実母と義母 第5部 (5/5)
前の話
いつかは、きっとふさわしい人が見つかるはずよ。心だけはその人にあげて。ママの汚い体はあげる。ママは、あなたのために犠牲になる……。
はっきりとそう決心した。だが、すすんで体を開くことなどできない。絶対にできない。
陽子は波間に揺られている海鳥のように、ただ我が子に身を委ねて、目を閉じるだけであった。
陽子の観念した様子は、すぐに啓太に伝わった。
啓太は母の気持ちが乱れることを懸念して、素早くネグリジェの前をすべて開いた。
下腹部の白さと黒い茂みが、くっきりと対照をなしている。鮮明な色合いが目に痛い。
啓太は、もっとはっきりと間近に見ようとズリさがった。ちょうど下腹のあたりに顔をあてがい、乳房を眺め、くっきりと盛りあがった恥丘に目を細めた。
茂みに手をやると、そこはしっとりと濡れているような感じがする。
五本の指でかきわけ、櫛ですくようにすると、陽子の下腹がにわかに波打った。用心深く、掌の手首に近い分厚い肉の部分を使って、恥毛の下辺を押した。
啓太の勘では、そこに感じやすい突起があるはずである。見当をつけて二度、三度と押すと、すぐに母の反応があった。
ピクンッ……ピクンッ……
陽子の腰が弾む。啓太は下からしゃくるようにして、分厚い肉の部分を押しつけた。
「はッ……ハァン……」
小さな喘ぎ声を聞くと、若い啓太はますます張りきった。下から母の顔を見あげると、表情こそよくわからないが、白い喉をのけ反らせて、頭をふらふらと左右に振っている。
今度は指先を使った。
硬い豆粒のような突起が、草むらの中から顔をのぞかせている。それを二本の指で挟んだ。もうそれだけで、母の柔らかな腰が揺れた。なるべく力を入れないようにして、ゆるゆると回転させた。
「あっ、ハーン……」
声がいっそう高くなり、いかにも女らしい匂いがあたりに漂った。
もう少し足もとのほうへさがってみる。太腿の上に顔を乗せると、薄い恥毛が、すぐ目の前に見える。もうそれは湿り気で膨らんだ恥丘にべったりと貼りつき、つやつやした突起がはっきりと見えた。
啓太は、松平貴美子の銀杏ほどもある大きなクリトリスを思いだした。それに較べるとはるかに小さくてつつましい。
歯で噛んで……。
貴美子の言葉も確かなものとして耳の底に蘇った。
啓太は指先で敏感な肉芽の感触を充分に楽しんでから、そこにフーッと勢いよく息を吹きかけた。
「あっ……あーっ……」
啓太の耳は母の快い声をとらえた。指先は、割れ目の粘膜がブルブルッと細かく震えるのを感知した。いつの間にか、腰全体がゆらめいている。
ママ、もっと気持ちよくしてあげる……。
啓太は割れ目に充ち溢れた愛液を指先ですくうと、突起の尖った先端に塗った。クリトリスはよほど敏感とみえて、指先で軽く触れるだけで、割れ目全体が、鮨屋の店先の活きた貝のように、パクパクと喘いだ。啓太は、そのまま指先を濡れた溝にそって下降させ、舌先でチロリとクリトリスを掃いてみた。
ふくらみ全体がせりだしてきたように思えたが、あながち気のせいばかりではなかったのかもしれない。陽子の口から絶えず荒い息がもれ、花弁の間に潜りこんだ指は、熱い花蜜が注がれるのを、はっきりと感じた。
ママはやっぱりぼくには弱い。なんだかんだ言っても、結局は言いなりになる……。
啓太はそう思った。だが陽子の気持ちを一歩突っこんでみると、ただ〝息子のための献身的行為〟とばかりは言えない面がある。陽子は自身に対する言いわけのために、そう思いたかったに違いない。
だが、もっと正直な見方をするならば、陽子の体が、性欲という誘惑に負けたことにほかならない。陽子の体が男を欲しがったのだ。三十女の生臭い欲望は、一度火がつくと、もう後に戻ることはできない。聡明な陽子でさえそうなのだ。
真の母子は、こうして共通の秘密を持つことになった。この関係は、絶対ふたり以外に知られてはならないだけに、一度その関係が成立してしまうと、絆というか、結束は固い。
陽子は初めのうちこそ我が子の良心に訴えていたものの、いつしか自分ものめりこんでいった。そうなるしかなかったのだ。
啓太はパジャマをたくしあげて、硬く勃起している肉棒を母に握らせようとした。
陽子はためらった。赤の他人のものであったなら、喜んで握りしめていたに違いない。やはり、そこにはある種の遠慮があった。そうした控えめな態度が、実は我が子を挑発し、興奮させてしまうことに、この賢明な母親は気づかない。もうこうなった以上は……と開き直って、さっさと体を開き、息子が望むことをやり遂げてしまえば、感情移入もなく、そっけなく終わってしまうものを、母子という垣根を意識してしまうから、ついつい羞恥心が先行してしまう。それが素振りに出るから、男心を逆にくすぐってしまうのだ。
「ママ、触ってよ」
啓太が手を無理やり押しつけようとする。硬直した肉棒の先は、もう先走りの露を吐きだしているとみえ、濡れた感触が掌に伝わってくる。
とうとう、仕方なくといった感じで、こわばりを握った。肉棒は成人男子のものほど大きくないが、欲望をいっぱい詰めこんでいななき、火のように熱化している。
フーッと深い吐息をつく我が子が不憫な気もするが、恐ろしくもある。
「ママ、少し動かして」
指で軽く擦るようにすると、肉棒を包んでいる表皮が、スムーズに伸び縮みする。新婚当時の夫が、よく陽子にそうしてくれと望んだものだ。
掌の中で肉棒はますます硬度を増し、力強く脈打つ。このまま放出させてしまおうかと思ったとき、啓太の指が亀裂をまさぐりにきた。股間がすでに熔鉱炉のようにたぎっていることに気づいていた陽子は、恥ずかしさもあって、少し腰を引いた。
「ママも触ってもらいたいんだろう」
啓太の声には、自信が充ちあふれている。
そのとおりよ。早くいじって……。
そう言えたら、どんなにいいだろうと思う。陽子は無言のまま肉棒を擦った。
啓太の指が割れ目の粘膜をさぐり当て、上から下、下から上へと、陽子の動きに合わせるようになぞる。いつしかふたりの呼吸が一致した。
