実姉と義姉 第五章 実姉・弟に捧げた純潔 (5/7)
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第五章 実姉・弟に捧げた純潔
夕方になって、沙由里からの電話で秀之の誕生日を知らされた泰造は、商売上の客と一緒にゴルフ場へ直行するので、今夜は家に帰れないのだという。
「お前とお母さんで私の穴を埋めておいてくれ。私はちゃんと後で秀之にはそれ相応のことをするからね」
電話の向こうの泰造の声には、心からすまながっている感じがあった。
ところが間の悪いことはつづくもので、その電話を切るとすぐに、外出先の桂子から電話がかかってきた。今日、デパートの買物の帰りに立ち寄った彼女のたった一人の叔父が、トイレの中で倒れて危険な状態だというのだ。
「今夜は帰れそうもないから……」
電話の向こうで、義母は心細そうな声で言った。沙由里は弟の誕生日のことを口に出せないまま電話を切るしかなかった。
亜矢子はいつものように鉄砲玉で、一度家を出たらいつ帰ってくるかわからない。特に近頃は、何かというと取材があるからと言って外泊してくることが多かった。家の者は、沙由里の婚約以来、義姉にあたる亜矢子にはあまり刺激を与えないようにとの配慮から、よけいな口出しをしないよう心がけている。
結局、私がちゃんとやってあげるしかないんだわ……。
沙由里はあれこれプランを考えたあげく、秀之を外に連れだすことにした。小さい頃からそうであったが、秀之は沙由里と一緒に外を歩いた時など、なぜか面映ゆい顔をしたが、やはり嬉しさは隠しきれないようで、いろいろな行動がそれを如実に示した。沙由里も、そんな弟の姿を見るのが嬉しくて、しばしば外へ連れだしたものだ。ところが最近はあまりそういう機会がない。
久しぶりだわ。沙由里は、いつしか自分の気持も浮き浮きしてくるのを感じた。
「さ、お風呂に入って……きりっとしなさい」
秀之が起きたのは七時のニュースがはじまった頃である。沙由里の快活な声は、秀之をボッとさせた。あんな不愉快な事件があった後なので、どういう顔をして姉に会えばいいのか迷いながらキッチンにおりていくと、いきなり沙由里の明るい声が浴びせられたのである。
そうか、無理に忘れようと努めているんだな。よし、それならこっちもそう振舞おう。秀之は「はいはい、仰せに従いますよ」と、いつになくひょうきんな声を出して浴室に向かった。
「すぐ出るのよ。外であなたの誕生祝いをするんだから」
ガラス戸の向こうで沙由里の声がした時、やっぱりお姉さんは覚えていてくれたんだと、秀之は本当に嬉しくなって、思わずハミングしたほどである。
タクシーに乗せられて連れて行かれたところは、もう何代目かになるという日本橋の寿司屋だった。あらかじめ予約しておいたとみえて、座敷に通された。ワインでもすぐに赤くなる秀之は、今日から成人なんだからと日本酒をすすめられて、ついつい杯を重ねた。そうはいっても一合ほど飲んだにすぎないが、すっかりふわふわした状態になってしまった。そんな秀之の姿がおかしいのか、沙由里は楽しそうに笑っている。
外に出るとかなり冷たい風が吹いていたが、むしろ熱く火照った頬に快い。沙由里が、まるで恋人のように腕を組んできた。
「こんなことができるのも、あとちょっとね」
「うん……」
秀之は姉の体から発散する甘い匂いに酔いながら、ひょっとすると沙由里ねえさんも淋しいのかもしれない、と思った。
つい先日、秀之は偶然にも父が誰かに電話しているのを聞いてしまった。詳しい内容はわからなかったが、ひとつの事実だけは秀之にもはっきりとわかった。泰造の経営する会社が、花沢産業の資金をバックに、今まで手の届かなかった九州と台湾に、小さいながらも支店を出すということである。それを話している泰造の声には、自信が満ちあふれていた。
花沢産業……おねえさんはそこの長男に嫁ぐんだ。秀之は、その点と点をつなげながら、姉の結婚は一種の政略結婚ではないか、という疑念を初めて抱いた。
「おねえさん、今度はおごるからさ、もう一軒どこかへ行こうよ」
秀之の申し出に眼を丸くしながらも、沙由里はニッコリ笑って同意した。
「大人ぶって、無理して飲まなくてもいいのよ」
「何言ってんのさ。二十一歳になったら本領を発揮しようと、ネコかぶっていただけさ」
「へーえ、面白いわ。ぜひ見せて」
「よーし。ついてきな」
秀之は沙由里を銀座五丁目にあるレトロ調のスタンドバーに誘った。
十センチ以上もある分厚い一枚板のカウンターが自慢のその店には、アルバイトらしい可愛い女の子が数人いたが、沙由里の美しさに気おくれしたのか、誰も寄りつかない。
「へーえ、秀ちゃんも可愛い人がいいとみえるわね」
「まあね……」
肩肘張ってみたが、実は秀之も友人に連れられてたった一度来ただけである。量が少ないほうがいいからと、沙由里がドライマティーニを注文すると、「へーえ、なんだか知らないけど、僕もそれにしよう」
