紀は低いが、強い調子で甘ったるく言った。

「だって……無理よ。離れてるんだもの」

「じゃ、ぼくが触るつもりでいろいろ言うから、ぼくの代わりに君が触るんだ。わかったね……どうなの?」

「ええ……」

か細いけれど、香澄の声はもううわずっていた。

「バスタオルをはずして……さあ」

「はい……はずしたわ」

「仰向けに横になる。さあ、今から君の手はぼくの手になったんだ。そう思いこむんだよ」

「うん……」

半ば泣いているような香澄の声だった。それは香澄が興奮しているときの特徴ある声にほかならない。

「左手で左のオッパイを触る。そっと包みこんでから、ゆっくり揉むんだ。言われた通りにして」

正紀は耳を澄ませたが、受話口からはなんの気配も伝わってこなかった。それでも正紀は、香澄が忠実に実行しているという確信を抱いた。

「次に人差し指の先で乳首をそっと撫でるんだ」

すぐに「ウッ」と呻くような声がした。

「大きくなるまで擦って。ずっとつづけるんだよ。どう大きくなった?」

「ええ……」

「硬くなってる?」

「うん……」

「気持ちいいんだね」

「いいわ……気持ちいい……」

「香澄が正直に言ってくれるから、ぼくのアレもすごく大きくなったよ……香澄に握ってもらいたい!」

「私も触りたい……あなたのに触りたい」

「香澄……君も右手で下を触るんだ……早く触って!」

「触ってる……ああ……」

「濡れてるんだ。そうだね?」

「そう、すごく濡れてるの……」

「もっといじって……ぼくに舐められていると思っていじるんだ」

聞こえてくるのは、香澄の断続的な喘ぎ声だけになった。それが次第に激しくなっていく。正紀自身も煮えたぎるような欲望を発散させないことには、とても耐えられそうになかった。パジャマから分身を引っぱりだすと、送話口に向かって叫んだ。

「香澄……ぼくもやる……これからやるからね!」

「正紀さんッ……ああん……」

その後で香澄のひときわ高い声があがったとき、正紀の筒先からも、呆気なく欲望のしるしが噴きあがっていた。

伸吾は正紀からの返事を聞きたいような様子を見せたが、事が再婚だけあって、自分から積極的な答えを求めるようなことはなかった。息子に一任するといった雰囲気をいいことに、正紀は翔子を襲撃するチャンスを狙った。

そんな折り、伸吾が熱海に出張することになった。学会の専門部会である『エイズ対策協議会』に、内科医長と一緒に出席するのである。

翔子を同伴しないと、正紀は判断した。

宿泊は土曜と日曜で、月曜の午前中には帰京するスケジュールが組まれていた。

土曜日の午後、正紀は香澄を家に引っぱりこんで抱いた。彼は翔子襲撃を日曜の昼前と決めていた。だから土曜に充分に欲望を発散させて、日曜にはガツガツすることなく、落ち着いて翔子を料理するつもりだった。

香澄は、正紀にオモチャ扱いされていることなどまったく気づいておらず、言われるままに嬉々として抱かれた。抱かれるたびに、愛は深まるものと信じた。

正紀は父が熱海に出かけているにもかかわらず、香澄に「パパの帰りが早いから」と嘘をついて、暗くなる前に帰してしまった。

正紀は、単純な方法で翔子を犯そうと考えた。突然訪問しても快く迎え入れてくれるだろう。近い将来、義理の母子になるかもしれないのだから。そして、その義理の息子になるかもしれない少年が、まさか強姦魔に変身するなど思いもしないだろう。その点で、正紀はきわめて有利な立場にあった。翔子が怪しむ要素など、何一つないのだ。

前夜、つまり土曜の夜、正紀はぐっすりと眠った。たっぷり十時間も睡眠をとった正紀の目覚めは爽やかだった。

昨日の午後、あんなに香澄と戯れたというのに、分身はみなぎっていた。

オモチャを相手にして正解だった……。

正紀は大きな一物を屹立させたまま浴室に向かい、猛々しいものを鏡の前でしごいた。翔子の上品な美貌を思い浮かべると、分身はたちまち樹液をほとばしらせた。

これであわてずに翔子を料理できる!……

不敵な笑いを浮かべて、まだしずくを垂らしているペニスを眺めた。あと数時間で、あの女の体のなかに入ると思うと、征服する瞬間の歓びが、まるで現実のもののように湧いてくる。

少し早めに家を出た正紀は、渋谷のデパートにある花売場で五千円の花束を作ってもらった。大学生としては、その辺が分相応だと考えたのだ。あの女はますます喜んで歓迎してくれるだろう。それがまた正紀のつけめでもあった。

祐天寺のマンションは、タクシーですぐだった。

さすがにマンションを見あげたときには、かなりの緊張を覚えた。

吉と出るか凶と出るか……。

ブルッと身震いしてから、正紀は建物のなかに入った。すぐ左手に居住者の郵便受けがある。七〇七号室に、舞坂翔子の名があった。きちんと筆で書かれている。几帳面な性格なのだろう。

ラッキーな番号だ……。

すべてがスムーズに運ぶ気がした。

エレベーターには、他に乗る者もいなかった。エレベーターのかすかに軋む音だけしか聞こえず、かえって緊張感が漂う。

七〇七号室は角部屋だった。ドアの脇に、大きな植木鉢がある。白っぽくストレートな幹に、大きな葉が簡素に生えている。

幸福の木とか言ったな……。

正紀は数日前に、どこかのレストランのテーブルの上にあった、よく似たミニチュアサイズの鉢を思いだした。果たして同種の木かどうかわからないが、幸福の木ならなお幸先がいいぞ、とニンマリした。

ドア脇のボタンを押すと、なかで涼しげなチャイムが鳴っている。正紀はドア中央に設けられている覗き穴の前に立った。相手を安心させるためである。なんの返事もなかったが、すぐにドアが開けられ、翔子が顔を出した。