陽子は自分が負けそうになっていることに気づいた。股間の肉は、久しぶりに味わう快感にわななき、粘膜は嬉々として小躍りした。
啓太は淡い恥毛で縁どられた陰唇を巧みに擦り、時折り上手に別の指を使って、充分にせりだした陰核をくすぐる。
「あっ……そんな……あああ--ッ」
自分の快楽をとりこむことに熱中した陽子は、いつの間にか肉棒から手を離してしまい、すっかり受け身になっていた。
啓太の指の動きはデリケートで優しい。しかも、それによって得られる快感は、並みはずれて強烈だ。どこかに、スーッと引きこまれてしまいそうである。とてもいい。女の部分が今にも溶けてしまいそうだ。
「ああ、いいーっ」
やめて、と言うつもりなのに、つい本音が出てしまっていた。いや、陽子自身、何を口走っているかわからないのかもしれない。
おかしなもので、陽子はいつもよがり声ばかりあげていたのかというと、決してそうではない。どこかに自分自身をコントロールしようとする力が働くのか、「啓ちゃん、いけない。やめて」などと言っていることもあった。
啓太は母を歓びの渦の中に巻きこもうと、ついには母の股間にはりつく位置にまでズリさがり、女の部分にぴったりと唇を押し当てて、いつまでも吸いつづけた。
陽子の丸いヒップをかかえこむようにすると、唇と亀裂の合わせ目がいっそうぴったりと合う。粘膜だけでなく、クリトリスも膣口奥の肉襞も、時には会陰部までも舐め、くすぐり、吸引した。割れ目は歓喜の淫汁をタラタラと流しつづけるので、啓太の顔は薄糊を塗りたくったように、べトベトになってしまった。
陽子の体は、意思よりはるかに先を走っていた。
素敵な母の愉悦の声を聞きながら、啓太は溢れでた濃厚な蜜を吸い、舌先で陰唇をかき分けては、重なり合う肉片をしゃぶった。
官能にのめりこんだ体に、とうとう意思が追いついた。陽子は、完全にひとりの女になりきった。生臭い欲望にのた打ちまわる三十女になっていた。陽子の肉体のあらゆる部分が間断なく震え、一番恥ずかしい女性器が、一刻も早く硬い息子の分身によって切り開かれるのを待っていた。
陽子の両脚が、もうこれ以上は開かないと思われるほどひろげられた。秘肉の合わせ目に深々と突き刺さった息子の舌は、括約筋の収縮するのをはっきりととらえた。
痛いほど締めつけてくる。自分のペニスがそうされたがっている……。
啓太だって、セックスに馴れているわけではない。まだ、たった二十一歳の少年だ。自分も歓びに浸りたいという気になってしまえば、もう歯止めがきかなかった。
啓太は中腰になった。陰茎がピタリと下腹にくっついている。右手で引き剥がすようにして、母の息づく女陰に向けた。
その様子を潤んだ目で見ていた陽子は、「ああ……」と思わず感嘆の声を放った。
肉棒の筒先がしっとりと脂肪ののった内腿をくすぐる。透明の露が、なめくじの這った跡のような痕跡を残す。
次第に長大な肉棒は亀裂に近づき、とうとう土手に達した。
一条の筋の上を何度も往復すると、陽子は切なさ、もどかしさに耐えきれず、腰を浮かしてこわばりを咥えこもうとした。だが、肉の棒はひょいと逃げてしまう。
「いやァ……」
陽子は啓太のしなやかな腰に手をまわして、しっかり抱きかかえると、せいいっぱい自分のほうに引きつけた。
一気に割れ目が開いて、太い肉塊がズズッと入ってきた。
「ああああ……あーッ!」
あまりの心地よさに、陽子の歓びの声は長く尾を引いた。
啓太は、母の顔の両側で支えた手を突っ張った。上半身が母から離れると、紅潮した乳房が見えた。上半身を直角に立てると、今度は自分の恥毛が母の恥毛とからみ合っている光景まで見えた。啓太はのしかかったままの形で、恥毛の中をまさぐった。
「ひぃーッ」
突然クリトリスを圧迫されて、陽子は歓びの悲鳴をあげた。割れ目には深々と男の杭が打ちこまれている。ただでさえヒタヒタと快感が湧いてくるというのに、敏感な突起まで撫でられるのだからたまったものではない。内と外で感じてしまい、陽子は声をあげるだけではすまなくなり、腰をゆさゆさと揺さぶった。そうすると、今までじわじわと染み渡るようにひろがってきた快感が、一挙に強烈きわまりないものに変化する。
「ママ、ほら、見えるよ……ママとぼくのがひとつになっている。ママ、早く見て……見てったら」
啓太の声にうながされるように、陽子は頭をあげた。ちょうどその時、啓太が深々と打ちこんでいた肉の杭をぞろりと引きあげた。幹の部分がスーッと抜けた。膣内にとどまっているのは、エラの張った亀頭だけである。幹はヌラヌラと愛液に濡れて光っていた。
陽子は、我が子を咥えている自分自身の陰門をはっきりと見た。我が子を産み落とした秘口が、今は我が子の成長した分身を咥えこんでいる。
陽子を襲ったのは罪の意識でも後悔の念でもなく、異常な興奮と、さらに激しい欲望の火の手であった。
啓太がこれ見よがしに、今度はゆっくりと腰を落としていった。花弁を押し分けて、太い肉棒がズブズブと膣の奥に沈んでいく。
「あああーっ」
あまりにも見事で淫蕩な光景に、陽子は驚嘆の声を放った。視覚によってもたらされた興奮は、ただちに大脳に直結する。ざらついた肉襞が、潜ってきたペニスをキュッ、キュッと締めつけた。
「あっ、ママッ……」
背骨がひび割れたような鋭い快感が走り抜けた。
啓太は夢中で腰を使った。ぎごちなかったが、荒々しい動きに、陽子はわけもなく翻弄された。
深々と入りこんだ肉棒を軸にして、陽子もまた無我夢中でヒップを突きあげ、腰をグラインドさせた。
ふたりの吐く荒い息とピストン運動が、ものの見事に一致した。ふたりは求めているものめざして伴走した。
「あああーっ、ママ、いいの!……どうしよう、変になっちゃう……ママ、イッちゃいそう! ああ、啓ちゃん。ママ、イッちゃいそうよ!」
「ママ、待って……ぼ、ぼくも出る」
「は、早く! ママにかけてっ! もっとして……イクわ、ママ、イク……あああ!」
啓太はもはや、どうにもこらえようがなかった。ドクッ……ドクッと啓太のペニスが膨張し、痙攣すると、勃起の先端から熱い樹液がほとばしった。