秀之もしたり顔でバーテンに注文した。
「近頃では、誰でも彼でも水割りばかりなんですよ」
バーテンはシェーカーを嬉しそうに振りながら小声で言った。
その店に長くいたわけではないが、出た時には、秀之は右にふらふら、左によろよろといった有様だった。
「でも気分はサイコー!」
タクシーに乗ると、秀之は沙由里にもたれかかって歌うように言った。
家に着いて秀之を部屋に押しこむと、沙由里は留守番電話を聞いた。
「今日は仕事で帰れません。それじゃ」
素っ気ない亜矢子の声だった。離れに行くと、驚いたことにトルソー台ごと花嫁衣裳が消えている。他の物はちゃんと揃っているから泥棒が入ったとも思われない。もしやと思って秀之の部屋へ行った。
パジャマに着替えた秀之がベッドに座って、ぼんやりと花嫁衣裳を見つめている。秀之の気持がわかっているだけに、沙由里は何も言えなかった。
「花嫁姿のおねえさん、すっごく綺麗だろうな。早く見てみたい気もするけど、永久に見たくない気もする」
さっきまでの快活さが嘘のように、その声は重く沈んでいた。しばらく花嫁衣裳を眺めていた秀之が、急に振りかえると笑顔を浮かべ、サイドテーブルの上の化粧箱と手紙を差しだした。
「花嫁になるおねえさんへのプレゼント。それに、感謝の気持を手紙に託して」
「ありがとう、秀ちゃん」
プレゼントを受けとりながら、沙由里は秀之の額にキスをした。秀之から離れようとすると、肩が少し強い力でつかまれた。
「キスして」
「え
!?
」
「唇に……キスして欲しい」
「酔ってるな、こら」
「うん、酔ってる」
「しようのない子」
「そう、僕はいつもしようのない子だった……」
「…………」
沙由里の唇が軽く秀之の唇に重なった。秀之は、ただじっとしている。少し強く押しつけてから、沙由里は顔を離した。
「これでいい?」
できるだけさりげなく振舞うつもりだったが、妙に表情がこわばってしまう。
「もうひとつ、お願いがあるんだ」
秀之の口調は弱々しく、どこか遠慮がちである。
「いいわ。遠慮することはないわ。二人っきりの実の姉弟じゃないの。さあ、今度はどんな無理難題?」
おどけた調子が今ひとつ波に乗りきれない。
「おねえさん。酔った勢いで言っちゃうね」
そう言う秀之の眼を見て、この子は本当に酔っているのだろうか、と疑問が湧いた。口調こそ酔った感じがあったものの、沙由里を見つめる瞳はどこか生真面目であった。
「これを着て欲しいんだ……これを」
秀之が指さしたのはウエディングドレスである。
何かを考えたりためらったりすれば、かえって切なくなる。とっさに沙由里はそう判断し、「ええ、いいわよ」と大きくうなずいた。
「十分たったらお部屋にいらっしゃい」
沙由里がドレスを手に出ていってから、ちょうど十分がすぎると、秀之はのっそりと立ちあがった。
「ハイ、ポーズ……」
秀之が部屋に入ってきた音を背中に聞いた沙由里は、ちょっと気取った声を出してクルリと後ろを向いた。ウエディングドレス姿の沙由里を見つめる秀之の顔には、なんともいえない複雑な表情が漂っていた。もうこれくらいでいいでしょ、と秀之の顔をのぞきこんだ。驚いたことに、秀之の瞳には、涙が光っていた。
「バカねえ。おねえさんだって悲しくなっちゃうじゃない」
あやうく噴きこぼれそうになる涙を耐えながら、沙由里は駆け寄って秀之を抱きしめた。
言葉は何もいらなかった。姉弟の情愛とは違う何かが、二人の間に錯綜した。気がついた時には、沙由里は花嫁衣裳のままベッドに横たえられ、秀之の嵐のようなキスを受けていた。
だめよ、私たちは血のつながった姉弟なのよ……。心のどこかで叫んでいるのに、声にならない。
一気に吹き荒れたすさまじいまでの二人の官能の嵐は、何もかも呑みこんで、若い姉弟の感情を高みへと押しあげた。
「おねえさん……おねえさん」
ただそれだけを言いつづけながら、秀之は姉の唇を貪り、純白のドレスの上から豊かに突きでた二つの隆起をつかんだ。幾重にも重なったレースの下で、たわわな乳房が揺れ、腰に押しつけられたごつごつしたこわばりは、美しい衣裳の下でおののく女芯を圧迫していた。
いけない、いけないことなんだ……。わずかに残された理性が罪悪感を喚起したが、いったん火のついた一途な若い本能をくいとめることは不可能だった。
いつもの沙由里は、どちらかといえば感情に押し流されない慎ましいタイプの女だったが、花沢敏也との結婚に際しては、あるこだわりを抱いていた。敏也が嫌いというわけではなかったが、厳密な意味で、敏也を愛しているかと問われれば、むしろ〝ノー〟と答えるかもしれなかった。
敏也やその家族の強引ともいえる求婚に、最初に賛成の意を表わしたのは泰造である。