「まあ、どなたかと思ったら……」

大袈裟でなく、本当にびっくりしたのだろう。正紀が何も言わないうちに手を取ると、引っぱるようにして招き入れた。

「こんなもんだけど……」

正紀の差しだした花束にも翔子は目を丸くした。

「そんなに気をつかわなくてもいいのに……でも、すごくうれしいわ。ありがとう」

花はすぐに大きな花瓶に活けられた。綺麗だし、見栄えがする。

「でも、よく来てくださったわ」

翔子の体から喜びが滲みでている。

しかし、いざソファに並んで座ると、二人に話があるわけではなく、正紀は苦痛を感じはじめた。翔子は一緒にいるだけでもうれしいのか、気をつかってしゃべりかけてくる。

「お父様がいなくて淋しいわね。明日学校がなければ、ここに泊まっていってもよろしいのに……」

翔子が本気で言ったかどうかわからない。だが、正紀はその言葉に飛びついた。

「じゃ、ぼくそうします」

「本当に

!?

」

「迷惑じゃなかったら……」

「ああ、うれしい! どうして迷惑なもんですか。でも、学校に間に合うの?」

「大丈夫。いつもより三十分早く起きればいいだけだもの。家に戻るだけの時間があればいいんだ」

「じゃ、決めたわ。いいわね」

翔子が子供のような仕草で、小指を突きだした。正紀が応じると、絡み合った手と手を翔子は大袈裟に振ってから、正紀の小指に軽くキスをした。

この人は本当に心から歓迎してくれているのだろうか……。

少なくとも態度からはそう見える。

いやいや、油断はならないぞ……。

正紀は気持ちを引きしめた。

小牧家に入りこむには、一人息子のぼくの機嫌をとる必要があるから、今のうちはネコをかぶっているのかもしれないぞ……。

正紀はともすれば萎えてしまいそうな自分の気持ちを奮い立たせるために、簡単には翔子の気持ちに同化しないように努めた。

「ねえ、泊まることに決まったんだから、これから外に出てお食事したり、買物したりしましょうよ。どうかしら?」

「ぼくはかまわないよ」

「じゃ、二、三十分だけ時間をくださいね」

翔子は化粧のために別の部屋に入った。

正紀は開けっ放しのドアのなかをチラチラと見た。ベッドの一部が見える。

あの上でパパとあの女が……。

それは単なる妄想でなく、現実のように思えてくる。

二人は翔子の運転する車で銀座に出た。ちょっとクラシックな感じのする車だ。

「これは国産なの?」

「スウェーデンのよ。友人から安く譲ってもらったの」

慎重で正確なハンドルさばきだ。

地下の大きな駐車場に車をとめて地上に出ると、歩行者天国に人が溢れている。

「何かプレゼントさせて……何がいいかしら?」

やさしい笑顔を向けられると、またしても気がくじけそうになってくる。

「いらないよ」

正紀はぶっきらぼうに答えた。

「お願い。せっかく知り合えたんですもの」

正紀はそれならと、翔子の申し出を受けることにした。そうすることで、逆に翔子を油断させるつもりになったのである。

翔子が選んだのは、外国製の万年筆とボールペンのセットだった。

「大事にお使いになれば一生ものですから」

店員が翔子に包みを渡すとき、そう言っているのを正紀は聞いた。相当値段が張るらしいことが想像できた。

正紀の買物の後で、翔子は自分の買物にかなりの時間をかけた。

「なんだか今日はすごくうれしくって、ついついこんなにお買物しちゃったわ」

両手にかかえきれないほどの荷物を持って、翔子はいたずらっぽく笑った。

その笑顔を見て、正紀はふとあることに気づいた。死んだ母親にどこか似ているところがある。縁つづきだから似ていて不思議はないのだが、なにしろ、またいとこだかの子供同士というから、ほとんど血は繋がっていないといっていいだろう。

ママに似てるってことは、ぼくにも似ているのかな……。

正紀は妙な気持ちになった。

帰りの車のなかで、正紀は翔子に提案した。

「今夜ぼくが泊まること、パパには言わないほうがいいと思うんだけど……」

「あら、なぜ?」

翔子はバックミラーから、腑に落ちない顔をして正紀を見た。

「なんとなく……」

「そう……」

翔子は前方を見つめたまましばらく考えていたが、「あなたがそう言うならそうしましょう」と、結局は納得した。

夕食の席で、正紀がワインを飲みたいと言うと、翔子は、まあという顔つきをしたが、すぐに出してくれた。

正紀はグラスを二つ用意した。先日、父を交えて食事をしたとき、翔子はほとんど飲めなかったのを見ている。

「今夜は特別だから」

「そうね。じゃあ、少しだけ」

グラスを合わせると、正紀はひと息に飲み干して、翔子をうながすように見つめた。翔子は、外国映画の女優がよくするように肩をすくめ、グラスに口をつけた。

「一気飲みだよ……一気、一気、一気……」

はやしたてると、それに乗せられたかのように、翔子はグラスを空にした。

食事をしているうちに、翔子の顔はみるみる真っ赤になった。しゃべり方も舌足らずの調子である。けれども本人はそれに気づいていないようだった。正紀は景気づけに、いつもより多くの量を飲んだ。

「無理しちゃ駄目よ。お父様のいないときに妙なことになったら大変ですもの」

翔子の言葉を聞きながら、正紀は心のなかでつぶやいた。

妙なことになるんだよ。もう少しでね……。

「客間というのはないけれど、八畳の和室にお布団を敷きましょうね」

食事が終わる頃になると、酔いのせいか、翔子は眠たそうだった。

「布団はぼくが勝手に敷くから、先に休んでいいよ」

「そうはいかないわ」

「駄目だよ」

正紀が強い調子で言うと、翔子はびっくりしたような表情で正紀を見た。

「さ、ぼくの肩に掴まって」

正紀はすすんでリーダーシップを取るつもりだった。

「ふふふ……やさしいのね。正紀さんは」

ふらりと立ちあがった翔子の脇に手をまわした正紀は、衣服の下の意外に成熟した女体に圧倒された。見た目はスリムだが、感触はまるで違う。胴のくびれと、それにつづく腰骨の見事な張りように、正紀は息を呑んだ。香澄は、見た目も触れた感じも大して変わらない。