子宮に熱いものを感じながら、陽子は目眩を起こしたようになり、次第に意識が遠のいていった。
このとき、ふたりは母でもなければ子でもなく、ただの肉欲に狂う男と女でしかなかった。
第八章 ママは完全にぼくのもの……
一度流れだした水は、涸れつきるまで止まらない。
若い啓太と、性の爛熟期を迎えようとしていた陽子には、涸れるべきものがない。よほどの事態が発生しない限り、母と子の秘密の行為は、それこそ半永久的につづくのではないかと思われた。
事実、ふたりは昼夜の区別なく抱き合った。とはいっても、昼はお手伝いさんの目があるし、いつも求めるのは、一方的に啓太のほうである。さすがに母親の立場にある陽子が、肉の交わりをうながすようなことを自分から口に出すことはなかった。
それに、必ずしも陽子は嬉々として啓太の要求に応じたというわけではない。常に何か心に引っかかるものがあった。
しかし、いったん啓太の腕に抱かれると、我が子の悩みを解き放ってやりたい気持ちと、自分の内部にひそむ性への渇望に負け、女としての歓びを得るためのあらゆる努力をして、流れのままに身を委ねてしまうのだった。
啓太の表情が日に日に明るくなった。原因がどこにあるかをよく知っている陽子は、自分の自己犠牲が無駄でないことを喜んだ。
いや、明るく快活になったのは、なにも啓太ばかりではない。
「奥さま、そろそろ旦那様が帰国なさる頃ですね」
陽子の明るさが、啓造の帰国に起因すると思いこんでいるお手伝いさんは、陽子の血色のいい顔をのぞきこむようにして言ったものだ。
この年頃になると、男女のセックスが日常の習慣くらいにしか思っていないらしく、あからさまにそのことを匂わす。
陽子は、「主人はインポなのよ」と言ったら、さぞや驚くだろうなと、いたずらっぽく微笑みをかえした。
陽子の笑いを、自分の指摘したとおりだったので陽子がはにかんだとでも思ったのか、お手伝いの小母さんは、ちょっといやらしく笑った。
そうだわ。主人がまもなく帰ってくるんだ……。
それを思うと、陽子は暗澹たる気持ちになった。
夫が邪魔だというのではない。むしろ妻子のため、家庭のために、一カ月以上も海外出張で苦労している主人には、感謝こそすれ、憎んだりうとんじたりする気持ちなどさらさらない。
あの人さえ、私をまともに愛してくれることができたなら、今のようなことにならずにすんだのかもしれない。あの人が悪いのか、それとも私が……いや、悪魔の心を宿してしまった啓太と私がいけないんだ……。
夫には、性的な意味において、いろいろな形でずいぶん苦しめられたけれど、だからといって、自分が産んだ子供と性の交わりを持つなんて、犬畜生にも劣ることではないか。夫が帰ってきたら、いったいどうなってしまうのだろう……。
それを思うと、にわかに陽子の胸は騒ぎはじめるのだった。
啓太も父の帰国のことを気にしていた。啓太は日記帳に、具体的に父の帰国の目印をつけている。その日が近づくにつれて、啓太の母に対する愛情表現がきわめて具体的になり、どんどんエスカレートしていった。
いよいよ明日は啓造が帰ってくるという前の晩のことである。陽子は、今夜もまたあの子が部屋にやってくる……と、バスタブの中で漠然と思いをめぐらせていた。
それにしても、わずかな間に自分の体が啓太にすっかり馴染んでしまったと思う。それに、教えるわけでもないのに、啓太の女体を扱う手練手管も相当なもので、口にこそ出さないが、陽子は内心で舌を巻く思いだった。
狂ったように悶え、臆面もなく歓びの声をあげている自分の姿を思い起こして、陽子は赤面した。
体が熱く火照って、のぼせそうである。陽子は浴槽からあがった。
すでに空想の世界で、股間は甘美な蜜を溢れさせている。陽子は待ちきれないように、そっと花びらをめくった。
「あっ……」
閉じた瞼がピクピクと痙攣した。そしてまた新しい秘液が、トロリと溢れでた。
啓太と関係を持つようになってから、しばらく指を使っていない。その必要がまったくないくらい、母と子の結合はひんぱんに行なわれた。
他人の指でなく、自分の指で快楽を掘り起こすのも、また違った趣きがある。陽子は股間に這わせた指を目の前にかざした。
ほんのりと湯気がたち昇っている。まるで水飴のようにねっとりしている。
陽子は鼻先に指を近づけた。酸性の匂いがかすかに鼻孔をくすぐる。そのときである。まったく不意にガラス戸が開けられた。
陽子は自分ひとりの秘めごとを覗き見られたのかと思い、頬を真っ赤に染めた。
入ってきたのは啓太である。
「ママ……」
背中にまわった啓太が、腋の下から両手を差しこみ、乳房に触れた。
「なあに?」
「ふふふ……」
耳もとで笑っている。
「何よ……」
啓太の手が、さっきまで股間をいじっていた陽子の指先をさぐった。
「ひとりでイタズラしちゃ駄目だよ」
羞恥に全身を赤く染めて、陽子は顔を伏せた。
「ママはそんなに淋しいの? もしそうなら、ぼくの責任だ」
片手が太腿を割って恥毛をくしけずり、さらに突起を撫でた。陽子の重みが啓太にかかった。
「ママ、明日はパパが戻ってくるね」
啓太の声にはいつもの快活さがない。
「そうね……」
もう終わりよ。こういうことは……。
言葉が口から出かかったが、陽子はその言葉を呑みこんだ。
なるようにしかならないといって、すまされるものだろうか? どこかで区切りをつけなければ……。
だがそんな思いも、突然断ち切られた。何本かの指が、無遠慮に陰裂を割って侵入してきたからだ。
クリトリスが指の根元で押されて、そこから疼痛が走った。後ろからは、硬いこわばりが脈動しながら押してくる。それはヒップの谷間にそって会陰部を突つき、丸みを帯びた笠の部分は、ヌルヌルの花芯を貫く気配さえ示した。もっともすでにそこは先客が邪魔していて、勝手気ままに肉路をかきまわしている。つまり、陽子の股間の割れ目は、前と後ろから一緒に刺激を受ける羽目に陥ったのである。
啓太は、性に関する本を読んだわけでもないのに、さまざまなことを母の体で試みた。この日、啓太がそうしたいと思ったのは、アヌスへの攻撃である。それにはまず、後ろから仕掛けるほうがいいような気がした。