たとえ地方とはいえ、そこでは有力者として君臨し、中央の政財界にもつながりを持っている花沢家の経済的援助を期待していたことは明らかである。泰造も、さすがに家族の前ではこの件についてはあからさまにしなかった。
敏也の愛が純粋であったかどうか、今となってはわからない。資金援助をちらつかせて、泰造から説得していった節がないでもない。沙由里は結婚する理由について、人知れずこだわりつづけていた。
過去を断ち切る。あるいは、すべてにふんぎりをつけるための何らかの機会を狙っていたのかもしれない。弟に対する愛の形が、これをチャンスにして一気に爆発したともいえる。それに沙由里自身が気づいていたかどうか。
罪悪感とは違った人間としてのこだわりがないわけではなかったが、かえってこれを契機として、心おきなく敏也のもとに嫁げるという矛盾した気持が沙由里を支配していた。
秀之の手がドレスを脱がしにかかった時、沙由里は知らず知らずのうちに協力していた。だめとも、いやとも、よしてとも言わなかった。ウエディングドレスがサイドテーブルの横に、まるで人間がその中にいるようにふんわり投げ捨てられ、沙由里はブラジャーとパンティだけの格好でベッドに横たわり、弟の少し乱暴な愛撫を受けていた。
それまで、「おねえさん……おねえさん……」とうわごとのように言っていた秀之も、今は唇を愛してやまない姉の乳房に這わせ、すぐ目の前で少しずつ押しだされてくる可憐な乳首の変貌をまばたきもせずに見つめていた。
ベッドに横たわっているのは、姉でも弟でもなく、まさに男と女であった。不純というのは当たらない。むしろ、現代では奇蹟に近い純粋な愛の形といえないだろうか。ぎごちなさがいっぱいの秀之の愛撫であったにもかかわらず、沙由里の体は敏也によって愛撫された時よりもずっと燃えた。
弟のひたむきさに触発されて、二十三歳の女体は噴きでる性の歓びを、声高らかに感受し、今まさに大輪の花を咲かせようとしていた。技巧もいたわりもない、がさつな若者の愛撫であったが、そのひたむきさは、指の先、舌の先の動きから、ひしひしと沙由里の体に伝わり、彼女を確実に奔放な女へと変身させていった。
せっかちな秀之の手が、沙由里の体からすべての付属物を取り去り、今度は自分のパジャマを取り去った時、沙由里は、いつもの彼女とは違ってパッチリと眼を開き、弟のスリムな裸身を熱っぽい瞳で見つめた。女の愛に耐え得る立派な男の体がそこにあった。
二人の視線は臆することなく宙で絡み合い、互いに、異性のもっとも興味ある場所に張りついた。
秀之が神秘的ともいえる沙由里の体をくまなく眺め、畏敬の念さえ抱いたのに較べ、沙由里は、さすがに今まであらゆる面で弟をリードしてきただけあって、ある種の余裕をもって見つめていた。秀之の下腹部から突きでたこわばりの先端は新鮮なローズカラーに彩られ、鈴口からははやくも若さのしるしである粘ついた露が滲みでていた。二つのくるみを包みこんだ袋が、砲身の下でひきつったように揺れた。
一方、秀之は完璧ともいえる沙由里のボディラインに眼を奪われ、陶酔しきって、まばたきもせずに見つめていた。起伏に富んだ曲線が織りなす女体の造形美ほど見事な芸術品があるだろうか。乳房の稜線はピラミッドほど直線的でもなければ、満月のように著しいカーブを描いてもいないものの、微妙な趣きがあったし、その中心にぽつんとたたずんでいるピンクの乳首は、充分に男の眼をひきつけるだけの魅力にあふれていた。
あちこちとさまよっていた秀之の視線は、結局のところ、姉のもっとも女らしい下腹の翳りの部分に釘づけになった。そこの黒い部分だけが、成長期の少女のそれと異なっていた。それだけに、かえって他のさまざまな部分が強調されているのかもしれない。繊毛の下には、少し周囲の皮膚とは異なった色の一本の亀裂が走っていたが、その合わせ目はぴたりと閉じられて、妖しい陰影がますますそこを神秘的なものにしていた。
あお向けになった沙由里は、まるで西洋画のモデルのように美しく清麗であったが、またその反面、これほど淫らな構図もなかった。切なく喘いでひくついている弾けるような双丘や、茂みに囲まれた肉の上端に垣間見える肉の蕾が男心を挑発していた。
秀之は、男の視線を健気に受けとめている胸のふくらみを静かに揉んだ。少し汗ばんでいる体が揺らぎ、大理石のような輝きをもった量感のある太腿が、時間がたつにつれて少しずつ開いていく。
沙由里の五体は気だるさの中に浮遊し、乳房がとりこむ快感はひたひたと全身に波及していった。時折り、乳首から刺すように鋭い快感が四肢に突き抜けていく。しだいに股間の裂け目が火照り、やがて、そこは奥から押しだされるように溢れて、ねっとりした液体で満たされた。
乳房を這いまわっていた手が、充血して疼く恥ずかしい丘に移り、指先でその感触を楽しみながら動きまわると、沙由里は、さらにその下の肉芽をいじってもらいたくなるのを感じて、はしたないと自分も驚くほどの大胆さで脚をひろげ、全身を赤く火照らせた。