正紀はおかしくなった。

やっぱり、ぼくは熟女好みなのかな……。

翔子はそのひそかな笑いに気づかなかった。

寝室のドアを開けると、甘い匂いがサーッと正紀の鼻孔に流れこんだ。男だけの家庭には決して存在しない、女の世界の馥郁たる匂いだった。

肩を借りた翔子だったが、そんなに足もとがふらつくわけではなかった。ただ、気持ちのほうがふわふわしていて、雲の上に乗って空中を漂っているような奇妙な気分である。それに少年が自分に好意を抱いていてくれたのが、気持ちにいっそうはずみをつけていた。

将来、私たちはきっとうまくいくわ……。

そう信じてもいい状況になっていた。

「じゃ、ぼくは……」

正紀は華やかな室内をさりげなく見まわしてから、翔子をベッドにかけさせ、部屋を出ていこうとした。

「楽しかったわ。こんなに楽しい日は初めてよ。ありがとう」

翔子は何の抵抗もなく正紀を引き寄せて、その額にキスをした。正紀の目の前に、衣服に隠された豊かな胸があった。

今でもいい……。

そう思ったが、そのときの正紀の体には、不思議にも欲情のかけらも湧いてこなかった。

駄目だ、こんなことでは……。

正紀は、ともすると甘い雰囲気に呑みこまれそうになっている自分を叱咤し、ともかく気分転換を図るべく「おやすみなさい」と言うと、後も見ずに部屋を出ていった。

翔子はふらりと立ちあがり、のろのろと衣服を脱いで、絹のネグリジェを着た。眠るときにはブラジャーをはずす。胸の締めつけがなくなり、気分もゆったりと落ち着くのだ。

室内灯を電気スタンドの電球に切り換えると、急に眠気に襲われた。

いい家庭を築いてみせるわ……。

伸吾・正紀父子との三人の未来の家庭を瞼の裏に思い描くうちに、いつしか深い眠りに落ちていた。

かすかにドアがノックされたのは、それから三十分ほどしてからだった。そのとき、すでに翔子は夢の世界をさまよっていた。

音もなくドアが開き、正紀が入ってきた。前よりも顔が赤いのは、三十分の間に、景気づけのためにワインをあおったからである。ズボンのポケットが膨らんでいる。

翔子が熟睡していることを、正紀はすぐに見てとった。

正紀はいったん部屋の外に出たことで、自分が来訪した目的を再確認し、気分が高ぶっていた。それはとりも直さず、性的な感覚を盛りあげることになった。そして再び乗りこんできたのである。

翔子は軽い羽毛布団を胸の下までしかかけていなかった。両腕は剥きだしのまま体の両側に投げだされている。赤ん坊が無邪気に寝ているようだった。

正紀はその寝顔を見ているうちに、体のなかが熱く燃えてくるのを感じた。いい傾向だった。それになんといっても、翔子は貴美子以来、久しぶりの新しい標的である。香澄や理恵を抱くときとは、気の持ちようが違っていた。

正紀は翔子の剥きだしの腕を撫でた。目的がはっきりしていたからこそとれる大胆な行為だった。

触れた瞬間だけ、翔子の肩がピクッと動いたが、あとは人形のように身動き一つしない。静かに足もとから掛布団をまくりあげた。少し乱れたネグリジェの裾から、白い脚が伸びている。足首のよく締まった、きりりとした美しい脚の表情に、正紀はしばし見とれた。ふくらはぎに手を伸ばすと、てのひらと翔子の肌が、まるで磁石と鉄のようにぴたりと吸いつく。それでいて肌は絹のようにすべすべしている。

正紀の手はゆっくりとすべって、次第に膝のほうへ移動した。手首にまとわりついたネグリジェの裾が、手の動きにともなって、大きくまくれあがっていく。

翔子がほんの一瞬息をとめたが、すぐにまた規則正しい寝息がつづいた。

緊張感が高まるにつれて、正紀の性的な欲望もどんどん膨らんだ。ズボンの下で、分身はすでに窮屈な思いをしていた。

正紀は姿勢を低くして、足もとからのぞきこんだ。翔子は少し体を斜めにして寝入っているので、女体の中心はより合わさった両腿に隠れていた。顔を近づけると、ムッと生温かい空気がよぎる。香水の匂いとは違っている。

なんだろう?……

くんくんと小鼻を鳴らした正紀は、これは翔子にしかない女の匂いだと推測した。

この人だって、普通の女と同じように、あのグロテスクなものをくっつけているんだ。何も変わっちゃいない。やれっ! 徹底的にやっちまえ!……

自らを鼓舞して、正紀は着ている物を脱ぎ捨てた。狭い鳥篭から大空に向かって飛び立つ鳥のように、少年の勃起は宙を向いて跳ねあがった。昨日の午後、たっぷり香澄と戯れたというのに、もう先端からはジクジクと透き通った露が滲みだしている。

正紀は脱ぎ捨てたズボンのポケットから、唯一小道具として持参したガムテープを取りだした。おそらく翔子は凌辱を恥じて大声を出すことはないと思うが、万一の用心である。人のいない野原や山中なら、女の泣き叫ぶ声も犯す際のBGMとしては効果があるかもしれないが、マンションでは気分が散るし、第一、悲鳴を聞きつけた住人が警察に通報する恐れがある。

正紀は翔子の重なり合った両腿の間に、無理やりてのひらをこじ入れた。そのときすでに正紀は、闘争の態勢に、気持ちも体も入っていた。

一方、翔子にとって、それはまったくの不意討ちであった。しかも熟睡中である。目が覚めたものの、感覚はまだ眠っていた。

「

!?