啓太はすでにバックの体位を経験していたから、アヌスがどんな形で露出するかを知っている。聡一から、女の体はすべて性感帯だということを聞かされていたし、探求心の旺盛な啓太は、いつかアヌスへの結合を試みてみたいと思っていた。
父が帰ってくる--というのが、啓太の決心をうながすひとつのポイントとなった。
本来は父のものである母の肉体を、思いきり穢してやりたいと思った。それに啓太自身、アヌスに対してものすごく興味を持っていた。アナル・セックスを開発することで母に何か新しい変化が起きるのではないかという気もした。
「ああ、啓ちゃん」
母の甘い声を聞くと、啓太もまた甘い気分に陥った。
「気持ちいいんだね。ママ、そうだね」
細い顎を心もち前に突きだして、陽子が幼い少女のようにあどけなくうなずいた。啓太の胸は、衝きあげてくる歓びでいっぱいになった。指先に優しさが加わり、母の後ろからヒップの割れ目をなぞる分身は、ますます逞しさを増した。
「あっ……あああァ……アーン……ママ、どうしよう」
陽子はどうしても腰を動かさずにはいられなかった。粘膜と指が擦れ合って、なんともいやらしい音がしたが、今はそれさえも、ふたりの性感と興奮を高める重要なBGMとなった。
「ママ。重いからそこにつかまって」
啓太は、母の体を浴槽の縁にもたれかけさせた。体から力が抜けているため、上半身が極端に前に折れ、今にも湯面に顔がくっつきそうである。
啓太は万一のことを考えて、浴槽の一部に蓋をした。そして母の上体をそこに乗せた。
真後ろに座りこむと、高々と突きだしたヒップの下から、割れ目のすべてが見える。
すごく大きい!……
それが啓太の第一印象である。
確かに、女陰は前から見ると黒い茂みに巧みに隠されて、よくよく見ても亀裂の一部が垣間見える程度である。ところが、一転して裏返しにすると、前後の割れ目がすべて見えてしまうから、初めて見る者などはギョッとして目を剥く。啓太は、以前に父と母の肉交を盗み見ているから、そういう事実を知ってはいたものの、いつもかなり離れたところから見ていたので、実際にこう間近に見ると、やはりその巨大さに驚かされる。
それにも増して、びっくりさせられるのは、なんとも説明しがたい形の卑猥さと、色合いである。
啓太は雄犬が雌犬の尻の匂いを嗅ぐように、母の開かれた谷間に顔を近づけた。逆さに見る構図は、少年の目に毒々しく移った。それでいて、女陰からかもしだされる異様な雰囲気に酔い、そして、呑みこまれた。
詳しく観察すると、大部分は別個に収縮したり細かく震えたりしている。それぞれが独立した性感帯であり、それらの集合体が、偉大な女陰を形成していた。
「啓ちゃん、何してるの」
母の声はか細く聞きとりづらかったが、それだけ母が高揚していたということか。
啓太はつきたての餅のように柔らかいヒップの双丘を、それぞれの手でしっかりと押さえつけると、割れ目を中心にして左右にひろげた。それまで重なり合っていた粘膜がパックリと割れ、複雑な形をした膣口の奥が、途中まではっきりと見えた。
単純な穴ぼことはわけが違うんだ。だから指を入れるとざらつくのか……。
啓太は、指の代わりに長々と舌を差しだして、秘唇の奥へ突きこんだ。途端に、谷間全体がぬめっと動き、舌がざらつく肉壁で締めあげられた。すぐ目の前の皺々の肉のすぼまりもキューッと縮まる。
一本の指を、そっとあてがい、軽く押した。母がそこだけに気をとられないよう、膣口におさめた舌を、陰茎のように出し入れすることを忘れなかった。
どちらの効果があったのかわからないが、母が呻き声をあげ、切なそうに腰を揺さぶった。啓太は指と舌の相乗作用で母が感じたものと判断し、両者を同時に動員して前と後ろのホールを刺激した。
陽子が浴槽の蓋に乳房を擦りつけるようにして身悶えた。明らかに陽子は、乳房を刺激することによって、啓太から与えられた快感の効果をよりいっそう強いものにしていた。
啓太は静かに舌を引き抜き、アヌスを押していた指の代わりに舌を出した。
ゾロリとした舌の感触を菊門に受けた陽子は、「いやっ……そこはいや……」と叫んで身をよじったものの、掌を上にして陰核全体を撫でまわすと、もう何も言わなくなった。荒い息と押し殺した声だけが、美しい唇から吐きだされていた。
下腹部の割れた唇からは、ポタポタと濃厚な媚液が撫でまわす掌の上に落ちた。
啓太は舌にたっぷり唾液を与えると、思いきって舌の先をすぼまりの粘膜の間に差しこんだ。
「駄目ッ! そこはいやよ。やめて……」
またも思いだしたように陽子が腰を振りたて、舌の攻撃から逃れようとした。
まだ無理かも……。
啓太はいさぎよく菊門から撤退することにした。ぽってりと膨らんだ陰唇と、硬く突きでたクリトリスに、パクッと食らいついた。
いきなりだったので、陽子は悲鳴をあげた。だが、次の瞬間には、痛みと快感が一緒くたになった鋭い感覚に襲われ、あまりのよさに、いったん引きかけたヒップを我が子の顔にぐぐっと押しかえした。
啓太はせいいっぱい口を開けて、柔肉を頬張り、滴る淫汁をチュウチュウと吸った。
「ああーっ……ああ、いいーッ! はァ……」
たてつづけに襲ってくる肉の快感に、陽子の五体は痺れ、震えた。それは意志ではどうすることもできないものである。陽子はこのまま一気に絶頂を迎えたいと思った。最後のオルガスムスを味わいたかった。一挙に爆発し、炎に包まれることを願った。
「入れて! ママ、変になっちゃうわ。今、入れて! 早くイカせて……」
もう夢中で、固い浴槽の蓋に疼く乳房を擦りつけた。
啓太は、美しい母の淫らに揺れる姿をじっくりと眺め、気持ちを高ぶらせていた。
「ああっ、もうお願いよ。入れてェッ!」
啓太はようやく膝で立ち、今や遅しと待ちかねていた肉棒に右手を添えた。目標に向かって角度を調節すると、ゆっくりと腰を進める。こわばりの先がラヴィアの端をくすぐった。
「うっ、はァン……」
陽子の声が期待で震えた。