舌が乳房を、掌が恥丘を愛撫した。だが、やはりそれだけではもの足りないのか、指が割れ目をなぞりはじめ、時には奥にまで入りこもうとした。
粘膜に触るだけならとても心地いいのだが、その奥となると痛さが先行した。秀之の指も窮屈さをはっきりと感じるらしく、無理に侵入しようという気配はない。ただ、ヌルヌルに潤っている入口の扉を優しく撫でまわすだけであった。その快感が増幅されてくると、沙由里の腰はひとりでに動いてしまい、しだいに秘唇は秀之の手に押しつけられていく。
終わりのない切ないまでの快感とじれったさは、沙由里に男根を受け入れさせる決意をうながした。いくところまでいってもいい。沙由里は、もうなるようになるんだという気になって、初めて秀之のこわばりに手を伸ばした。
弟の短く呻く声は充足に満ち、それを機に、秀之は、もっともっとというように、姉の手にぐいぐい大きくなった陰茎を押しつけた。
この子もそうされたがっている……。
沙由里は心優しい姉と、慈しむ母の気持になって握りしめた熱い肉棒をゆるゆると摩擦する。掌の中で、陰茎を包む表皮は驚くほど伸び縮みした。
「気持いいよォ、おねえさん……」
秀之が低く唸って、ますます強く硬いこわばりを押しつけてくる。
沙由里は、その方法がただ単に押しつけるだけでなく、彼女自身の掌を軸にして、秀之が肉棒を擦りたてていることに気づいた。本能的ともいえるその仕草を沙由里はいち早く理解し、ほどほどの力で握りしめながら秀之に協力した。
「あっ、出ちゃいそう……」
「え
!?
」
一瞬それが何を意味するのかわからなかった沙由里が聞いた。
「何? どうかしたの?」
「気持いいんだ……出そうだよ」
掌の中で脈動しているものが、ググーッと膨らんだと思った瞬間、秀之の若い肉棒は爆発し、ビクンッ、ビクンッと波打つように痙攣を繰りかえしながら、その都度、強い匂いをともなった白い液体を嘖出させた。宙に放たれた白濁液はそのまま落下して二人の胸や下腹を汚し、未練たっぷりに滲みでてくる液は、握っている沙由里の掌をビショビショに濡らした。
沙由里は死んだようになって横たわっている秀之の体についた汚れを拭いてあげた。すると、すっかり萎れていた陰茎は、丁寧に拭かれているうちに、再び少しずつ硬度を増していく。沙由里が初めて見る肉茎の驚異的な変化に眼を奪われていると、ニョキニョキと立ちあがって、ついには先ほどと変わらぬ樫の棒のように膨張した。
沙由里は握っている肉棒から視線をはずして弟の表情をうかがい見た。恥ずかしそうに沙由里を見ている。体は大きくても、まるで安心しきってすべてを母親に任せている赤ん坊のようだ。
「おねえさん、今度は僕がやってあげる」
その声には欲望を出してしまったあとの安らぎが感じられた。
「いいのよ……」
「だめだよ、おねえさんが欲しいんだ。だから、ね」
のっそり半身を起こした秀之は、逞しい上半身をかぶせるようにして沙由里を横にすると、大きく脚を左右にひろげ、眩しいものでも見るようにまばたきをした後、我れを忘れたような顔をして濡れた秘唇を見つめた。
露にまみれた肉唇は少し腫れたようになり、入口の扉は外側にまくれてひくついていた。顔を近づけると、太腿に熱い吐息を感じたらしく、沙由里は腰を軋ませるように揺すった。指先で開き加減の粘膜を左右に分けると、ピンク色に輝く肉壁の一部が、かなりはっきりと見える。鍾乳洞を思わせる複雑な肉の重なりが秀之の眼に痛く焼きついた。
ここに硬い分身を入れる! 夢にまで見たその瞬間が訪れようとしていた。
しかし、その複雑に重なり合った肉洞はとても狭くて、ほんとうにこんなところに、自分の膨張しきった分身が入るのだろうかと、疑問に思えた。奥に通ずるホールらしいものも見当たらない。だいいち、処女膜の存在さえもわからないのだ。溝の縁に生えている細かい毛が、とても卑猥な感じで、頭がクラクラするような光景だ。
秀之は、不意に自分を襲った不思議な力が、頭をグイッと押さえたような気がした。気がつくと沙由里の股間を舐めていた。ひどく恥ずかしい行為だと頭の隅でわかっていながら、そこから離れることができない。そのうち姉がウンウン唸りながら、太腿で秀之の顔を挟みつけ、下から心もち腰をくねらせて突きあげてきた。窒息してしまいそうな息苦しさにどうにか耐えながら、秀之は夢中になって酸味のある液体をすすり、柔らかな肉を舐め、充血した粘膜を擦りたてた。
「あっ、秀ちゃん。そんな……あーん……だめよ。そう……あああ、いいの……」
意味不明の言葉を吐きつづけながら、美しい顔を苦しげに歪めて、沙由里は白蛇さながらに五体をくねらせる。普段が控え目な姉であったからこそ、こういったあられもない姿がいっそうきわだって、秀之の心に焼きついた。
もっと乱れて! もっと……もっと
!!