…………」

最初に目に入ったのは正紀だったが、裸であったので、夢を見ているような気分だった。いや、夢のなかの出来事だと思っていた。

しかし次の瞬間、自分の女の中心部に強引に少年の手が触れ、半ば眠っていた感覚が一気に目覚めた。そして、正紀の異様に大きい怒張が視界に飛びこんできて、やっと今からここで何が起ころうとしているかを理解した。

だが、咄嗟に言葉が出なかった。反射的に上半身を起こそうとしたが、いきなり口をガムテープでふさがれた。

「うううッ……」

顔を振って阻止しようとしたが、正紀のやり方は素速く、そして正確だった。わずかの間に、翔子の口は三重のガムテープで完全に密封された。つづいて、両腕をねじりあげられ、手首にもガムテープが巻かれた。正紀が何をしようとしているかわかっているだけに、翔子は全身の力で少年を跳ねのけようとした。

言わなければならない大切なことがあったが、すでに口がふさがれ、両手の自由も奪われている。伝えたい一心で暴れた。

正紀の表情に狂気が走った。少年は翔子の乱れた姿に触発された格好になった。ガムテープがビリビリッと音をたてて、長く伸びた。

正紀はそれで目茶苦茶に翔子の両足首をくくった。いったん帯状のものが巻きつくと、バタつく脚の振幅が極端に小さくなり、やがて幾重にもガムテープが絡んで、まったく動きを封じてしまった。

翔子は喚きたてたが、くぐもった声がただいたずらに喉の奥にこもるだけだった。

正紀はベッドに引っくりかえった翔子を見おろした。乱れたネグリジェは、本来の用をまったくなさず、ただ両腕に絡んで体の一部にまつわりついていた。しゃがみこんだ正紀は、そのネグリジェを大きくまくりあげてしまった。

翔子の白い裸身を隠しているのは、今や美しいレース模様の小さなパンティだけとなった。

おやっ……。

正紀は翔子のすべるような下腹に目を向けた。今までの女にはない、かすかな線が、ヘソの下から陰阜の上に走っている。それはよく目を凝らさないとわからない程度のものだった。

正紀は顔をくっつけるようにして、人差し指でそれをなぞった。

翔子は悲痛な表情で目を閉じた。そのわずかな線は、彼女が正紀に対して言わなければならない大切なことと大いに関係があった。しかし、正紀にそれが何を意味するものかわかるはずもなかった。

陰阜近くに指先がおりてくると、必然的に中心のふくらみが視界に入る。繊細なレースの編み目から、下に重なり合う恥毛の一部が見えていた。指は自然に編み目の上を撫でていた。

しかし、両足首がテープで縛られているので両腿はピタリと閉じている。指はほんの少しだけ谷間をなぞったが、それから先は侵入不可能だった。

正紀は無理をしなかった。時間はたっぷりある。それに、今は翔子は自分に対して嫌悪感を抱いているはずだから、無理やり体を開かせてインサートしても、少しも面白くない。同じ犯すのでも、相手がその気になるまでのプロセスを見たいと思う。その気にさせる自信があるだけになおさらだった。

正紀はパンティに手をかけなかった。女の恥ずかしがる姿を後でゆっくり見るために、あえて脱がさなかったのである。

それに翔子は気づかなかった。たった一枚の小さい布切れでも、ともかく身に着けていたので、屈辱のなかにもいくらか安堵の気持ちがあった。

正紀は剥きだしになった乳房を手におさめた。はずむ感触をじっくりと味わっているうちに、てのひらのなかで乳首が硬くなるのがわかった。翔子は苦しげな表情で目を閉じたままだった。唇で乳首を擦った。バスト全体がピクッと震えた。二つの乳首を唇だけで攻めた。両方を何度か往復するうちに、乳暈そのものも大きく張ったような気がした。上下の唇に乳首を挟むと、翔子が拒むように体を横に向けようとした。

ははーん、感じてるんだ……。

翔子の仕草は、敏感な少年の察知するところとなった。正紀は吸ったり擦ったりしながら、女の反応をじっくりと観察した。急ぐことはない。翔子の表情はつらそうだった。正紀は、それが苦痛を耐えている表情ではないことぐらいよくわかっている。感じているのだ。ただ、どの程度感じているのか、判断がつかなかった。

後でパンティのクロッチの部分を調べればわかることさ……。

正紀がパンティを脱がさなかったのは、そういった単純な理由からだった。しかし幼稚ではあっても、確かに的を射た方法かもしれなかった。

翔子は身の不運を嘆いた。素敵な日曜日のはずが、一転して人生最大の悲劇に見舞われようとしていた。

なぜこんな目にあうの……。

翔子はただ単純に、この年頃にありがちな少年の性欲の対象に自分が選ばれただけと思っていた。少年の心の奥にひそむ亡母への思慕と、それによって生じる他の女への反感が正紀を駆りたてたなどとは、これっぽっちも思っていなかった。

いずれにせよ、将来への夢は、この一事によってすべて霧散してしまうのは明白だった。

正紀は、母の後釜に座る女は許せないという正当論をふりかざしてはいたが、結局は、自分自身の性的欲望に対して忠実だっただけである。くだけた言い方をすれば、姦りたいという気持ちを満足させるために、次々と女を襲っているにすぎなかった。

翔子がまったく自由を奪われて、身動き一つできないでいるのを見ると、正紀は辱しめるということに興味を覚えた。

二つの胸の隆起を長い時間かけて愛撫しているだけで、翔子の体にはさまざまな変化が起きている。じっとしていられないのか、切なそうに体をうねらせる。それを翔子自身は、意識していないようだった。

