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ヤブヌマ 侵食されゆく妻の蜜肌 · 第六章 一夜の真実(第二幕)

ヤブヌマ 侵食されゆく妻の蜜肌 第六章 一夜の真実(第二幕) (6/7)
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第六章 一夜の真実(第二幕)

1

画面上では、いつの間にか咲美が藪沼の上になって腰を上下させている。そのさまが正面から捉えられていた。

カット編集されているために実のところはわからないが、咲美の火照り通しの肌、疲労の色濃い表情などから、さほどの休憩も挟まずの連戦であることが窺える。

『は……っぁん、はぅ、っんっ、んんっ』

先ほど噴きつけられた膨大な量の白濁汁こそ拭き取られていたが、早くも玉の汗を浮かべた、咲美の双臀。片手に余るその熟れ尻を、藪沼が当然のごとく両手で鷲掴みし、咲美好みのやんわりとした圧でもって捏ねている。

その尻の谷間の最下層付近、未だ蜜滴らす壺穴に、新たなゴムを装着した極太の肉棒が根元までずっぽり埋没していた。忌ま忌ましきその異物が前戦よりも張り詰めているように見える理由を推察するだけでも、はらわたが煮えくり返る。

(それだけ咲美の中の居心地がいいかっ……。ドロドロにほぐした膣との二連戦がっ……。咲美を独り占めできるのが、そんなに嬉しいか!)画面の中の男は、答えない。

『うん、いいよ、アサオカちゃん、ゆっくり……ゆっくりで、いくからね……』

代わりに、あやすような猫撫で声を発して、一回戦終盤の肉弾戦ぶりから一転。蜜壺の心地を堪能するかのように、藪沼の腰が緩やかに揺らめきだす。

『あんっ。やっ、ぁ、は……ぁぁぁ』

真下からの悠長な衝撃に、咲美がまた困惑を浮かべた。しかし、それも一瞬だ。

甘く切なげな音色を隠すように、唇を噤む。凛とした振る舞いを取り戻した瞳が、きっと藪沼を睨みつける。わずかの休息の間に彼女の理性は取り戻されていた。

(いいぞ、咲美。それでこそ、君だ)

ゆえに、期待をまた抱いてしまう。──淡く、崩れ落ちるとわかっている、期待を。

直後、突如として携帯の呼び出し音が鳴った。思わず周囲を見渡すも、そもそも自身の携帯は寝室の枕元に置いてきている。防音の行き届いた書斎の音が寝室にまで届くはずもない。施錠もしてあるこの部屋に、邪魔は入らない。

一抹の不安を振り払い、再度画面に目を戻す。事の発端となった呼び出し音、その出所は、画面の内。布団脇に脱ぎ置かれた咲美の衣服の束の内より発せられていた。

『やっ、で、電話が、なっ、鳴ってます、ん……っく、やっ、あぁ、んっ』

自身の携帯電話が鳴っているのに気づいた咲美が、ことさら狼狽した表情と視線を藪沼に注ぐ。

『もう、せっかくいいとこなのに。放っておきなよ』

興を削がれた、という面持ちを隠そうともしない奴の両手が、改めて咲美の尻をむんずと掴み直し、抱き寄せる。同時に深々と蜜壺を抉り、焦らすように浅い抜き差しを重ねだす。

また、一回戦と同じ手口。

互いのことを想い合い、相手の望むところを察して与え合う夫婦の営みとは決定的に違う。心など置き去りに、女体の性感を刺激して、焦らしに焦らした末にひと際の昂りを与える、悪辣な手法。

一度の成功に味を占めた男が、自信満々の様相で、咲美に早期の決断を迫った。

『だっ、だめ、で、すっ、ってば……っ』

拒む口振りと同様に、咲美の尻は頑として動かず。まつ毛こそ震えていたが、未だ意志のこもった彼女の眼差しが、卑劣な藪沼を射抜いていた。

──藪沼のピストンが、二十数度を数えるまでは。

その間、一度呼び出し音は途絶え、ほどなくして再度けたたましい音を発しだす。

そして。

『ンッ……ふぅ、ん、んんんっ……ふ、ァ……ッ』

わずかに開いた咲美の唇が、甘い吐息を発した。藪沼の上に乗った美尻が、申し訳程度にくね、くね、と揺らぎだし──じきに、うねるような楕円軌道に変わった。唇をぎゅっと噛んで瞼も閉じた咲美自身は、まだ最小限の微細な動きをしているつもりなのかもしれない。

だが、粘膜を触れ合わせる藪沼にはもちろんのこと、尻たぶに浮いた玉の汗の動きから、視聴者にだって筒抜けだ。

『誰からか、見てごらん。挿れたままで』

彼女の焦れぶり、性感の相変わらずの高止まりぶりを確信した藪沼が、さも『僕のチンポを引き抜く、なんて選択肢は君の中にないだろう』とでも言いたげなゲスい笑みを湛えて言い放つ。

その間も浅い抜き差しは続き、都度、咲美の膣肉がきゅっと引き締まるのが見て取れた。きっと、少しでも大きなストロークを望んで、内壁も蠢かせているに違いない。結合部の隙間より染み出す愛液の量と粘りが、すべて物語っている。

(咲美は、わかっているはずだ。誰からの電話なのか)夜半に職場や知人からかかってくるとは考えにくい。そして、すでに約束の時刻を過ぎているにもかかわらずまだ藪沼の部屋に留め置かれているという状況を鑑みれば。