秀之は、ヒップのほうに切れこんだ会陰部を撫でた。亀裂から流れでた媚液が秀之の指に絡み、潤滑油としての効果をいかんなく発揮した。粘膜の表面をぬるついた指が走り、唾液で湿った分厚い舌が這うと、ますます沙由里は狂ったように全身をうねらせ、時として走り抜ける突き刺すような快悦を感じると、痙攣しながら、「死んじゃうゥ!」と食いしばった歯の間から叫んだ。
こんなにも変わってしまうものなのか
!?
秀之は自分の幼稚な愛撫で、姉があまりにもすさまじく変貌していく様子を信じられない思いで眺め、そこに今までにない歓びを発見して、さらに夢中で秘唇にとりついていった。
「あああっ、秀ちゃん
!!
助けて……おねえさん、もうだめ……あっ、そんな……」
だめ、だめとおねえさんは言っているが、体はまるで別の行動をとっているじゃないか。そうか、女とはこういうものなんだ。だめというのは、もっとやってということなんだ。
好奇心と探求心のひとつひとつを満足させながら、秀之は沙由里を攻めたてた。痛いほどに膨れあがった己れのこわばりの存在に気がつくと、急にソワソワしはじめた。姉を歓ばすことにかまけているうちに、分身が活力を取り戻し、またも爆発しそうな予感にとらわれたのである。
もう無駄射ちする余裕はない。早く挿入して、真の女性の体を自分の肉体でしっかり確かめたいのだが、目の前で揺れ動く大好きな姉のさまざまに変わる姿を、もっとじっくり心ゆくまで視覚で楽しみたい気もする。二者択一を迫られた秀之は、せっかちに欲望を吐きだすことよりも、相手に歓びをできるだけ与えることを選んだ。
秀之のこの決断は正しかったといえる。一度覚悟を決めた沙由里は、初めは、自分の欲望というものをあまり意識していなかった。むしろ自分を慕っている弟の欲望をかなえさせてあげようという自己犠性の気持が強かった。だからこそ、姉弟でありながら体を開く気になったといえる。これがもし、自分の欲望を満たすために弟の肉体を借りるということならば、罪悪感が常につきまとって、とてもこんな気持にはならなかっただろう。
ところが、沙由里は、自分も人並み以上の健全な肉体を持っているという自覚に欠けていた。それは沙由里の性格からくるもので、もし、彼女が義姉の亜矢子と同じように、肉体や容貌に自信と優越感を持っていたなら、とっくに男を知っていただろう。気持のおもむくまま、また肉体の欲求があるたびに、男と交合を重ねていたに違いない。
それまでの人生で、沙由里はあまりにも控え目でありすぎた。だから、敏也と妙なことになりかけた時、考えてもみなかった股間の疼きや、無意識のうちに体の奥から溢れてくる快液に、沙由里自身が驚いた。この時、沙由里は、女は男によって開発される動物であるという意識を初めて持ったといえる。
そして今、沙由里の体は弟の手によって驚くほどの変化をみせていた。感じすぎることに気づいた時には、体が女としての叫びをあげ、まだ男というものを知らない股間が、男の肉棒を受け入れたくてうずうずしていたのである。性にうとい女であったにもかかわらず、体は自然に秀之の行為を容認し、反応していた。
時折りハッと我れにかえると、どうして私がこんなに感じてしまうのだろうという、反省にも似た声がどこかでした。しかし次々と押し寄せる快楽の波は、たちまち沙由里を呑みこんでしまい、さらに大きな快感を送りこんでくる。一度、官能の渦に巻きこまれてしまうと、セックスにまったく馴れていない処女であるから、どこかでコントロールする方法を知らない。行きつくところまで行かなければおさまらないような状態になっていた。むしろ、この時点では、弟の秀之のほうが全体のなりゆきを掌握していたといえるのではないか。
秀之は、姉が苦しがって身悶えしているのではないのを見抜き、それならばもっと素敵に取り乱した姿を見たいと、全身に汗を滲ませて愛撫という行為に熱中していた。女体に思うぞんぶん接触できる楽しみとともに、姉の体が刻々と自分の手によって変化を遂げていくという楽しさも同時に味わえるのだから、天国に昇るような心地がしたものうなずける。
いつもは慎しみ深い姉を見ているだけに、楽しみは二倍三倍にも増幅された。秀之は好きで好きでたまらない姉の両脚の間にうずくまると、わざと荒っぽい方法で太腿を左右にひろげた。
「あ、そんな……」
自分のあさましい姿に気づいた沙由里が抗議の声を放って、あわてて両脚を閉じようとしたが、秀之の体が邪魔をしてどうにもならない。