まず笠の部分をソロリと沈める。充血した花唇が、亀頭と一緒に奥へ巻きこまれていく。それと同時に入った部分を伝わって、中から少し濁った媚液がぬらりと出てくる。
啓太は目で充分に楽しみながら、血管が脈々と浮きでた幹の部分を少しずつ送りこんだ。送りこんだ分の花蜜が溢れでてくる。満々の浴槽に入ると、余った湯がザーッと流れてしまう。つまりあれと同じだ。それほど陽子の膣の中は、いっぱいの花蜜が詰まっていた。
全部が入りきらないうちに、啓太は自分の陰毛の一部を、ひくついているアヌスに擦りつけてみた。
陽子がブルルルッと痙攣すると、ヒップの肉も大きく振動した。その途端、アヌスとヴァギナを8の字で結ぶ括約筋が、ググッと締まった。
肉棒の笠の部分が、今にも千切れそうなほどに痛い。しかし、痛いだけではない。それをはるかに凌駕する、目も覚めるような快感が、ペニスの先端から腰骨を軋ませ、頭のてっぺんにまで突き抜けた。
啓太はあやうく精をもらすところだった。かろうじて耐えられたのは、ただ一途に母とともに最後の悦楽の瞬間を迎えたかったからである。
啓太は動かないことにした。刺激が強すぎるからだ。その代わりに、思いきって濡れぬれの幹を、そっくり母の胎内にズブリと送りこんだ。
「ううン……はぁン……」
陽子も強い快感を得て、昇りつめる寸前である。啓太は恥骨が秘唇にぴったり密着するまで押しこむと、陰毛をなすりつけるようにして前後左右に揺さぶった。
抜き差しするよりは、自分に対する快感の度合いがずっとやわらぐ。こうなれば、少しは長持ちするかもしれない。その代わりに、母には今まで以上の心地よさを与える努力をした。
左手を前にのばしてクリトリスを押さえた。まず指先で揉みほぐす。それだけでも母が得る快感は倍加する。今度は右手の指にたっぷり唾をつけ、それでアヌスのまわりをくすぐった。快楽の度合いは飛躍的にのびる。陽子は同時に二方を攻められて、五体を震わせた。一箇所だけを攻められているときとは全然違う、舞いあがるような快感が、全身を隈なく駆けめぐる。子宮がググッと縮まって、膣口のほうへズリ落ちてくる。
陽子は浴槽の蓋を爪の先でバリバリと引っ掻いた。連続して襲ってくる快感のために、息切れしそうである。息子の攻撃にさらされて、オルガスムスに向かってひたすら走りつづけた。
「ああっ、駄目、啓ちゃん……ママ、イッちゃうわ。そんなにすると……ああ、なんていいの。よくってよ。最高! あああ、もう駄目。ママ、イクわ、イッちゃうゥ!……」
大波にさらわれた小船のように、ひとしきり揺れた後で、陽子は死んだように動かなくなってしまった。
奇跡的に啓太は噴出しなかった。ここで精を放ったら、今夜の計画はすべて無に帰する。啓太の額に汗が噴きでていた。
陽子の体がようやく弛緩しはじめた。緊張感の漂っていた体から、スーッと力が抜けていく。
啓太の目は、鋭くアヌスに注がれていた。小さくキュッとすぼまったそこからも、力が抜けていくのがよくわかる。皺々の蕾が、スーッと花が開くときのようにひろがっていく。もちろん、アヌス自体の構造上、だらしなく開いてしまうことはない。
啓太は狙いを定めて、そこに唾を滴らせた。うまく周辺が濡れていく。まだ膣内におさまったままの怒張を、ソロソロと引きだした。
終局を迎えた瞬間に、陽子がおびただしい量の愛液を吐きだしたから、まだ膨張したままであっても、分身はなんの抵抗もなく滑らかに抜けた。媚薬で濡れて輝いている。啓太はそのこわばりを母のアヌスに向けた。スーッと押した。
「うっ……」
母の背中がピーンと張りつめて反りかえった。
啓太は、しっかりヒップの肉をつかんで、手際よく、それでいてあまり荒っぽくなく、ペニスを繰りだした。アヌスのすぼまりが、信じられないくらい大きくひろがり、亀頭の先端がズブッズブッと沈んだ。
母が爪で蓋をバリバリと引っ掻いた。だが、唸っているだけで苦痛の声は出さない。
そのとき、陽子は確かに激しい痛みを感じていた。しかし、それとは別に、名状しがたいまったく異質の波が湧き起こってくるのを、しっかりと受けとめていた。とても恐い波だったが、その正体を知りたいとも思った。
「あ、痛い……」
言いながら、ヒップを揺さぶった。
少しずつ、肉茎の幹が尻肉の間に消えていく。陽子の全身が硬直する。不安と緊張のためらしい。しかし、それがかえって括約筋を強く締めあげる効果をもたらした。
「あっ……ママ!」
少し痛いけれど、とてもいい感じだ。啓太はまた押した。亀頭の先が何かに当たった。
「あああ……」
陽子の前門が啓太の手で擦られた。初めのうちこそ優しかったが、やがて快感が高まるにつれて、荒々しさが加わった。土手がなぞられ、陰核をくすぐられ、ぬるついた陰裂をまさぐられ、肛門には太くて若々しい幹が打ちこまれている。
次から次へと湧き起こる官能の波にくるまれて、陽子はとうとう獣のように吠えた。
「どうしよう。ママ、おかしいの……啓ちゃん、ママをしっかり抱いて! あああ、変よ。ママ、イキそうなの……啓……ママ、イッちゃう!」
アナル・セックスという魔界で、陽子は急速にオルガスムスへと導かれた。
啓太の緊張の糸がプツンと切れた。後頭部が痺れ、瞼の裏では何百何千という花火がはぜた。
陽子のアナルから白い樹液がドクドクと噴きこぼれ、亀裂にそって前門まで濡らした。
啓太の体が、やがてズルズルと母の背中から滑り落ちた。またも死んだようになって、陽子は浴槽の蓋の上に突っ伏している。
目の前の小さな肉のすぼまりから、自分が放出したザーメンが流れでるのを、啓太は不思議な感慨をもって眺めた。
ママは、こういうことをパパには絶対に許さないだろう……。
啓太は父に対し、男としての優越感を誇らしげに感じていた。
第九章 ママと死んでしまいたい……
啓造が帰ってきた日の夕食には、久しぶりということもあって、お手伝いさんも同席した。それは陽子の考えで、親子三人の夕食がぎくしゃくしては困るという配慮から、勝手にそうしたのである。
陽子は、啓太のいつもとそう変わらない様子を見て、内心ほっとした。もっとも、どこの家庭でもそうかもしれないが、大学生くらいの男の子は、女の子と違って家の中では口数が少ない。もともと啓太も口数の少ない子であったから、家の者は誰も気にとめない。