正紀はゆっくりと翔子の下半身に向かって舌を移動させた。可愛く窪んだヘソを舌先でチロリと掃いただけで、下腹の肉がブルルルッと震えた。中心のふくらみが顔に近づくにつれて、独特な匂いがきつくなった。女の匂いに間違いない。

正紀はパンティに鼻面を突きつけ、わざと鼻を鳴らして匂いを嗅ぎとった。翔子が腰を振って逃げようとした。正紀は女の顔を見ながらパンティに手をかけた。

翔子が目を開けた。哀願するような表情で正紀を見たが、正紀は容赦なくパンティを引きおろした。しかし、両腿が閉じているし、足首はテープでくくられているから、途中までしか引きおろせない。

正紀はあたりを見まわした。サイドテーブルの上の果物篭の脇に、ナイフがあった。それを手に取って、パンティの両サイドを切り開き、そっと引っぱった。パンティは一枚の無惨な布切れになって、翔子の体から離れた。

こんもり盛りあがったふくらみに、濡れそぼった恥毛がピタリと貼りつき、割れ目の一部がほんの少し見える。

正紀は恥毛の少なさと恥丘の盛りあがりに圧倒された。恥毛が少ないので、土台の恥丘がよけいに際立って見えるのだ。

正紀はボロ布同然になったパンティの中心に視線を注いだ。二重になったクロッチの部分は、糊でもまぶしたようにぐずぐずに濡れ、そこから女の匂いが強烈に立ちのぼった。

翔子はそれを目の前に突きつけられると、真っ赤になって目を閉じてしまった。

「気持ちよくなると濡れるんだってね」

したり顔の正紀の声を聞くと、耳をふさぎたかったが、手が自由にならないので、それもできない。聞きたくない権利を奪われた翔子の耳に、少年らしからぬいやらしい言葉が次々と飛びこんだ。

「男はしたくなるとすぐ体に表われるけど、女はずるいから表われない。その代わりに、アソコがぐっしょり濡れるんだって、誰かが言ってたよ。ほら、ぼくは今、こんなになっているからしたくてたまらないってわけさ……目を開けて見るんだ」

頬を軽くパチパチ叩かれ、翔子は仕方なく目を開けた。

いきり立ったものが、すぐ顔の近くでブルンッブルンッと脈動している。肉棒の表面には赤や紫の細い血管が無数に走っていて、丸く張りだしたカサの先からは、男の愛液らしきものがプックリと滲みでていた。少年らしからぬ色と形に毒気を抜かれて、翔子はただ呆然とそれを見つめていた。

「ぼくはこんなにしたがってる……あなたもこんなにしたがってる……」

正紀は歌うように言い、手にしたパンティの残骸を翔子の顔の前でヒラヒラと振った。

翔子は敗北感を味わった。事実を突きつけられては反論することもできない。まして、口は封じられたままだった。

正紀は勝ち誇った表情で翔子を見つめ、口に幾重にも貼ったガムテープを剥がそうとした。口に咥えさせたいという願望があったからだが、ふと考え直して、一度はガムテープにかかった指を遠ざけてしまった。

はずして! 自由にしゃべらせて!……

翔子は心のなかで叫んだ。いや、実際にそう言ってみたのだが、それは虚しい呻き声に変わって声にはならなかった。

正紀の気持ちが途中で変わったのには、それなりのわけがある。あれこれ痴戯を楽しむ前に、ともかくまず体の関係を持ってしまおうということなのだ。そうすれば、姦られたという事実が女の手枷足枷となって、後はもう好き勝手にできるだろうと考えた。既成事実を作ってしまわなければ、落ち着けない。

正紀はあたりを見まわした。化粧台のストールの上に、スカーフと洋服のベルトがあった。それを手にした正紀は、翔子の左右の足首にそれぞれを結んでから、ガムテープをほどいた。

翔子がガムテープの束縛から自由になったのはほんの一瞬で、左右の脚は大きくひろげられて、ベッドの脚にくくりつけられてしまった。ガムテープのときは、ともかく両腿の付け根がきっちり合わさっていたが、今度はかなりの角度があるから、開かれた股間は、すべて正紀の視線の前にさらされた。翔子は、最後の最後までもがいた。

正紀はその姿に刺激を受けた。翔子はなんとしても伝えたいことがあった。こんな残酷なことが起こらなければ、いつかときが来たら自然に話せると思っていたのだが、もうとてもそんな余裕などなかった。しかし、今は言いたくても言えない状況に置かれている。

なぜ、なぜなの

!?

正紀さん……。

絶望の瞬間は刻々と迫った。

正紀は、少年らしからぬ不敵な笑みを浮かべながら、翔子の膝の間に割りこんだ。そそり立つ肉茎が、柔肉に触れた。淡い恥毛に飾られた粘膜は、翔子の悲痛な気持ちを無視して淫らに息づいた。

「やっとだ……やっと一つになれるね」

やさしくつぶやいた正紀は、ゆっくりと押した。太い肉棒が秘肉を押し分けて、ズルッと入ってきた。

翔子はその瞬間、地獄の業火を見た。肉棒の規則正しい動きは、女の本能を徐々にかきたてていった。

ああ、神様……。

翔子の心のなかの祈りも、次第に熱く火照ってくる女陰には、なんの効果ももたらさなかった。

「ううっ……気持ちいい……」

正紀のうなるような声が、翔子のこらえていたものを一気に断ち切った。

明らかに、恥ずかしい部分から快感が湧き起こっていた。

早く終わって……。

その願いも虚しかった。

女の表情に微妙な変化が表われたのを見てとった正紀は、ますます張りきって、正確なリズムを刻んで肉棒を抜き差しした。少年とは思えぬ動きに、翔子はつられそうになって、腰をはしたなく動かしかけていた。

