母と息子・相姦生活 第二章 母と息子・邪欲 ~ 第三章 母と息子・嫉妬 (2/5)
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第二章 母と息子・邪欲
マイアミから成田まで、和行はミネアポリス経由の便を利用した。もう一便、ダラス経由もあるが、ミネアポリス経由のほうが三十分ほど搭乗時間が短くてすむ。
いずれにせよ、十八時間近くもかかるのだから、若い和行でもかなり疲れる。けれども和行は仮眠することもなく、ひたすら一昨日のエバーグレースでの出来事を思い起こしていた。
* *
二度目の失敗をした直後、真理子は、「女にとって、こんな侮辱はないわ」と本気になって怒り、いくら和行が詫びても車のなかで口をきいてくれなかった。
だが、さすがに寄宿舎まで来ると、しばらく休暇で日本に帰ってしまう和行を気遣い、別れの濃厚なキスをしてくれた。
「お休みの間に、日本で少しはセックスのこと、勉強してきてね」
悪戯っぽく笑ったものの、和行のほうはとても笑うどころではなかった。日本に帰っている間に、真理子が他の男とセックスを楽しむのではないかと、気が気でなかったからだ。
頭の回転の早い真理子は、敏感に和行の心の内を察したらしい。
「大丈夫よ。今の私にはカズしかいないわ。カズに約束したように、ボーイフレンドはすべて整理してしまったの。だから、カズが帰ってしまうのは、とても淋しいわ」
そのとき和行は、ディープキスの余韻もあって、激しく勃起していた。
マリィ、今ならきっと大丈夫だよ……。
そう言いたかったが、あたりに人影は多いし、寄宿舎の夕食時間が迫っている。規則の厳しい寮生活なので、身勝手な振舞いは許されないのだ。
「マリィ、勉強すると言ったって、ぼくはマリィを愛しているんだ。とても、他の女の子とセックスする気にはなれないよ」
「私が許してあげる。カズだって、私がバージンだなんて思っていないでしょう。私、早くカズが私に追いついて欲しいの。いいえ、一日も早く、男として私をリードして欲しいの」
こうして最後のキスをし、二人は別れたのだった。
* *
すぐ脇の通路を、ノースウエスト航空のスチュワーデスが、機内販売の免税品カタログを配っていた。そのスチュワーデスの胸の小さなネームプレートには『グレース』という名前が書いてあった。
グレースの匂いが鼻先をかすめたとき、和行は何気なく座席から彼女を見あげていた。ちょうど和行も見おろしたグレースと視線があった。
「イカガデスカ?」
たどたどしい日本語で語りかけられた和行は、一日千秋の思いで自分を待っている母の左知子にお土産を買っていこうという気になり、カタログを受けとった。
微笑むグレースの表情は、大輪の花が咲いたように華やかで美しかった。グレースはゆっくりと座席に目を配りながら、前へ歩いていった。綺麗な二本の脚に支えられた腰はゆったりと張りだしていて、歩くたびに右に左にとセクシーに揺れた。
和行はカタログを見るふりをして、グレースのヒップに視線をはりつけた。かすかにパンティラインがスカートの上に浮きでていた。和行は、その下に隠された女の秘密の部分に思いを馳せた。
グレースのショートヘアは、見事なブロンドである。
あそこの毛も、きっと同じ色に違いない……。
和行はすぐに勃起した。ジーンズを突きあげた分身は、なかなかおさまりそうもなかった。
ブロンドのヘアにオーバーラップして、栗色の縮れ毛に囲まれた真理子の秘部が頭のなかを占領した。
なぜ、あんな大失敗をしてしまったのか、悔やんでも悔やみきれない。やっと真理子の愛を独り占めできたと思ったのに、期待を裏切ってしまったのである。和行は胸が痛くなるのを覚えた。
真理子はセックスを勉強してくるようにと、はっきりと言った。自分はバージンでないけれど、リードするくらいになってほしいとも言った。だが、いったいどうやって勉強しろというのだ。和行は衝きあげてくる欲情に困惑した。
ああっ、女を知りたい! 女の体を知りたい……。
そのとき背後から甘い香りが漂ってきた。
「オミヤゲ、キマリマシタカ?」
かがみこんだグレースの胸もとから、ゆったりした谷間が見えた。首からぶらさがったネックレスが揺れた。
「日本語、話せるんですね」
「エエ、スコシダケ」
「あなたのつけている香水、このカタログにありますか」
「ロシャス?」
グレースの笑顔がとてもセクシーだ。
「プレゼント?」
「ええ。母にと思って」
「ワカリマシタ。マダム・ロシャス、デスネ?」
和行はすすめられた香水を母のために買った。
それがきっかけとなって、グレースは和行の席にやってきては、面倒を見てくれた。体こそ大きいものの、少年が一人で長旅をする心細さをおもんばかったのかもしれない。和行はその心づかいがうれしかったが、グレースの裸のことを考えている自分が恥ずかしくもあった。
いつの間にかうとうととしていると、夢のなかに真理子が現われた。ところが、それがグレースにすり変わる。夢のなかでグレースの特徴あるいい匂いがした。
大きく息を吸いこんだとき、目が覚めた。目の前にグレースの顔がある。
夢か、現実か?……戸惑いが和行を包んだ。
グレースが笑って、膝の上に毛布をかけてくれた。
「あっ……サンキュウ」
「ドウイタシマシテ」
グレースは隣りで寝入っている老婦人にも同じように毛布をかけて去っていった。爽やかな匂いだけが残った。
和行は、まだ勃起状態がつづいていることを知って、もしかしてグレースは気づいたのではないかと気になった。
長旅が終わり、飛行機が成田に到着すると、グレースがわざわざ和行のところまでやって来て、英語で「シー・ユー・アゲイン」と言ってにっこり微笑んだ。到着ロビーで母い会うまで、和行はグレースのことを考え、まだ鼻孔をくすぐるかすかなロシャスの匂いを懐かしんでいた。
「和ちゃん。ここよ。こっちよ」
到着ロビーに華やかな声が飛んだ。和行は、まだ生まれたての動物の赤ん坊が、本能で母親をさぐり当てるように、大勢の出迎えのなかから母の姿をすぐに見つけだした。
左知子の顔に笑みがひろがった。和行は駆け寄った。左知子が大きく両手を開いて抱きとめた。
「お帰りなさい。二時間も前から来ていたのよ」
「ただいま。お母さん」
周囲の人垣の何人かが、びっくりしたように二人を見つめた。この人が母親だって!?……みんながそのような驚きと好奇の目で、若い母親に視線を向けている。華麗なレオナールのプリント生地で仕立てられたワンピースに身を包んだ左知子を、三十八歳だとは思えなかったとしても無理はない。
確かに吉岡左知子は若く見えた。短大を卒業してすぐに結婚した佐知子は、二十一歳で和行を産んだ。五年前、不慮の事故で夫を失った佐知子は、夫の経営していた派遣会社を引き継ぎ、今では夫以上の実績をあげて、この業界の旗頭となっていた。
成田から南麻布にある西洋風の家に着くまで、二人は数カ月間の空白を埋めるように、時間を惜しんで近況を報告し合った。もっとも一方的にまくしたてたのは佐知子で、和行はもっぱら聞き役であった。
助手席に乗っていた和行は、何気なく母の形のいい膝から下を見ていた。運転しやすいように、船底型の平たい靴に履き替えていたが、足首がキュッと細く締まっている。
真理子の脚とよく似ていると思ったら突然、脳裏に、またしても真理子のふっくらした女陰が甦った。母の声が遠くなっていく。窓の外を流れる懐かしい風景も、単調な絵画でしかなかった。
お母さんも、マリィと同じものを持っている……。
急に俗物的な考えが和行の脳裏に閃いた。それは、和行がアメリカに行く前までは決して思い浮かばなかった、ハレンチきわまりない妄想だ。
「和ちゃん、ちゃんと聞いてるの?」
「え
!?