話は、もっぱら啓造の土産話という形で進行した。それに話好きのお手伝いさんが加わったから話がはずむ。啓太も時折り口を挟んで、異国での珍しい話を聞いたりしている。
久しぶりに、一般家庭の雰囲気に浸った啓造は、終始ご機嫌で、好物の刺身を肴にかなりの量の日本酒を飲んだ。陽子も夫にすすめられるままに盃を口に運び、食事が終わる頃には珍しく赤い顔をして、お手伝いさんを驚かせた。
お手伝いさんが帰ったのをしおに、啓太も自室へ引きあげた。
陽子はその背中を、少し不安そうに見送った。啓太が何を考えているか、よくわかるからだ。
私と夫との房事のことを、あれこれと想像しているに違いない……。
それを考えると、我が子が哀れでならない。
平静さを保って部屋に戻ったが、心の内は千々に乱れているのではないか……。
陽子の想像は当たっていた。啓太はベッドに引っくりかえると、これから両親の寝室で行なわれる夫婦の行為を、あれこれと思い浮かべた。
でも、パパは何もできない……。
啓太は父の不幸を嘲笑した。しかし、実際に体をつなぐことは不可能であっても、陽子を別の方法で歓ばせることはできる。それを知っているだけに、啓太は平静でいられなかった。
啓太は忍耐強く待った。ひょっとして母が、寝ているかどうかを確かめにくるかもしれないと考えて、部屋の明りはすべて消した。
啓太の推測は当たった。一時間もした頃、部屋の外から、「啓ちゃん、寝たの?」と遠慮がちに呼ぶ母の声がした。ドアが開かれ、母が枕もと近くに立った。
覗いているな……。
啓太はかたくなに目を閉じていた。陽子は母親らしい気づかいで布団を掛け直すと、静かに出ていった。
啓太は、ほんのりと鼻孔をくすぐる母の残り香に酔った。
十分……二十分……それは啓太にとって、地獄からの使者を待つような、つらく長い時間であった。
三十分がたつと、啓太はそっと部屋を出た。以前ほどではないにしろ、やはり心臓がドキドキ高鳴る。廊下で二度、三度と大きく深呼吸をした。そこにも、母の匂いが漂っていた。
観察眼の鋭い少年は、夕食の席で、母がいつもより美しく装っていることに気づいた。化粧も少し派手めである。
陽子自身はいつもどおりのつもりであったが、やはり心理的なものがあったのかもしれない。気づかないうちに、夫の目を意識するような化粧をし、衣服を身につけていたのだろう。
啓太はつとめて普通に振舞っていたものの、心の内では、嫉妬にも似た感情が渦巻いていた。お手伝いの小母さんがいなかったら、息苦しくて途中で逃げだしたかもしれない。
啓太が両親の寝室を覗いたとき、陽子は夫の萎えたものを夢中で口に含んでいた。そのときすでに、陽子の恥ずかしい花びらを割って、巨大な疑似男根が突き刺さっていた。
新しく購入したものらしく、黒々としたそれはグロテスクで、根元に小さな突起がふたつもついている。
スイッチを操作しながら、啓造は大小三本のバイブレーターの動きを楽しそうに眺めていた。
陽子は、啓造の上に乗るような格好で、本物の男根を咥えていた。しかし、それは男根というにはあまりにもお粗末な代物で、力なくうなだれていた。啓造は妻に、義務としてそうさせているのである。男としてのはかない自覚かもしれない。
妻である陽子は従順そのものであった。ことに、息子との絶対的な秘密を共有していたから、なおさらである。
心のどこかに、夫に対して申しわけないという気持ちもあるし、自身に対する呵責の念もある。我が子、啓太に対するサクリファイスの精神と、夫啓造に対するサクリファイスの精神は、まったくかけ離れたものである。
陽子はいつまでも勢いを得ない夫のペニスを丹念に愛撫することで、自身の免罪符と考えていたわけではない。ただ、つくさなければ陽子の気がすまなかったのだ。
啓造は、熱心な陽子の行為を、久しぶりに夫婦生活を復活させたゆえの興奮、あるいは歓喜のなせる業と解釈した。
欲しくてたまらなかったのだ……。
それが、啓造の受けとめ方であった。啓太との秘密の行為の裏返し、などとは夢にも思っていない。だから夫は大いに満足であった。ペニスが力を得ることはなかったが、気分的には高揚していた。
その分、啓造は妻に対して積極的である。妻が夫に奉仕するのに負けないくらい熱心に、バイブレーターを使いこなした。結果、陽子は我が子との情事では感じることのできない変則的な性感に狂わされた。異常な愛が陽子を情欲の底に叩きこんだ。ここでも陽子はただの女であった。
「あなた。そんなにすると、私……」
陽子の女芯に突き立った大ぶりのバイブレーターを伝わって、濁った淫水が溢れでた。
根元の小さく曲がった親指ほどの突起が、さわさわと肉芽を撫で、もう一本の突起が後ろの肉のすぼまりを間断なく攻めたてた。さして広くない股間の部分が三方から攻められ、それぞれが異質の快感をつづけざまにもたらすものだから、陽子はともすれば夫のペニスを愛することも忘れて、悶え狂い、激しいよがり声をあげた。
母の声は、ドアの鍵穴から覗いている啓太の耳にも、はっきりと聞こえた。
パパはできないんだから……
それが唯一の慰めである。
啓太は部屋に戻ると、勃起を取りだして目を閉じた。瞼に浮かぶのは、かつてのように曖昧な母の裸身ではなく、あまりにも鮮明すぎる裸像であった。啓太は、母のあらゆる部分をはっきりと想い浮かべることができた。
「啓ちゃん、よくってよ……ああ、ママ、イッちゃうわ。出して! ママの中にたくさん出して!」
母の声が耳の底に蘇ったとき、部屋の中にいっせいに栗の花が咲いた。
翌朝、父は啓太を自分の運転する車に乗せて、学校まで送った。
啓造は、わずかな間に急に大人びた我が子を頼もしく見つめた。それに、久しぶりの妻との房事も上首尾だったので、終始上機嫌だった。
まだ老けたわけではないのだから、いずれインポテンツは治るという自信がある。それまでは自分の肉体で妻を満足させることができなくとも、別のいろいろな方法で、妻の欲情と対抗できる。