なんていうことなの……。

自分自身を呪った。けれども、それは誰しもが奥底に秘めている、性の本能がなさしめることであった。

硬い肉棒は女の感じやすいクリトリスを圧迫し、粘膜や膣壁を的確に擦った。疼きが、いたたまれない快感に変わり、熱いものが体の中心からどんどん溶けていった。快感は急上昇し、焼けつくような感覚が胎内を走った。歯を食いしばってこらえても、とてもこらえきれるものではなかった。

翔子の体がしなった。括約筋が活発に収縮をはじめると、正紀の動きが俄然早くなった。

「あああ、出ちゃうよ……ぼく、出ちゃう!」

その言葉に翔子は鋭く反応した。女陰全体が激しく痙攣すると、絶頂が目前に迫った。正紀が呻いて、全身を硬直させ、動きをとめた。

次の瞬間、翔子は膣内が熱水で一気に満たされたのを知った。

自身の体の奥から何かが噴きあげたとき、翔子の頭のなかは真っ白になっていた。

【第九章 剛直に引き裂かれた絆】

翔子にとって、悔恨の日々がつづいた。

不可抗力といえただろうか……。

あの日のことを思うと、屈辱よりも、自分の人生そのものが破滅したも同然だと思う。小牧正紀にとっても、少なくとも精神的な意味合いでは、立ち直れないほどの障害となるにちがいなかった。

これで、私と正紀との関係は永遠に口外できない……。

翔子の哀しみはそこにあった。

正紀を自分の胸のなかに抱いた日々は、いったい何日あったろうか。張った乳房の痛みよりも、自分が産んだ子を手離さなければならなかったつらさで泣き暮らした昔を思うと、翔子はいても立ってもいられない思いに駆られた。

翔子と沙織は遠縁というだけで、少女時代にはほとんど顔を合わせることがなかった。小さい翔子は何も知らなかったのだが、彼女の家はいわゆる母子家庭で、裕福だった沙織の家から、病弱の母はかなりの援助を受けていて、実質的に翔子はそれによって育てられたようなものだった。後年、翔子が恋したのが、医学生だった小牧伸吾だった。本格的な恋愛感情を抱くようになったあるとき、彼女は伸吾が周囲のすすめによってお見合いをしたことを知った。

その相手が皮肉なことに自分の一家を助けてくれた遠縁の家の娘、沙織だった。翔子の母は、翔子と伸吾との関係を知ると、泣いて別れるように説得し、翔子もまたそれを受け入れるしかなかった。しかし、結婚した沙織は、子宮筋腫で子宮を切除しなければならなかった。しかも病弱で、伸吾は性生活には恵まれなかった。

伸吾と翔子の仲が復活するのに時間はかからなかった。そして翔子は妊娠したのである。それを沙織は知っていた。

翔子の母は激怒したが、子供を産めない沙織は人を介して、生まれてくる赤ん坊は小牧家の跡とりとして育てたいこと、万一自分に何かがあったなら、その赤ん坊のために伸吾の妻となってくれと申しでた。

翔子が産んだ子はすぐに小牧家に引き取られ、正紀と名づけられた。そして、沙織のたっての頼みで、翔子は伸吾の女としての人生を歩むことになったのだった。それらのすべてのいきさつは、沙織の直筆によって遺書として残された。

伸吾は翔子と再婚後に、いつかは真実を正紀に話すつもりになっていたのに、何も知らない正紀は、亡き母の後釜を狙う女は許せないという彼なりの考えで、産みの母を襲ったのであった。

近親相姦という事実ができあがってしまった以上、それを口にするのは、正紀の将来に、精神的苦痛を与えつづけるだけだろう。そう翔子は判断し、正紀には何も告げなかった。

当然、翔子は熱海の学会から戻ってきた伸吾にも内密にした。彼女が考えたのは、自分自身の進退であった。いかなる形にせよ、実の息子と肉体的に結ばれてしまった以上、伸吾との結婚は御破算にするしかなかった。では、どのように身を処したらいいか……。翔子は悩んだ。

伸吾からの誘いがあっても、仕事が多忙だからと断った。翔子は趣味でやっていた貼り絵が評価されて、今ではあちこちの講習会に招かれて教えていたし、マンションにも何人かの人がやってきては、直接に翔子から手ほどきを受けていた。それを理由に伸吾と会うのを断ったのである。しかし、いつまでも同じ理由が通用するわけがない。

電話で伸吾から「何かあったのかい?」とやさしく問われても、何も答えられない自分がみじめであり、情けなかった。真実は絶対に言えない。言えば、伸吾と正紀の父子関係に亀裂が入ることは目に見えている。

そっと姿を隠す。そんな単純な方法を、翔子は真剣に考えるようになっていた。

雨の激しく降りしきる日の午後だった。その日の三時に、家で教える最後の生徒が来ることになっていた。材料を揃えて待っていると、ドアチャイムが鳴った。あれ以来、用心深くなった翔子は、玄関ドアの覗き穴から相手を確認した。初老の上品な婦人が立っている。今日の生徒であった。

ドアを開けてなかへ招じ入れようとしたが、その老婦人は、よんどころない用事で今日の講習は勝手ながらキャンセルさせてほしいと言う。電話でなくわざわざ立ち寄ったのは、その用のために近くまで来たからとのことだった。

その老婦人が菓子折りを無理やり翔子に手渡したとき、またドアチャイムが鳴った。

「私、これで失礼いたしますので」

老婦人が気を利かせてドアを開けて外に出ると、そこに学校帰りの正紀が立っていた。

何も事情を知らない老婦人は、正紀に会釈してエレベーターに向かった。老婦人の手前、ドアをピシャリと閉めるわけにはいかない。翔子が呆然と立っていると、正紀は何の屈託もなく「こんにちは」と笑顔で言い、なかに入ってきた。