」
不意に現実の世界へ引き戻された和行は、真っ赤になったが、運転していた佐知子は前方に視線を向けていたので、そのことにはまったく気づかなかった。
「ママが質問しているのに、答えてくれないじゃないの」
佐知子は自分自身を表現するのに、「お母さん」と言ったり「ママ」と言ったりする。和行も学生までは「ママ」と呼んでいたが、今ではそう呼ぶことは滅多になく、大抵は「お母さん」と言っている。
「なんだったっけ?」
母が自分に注ぐ愛情が深いことを熟知していた和行は、自分の邪な気持ちを恥じ、佐知子の横顔を見た。視線を感じたらしく、佐知子はニコリと笑った。
「ガールフレンドはできたのって聞いたのよ」
「ああ……」
和行は一瞬の判断の後に、さりげなく答えた。
「いないよ。とてもそんな暇はないもの」
「そう。寄宿舎生活ですものねえ」
佐知子の声には、どこか安心した響きがこめられていた。
南麻布の閑散な住宅街に車が入ると、さすがに和行は懐かしくなって、あたりを見まわした。公園も大使館も、ほとんど人が通らない静かな通りも以前のままで、緑の樹木に囲まれて、ひっそりとしたたたずまいのなかにあった。
車が車庫に入る音を聞きつけて、通いのお手伝いさんが家から出てきた。和行の元気そうな顔を見ると、目を細めて喜び、「もうお風呂の用意もしてありますから」と言って帰っていった。
和行が広いバスタブにつかっていると、脱衣室に佐知子が入ってきた。
「背中、流してあげようか」
屈託のない声がした。
「いいよ。自分でやるから」
「そう。じゃあ、ここに新しい下着、置いておくわね」
そう言って黒い影が出ていった。
和行は、父が亡くなる前後まで、時折り母と一緒に風呂に入っていた。そんなある日、和行は不覚にも勃起した。母がそのことに気づいたかどうかはわからない。ただ、その頃から和行は風呂に母と入らなくなったし、佐知子も気軽に誘うことがなくなっていた。
和行が浴室を出る頃にはもう、窓の外はすっかり暗くなっていた。
久しぶりの、母子水入らずの食事だった。佐知子はもともとアルコールに強くないのだが、この日は珍しくブランデーを口にした。
途中、和行がちょっとふざけて、母の手からグラスを取りあげ、飲む真似をした。佐知子はよほど機嫌がいいのか、制止もせずにニコニコと見ている。
「ちょっとだけ飲んでもいい?」
「ええ、いいわ」
喉を通過した小量の液体は、たちまち胃のなかで熱くなった。
「あら、和ちゃんたら、もう赤くなってる」
「なんだか目がまわってきたな」
「もうそれくらいにしておきなさい」
佐知子の手が伸びて、息子の頬を慈しむように撫でた。
「そうだ。お母さんにお土産があるんだ」
照れ臭さから逃れるように和行は立ちあがり、ダイニングルームから出ていった。佐知子は気持ちが弾むのを抑えきれず、グラスにブランデーを注いで飲んだ。
後ろ手に土産を隠してきた和行は、母に品物の中身を当ててみるように言った。
「和ちゃんがくれる物なら、なんだっていいわ」
「品物を当てるんだよ。さあ……」
「そうねえ……マイアミの名産って何かしら? 海辺だから、貝殻で作ったネックレスかな」
「違うよ。お母さんがたくさん持ってる品物だ」
「じゃあ、切手かしら」
佐知子は切手収集という趣味を持っていた。
「はずれ……もう一回答えるチャンスをあげるよ」
「もう降参。早く見せて」
佐知子が手を伸ばしたとき、ブランデーのグラスが袖口に触れて倒れた。
「しようがないな」
和行はテーブルの上に土産の品を置くと、ティッシュを取って濡れた佐知子の胸もとを拭いた。佐知子はうれしそうに息子に任せている。
「マダム・ロシャスね。素敵なお土産、ありがとう」
感謝の言葉を口に出し、胸もと近くに顔を寄せている和行の頭を、優しく抱えこんだ。
濡れたブラウスが顔にはりつき、そこからアルコールの匂いと甘い体臭が和行の鼻孔をくすぐった。目の前に、くっきり浮きでたレースのブラジャーと乳房の谷間が見える。和行は胸いっぱいに母の匂いを吸いこんだ。
「お母さん、着替えておいでよ。濡れていて気持ち悪いだろう」
「そうね。そうするわ」
立ちあがった佐知子は、そこで不安定によろめいて和行の肩につかまった。
「大丈夫?」
「ええ」
「なんなら、このまま寝たら」
「何を言うの。久しぶりに会ったというのに。お母さん、どんな気持ちであなたを待っていたと思うの」
「わかったよ。じゃあ、着替えを手伝うよ」
「ええ、そうして」
しかし和行は、何気なく言った自分の言葉に驚いていた。母は抵抗なく受け入れたものの……。
佐知子は寝室に入ると、ゆったりしたワンピースのようなネグリジェを和行に手渡し、背中を向けてブラウスを脱ぎ捨てた。
「和ちゃん、ホックをはずして」
ほんのりと朱に染まった母の肌に手を触れたとき、和行は以前よりも母との距離がずっと縮まったような気がした。その感情は、父が亡くなってから初めて抱いたものだ。
ブラジャーがはずれると、佐知子はネグリジェを肩からかけ、スカートを脱いだ。かがみこんだときによろけて倒れそうになったが、それを和行は素早く腰をつかむようにして支えた。
外見からは細く見えるのに、腰はパーンとはっている。和行はその意外さに戸惑った。
ネグリジェを着ると、佐知子の体のラインがくっきりと浮きでた。酔っているからか、あるいは自分の息子だから気にならないのか、佐知子はまたも和行の肩を借りると、階下のダイニングルームにおりてブランデーを飲み、上機嫌で話した。
その頃から和行は、ある種の窮屈さを感じはじめていた。母が開放的に振舞うのはいいのだが、妙に女の生臭さを意識してしまうのだ。ネグリジェの下にはパンティしか着けていないということもわかっているので、次第に息苦しくなってきた。
時間がたつと、さすがに佐知子も眠くなってきたらしい。話の合い間に小さなあくびをもらすようになった。
和行も、たったひと口かふた口のブランデーで、明らかにいつもの状態とは違っていた。体が妙に熱い。それでいて気分は開放的になっているのが自分でもよくわかる。前よりも無遠慮な視線を母の胸もとに投げかけ、ネグリジェの下の素肌を想像したりした。
一方的に話していた佐知子の声が、ふっと途切れた。見ると、佐知子は椅子にもたれて、幼児のように顔を傾けて寝入っている。アルコールをいつもより多くとったせいもあるが、前夜から息子の帰国のことを考えると興奮して、ほとんど一睡もしなかったのも、いつもの佐知子らしくない振舞いをさせる大きな原因の一つになっていた。
「お母さん」
和行が声をかけても、佐知子は起きる気配がない。
和行は立ちあがって佐知子の背後にまわり、肩越しに顔をのぞきこんだ。ほんのりと香気が漂ってくる。
おおっ! と思った。上から真下を見る形になったので、乳房の谷間どころか、乳暈が見えたのだ。