「おねえさん。見せてよ。見たいんだ。おねえさんのなにもかもが見たい」
「お願い、こんなに恥ずかしい格好にさせないで……」
「だめだ、言う通りにしてくれるね。僕のしたいようにさせて。ね、おねえさん……」
乾いたその声には、可愛い駄々っ子の甘えがこめられていた。
下腹の優しい風情のある盛りあがり、二本の円柱を思わせる張りつめた太腿、そして、その体の中心に位置する芝草に覆われた恥ずかしい丘……。秀之は腫れぼったくなった眼をカッと見開いて、沙由里のもっとも魅力ある股間とその周辺を、飽きることなく眺めていた。
よくよく見ると、各部分はそれぞれが別の生き物のように勝手に蠢いている。下腹は呼吸のたびに一定のリズムで上下し、太腿には毛細管のような血脈が、白い皮膚から透き通るように浮きでて躍動しているかのようであった。なかでも一番心弾む光景は、肉唇の奥でひしめく肉片の動きであった。顕微鏡に拡大された微生物が、それぞれ勝手に動いている光景に似ていた。貝の触手のようにスローな動き方をしているものもあれば、電流でも仕掛けられたように、ピクッピクッと蠢いているものもある。亀裂を形づくっている粘膜は伸びたり縮んだりして、これから起こる何かを期待しているかのようでもある。
性器は生きものだ! 秀之はその生きものに歓迎された時のことを想像し、そこに感謝の念をこめて舌を突きだした。
「うううう--ッ」
沙由里が獣のような声をあげて全身に緊張感をみなぎらせると、引き締められた膣の奥からヌルッとした液体が押しだされて、舌先に絡みつく。喉を鳴らして呑みくだすと、またもや肉襞が収縮を操りかえし、女の香りとともに蜜液が溢れでてくる。
おねえさんがとても気持よくなっている。その確信が、性の深淵の一部を知った若者を、いやがうえにも勇気づけ、自信を持たせる結果となった。
秀之は、ただ舐めまわしたり吸引したりするだけでなく、尖った鼻先でいかにも敏感らしい肉芽を擦った。すると沙由里は、今までにないはしたない声を放って、自分が受けている快さを訴えた。
秀之の顔は沙由里の吐淫で水糊をまぶしたように濡れ、芳香は部屋じゅうに充満した。嗅覚、視覚、味覚、触覚と、秀之の望んだものはすべて満たされた。残されたものは性の本能を満たすことでしかなかった。この時点で姉と弟の気持は完全に一致した。
「ああ、いく……」
沙由里の口をついて出た言葉は、彼女の体のなかにひそんでいた潜在意識が言わしめた言葉に他ならない。この言葉を聞いた時ほど、男の征服欲を満たすものはない。初めての経験である秀之にしても同じことであった。いや、むしろ初めてであったからこそ、その歓びは大きかったともいえる。
「おねえさん、いいんだね……とってもいい気持なんだね」
それだけはどうしても聞かずにいられないという迫力に満ちた問いかけであった。
「ああ、もう……よくってよ。とってもいいの……秀ちゃん。おねえさん、もう死んでもいい……初めて……初めてなの……」
僕はおねえさんに歓喜を与えた最初の男なんだ! 秀之は、これ以上の歓びを与えることが不可能のような気がした。
「僕……入れたい……」
蕩けるような気分に浸りながら、沙由里を見た。何も返答はない。ふと見ると、二つの胸の隆起に両手を添えて、ただ苦しそうに喘いでいるだけである。乳房を無意識のうちに揉んでいるのだろうか、その仕草がなんともいえず色っぽい。
秀之は姉の膝の間で中腰になっていた。ピンと立った分身が下腹にぴったりと張りつき、亀頭の笠が上を向いて、露を滴らせた鈴口が一つ目小僧のように睨んでいる。
秀之は両手で下腹から剥がすようにして肉茎を下に向けた。海綿体が突っ張ってひどく痛かったが、そうでもしないと、勃起力が強すぎて肉体の結合が難しい。手を離すと、またバネ仕掛けでもしてあるように、ピンッと下腹にはねかえる。
その時、秀之は勃起した肉棒の下に吊りさがっている肉袋の存在に気づいた。二つのクルミを包んだ雛々の袋は、あまり顧みられることもなく、不貞腐れているかのようだ。
秀之は腰を振ってみた。するとその反動で雛々の袋が時計の振り子のように揺れた。体の位置を調整すると、袋の振り子は沙由里の大事なところの肉の扉をほどよい力で叩いた。
「アッ、アーン……」