「お願い、帰って……」

翔子の表情は凍てついた。正しい手順を踏んで、もっと前に母子の名乗りをあげていたなら、力いっぱい抱きしめてやれるものを……。

正紀は勝手に内錠をかけ、ドアチェーンをおろした。

「帰って!」

翔子に言える言葉は、それしかなかった。

正紀は笑顔を向けた。やさしい笑顔だけに、翔子にはよけい無気味に思えた。そして自信に満ちた笑顔だった。

「この前のことが忘れられなくて……」

まるで長年にわたって情を通じ合った男女の仲で交わされる言葉だった。

「もう来ないで。あなたとは会いたくないの」

「ふーん。それじゃ、パパとは結婚しないってことなんだ」

正紀は勝ち誇ったように言った。それなら、もう目の前の女を抱く必要はない。本当の目的は達成したも同然なのだ。

「その通りだわ。だから帰って。もう会うこともないでしょう」

「でも、ぼくの知らないところでパパと会うんじゃないの? 今までみたいにさ」

正紀は、二人のことはなんでも知っていると暗に匂わせた。

「いいえ、会わないと言ったら会わないわ。もう帰って!」

翔子は断固たる態度をとるべきだと考え、強い力で正紀の腕を取った。しかし、かえってこれが逆効果だった。

ムッとした表情でその手を払いのけた正紀は、翔子の体を抱きすくめるようにして、奥へ押した。翔子は正紀を押しのけて、ドアに向かって逃げようとした。唯一の逃げ場なのだ。

奥へ押しこまれたら、ベランダから飛びおりるしかない。

「大声を出してもいいんだよ」

正紀にそう言われても、実行することはできなかった。正紀がまったくの赤の他人なら、その通りにしていただろう。だが、正紀は我が子なのだ。血をわけた子供を犯罪者として他人の目にさらすなどできっこない。

かといって、母親である自分が我が子と肌を合わせることが許されていいはずがなかった。だが、それはもう既成の事実なのだ。それさえなければ、母と子の名乗りをあげて阻止できたものを。今それを口に出したなら、正紀が心に負う傷は、永遠に治らないに違いない。

言えなかった。翔子は身動きのとれない不幸な立場に置かれていた。ともかく今は、この危険な状況から逃げることしか、残された道はなかった。助けを呼ぶこともなく逃げるのは、女として容易ではなかった。力ずくでは太刀打ちできない。

強く腕を振りほどいて正紀を突き飛ばすと、咄嗟に目の前の浴室に飛びこんだ。ドアには内鍵がかかるようになっている。鍵に手がかかったが、そこまでだった。

押しくらべに負けた翔子は、衣服を着たまま、まだ湯のたっぷり入っているバスタブのなかに、頭から突っこまれてしまった。

自分に敵対する者を、正紀のような我がままな育てられ方をした少年は、我慢できないのだ。だから手加減というものがない。何度かザブザブと頭から突っこまれるうちに、翔子は抵抗する気力を失っただけでなく、息も絶えだえになってしまった。

さすがにそれを見た正紀は、それ以上の乱暴はひかえたが、翔子がズブ濡れのまま、ぐったり座りこんでいるのを見ると、衣服を脱がせはじめた。翔子は逆らわなかった。こんなみじめな目に遭うのは、正紀を小さい頃に手離した報いかとも思った。よく新聞などに、我が子の手にかかって殺される母親の記事が載っているが、今、翔子はそのときの死にゆく間際の母親の哀しみがわかるような気がした。

正紀は水に濡れたパンティが翔子の下腹部にピタリと貼りついているのを見ると、急に体が熱く燃えた。少なめの恥毛がいくつかの筋になって浮きでているのが、なんともエロチックで、彼の官能はそれによって火をつけられ、勢いよく燃えあがった。

正紀の衣服も半分は水浸しになっていた。翔子を見おろしながら自分も素っ裸になると、まだ縮んだままの陰茎を、こじ開けた翔子の唇の間に押しこんだ。

「楽しいことをするのに、そんなに悲しそうな顔をしないでよ」

正紀は美しい三十路の女にペニスを咥えさせているという事実に興奮した。翔子が舌を使ったわけでもないのに、縮んでいた一物はすぐに力強く立ちあがり、翔子の口をいっぱいに満たした。

翔子は複雑な思いで我が子の肉柱を口に含んでいた。十数年前にしっかり抱きしめた子が、今また別の形で肌を合わせようとしている。運命の悪戯というにはあまりにも残酷であり、皮肉な巡り合わせだった。

正紀は肉棒がすっかり膨らむと、翔子の口から引きだして満足げに眺め、翔子をうながして寝室に連れこんだ。

「横になりなよ」

私はあなたを産んだ母親よ……。

それを言ったら、この子はどんな顔をするだろうか。あるいは信じないかもしれない。その場から逃げだすためのでたらめと思うだろう。当然である。

言いたいのだが、もう肌を合わせてしまったという厳然とした事実があるから、口にするには遅すぎた。

せめてあのとき、いきなり口をふさがれなかったら……。

どんな形にせよ、犯される前に口がきける状態であったなら、今またこんなみじめな目にあわなくてもすんだのに、という悔いは残った。

「さあ、両脚をひろげて……もっと……」

翔子は操り人形であり、正紀は傲慢な人形師であった。

正紀は嬉々として股間に貼りついた。まだそこは乾いた牧草地だった。

なあに、すぐに沼地になるさ……。

正紀はひっそりと息づく淫裂を、ゆっくりと舐めあげた。いつものきつい匂いはまだないが、ちょっと酸っぱい味が舌の上にひろがった。

翔子は息をつめて踏ん張った。人生で、これ以上ひどい運命があるだろうか。

正紀は翔子に反応がないと見ると、いっそう闘志を燃やした。舌の動きは執念深かった。陰核から会陰部にいたる道のりを、舌は楽しそうに躍り、ただ表面を往復するだけでなく、粘膜の裏側にまで這いまわって、まだ眠っている快楽を目覚めさせようと躍気になった。