ズシンッと頭に響くような、衝撃的な戦慄が走った。にわかに血がざわめき、熱い奔流のように体内を駆けめぐった。
以前の和行なら、母の裸身を見ても決して胸騒ぎを起こすようなことはなかっただろう。それなのに、目を奪われてしまうという、ある意味でのいやらしい変化は、真理子・カーティスと付き合いはじめたのが大きな原因にちがいない。
真理子の乳房は大きくて弾むような丸みを帯びていた。それは、さんさんとふり注ぐフロリダの太陽の光を吸収したグレープフルーツを思わせた。そして今、目の当たりにする母の乳房も、それによく似ていた。しかし、見えるのはほんの一部分にしかすぎない。
和行は、すべてを見たいという非常識な欲望を封じこめることができなかった。和行は長い時間そのままの姿勢で、母の胸もとをネグリジェの隙間からのぞいていた。
佐知子は本格的に寝入ったのか、そのまま椅子からズルズルと崩れ落ちそうになった。和行はあわてて支えた。そのときだけ、佐知子はハッとしたように目を開けたが、それもほんの一瞬で、すべての体の重みを息子に預けて、ぐっすりと寝入ってしまった。
和行は、支えた腕にはっきりと母の乳房の柔軟さを感じた。
「お母さん……お母さんたら」
何度か呼びかけた。まるで死んでしまったように動かない。和行はなんとか踏んばって、五十キロ前後はあると思われる佐知子をかかえ、やっとのことで二階の寝室へ運んだ。
ベッドに横たえたとき、膝までしかないネグリジェの裾がまくれあがった。和行は薄掛け布団をかけてやるつもりで足もとにまわったが、最初の意志に反して、母の内腿あたりのふくよかな肉を見つめて、深い吐息をつくだけだった。
佐知子が横向きの姿勢から寝返りを打ってあお向けになった。体のラインが、たった一枚のネグリジェを通してくっきりと浮かんだ。織り目の繊細な絹製品だっただけに、まるで裸である以上に女の曲線が強調されている。
和行の目は、大きくはりだした乳房や乳首の突起を確認すると、ゆっくり下腹のほうへさがっていった。そして、こんもりと盛りあがった恥丘のふくらみに目を奪われた。
それはまさしく、ヴィーナスの丘と呼ぶにふさわしかった。フロアに座りこんで目線を同じ高さにすると、なだらかなカーブがいっそう際立つ。乳房と恥丘と太腿の付け根あたりが丘陵を思わせて起伏し、それは神が造りあげた至上の芸術作品のように神秘的であり、挑発的であった。
和行は母の名を、二度三度と呼びかけた。佐知子が完全な熟睡状態にあるのかどうかを確かめる最初の手段である。一糸乱れぬ寝息だけがかえってきた。
今度は腕に触って、軽く揺すった。それは揺り起こすというほど激しくはないが、それでもうたた寝程度なら充分に起きるほどの揺らし方だった。
佐知子は完全に眠れる人形だった。
和行の手は大胆に、露出した脚の部分を這いまわった。それでも母には少しの変化も見られなかったし、呼吸も乱れることはなかった。
和行は次第に当初の興奮状態から醒めていった。代わりに頭をもたげてきたのが、好奇心だった。
『日本で少しはセックスのこと、勉強してきてね』
真理子の誘惑的な言葉が和行をそそのかした。
確かに佐知子は身近な教材である。だが、自分を産んだ本当の母親だ。そのことに身を切られるような抵抗があった。今の段階までなら、乳房を欲しがる赤ん坊のようなものだと自己弁護しても許される気がしたが、これ以上となると、この世で一番背徳的な行為であることは疑いの余地がない。恐ろしさと好奇心が、和行のなかで攻防を繰りかえした。
そのとき、佐知子が少し体を動かした。ネグリジェの裾がよじれたようにまくれあがり、和行の間近に、母のスベスベした白い太腿が露わになった。
和行はてのひらをゆっくりと膝頭の上から付け根の方向へ移動させた。絹のような肌触りとは、まさしくこのことをいうのだろう。
指先をさらに進めると、深く切れこんだ鼠蹊部にぶつかった。そのあたりから、にわかに湿った感触がある。指先を遮っているのはパンティのきわどい縁だった。
思いきって中指だけを布地の下にくぐらせた。ザラリとした繊毛が触れた。
和行は落ち着きを失った。頭が圧縮されたように重くなり、胸が張り裂けるように痛い。けれども指を後退させる意志はなかった。
和行はしばらくの間、身動きひとつせずに、指先から伝わってくる感触をじっくりと味わっていた。するとまた、気持ちが落ち着いてくる。次第に大胆なことを考えるようになり、それがエスカレートしたとき、和行は佐知子のネグリジェの胸合わせからスーッと手を奥に差しこんで、豊満な乳房をてのひらにおさめていた。
視線は佐知子の寝入った表情にはりつき、手は乳房のぬくもりをはっきりととらえていた。母に何ら変化は起こらなかったが、和行の気持ちは、ただひたすら欲望のおもむくままにエスカレートした。
お母さん、ぼくの実験台になってね。ぼくが大人になるための踏み台になって……。
さすがに罪悪感は消えないから、そんな都合のいいことを心のなかで呟き、乳房の上の手をゆっくりと動かした。肉の弾力で五本の指がはじきかえされそうになる。
乳首を人差し指の腹でさぐった。真理子よりは大きいような気がしたが、ひっそりと埋もれたままである。そこに顔を埋めてみたかった。しかしネグリジェにはボタンがないから、胸前を開くことができない。手でその感触を確かめ、楽しむしかなかった。
和行はその期に至って初めて、ペニスが激しく勃起していることに気づいた。
自分の部屋に戻ると、プルオーバー式のパジャマに着替え、再び母の寝室に戻ってきた。もちろん下着など着けていない。
大きなダブダブのワイシャツ風のパジャマの前は醜悪なほど突っぱり、その頂点と思われる部分にはくっきりとシミがついていた。すでに雁首の先端から前触れの透明な露が滲みでている証拠だった。
和行は佐知子の足もとに陣取って座りこむと、ネグリジェの裾をつまんで大きくまくりあげた。
わずかな布切れに覆われた部分は、つややかな光沢を放つ下腹と連動するようにひっそりと息づき、そこはかとない香気をあたりに漂わせていた。パンティは、真理子のように紐状とまではいかないが、それでも使用している布地は極端に少なく、それだけによけい中心の丘のふくらみが強調されて、和行の目には痛いほどまぶしく映った。
かすかにデルタを彩る黒い茂みが、複雑なオブジェ模様を描いて浮きでている。太腿の付け根のほうに落ちこんだクロッチの細い部分は、女の中心に喰いこむように、そこだけ窪んでいた。
和行はてのひら全体で恥丘を覆った。生温かい体温が伝わった。こわごわと人差し指の先で窪んだ溝をなぞる。布地と一緒に吸いこまれそうになる。
少し力をこめて押した。ピクッと太腿が震えた。