昨夜がそうだった……。
啓造は初めて妻に試みたあることを想いだして、息子の前であるにもかかわらず、ついニヤニヤしてしまうのだった。
そのあることに啓太が気づいたのは、お手伝いさんが夕食の支度を整えて帰った直後のことだった。
啓太は一時間ほど前に学校から帰っていたが、一刻も早く小母さんが帰ってくれることを願って、ウロウロしていた。
父が帰ってこないうちに、啓太は母を抱きたいと思った。昨日の出来事を想いだすだけで、ズボンの下で分身がこわばった。
ようやく小母さんが帰ると、啓太は、父からの電話を受けている最中の母に後ろから抱きついた。
陽子はあやうく声を出すところだったが、どうにか耐えた。電話の相手は啓造である。
「……そんなわけで、帰国歓迎会に出なきゃならんから、帰りは遅くなる」
啓造はいつものくせで、自分の用件だけ言うと、すぐに電話を切った。
「ママ……」
抱きつくようにして頬を擦り寄せてくる啓太が、いま何を望んでいるのか、陽子にはよくわかる。だが、今の自分にはそれに対する抵抗力がない。
体が欲しがるということは決してない。ただ、不憫な我が子を一刻も早く安息に導いてあげたいだけである。でも、たとえ相手が息子でも、いったん火をつけられてしまうと、体のコントロールがきかなくなってしまう。
陽子は息子に引っぱられるようにして、啓太の部屋に連れていかれた。
以前のように、男くさい匂いがしない。それは陽子がひんぱんにその部屋にきている証拠である。
「ママ……」
せっかちな声を出して、啓太が服を剥ぎ取ろうとした。
「啓ちゃん……」
陽子は、昨夜、夫が自分に対して強要した、あることを事前に報告しようとした。陽子は、それをされたときから、啓太にはとても隠しとおせるものではないと観念した。
ベッドに押し倒されたが、いったいどうやって説明していいものやら見当がつかない。迷いあぐねているうちに、露わになった乳房を吸われていた。
いつもよりはずっと興奮しているらしい啓太が、やみくもに乳房を吸い、乳首を弄ぶ。優しさが欠けていた。
無理もないと思う。昨夜は本当に寝入っていたかどうか、なんとも疑わしい。陽子はわざわざ部屋を見まわったが、半信半疑で部屋を出たのである。
もうこの子も、大人の感覚でものを見る年齢になっていると思う。久しぶりに帰ってきた夫が妻に求めるのは何であるか、その見当はきっとついているはずである。
陽子は寝室では夫を拒否することができない。拒むべき理由は何もない。当初のうちこそ啓太の存在が気になっていたが、夫の手によって、というより異形の道具によって、性感を高められているうちに、自分を見失ってしまった。
啓太のことがパッと頭に浮かんだのは、夫があることを強制したときだった。
陽子は、このときばかりは拒んだ。だが、結局は承服させられてしまった。夫婦である以上、それは仕方のないことであった。
「ママ、夕べはしたの?」
陽子は現実に引き戻された。あまりにも具体的な質問にうろたえた。無言のままでいることは、肯定を意味する。
「ねえ、ママ。言ってよ」
この子は嫉妬しているんだと思うと、可哀相な気がした。
「仕方ないわ。夫婦なんですもの」
そう答えるしかない。
啓太は母の答えに対して、ひとことも言わなかった。ただ衣服を引き剥がすのが多少乱暴になったような気がした。
啓太は母の衣服を足もとから引き抜くと、昨夜の痕跡を見つけようと、目を皿のようにして、美しくまばゆいばかりの裸身を眺めた。
特に変わっているところはない。たったひとつだけ身につけているパンティに手をかけたとき、啓太はある異変に気づいた。深く切れこんだレース飾りのパンティが真っ白である。
啓太の視線がその中心に注がれた。膨らんだ恥丘が目に痛い。しかし、そこにあるべき黒い翳りがない。
「!…………」
啓太は、目の錯覚ではないかと、恥丘に手を触れた。ざらつくはずの感触もない。
陽子のパンティの縁に手をかけて、一気に引きおろした。ヴィーナスの丘はツルツルに剃られ、そこだけ蒼白くなっている。
「ママ、これ……」
言葉がつづかない。
啓太は、自分が寝入ってしまってから起きた夫婦の異常な行為に、激しく嫉妬した。自分が考えもつかないことをして性を享楽する父が憎かった。負けたという気持ちが啓太を支配した。
とうとう来るべきものがきた……。
陽子は目を閉じていたが、啓太がショックに打ちのめされている様子が手にとるようにわかった。
熱い手が陰毛のない恥丘に触れ、優しく撫でた。いや、優しくというよりも、昨夜のことを必死で想起し、確かめるような撫で方といったほうが正しいかもしれない。
啓太は、開いた両膝の間に割りこみ、突然、荒々しく秘肉を開いた。
「痛ッ……」
陽子はあわてて口をつぐみ、贖罪のつもりでさらに大きく両脚を開き、すべてを啓太の目の前にさらした。
「ああ……」
驚きとも嘆きともつかない声が啓太の唇からもれた。
陽子は股間が針で刺されているような痛みを感じていた。そこに啓太の燃えるような視線が集中しているに違いない。それでいて陽子は、不覚にも秘液をほとばしらせた。こんなことで感じてしまう自分が恥ずかしくてならない。
「ママを許して」
陽子のか細い声は次の瞬間、ショックの叫び声に変わった。いきなり啓太が、恥ずかしい亀裂の柔肉に食らいついたのだ。
ふくらみのすべてと、疼きはじめたクリトリスに歯をたてられた陽子は、初めて味わう痛みと快楽にのた打ち、我が子の頭を知らないうちにしっかりと押さえつけていた。
「あーっ、ああ、いいーっ!」
肉の歓びを表わす声を聞くと、啓太は音をたてて生きた女貝を吸い、淫汁がつきるとまた歯をたてて、三十女のとどまるところを知らない快楽を引きだした。女性器に押しつけた頬に、恥毛の残りがチクチクと当たる。
啓太は、この日ばかりは興奮の極限に達した我が身に打ち克つことができなかった。じくじくと先走りの露が滴り落ちる亀頭を母の股間に押しつけ、根元まで一気に押しこんだ。
「ひいーっ!」
深々と打ちこまれた鋼鉄の杭は、はじめからものすごいスピードで、重なり合う肉片の間を往復した。