沙由里がもぞもぞと腰を揺する。同じ動作を操りかえすと、ペタッ、ペタッと音がして、ちょっとユーモラスな気分に浸れる。しかも袋に伝わる衝撃がソフトなので、とてもいい気分だ。それは沙由里も同じとみえて、まんざらでもないという表情をしている。袋に手をやると、全体がヌラヌラと雫をたらすほど濡れている。もっと何か変わった趣向はないかと考えてみたが、経験のない秀之には何も思いつかない。やはりもう挿入するしか方法は残されていない。
秀之は、もう一度陰茎に手を添えて下にねじ曲げると、ぎごちない仕草で女唇に近づけた。亀頭の先が濡れた粘膜に触れただけで、瞼の裏側で火花がはぜ、頭がジーンと痺れた。それは沙由里も同様とみえ、性器そのものがブルルッと震動したように見えた。
いくら性感に浸っていたとはいえ、まだ処女である。心のどこかに初体験に対する怖れがないと言ったら嘘になる。ただ、相手が弟の秀之であるということが安堵感につながった。
「おねえさん、おねえさん……」
すぐ顔の上に影がおりて、うわずった秀之の声がした。
「いいのよ……いいの」
沙由里は励ますように声を出していた。赤の他人であったなら、こうはいかなかっただろう。
秀之が必死に体を支えながら、秘唇の入口に膨れきったこわばりを押しこんだ。
「ああっ……」
沙由里の口から、悲鳴にも似た声がほとばしり出る。一瞬、ビクッとなった秀之だったが、押し寄せる圧倒的な性の欲望には勝てず、そのままグイグイと押しこんだ。
ひょいと交接部を見た秀之は仰天した。姉の秘唇が裂けるのではないかと思うほど大きくひろがり、欲望のいっぱい詰まった肉のこわばりを呑みこもうとしていた。
「うううーッ」
沙由里の表情の歪みは、先ほどまでの快楽のもたらすものとは明らかに違い、どこかに恐怖の影があった。だが、気丈にも沙由里は耐えているだけでなく、両手で強く弟の腰肉をつかみ、自分のほうへ引き寄せた。眼尻には、苦痛からくるのか、あるいはまた別の理由からか、涙が光っていた。
「おねえさんッ」
むしろ悲痛な声を出したのは秀之である。
「よそうよ、もう……」
その時だけ、沙由里はためらったが、今こそ敏也との結婚にまつわるもろもろの思惑を断ち切る時だとばかりに、もう一度、強い力で秀之を抱き寄せた。
いったんは、その侵入を躊躇したかにみえた肉棒は、抵抗を排除して、秘肉の中にゆっくりと没していった。その瞬間こそ、処女膜の破瓜を告げる時でもあった。
「あ--ッ」
悲痛な叫びが秀之の耳もとでした。しかし、秀之を抱いている力は衰えるどころか、かえって前より強くなったようだった。
沙由里は何かにすがっていなければ、股間を襲った痛みに耐えられそうもなかった。夢中で弟にしがみついた。激痛を感じているにもかかわらず、股間の柔肉は初めて迎え入れた長大なものをしっかりと包みこんで、無意識のうちに蠢動した。
「ああ……ああ……」
沙由里が声を必死で押し殺すと、今度は秀之が呻いた。あまりの心地よさにである。本能とは器用なものだ。秀之は覚えたわけでもないのに、ぎくしゃくと腰を動かした。じっとしているより、はるかにいい気分である。大好きな姉とひとつになったことで有頂天になったのは言うまでもないが、グイグイと突きあげてくる性感の素晴らしさに酔いしれた。
「おねえさん、ありがとう。おねえさん……」
半分、その声は泣いていた。分身が女陰におさまってから一分もたたないうちに、弟は全身を硬直させて柔らかい姉の体にしがみついた。沙由里の胎内におさまった肉棒がにわかに膨張するのを感じた瞬間、肉棒の先端から、熱い樹液が子宮口に向かってほとぼしりでた。
沙由里の脳裏で、白い花がいっせいに散っていた。二人は、そのまま死んだように抱き合っていた。痛みが和らぎ、弟の大きかった分身がしだいに小さく萎んでいくのが、沙由里にはよくわかった。
しかし、沙由里がいたわるように秀之の体を優しくさすっているうちに、今にもポロリと外に出そうになったこわばりが、再び勢いを盛りかえしてきた。そのままの状態で大きくなると、勝手知ったる我が家のように、正確に膣を突き、肉壁を押し分けて、こわばりの先端が精液にまみれた子宮口にとどくほどになっていた。
「またなのね……」
その声には、悪戯っ子をなだめる母のような優しさといたわりがあった。全然痛くないわけではないが、一度目と較べると、はるかに楽であったし、気持のうえでもゆとりが生じていた。