用心深く、今度はなぞってみた。おや?……と思った。そこだけ少し湿っぽいと思ったときには、パンティの布地にほんのりとシミが浮いてきた。
指を離した。一センチ四方ほどのシミは、その部分の女の構造を徐々に浮きあがらせた。和行は身をのりだして凝視した。
お母さんのあれだ……。
鼻先を近づけると、かすかに甘酸っぱい匂いがする。見たい!……と痛切に思った。もう心のなかの格闘はなかった。欲望のおもむくままに、パンティの縁に手をかけた。パンティは簡単に脱がせることができなかった。
前の部分がずりさがると、縦に長い茂みが露出した。しかし、後ろが雄大なヒップに引っかかって、脱がすのは容易でない。熟睡しているからといっても、体を裏返しにするのはかなりの危険を覚悟しなければならなかった。起きてしまったら元も子もない。いくら甘い母でも、許してくれないだろうという気がした。
和行は、伸縮性のあるパンティの前の部分だけを下に引っぱった。たちまち母の陰部がすべて丸出しになる。
左手でしっかりとパンティの縁を持ち、右手で恥毛をかき分けた。肉芽はひっそりと包皮のなかに隠れたままだった。
和行は、真理子がやったと同じように、茂みの上の皮膚を上へ引いた。割れ目が窮屈そうにせばまって長く伸び、平たくなった包皮の下から肉芽がぴょこんと飛びでた。
小さな突起は、和行の心も肉体をも揺さぶった。しばらくためらった後に、静かに舌先で触れてみた。
小さな反応があった。佐知子の下腹の滑らかな皮膚がかすかに波立った。
そのまま分厚いざらついた部分でペタリと押し当てた。太腿の付け根が少し震えた。
何度かチロチロと掃くと、連続して震えが走る。危険だと思ったが、やめる気にはならない。だが、さすがに小さな呻き声が突発的にもれると、そこから舌を遠去けた。心なしか肉の裂け目に潤いが感じられた。
和行はいったん母から離れると、両膝の間に割って入り、ワイシャツ風のパジャマの裾をたくしあげた。鋭い角度でそそり立っているペニスは、滲みだした露で幹の半分までぬるつき、行く先を求めて小刻みな痙攣を繰りかえしていた。それは、見ようによっては悲しい身震いのようでもあった。
上体を前方に傾けた和行は、佐知子の腰にあやふやな状態でまつわりついているパンティがいかに邪魔な存在であるかに気づいて苛立った。脱がすことは諦めたが、切り裂くという手もある。しかし、それでは犯人が自分だと教えるようなものだ。気づかれずに欲望を処理するには、どんな困難があっても、今の状態で遂行しなければならない。
仕方なくさっきと同じように左手で、パンティの前面を引き裂ける寸前まで下に引っぱり、右手でかろうじて体を支えて、ペニスを母の割れ目に近づけた。しかし、下腹にはりつきそうなくらい鋭い角度で勃起しているので、ペニスの先は肝心の部分に接触しない。吊りあがった袋が、陰阜の上をいたずらに擦るばかりである。それでも下半身に染み渡るような快感が湧く。焦ると今にも爆発しそうになる。
和行は離れて息を整えると、強引に母の太腿の付け根を左右に開き、膝を進めて割りこんだ。普通ならば、とっくに母は起きだしていたに違いない。寝不足と酒量をはるかに超えた深酒のせいで、前後不覚になっているのが和行に幸いした。
和行が深く入りこんだ分だけ、佐知子の両脚は菱形に大きく開いた。パンティさえなければ、二人の性器は向き合った位置で接触していたかもしれない。
またも左手でパンティを引きさげた。陰部が露出する。右手で根元を押しさげ、先端を無理やり割れ目に当てがった。
だが、和行自身の手でこわばりに刺激を与えたことで快感は一気に増大して、腰骨から脊椎にかけてを痺れが走り抜け、あっと思ったときには先端から呆気なく、ドロドロの白濁した液体が飛びだした。あわてて亀頭を割れた溝に押しつけたが、女の肉裂は圧力に歪んで、ペニスの侵入を許さなかった。
佐知子の陰阜と黒い三角形の草むらが、糊をぶちまけたようにぬるぬるに汚れた。虚脱したように、和行はそれを見つめた。
畜生! これじゃマリィのときと同じじゃないか……。
肉裂を眺めながら萎れたペニスを擦りたてはじめた。そのとき、母が大きく身をよじった。和行は動きをうかがった。本能がそうさせるのだろうか、佐知子がまくれあがったネグリジェを、もとの位置に戻すような仕草をした。
和行は、もしかして母が起きるのではないかという恐怖にとりつかれた。ひとたび気持ちに余裕がなくなると、いくらペニスを擦っても、さっきのように力強く硬直しない。
佐知子がまたも動いた。動きの間隔が次第にせばまる。
和行はベッドからおりると、ティッシュペーパーで付着した汚れを拭き取ったが、パンティやネグリジェについたシミは消えそうにない。
和行は諦めて明りをフロアスタンドの電球に切り替え、逃げるように部屋を出た。
ベッドに横たわると後悔の念が湧いた。自分自身が情けなかった。
お母さんを犯そうとした……。
その事実は、頭のなかから一生消えないだろう。
もう絶対にあんなハレンチなことを考えたり、行動に移すのはやめよう、と心に誓った。しかし、またぞろ欲望の兆しが体の一部に具体的に表われると、遠くにいる真理子のことを思いだしながら復活したペニスを荒々しく擦りたてていた。
第三章 母と息子・嫉妬
目覚めた佐知子にとって、カーテン越しの朝の光は眩しかった。佐知子はすぐに起きなかった。目を閉じて、夢の余韻を楽しんだ。
また恥ずかしい夢を見てしまった……。
最近、佐知子は性夢をよく見るようになっていた。そのことを不快には思わない。むしろ、性夢を見るのを心の隅で期待している節があった。
私も普通の人間だってことだわ。本能なんですもの……。
佐知子は性夢を見てしまう自分を、自然体で受けとめることにしている。
夫が交通事故で亡くなってから、もう五年がすぎていた。幸い健康な体に恵まれていたから、夫の死という精神的なショックから立ち直ると、がむしゃらに働いた。夫の経営していた人材派遣会社『サン・ビーム』は、佐知子の努力で軌道にのり、今では成長株の一つとして各方面から注目を集めていた。
容姿と経営手腕に恵まれた三十八歳の肉体に目をつける男たちは多かった。しかし大半の男は、結婚という対象にならなかった。それに見合う年齢の男は、すべて妻帯者であった。それに佐知子自身、一人息子の和行のために、生涯独身を通して犠牲になってもよいという考えを持っていた。
そんな佐知子も、ここ数カ月というもの、激しい心の揺れを意識していた。
夢のなかで私は彼の腕に抱かれ、キスをされたんだわ。それも唇ではなく、女の恥ずかしいあそこに……。
佐知子は下半身が潤っていることに気づき、そっとパンティのなかに指を滑らせた。指先に奇妙な感じが伝わった。茂みの一部が妙にゴワッとするのだ。ソフトな肌触りのパンティの中心にも、同じような感触がある。
!?