啓太はすぐに爆発したが、そのまま女陰におさまったペニスは、五分もたたないうちに再び膨張し、今度こそ、ふたりは同時に絶頂に達して終わりを迎えたのであった。
陽子と啓太の秘密の関係は、日がたつにつれて深刻なものに発展した。啓太が母を求める回数はいつしか頻繁になり、ついには昼夜をわかたず、時には家の中にお手伝いさんがいるときでも、啓太はその気になると母を自室に引っ張りこんで、熱い思いを遂げるのだった。
不安を感じた陽子はとうとう、どこでどう工面したのか、夫の晩酌に睡眠薬をこっそり混入するようになった。ときには、精神安定剤とか誘眠剤と称して堂々と呑ませたりもした。
母が自分のために積極的に協力してくれていることがわかると、啓太はひどく安心した。陽子はそのことに気づき、わざと啓太にわかるようにして、夫をあざむいたのである。しかし、陽子の心は日に日に暗くなり、心は冬の日のように寒々としたものになっていった。
あるとき、陽子は啓太の部屋での情事を終えたあと、廊下に出てみて、ドアの前にほんのわずかな水で濡れた個所を見つけた。その日、陽子とお手伝いさんは、近づく正月にそなえて廊下の乾拭きをしている。廊下は美しい光沢が出て、陽子を華やいだ気分にさせた。
その直後から外は雪に見舞われた。
お手伝いさんが帰ってしまうと、家にいるのは啓太とふたりきりである。夫の帰りが遅いのはわかっていた。
例によって、啓太は母を求めてきた。もはやズルズルベッタリの関係になっていたので断るべき理由はない。良心の呵責に耐えながらも、陽子は息子に抱かれた。
今夜は夫に対して薬を使わなくてすむ……。
それがせめてもの救いであった。だから陽子は、夜中に啓太が自分を求めないよう、啓太を疲れさせることに専念した。
そうした母親の姿に安心したのか、啓太は充分に満足し、快い疲労を感じた。起きあがることもせずに、部屋を出ていく母親を見送った。
廊下に出た陽子は、なぜ部屋のドアの前にそんな小さな染みのような水の痕跡があるのか、疑問に思った。自分も啓太も、風呂あがりの濡れた体を部屋に運んだりはしない。
じゃあ、どうして! もしそこに遅く帰ってくるはずの夫が立っていたとしたら……。
陽子は恐ろしい想像に身をすくませた。
まさか、まさか、まさか……。
陽子は玄関の上がり框に走った。そこには、もっと具体的な水たまりがあった。直径十センチ足らずであるが、はっきりと濡れている。靴の跡のようである。
陽子は家の中を走りまわった。誰もいない。シーンとしている。
破裂しそうな胸を押さえながら、表に出てみた。
「…………」
降り積もった雪の上に、転々と靴跡が残っていた。そこに、降りしきる新しい雪が、ほんの少しだけ積もろうとしている。
誰かが来て、再び立ち去ったのだ。家の中に入れる人物はひとりしかいない。
暗い夜の道に人影はなかった。
夫はどこへ行ったのだろう。すべてを知った夫は今、どんな気持ちでいるのだろう……。
現場に踏みこまなかった夫の心中を察すると、今さらながら、自分の犯した罪の大きさにおののくのだった。
啓造は、ふたりの肉親がもはや這いあがることのできない地獄に堕ちたのは、すべて自分が妻を愛することができなかったことに原因があると思って、目をつぶることにしたに違いない。しかし、それとて、いつまでつづくのだろう。今、一家は火中に落ちた栗も同然の状態であった。
エピローグ
『ぼくはママから、パパがぼくたちの関係に気づいたことを聞かされてショックを受けました。その頃からです。ママの様子がおかしくなったのは……。
それなのに、ぼくはママとの不純きわまりない関係を断ち切ることができなかった。それほどぼくはママを好きになってしまったのです。
そのうち、ぼくは、誰かがぼくに睡眠薬を呑ませていることに気づきました。賢明な君ならそれが誰かわかると思います。
ああ、ぼくはひょっとしてママに殺されるかもしれないな、と思うようになりました。いや、ママはぼくだけを殺しやしない。きっとママも一緒に死ぬ覚悟でしょう。ぼくはその裁きを受けるつもりです。
ママと一緒に死ぬのなら、それでいいと思っています。ぐっすり眠りながら、いつともなしに死んでいく。それで満足です。
聡ちゃん、パパは年末から、また仕事のために海外へ出かけています。ぼくもママも、実に楽しい正月を送っています。でも、休みが終わる頃には、ぼくはもうママと一緒にこの世にはいないかもしれない。そんな予感がします。
嘆かないでください。君とママによって、ぼくは一生分にも値する楽しい人生を教わったのですから』
聡一はわけもなく震えた。何かしなければと思い、すぐに受話器をとって、啓太のところにダイヤルした。
長い呼出音だけが聞こえていた。誰も出ない。不吉なものが頭の中をかすめた。
啓太の家はそう遠くない。
物置から自転車を引っ張りだす時間がないので、聡一は駆けだした。
そのとき、遠くでサイレンと打鐘の音がした。それはまたたくうちに渦のようになった。一台や二台ではないらしい。聡一の横を、自転車に乗った町内の人たちが、声高に走り抜けていった。
「ほら、一軒だけ残っている旧家らしいぞ」
「地上げ屋の仕業か」
「さあ」
風がヒューッと鳴った。
向こうのマンションの裏に火の手があがっていた。啓太の家の方角だった。だが聡一は心の内で、違う! 違う!……と叫びながら走りつづけた。
風がいちだんと強くなり、炎が空を焦がした。
(完)
実母と義母
2012/2/1 電子版発行
著 者 高竜也
発 行 株式会社フランス書院
東京都千代田区飯田橋3-3-1
本データには購買者を特定できる個別のシリアル番号が刻印されています。複製・頒布・転売等、著作権を侵害する行為は法律で禁じられており、違反した場合は刑事罰および民事罰を招来することになります。
(c)2012 Tatsuya Koh, Printed in Japan.
実母と義母 第5部 (5/5)
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