それは上になっている秀之も同じことであった。今度は、そうガツガツすることもなく、おさまったままのこわばりを軸にして、前よりはるかに優雅に大腰小腰を使っている。体いっぱいに染み入る快感はたとえようもなく素敵で、秀之はそっと下で小さく喘いでいる姉の顔を見た。
相変わらず苦しそうではあるが、前回のような悲愴感はない。当初は処女らしい反応を示していたが、やはり初めての性行為となると、実際、相当に激しい痛みがともなっているはずである。秀之は、この時ばかりは心からすまなく思い、また、それを我慢して自分を受け入れてくれた姉に、今さらながら深い感謝の念を抱くのだった。
今も痛みに耐えているのだろうか? 秀之は、様子をうかがいながら、密着している体を少し持ちあげて、自分のこわばりがどのような形で長い間憧れていた姉の秘唇に接しているかを確かめた。どうしても自分の眼でしっかり見きわめておきたかった。
あっと声をあげた。それまで眼を閉じていた沙由里が、驚いたように秀之を見た。歪んだ弟の表情から、何か怪訝な印象を感じとったのも当然である。あまりにも秀之の顔が、現在の行為にふさわしくなかったからである。
「おねえさん、ごめんね……ごめんね」
すべてをはっきり自覚したうえで許した沙由里にとって、今さら謝罪の言葉は必要のないものだった。
「いいのよ、何も言わないで」
「だって……」
秀之が沙由里の顔をうかがいながら、また腰を持ちあげてそこに視線を向けた。つられるように沙由里も視線を落とした。両腿の内側に少し薄い色をした血が流れている。破瓜の出血であることは間違いなかった。
「いいのよ、いいの。もういいの……」
沙由里は弟の心の負担を少しでも軽くしようという配慮から、またも両手を秀之の首にまわして抱きしめた。そうしてじっとしていると、幼い頃の秀之の、異常なまでの自分に対するこだわりが想いだされてくる。大切な処女を弟に与えたことに、後悔はなかった。
父に対する資金援助のために花沢敏也のもとに嫁ぐのではない。そんな意識を強調するために弟と寝たのなら、それはそれでいいではないかと思った。
少し痛みがあるけれども、股間の柔肉が少しずつ動いているのがよくわかる。それは自分の意思とは関係なく、そこだけが独立しているかのように勝手に動いていた。
また、上になっている秀之が腰を揺らしはじめる。鼻息がしだいに荒くなって、しがみついている手にも力が加わる。
「あ……あっ……あああ……」
ああ、この子に男の性感を教えたのは私なんだ。そう思うと、いっそう愛おしさが増してきて、首にまわした手を腰に移して引き寄せた。
「あああ。いいよォ……おねえさん、素晴らしいよ。ああ、いいッ!」
腰が大揺れになると、沙由里の腰も調子を合わせるように躍動した。といっても、初体験の沙由里である。ただやみくもに腰を動かしたにすぎない。そうすることが秀之を、もっと素敵な状態にもっていけるのではないかという、沙由里らしい心使いである。実際、考えた通りだった。
姉が自分に力を貸してくれているというよりも、秀之は、お姉さんもよくなってきたから、自分と同じように動きはじめたんだと判断した。いずれにしても、二人の波長は合う方向に向かっていた。
ああ……変だわ。何かが……。
沙由里は痛みと同じように、五感をくすぐる新しい感覚を、おぼろげながらつかみかけていた。それは秀之の分身で押しひろげられた膣そのものが得た感覚のようでもあり、また、秀之の恥骨によって強く圧迫されているクリトリスが受けた疼きのようでもあった。沙由里の女唇は、何か新しい快楽を迎え入れようとしていた。今までにない別の歓迎すべき世界が、すぐそこにまで来ているようであった。
「秀ちゃん
!!
」
沙由里の呼びかけには特別な意味があったわけではない。沙由里は少しずつ自分を失っていった。ただひとつ、鋭い感覚だけが秘唇を中心に渦巻いていた。怖いような気がしたが、あえて沙由里はその渦中に身を投じた。
沙由里の名を呼ぶ秀之の声がたてつづけに聞こえたが、それは急速に耳の底で霞んでしまい、どうなるんだろうと思った時、膣は再び熱い液体で満たされた。その瞬間、沙由里の体を何かが鋭く突き抜けていった。それがオーガズムと呼べるものかどうかはよくわからない。それでも、二十三歳のしなやかな肉体は、ほんのちょっぴりであるが、ひとつのいい状態にまで引きあげられたことは確かであった。


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