翔子はそれでもこらえていた。心を鬼にすることで踏みとどまっていた。だが、心と体はまったく別ものだった。いつしか甘美なおののきが、舐められている部分から湧いていた。必死になって快感を遠ざけようとすると、全身に余分な力が入る。すると不都合なことに、恥ずかしいあたりの括約筋がぐっと締まってしまう。

正紀の舌は翔子の一連の動きを敏感に察知して、今まで表面だけ舐めていた舌を棒状に丸めて膣奥にこじ入れた。そうはさせまいと収縮を繰りかえす膣襞とのせめぎ合いがつづくと、それにともなって疼きがつのった。つのる疼きに耐えられなくてフッと気を抜いたとき、正紀の舌は秘口に入りこんだ。

脳天を揺るがすような快感ではないが、妙に曖昧で重い。やりきれなさに翔子は耐えられなくなって、いつしか下腹部をせりあげていた。

それに合わせて、正紀は膣の奥を舌でかきまわした。翔子の腰が律動した。しかし、正紀はスーッと舌を引き抜いてしまった。

オルガスムスを求めようとしていた翔子の体は、中途半端に投げだされて苛立った。しかし、すぐに正紀は舌を陰門に押しつけた。一度息を整えただけあって、正紀の口唇愛撫は執拗であった。

翔子は自分でも気づかないうちに、正紀の頭をかかえこみ、ゆるゆると腰をうねらせていた。

それらはすべて三十女の生臭い欲望の具体的な表われであった。正紀に対して憎しみがあるといえば嘘になり、またないといっても嘘になる。ただ母子相姦という地獄絵のなかで、なすすべもなくあがく翔子だった。

自分の歓びの声に驚いて、あわてて口をつぐんでも、再び襲ってくる快感の波に揉まれて、翔子は一歩また一歩と、オルガスムスへ追いこまれていった。

「ああ、駄目……いけない……」

そこまで言ったとき、正紀の顔が下腹部からスーッと離れた。

期待をはぐらかされたが、反面ホッとしたことも否めない。だが、すぐに正紀の太いものが、前触れもなく秘唇を押し分けて入ってきた。

湧いた蜜がそれにまつわりついたので、インサートはスムーズに行なわれた。しかし、ずっと疼きっ放しだった膣奥の襞は、硬い肉茎に摩擦されて、嬉々として躍動した。抽送に応えて、締めつけがはじまった。

「ああッ……ああッ、いい!」

少年の真実の声を開くと、翔子はそれまでのかたくなな姿勢を捨てて、女になり、母となった。こうなった以上、我が子の歓びをしっかりと見きわめたかった。

自分も快感を追いながら、正紀にもそれ以上のものを与えようと、抜き差しする肉棒に合わせて腰を突きあげたり引いたりした。

「ぼ、ぼく……出そうッ……あーッ、出ちゃうよォ……」

その声に、赤ん坊の正紀の泣き声がダブった。翔子が力いっぱい正紀を抱きしめたとき、灼熱の女陰のなかに、少年の若々しい熔岩の魂りが噴きあげていた。

いっぱい出てる……。

空白になった意識のなかでも、それだけは翔子にもはっきりわかっていた。

浮かない父の顔が見られるようになったのは、それから数日後のことだった。再婚の話も出ない。

あの女、パパとの結婚を諦めたんだ……。

正紀は、翔子が恥ずかしさに耐えかねて、自分から身を引いたのだと確信した。

「ねえ、あの人、近頃どうしてる?」

二人きりの夕食の席で、正紀は父の再婚はありえないという自信から、さりげなく聞いた。

「実は……あの人、今、アメリカへ行ってるんだよ」

「へーえ、突然なんだね」

恥ずかしくって、そんな遠くまで逃げだしたのか……。

「ぼく、あの人のこと気に入ってたのになァ」

正紀は心にもないことを言った。

父の表情が、パッと輝いた。

「そうか……正紀は気に入ってくれたのか」

どうせ結婚はないと読んでいたから、平気で「パパと結婚すればいいと思ってたんだ」と、嘘もつけた。父は大きな溜め息をついて、箸を運んでいた。

「どうしてアメリカなんか行ったの? すぐ帰って来るの?」

「それが……なぜ急に向こうへ行く気になったかわからないんだ。まあ、以前からアメリカの日本文化協会から、貼り絵の現地教習に来てくれないかとは言われてたらしいんだがね……」

やっぱり逃げだしたのさ……。

正紀は、それで当分、母の後釜になる女は現われないだろうと、内心ホッとした。

その夜、ベッドに入ろうとすると、父が部屋にまでやってきた。大抵の会話はリビングルームですますので、滅多にないことである。

「お前、翔子さんを気に入ったと言ったね」

「うん……いい人だもの」

「そうなんだ。いい人なんだ」

父はしばらく窓の外を眺めるともなく眺めていた。何かを考えているときの表情だった。

季節はずれの稲妻が、遠くの空に走った。

「これを見てくれないか」

父は分厚い大きな封書を出した。

「お前が翔子さんを気に入ってくれたなら、私はアメリカまで迎えに行ってくるよ。とにかく読んでおくれ」

父が部屋を出ていった後、胸騒ぎを覚えた正紀は急いで封を開けた。大きく小牧沙織という署名がしてある。それは確かに見馴れた母の字に間違いなかった。正紀は途中で我が目を疑った。同じ個所を何度も繰りかえして読んだ。

『--翔子さんが正紀の本当の母親だということを、時期が来たならば教えてあげてください。そして私の身に何かが起こったならば、翔子さんが一番小牧家の人間にふさわしいことも。私もそれを強く願っていることも--』

文面はその後も長くつづいていたが、正紀の目はその個所を何度も往復するだけだった。

稲光がいつのまにか至近距離になり、しのつく雨が激しく窓ガラスを叩いた……。

完

熟母レイプ!

2011/6/1 電子版発行

著 者 高竜也

発 行 株式会社フランス書院

東京都千代田区飯田橋3-3-1

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(c)2011 Tatsuya Koh, Printed in Japan.

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