…………
糊が乾いたあとのようだ。
そのまま指をさらに窪みへと進めた。そこはぬるついた溶液にまみれて、すっかり充血している。夢を見た後はいつもそうである。佐知子の体は、明らかに異性を欲しがっているのだ。
肉芽が硬くなっていた。その上を中指の腹でそっと撫でる。ツーンと腰骨が痺れ、柔肉が心地よさそうに震えた。
佐知子は指の誘惑に負けた。
そうよ。私は健康な女なんですもの。無理をおして抑制することはないわ……。
火照った女陰をソフトに撫でまわしているうちに、いつしかそれだけではもの足りなくなっていた。欲しい……と痛切に思った。硬くて太い充実した男の象徴で、疼いている体をいっぱいに満たしてもらいたい。その思いがつのると、柔肉を撫でる指にも自然と熱がこもり、佐知子は性に飢えた平凡な女となっていた。
「あうっ!……」
ひとりでに声がもれた。
そのままオルガスムスまで突っ走ろうと思ったとき、枕もとのコードレス電話が鳴った。さすがに仕事を忘れていない。仕事のことだと平常心にかえり、佐知子はひと呼吸してから電話を取った。
相手の声を聞いた途端、顔が赤くなった。夢に出てきた男である。
「あっ、天野さん……おはようございます」
まるで自分の秘めやかな行為をのぞかれたような気がした。
「どうしました? 声の調子がおかしいみたいだ」
「いえ、別に……」
「そう、それならいいんだが……で、和行君は帰ってきたんでしょう」
「ええ、昨日、無事に……」
「会いたいなあ。あなたと和行君を食事に招待したいんだが、どうかな」
「私はかまいません。ただ、和行に何か予定でもあるといけないので、あとで確かめてからお電話しますわ」
「待ってます。それじゃ」
佐知子は時計を見た。十時近い。
何時頃に寝たのかしら?……
記憶がもうろうとしている。よく眠ったせいか、頭がすっきりしている。ただ、中断された性感の名残りらしきものがくすぶっていた。それに、濡れた股間にパンティがはりついていて気持ち悪い。
佐知子は起きて部屋を出た。浴室へ行くつもりだったが、途中で和行の部屋をのぞいた。
和行はまだ寝ている。軽い寝息を聞いていると、安心した。亡夫に、ますますよく似てくるようだった。
愛する我が子と今、一つ屋根の下にいるという実感と喜びが湧いた。
長旅で疲れているんだわ……。
シャワーを浴びながら、佐知子は天野のことを思った。
天野は亡夫の大学の同級生で、現在は大手の商社に勤めている。海外出張が長く、夫が亡くなってからすぐ、三年間ほど二回目のアメリカ生活を経験している。そして帰国してすぐに、夫と同様、妻と子供を交通事故で亡くしている。
佐知子は、自分には息子が残されたが、天野はすべてを失ったのだから自分より心の痛手は何倍も大きいのだろう、と同情した。
浴室を出て新しい下着をはくと、やっと身も心も落ち着いた。
今日は和行の面倒を見るから出社が遅れるだろうと予測していたので、昼すぎに出社する旨を幹部職員に伝えてある。会社は乃木坂のオフィスビルの五階にある。南麻布からは十分ほどで行ける距離だ。
会社に電話を入れて仕事の指示を与えていると、和行が起きてきた。すぐに電話を切り、空腹かどうかを尋ねた。
「うん、お腹ペコペコだよ」
「シャワーを浴びていらっしゃい。その間にトーストとゆで卵とコーヒー、それにサラダを作っておくわ」
「わかった。でもそのメニュー、喫茶店のモーニング・サービスみたいだな」
「ふふふ、本当ね」
笑いながら和行は浴室へ向かった。佐知子は、自分の気分が、和行というたった一つの存在で、すっかり華やいでいることに気づいた。あの子は宝物だという実感が、ヒシヒシと胸のなかに湧いてくる。
そう、あの子のためなら、私はどうなってもいい。どんな犠牲でもいとわないわ……。
そうは思ったものの、ふと天野との関係を思うと、気持ちが沈みがちになる。
まだ恋と呼べるほど進展しているわけではない。だが、お互いに好意以上のものを持っていることは確かである。それは二人に共通している思いだった。
だけど……。
佐知子は一歩突っこんで考えた。
二人のうち、どちらを選ぶかと言われたら……。
答えは明白だった。佐知子は心のなかで、あの子は私のすべてよ……と呟いた。
一方の和行は、シャワーを使うとしばらくバスタブの縁に座って、昨夜のことを思いだしていた。起きだして母の顔を見るまでは怖かった。幸い昨夜の事件について母は何も気づいていない様子なので、ひとまず安心した。
和行は、悪い夢を見たんだと何度も自分に言い聞かせながら、浴室を出た。
食事の最中、母から、天野に食事の招待を受けていると知らされた。
「あなたがいやなら断ってもいいのよ」
「天野さんならよく知っているからオーケイさ」
佐知子はなぜかほっとした。
「お父さんが死んだとき、すごくお世話になったよね」
「あら、覚えてるの?」
あのとき、ただ泣いてばかりいたと思ったのに、和行は子供心にもよく見ていたのだ。佐知子は、和行が天野に対していい印象を抱いていることがうれしかった。
「ねえ、お母さん」
「なあに?」
「外の食事だと、どうしても堅苦しくなるんじゃないかな」
「…………」
「いっそのこと、ここでやったらどう? それじゃ招待にならないと言うのなら、天野さんにお願いして、いろんな材料を買ってきてもらえばいい」
「そうね。そのほうが天野さんは喜ぶわ。パパの命日以外は、絶対に家へ来たことがないの。用事があるときは、いつも外で会っているのよ」
「どうして?」
「さあ……面倒をかけちゃ悪いと思っているんじゃないかしら」
佐知子はそう言ったものの、心の内では別のことが理由だと考えていた。
佐知子は、世間の人たちがとかく興味を持つ年若い未亡人である。いくら亡夫の旧友だからといって、女ひとりの家にやってくるのを、天野は避けている節がある。
佐知子はその場で天野に電話し、和行と相談した結果を伝えた。
「明日はお休みだし、ゆっくりしていってください」
佐知子は自分の気持ちがとても弾んでいることに気づいて、なぜかドキドキし、和行を見た。和行は音量を落としたテレビを見ていて、佐知子の心の内など気づいていないふうである。
電話を切った佐知子は、和行の顔をのぞきこむようにして話しかけた。
「天野さん、七時までには来るそうよ。私もそれまでには帰ってくるわ。和ちゃんは今日、何か用事があるの?」
「久しぶりに日本映画を見たいな。昼すぎに銀座へ出てみるよ」
「それじゃ、私が車で送っていくわ。それから会社へ出る」
「いいよ。子供じゃないんだから。お母さんは忙しいんだろう」
「できるだけ、あなたと一緒にいたいのよ。それに私から見れば、和ちゃんはいくつになっても子供よ」
「子供はこんなことできる?」
突然、和行が佐知子を抱きあげた。佐知子は一瞬、夫に抱かれたような錯覚に陥った。
「どうだい。すごいだろう」
和行はそのまま三、四回、くるくるとまわった。
「あ、いやっ、目がまわるわ」
佐知子は小さい頃から、メリーゴーランドに乗っても目をまわす性質なので、夢中になって和行の首にしがみついた。
和行は母のふくよかな胸を意識した。
二人は正午に揃って家を出た。
「ちゃんとシートベルトを付けるのよ」
「わかったよ」
細かいことまで言う母だと思うのだが、それにおとなしく従うのが親孝行だと和行はよく承知している。
紺色のメルセデス・ベンツは、南麻布から数寄屋橋の交差点まで、二十分ほどで駆け抜けた。
車が走り去るのを見送った和行は、交差点を渡ろうとして突然、背後から肩を叩かれた。びっくりして振りかえる。そこに軽快なワンピースに身を包んだ、サングラスの外人女性がニコニコしながら立っていた。
場所柄、道でも尋ねられるのかと思って見ていると、その女がサングラスをはずした。
「ああっ!」
和行の脳裏に、スチュワーデスの名札が甦った。
「ミス・グレース」
「ハーイ。カズユキ……ソウデシタネ」
「そうだよ。で、グレースはどうしてここに? まだ帰らないの?」
「トウキョウヲミタカッタノデス、ヤスミヲトリマシタ。ダカラ、アシタノフライトデス」
たどたどしい日本語で言いながら、グレースが腕を組んできた。そして和行を引っぱるようにして映画館の前までやって来た。
グレースは下手な日本語で、アメリカ映画を見たいと言う。和行も同意した。
グレースは勝手にチケットを二枚買うと、和行に腕を絡ませたまま席に座った。
グレースの体からいい匂いがした。和行の肘が、ともすると大きなグレースの胸に触れそうになる。そのことが気になると、映画どころではなくなった。和行は激しく勃起した。
見たこともないグレースの裸身が頭に浮かんだ。もちろん曖昧なイメージしか浮かばない。次に真理子の裸身にすり代わった。すると今度は具体的に、体の部分がはっきりと甦ってくる。
グレースの手が、いつの間にか和行の手を握っていた。クライマックスのシーンに夢中になっているからだろうが、和行はそう受けとらなかった。強く握りかえしてみる。そして和行は、スクリーンに視線を向けながら、さりげなくグレースの反応をうかがった。
グレースが、自分に顔を向けているのがわかった。だがグレースは、すぐにスクリーンに視線を戻した。
内心、和行はガッカリした。ところがその直後、グレースが正面を向いたまま強い力で握りかえしてきた。それには、はっきりとした意志がこめられていた。
和行の胸がドキドキと高鳴りはじめた。グレースがいい反応をしてきたのに、今度はどう対処していいのか見当がつかない。
まごまごしていると、グレースが和行の肩に頭をもたれるようにして、ピタリと寄り添った。そして手を和行の膝の上を這わせて優しくさすっている。時折り太腿の上方へ移動させてくる。和行は緊張した。明らかに撫でているだけではない。和行に対して、一つの意志をうながしているように思えた。
愛撫にも似た手の動きと、鼻孔に忍び寄る妖しい香水の匂いが、若い和行の血を騒がせた。困ったな……。そう意識したときには、下腹部の海綿体が一挙に膨らみ、ペニスは窮屈そうにズボンを突きあげていた。
和行は映画のストーリーの展開が、もはやわからなくなっていた。頭のなかは、ひたすらグレースの手の動きを追っていた。
スクリーンに『END』の文字が大写しになると、ようやくグレースは体と手を離した。場内が明るくなり、和行を見て、「トテモヨカッタワ」と言い、微笑した。和行は小さくうなずいて笑いかえしたが、自分でも表情がこわばっているのがよくわかった。
席を立って歩きだすと、勃起したペニスがズボンに擦れて、いっそう猛々しくみなぎってくる。
「グレース、トイレに行きたいんだ」
「オー、ワタシモデス」
二人はトイレの前で右と左に別れた。
和行は個室に入りこむと、ペニスを引っぱりだして、あわただしく右手を使った。白濁した液体は、三十秒もしないうちに呆気なく飛散した。
廊下に出ると、まだグレースの姿は見えない。女性用のトイレには大勢の人がせわしなく出入りしていた。五分ほど待つと、グレースが肩をすくめて出てきた。やはり混んでいたので待たされたらしい。
二人はデパートで買物をして別れた。和行はなんとなく期待をはぐらかされたような気になったが、グレースは別れ際に、次のフライト予定と宿泊先のホテルを教え、必ず電話をしてほしいと言って大袈裟にウインクをし、去っていった。
次に会ったとき、何かが起こるのだろうか。けれども過大な期待をしないほうがいいと思いながら、和行は帰路についた。
電車のなかでは、グレースのことだけを考えていた。二十五、二十一歳だろうと思う。外人女性としては中肉中背で、和行と並んで歩くと、ハイヒールを履いたグレースのほうが少しだけ背が高い。大きく突きでた乳房やくびれた胴、そしてキュッと締まった足首を思い浮かべているうちに、若い和行のペニスは、またも妖しく疼きはじめていた。
家に着くと、もう天野は来て待っていた。「ちょっと見ない間に、ずいぶん成長したものだね」と、天野はしきりに懐かしがった。和行のなかに、亡くなった旧友の面影を見たのかもしれない。
二人が話しをしている間、佐知子は天野の持参した和牛を使って、スキヤキの支度をしていた。
食事がはじまったのは、八時近くになっていた。
「近頃は忙しくて、自分で料理など作ったことがないから、時間ばかりかかって」
佐知子はそう弁解したが、料理の腕前はなかなかのものであった。
三人はよく飲みよく食べた。成人したばかりの和行はワインを飲んだが、これがスキヤキにとてもよく合う。
「あんまり食べすぎないでね」
注意する佐知子だったが、彼女も気持ちが弾んでいるとみえて、上質のブランデーをいつもより多く口にした。
天野は元来がアルコールに強いタイプで、酒を飲んで乱れるようなことはなかった。それでもなごやかな家庭的な雰囲気は久しぶりだったからだろう、かなり顔を赤くして、ときには冗談を言って、二人の母子を笑わせたりした。
「ねえ、こんな物があるんだけど、いかがかしら」
佐知子が持ちだしたのは携帯できる軽量のカラオケ装置で、マメカラという名前がついていた。
「テープがあるなら歌いましょう」
天野が楽しそうに言うと、佐知子は、「本当ね、逃げちゃ駄目よ」
優しく睨んで、十本近いテープをテーブルの上に積み重ねた。
「へーえ。秘かにこんなもので練習してたんだ」
「そうじゃないの。ゴルフコンペで入賞したら、賞品に出たのよ。今夜が使用始めなの。さあ、歌って」
そう言って天野をうながした。天野は、石原裕次郎の歌を上手く歌った。
「和ちゃん、あなたもどう?」
だが、和行に合いそうな若者向きのテープはなかった。
「お母さんが歌いなよ」
「そうだ。佐知子さんの歌を聞きたいな」
和行と天野に拍手をされると、佐知子はちょっと足もとをふらつかせながら立ちあがり、『マイウェイ』を歌いだした。
和行はその歌を、かつて何度か聞いたことがあるのを思いだした。亡くなった父がよく口ずさんでいたメロディがそれに間違いなかった。
父の代わりに天野が座っている。和行にとって、それは以前の風景とあまり変わっていないように思われてならなかった。
「さあ、もうそろそろ帰らないと」
天野がそう切りだしたとき、時計の針は十一時をまわっていた。天野のマンションは小田急線の経堂だから、南麻布の佐知子宅からタクシーで三、四十分である。
「天野さんは明日、お休みでしょう」
和行の言葉に天野がうなずいた。
「じゃあ、泊まっていけばいいじゃないか。ねえ、お母さん」
佐知子は戸惑いの表情を見せて、天野を見た。天野の表情も、思いだにしなかったことを言われて困惑しているようでもあった。
「そうねえ……」
それは天野さん次第よ、というように、佐知子は天野をもう一度見た。
「明日は大した用もないんだけど……」
和行の次の言葉が佐知子と天野の気持ちを決定させた。
「泊まっていってよ。天野さん」
「じゃ、お言葉に甘えてそうするか」
「片づけは明日にするわ。天野さん、お風呂にどうぞ」
天野は和行に、先に入るようすすめた。
「ぼく、早いから……」
和行はカラスの行水のように、あっという間に風呂から出てくると、自分の部屋に引っこんだ。ワインのせいばかりではなく、実際に時差ボケで外出したので疲れていた。
どのくらい時間がたったか、わからない。頭痛で目が覚めた。
調子にのって飲みすぎたかな……。
和行は部屋に置いてある救急箱から薬を出して飲んだ。いつの間に用意してくれたのか、水差しの水が美味しい。
フロアスタンドの明かりを消したとき、和行はかすかに母の声を聞いた。空耳かと思って耳を澄ますと、男の声らしきものも聞こえてくる。
枕もとの時計を見ると一時である。
和行はそっとドアを開けて、顔だけ廊下に出した。ぼんやりと非常灯がついているだけである。こんな時間まで起きているわけがない、と思って首を引っこめようとすると、今度ははっきりと、母の押し殺した声がした。
それは和行の耳に、とても苦しそうに聞こえた。
お母さんも飲みすぎたのかな?……
不安になって廊下に出た。かすかに声はつづいている。
母の部屋の前に立ち、ドアに耳を押し当てた。今度は天野の沈んだ声がはっきりと耳の底に響いた。
「愛してる。こんなに愛してる。結婚したい……」
「今は無理よ。あの子の一番大切なときなんです。わかって」
沈黙のあと、またも佐知子の呻き声がした。
衝撃が和行の体内を駆け抜けた。部屋のなかで何が行なわれているか、わからない年ではない。しかし、まさか……という気持ちがあった。
怖いが、そっとドアを少し開けて、なかを覗いた。天野の大きな背中が見えた。裸になっている。母の手が背中にまわって、爪が食いこむほどしっかり抱きしめていた。
重なり合った頭の位置から、和行は、二人がキスをしているんだと判断した。思わぬ事態の成り行きに戸惑いを覚えながらも、そこから目を放せない。
二人の腰から下が気になった。しかし薄掛けの布団に覆われていて、よくわからない。
二人は長い間、抱き合い、キスをしていた。やがて天野の背中にまわされていた佐知子の手がダラリと下に落ちた。天野がゆっくり離れると、佐知子の顔がはっきりと見えた。ほつれ毛が額にかかり、赤い顔をしている。
天野がずりさがった。佐知子はネグリジェを着ている。だが、天野が胸もとを開いて乳房を露わにしても、拒むこともなく、しっかりと目を閉じている。
天野の大きな手が片方の乳房を覆い、慈しむように揉んだ。佐知子の顔が少し左右に揺れた。もう一方の乳房に天野が顔を埋めると、佐知子は自然と頭を抱えこみ、いたたまれないように髪の毛をまさぐった。
それは、昼間に見た映画にあったシーンとよく似ていた。
細い顎を突きだして、佐知子が身を反りかえらせる。
和行は、他人の情事を見るのは初めてだった。天野に対して憎しみはない。ただ、母が自分から離れて遠くへ行ってしまうような不安を覚えた。相手が天野でなかったなら、ひょっとして和行はドアを思いきり開けていたかもしれない。
「あううっ!」
佐知子が甘い声をもらした。
天野がいったん乳房から離れ、佐知子に何か言っている。すると佐知子は小さくうなずき、恥ずかしそうに両手で顔を隠した。一方の天野の顔からは、無上の歓びをかみしめているのが、はっきりうかがえた。
天野がまた足もとのほうへ移動した。そのとき、二人の下半身にかぶさっていた薄掛けがベッドから落ちた。驚いたことに、天野は素っ裸である。まだ張りの失われていない尻が、和行には妙に印象的であった。
佐知子のネグリジェの前ボタンがすべてはずされると、腰を覆っている真っ白いパンティが露出した。深く切れこんだビキニ型の中心が、やけに強調されて盛りあがっている。
上半身を起こした天野は、真剣な表情で佐知子の露出した部分を眺めた。乳房の稜線を支えていた手がゆっくりと脇腹を撫でて、大きく突きでた腰骨に到達すると、次第に佐知子の呼吸する間隔が早くなり、乳房の上下が細かく小刻みになる。
天野の手はためらうように下腹を這い、それから下に移って恥丘のふくらみを覆った。その瞬間、佐知子の体が弓なりに反った。
手はかすかに動いている。リズムをつけて優しく揉んでいるようだ。そんな単調な作業が、長い時間つづいた。
覗いている和行は、初めて見る大人の愛情表現の辛抱強さに、舌を巻く思いだった。そして知らないうちに、自分の硬直したペニスをパジャマの上からしっかり握りしめていた。
佐知子が小さな悲鳴をあげた。その顔をのぞきこんで天野が囁く。佐知子が両手で顔を隠し、コクリとうなずく。
かがんだ天野が股間のふくらみに唇を押しつけ、ゆるく顔を動かす。つられて佐知子は、いたたまれないように腰をせりあげた。
天野はキスをしたまま、パンティの両サイドの縁に手をかけて、ゆっくりと引いた。ほんの一瞬、佐知子の腰が浮く。そうしてパンティは巧みに足首から抜かれた。
お母さんはいやがっていない。いや、むしろ望んでいるんだ……。
和行は、母が天野に協力する姿をまざまざと見て、そう結論をくだした。
いつから二人は愛し合うようになったのだろう。今夜が初めてなのだろうか。さっきの二人の会話から想像すると、どうも今夜が最初のようである。
にわかに和行の動悸が高まった。大人の性の儀式とはいったいどういうものなのか。それが少年にとっては最大の関心事であった。
天野が、パンティのなくなった女のふくらみに、またも唇を押しつけた。かすかに母の頭が動いているところをみると、唇は一点に押しつけられているのではなく、ふくらみの上を少しずつ移動しているものとみえる。恥毛が唇の移動で立ったり伏せったりしていた。
天野はそうしながら片手を乳房に伸ばし、ゆるゆると揉みたてている。佐知子の体にうねりが生じた。明らかに感じている様子である。
天野がようやく佐知子から離れ、足もとのほうにまわって両膝を割った。佐知子はさすがに恥ずかしいのか、両手を恥丘の上に置き、熱い男の視線を遮っていた。
和行は仰天した。体を動かしたことで、天野の下半身が初めて丸見えになった。そこに突きでているものは、優に二十センチはある代物で、太さも実に堂々としていた。
和行は、自分のペニスでさえ屹立したときには、こんな大きなものが本当に女の狭い股間に入るのだろうかと疑問を抱いていただけに、並みはずれた天野の分身を見て、恐怖にも似た感情を抱かずにはいられなかった。
佐知子はじっと目を閉じたままである。
もし今夜が初めてのセックスなら、母は相手のあれを見て、卒倒するほど驚くのではないか。和行はそんな不安を持った。
天野は腹這いになると、大きく割れた佐知子の股間にはりついた。途端に佐知子の体が跳ねた。もがく下半身を天野の両手ががっちりと押さえこむ。佐知子の上半身は右に左に激しく揺れ、そのたびに豊潤な乳房がブルンッブルンッと小気味よく揺れた。
こみあげる快感を抑えきれないように、佐知子は両手で自分の乳房をギュッと握りしめ、絶えず小さな呻き声をあげている。
お母さんはとても気持ちいいんだ……。
それくらいは少年の和行にもよく理解できた。和行はそのときだけ天野に軽い嫉妬を覚えた。ますます母が遠くへ離れていくような気がしてならない。
なぜ、夕べ最後まで突っ走ってしまわなかったのだろう……。
後悔の念が勃然と湧いた。もう二度と母を性の対象にしない、と誓ったことを忘れていた。
お母さんをぼくのものにしたい!……
不道徳な考えにとりつかれた和行は、自分の理不尽さに気づかずに、どんどん気持ちをエスカレートさせていった。
「ああっ、もう変になりそう……私、変になってしまうわ」
母の苦しそうな声が聞こえた。和行の脳裏に、数日前の国立公園内での真理子との秘め事が浮かんだ。
マリィも同じようなことを言ったな……それをぼくは、どうしてやることもできなかったんだ……。
和行は、ドアの向こうで行なわれている行為に、いっそう興味を持った。大人ならこの後、どうするのだろうか。和行は目を凝らして、天野のすることを見ていた。
やがて天野は佐知子の股間に潜りこむような形をとると、明らかに女の中心と思われる部分に唇を押しつけた。何をしているかは明白だった。そうしながら天野は、両手でしきりに太腿の上を掃いたり、腰骨を撫でている。つまり、使えるものはすべて動員して、佐知子の体に絶えず刺激を送っているのである。
大人のセックスは、あんなことまでするのか……。
佐知子が突然、あられもない声をあげた。そのはしたなさに佐知子自身が気づいて、あわてて両手で口を塞いだ。
天野は左手で陰阜の皮膚を下腹のほうへ押すように引っぱり、大きくはみだしたクリトリスを長い舌先でチロチロと舐めていた。佐知子はもっと強く舐めてもらいたいらしく、腰をグイグイせりあげる。すると天野は、そのぶんだけ舌をサーッと遠去けてしまう。つまり、舌とクリトリスの距離を一定に保って、決して強く舐めようとしないのだ。しかも右手の指を五本揃えて縦に構え、アヌス近くの粘膜にバイブレーション的な刺激を与えている。
「あああっ、あなたァ……私、どうにかなっちゃいそう」
佐知子だけが苦しげに訴えるのだが、天野はただ黙々と愛撫に没頭していた。
見ている和行のほうが、もう爆発寸前まで高まっていた。
見ているだけでこんなになるなんて……。
痛いほど猛々しく屹立しているペニスの上から手を離さなかったなら、すぐに白いスペルマが噴きあげていたかもしれない。
「天野さん、私にもさせて」
佐知子がそう言うと、ようやく天野が股間から顔をあげた。テラテラと光った顔は、佐知子の媚液によって濡れたものだった。
天野が添寝するように横たわると、宙に向いたペニスがブルルンッと大きく震動した。
佐知子がのっそりと上半身を起こした。
「ああ、あなた……」
感嘆の声をもらしながら恐るおそる肉棒を握る。ゆっくりと確かめるように、表皮の上を白魚のような指先が滑る。今度は天野が腰を震わせた。
唸るような天野の声がした。すると佐知子は、握りしめた怒張に顔を近づけ、しばらくうっとりと眺めていたが、やおら太い剛棒の先をパックリと口に咥えた。
見ていた和行のペニスに痺れが走った。まるで自分が咥えられているような気分だった。
佐知子がもぐもぐと頬を動かしていく。やがて剛棒の側面を、アイスキャンディでも舐めるようにペロペロとしゃぶったり、根元のひきつれたような大きな袋にまで舌を這わせた。
「しあわせだよ、佐知子さん……君にこんなことをしてもらえるなんて」
重い天野の声が室内の空気を震わせた。
突然、和行は得体の知れない不安に襲われた。母が遠くへ行ってしまうという感覚よりも、むしろ天野に奪われてしまうのではないかという不安だった。和行は決して天野を嫌ってはいない。しかしこのときだけは、母を奪われてたまるかという対抗意識を剥きだしにして、二人の淫らで挑発的な行為に見入っていた。
突然、天野が勢いよく上半身を起こし、佐知子を強い力で抱いてキスをした。佐知子の豊かな乳房が天野の厚い胸板で押しつぶされそうになっている。
天野はそのまま押し倒すように重なると、佐知子の両腿を抱えこんだ。とてつもなく雄大な肉の帆柱が、ちょうど割れ目の部分に当たっている。佐知子が手を伸ばしてペニスをとらえた。
「入れるよ。いいね」
はっきりと天野の声が聞こえた。
「あなた……」
佐知子が、待ちきれないようにペニスをたぐった。それは、いかにも結合を欲しているといった仕草で、見ている和行にとってはつらい出来事だった。
「早く……お願いよ、押して!」
佐知子が堪えきれないように、はしたなく腰全体を持ちあげた。天野がスーッと押した。
和行は見た。雄大な鋼のような棒が、吸いこまれるように谷間の狭間に消えるのを!
「あああっ!」
長く尾を引く母の声が、耳の底に挑むように響く。
天野が落ち着いた態度でゆっくりと腰を引いた。すっかり濡れそぼった太いペニスが、膣口をめくるようにしながら現われた。
「あああ、いいっ……」
母の表情は朱に染まって歪んでいた。けれども、それは決して苦痛からくるものでないことを、少年はよく心得ていた。それだけに、快楽にのた打つ母の姿は、強烈に少年の心のなかに焼きついた。
天野の抜き差しは、見ている和行がもどかしくなるほどゆっくりであった。
だから、当事者としての佐知子が、やるせなさに耐えきれないのは当然であった。佐知子は上半身を激しく揺さぶりながら、しきりに「もっと、もっとして!」と同じ言葉を繰りかえした。
それでも天野は、一向にスピードを速めない。時折り肉棒をすべて引き抜いてしまいそうに、大きく腰を引く。すると佐知子が、天野の腰肉を夢中で引きつける。
「抜かないで! いやっ、もっと奥へ……ああ、お願いよ!」
半泣きになって訴える。それを見おろす天野の表情は、なぜかうれしそうであった。
天野が低い声で何かを聞いた。佐知子がガクガクと首を振ってうなずく。
「ええ、よくってよ……もうこのまま死んでしまいたい」
それを聞くと、天野が前よりもスピードを速めて、スカスカと肉棒の出し入れを繰りかえした。
佐知子の悶え狂う姿に凄味が増した。
「ああっ、いい……気持ちいいの! あなた、いいわ……いいっ!!」
天野は腰をつかいながら、脱ぎ捨てたパジャマの端を佐知子に咥えさせた。呻き声だけが佐知子の口からもれた。意味不明なだけに、かえって切迫した真実味が感じられた。
和行はもう我慢できずに、怒張を引っぱりだした。幹の半分以上が滲みでた露で濡れていた。ぬるついた肉茎を握った。
お母さん!……ああ、お母さんのなかに入れたいよォ……。
天野のスピードがさらに速まった。佐知子の姿は、まさに狂乱といってよかった。ベッドの軋む音までが廊下に伝わった。
実際、和行は、母がそのまま狂ってしまうのではないかとさえ思った。
「いきそうよ、あなた!……もう駄目。いっちゃいそう!……あああ、どうしよう」
天野はひたすら腰を打ちつけている。尻肉にうっすらと汗さえ浮かんでいた。
「ああっ、佐知子さん……」
「あなた! いくわ……いくっ!」
「ぼくもだ! いいね、佐知子さん」
「きてェ! 私のなかに出して! 私、いく! いくわ、いく、いくいく!!」
長々としたペニスが膣の外に出かかってから、一気に膣奥にめりこんだ。二人は全身を震わせて抱き合い、激しく痙攣した後に、ぐったりと死んだように横たわった。
一方の和行はしたたかに放出したまま、その場にヘナヘナと座りこんでいた。


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