(僕からの電話と、気づいてて……っ)

それでも、藪沼の剛直を股肉で抱き締め、離さない──離せないでいる。

『そのうち鳴り止むよ』

『いっ、やはぁっ、あっ……んっ、ふぁ、あぁぁんっ』

藪沼の囁きにイヤイヤと首を振りながら、咲美の腰もまた乞いすがるように左右に触れ蠢く。

それを見届けたように、携帯電話の呼び出し音が途絶えた。鳴った回数は、夫の記憶の中のそれと合致する。

『さぁ仕切り直しっ。だねっ』

『あっ、だっだめっ、そんな、強っくぅぅっ』

喜々と藪沼がピッチを上げた。口で拒みつつも、咲美はしっかり対応し、自ずから腰のリズムを合わせだす。内心では待ち望んでいた刺激の到来を、声にできぬ代わりに、膣の締めつけという形で相手に伝え、彼女の唇は、隠しきれぬ悦びに綻んでいた。

『ほらっ、当たるでしょ? アサオカちゃん、ほらっ、ほらっ』

藪沼が、待たせたお詫びに、と囁いて、これまでより一段だけギアの上がった腰使いで膣洞を掘り始める。

『はっひ、っあ! んァッああああァッ……!』

艶めかしい安堵の微笑に彩られた唇が、心行くままに嬌声を吐き紡いで応じた。

鳴り止んだ携帯は以後一度も顧みられなかった。

『これが欲しかったんだよねっ、ねっ?』

見上げながら、腰を跳ね上げる藪沼が問いかける。

『ふっうぅ、ぁっひあっ、あんっ、あっあはぁぁあっ』

咲美が、うっとりと惚けた瞳で藪沼を見つめた。恥ずかしがり屋の咲美が夫との性行為中にもよくする仕草。無言の催促。藪沼に、より激しいピストンをねだっているのだ。

もどかしそうに、けれど嬉しげにくねり続ける牝腰のさまからも、それは明白。ずるりと抜け出る藪沼の肉棒、そのピンク色のゴムに包まれた幹が大量の咲美の蜜で濡れ光っていることからも。その幹にすがるように、サーモンピンクの膣粘膜が吸着したまま引きずり出されていることからも、疑いようがない。

「いい、のか……咲美も、そのチンポが……そんなにっ……」

尽くことのない嫉妬が、自慰射精したばかりの肉根に注入されてゆく。手中のぬるつき、床に散らばる白濁をぬぐう意識すらなく、再び上下に扱き立てる動きを再開させた。竿に響く喜悦の痺れと、胸に響く痛切な疼きとが混ざり、また、忘れじの快感が錬り上がってゆく。

(きっともう……これから逃れることなど、できやしないのだ。ならせめて……)咲美を愛していればこそ生じるものなのだから。味わい尽くさなければ。

(それも含めての僕なりの愛、だから……)

歪な妄執とつき合い続ける覚悟を定めた胸が、わずかばかりの安堵に潤う。

ぶつかる男女の肉の音と、絡まる蜜の攪拌音。爛れた息遣い、蕩けた嬌声。淫猥な諸々の音色だけが、映像の中の密室を支配する。

藪沼と咲美の腰使いに対抗するように、手淫の速度も上がっていった。

そんな時間が約七分ほども続き。

──コンコンッ!

突如響いた荒いノック音に、咲美と藪沼が揃ってギクリと身を固める。

『やっ!』

咲美の口から、悲鳴も上がった。

(……遅かった、んだな。何もかも)

己が発したノックであると知っていればこそ、痛感した。妻が嬌態に溺れている中不安と恐怖に押し潰されまいと深酒し、期待にすがって寝室へと戻り、待ちぼうけを食らって、今ようやく藪沼の部屋の扉向こうにたどり着いた、映像の中の自分。その情けなさ、みじめさ。滑稽さ。噛み締めるほどに、痛切が心臓を貫き、嫉妬が煮沸し、手の内の肉棒が喜悦のカウパーを吐きつける。

延々と鳴り響くノック音に乗って、胸の痛みと、肉棒の滾りも跳ね上がっていった。

画面の中の藪沼は、扉向こうの人物を悟ってか、緊張を解き、再び腰を回しだす。

『やっ……はぅ、く、ぅぅん……っ、い、いやっ、今は……ま、待ってぇっ』

じれったさ伴う、小さな円運動。藪沼の三度もたらした罠にまんまと嵌まって、奴の思惑通りの焦れを言葉に乗せた咲美の尻が──ペニスの動きに合わせ、ゆるりゆらゆら、くねり動いている。

『たぶん、旦那だよ』

告げられた瞬間こそ止まったものの、じきに牝尻のくねりは再開し。

『……っふ、ン……ンンッ……ン……ッ』

口に手を当てて懸命に声を殺そうとしていても、彼女の口腔からは延々と甘く、くぐもった響きが漏れ落ちた。

『出なくていいよね?』

フルフルと咲美の首が横に振れる。なびいた髪から香る匂いを嗅ぎながら、藪沼が一度だけ強く、腰を突き上げた。

『んひぃぃっ!』

迸る嬌声。それを契機に、咲美は口を閉じることも、手を当てることすらなせなくなった。

(誰より大切な咲美が、こんなにも大声を出していたのに……気づかなかった。気づけなかった……!)無力感に打ちのめされるほど、肉棒を扱く手の動きは速まった。圧を強めていなければまたすぐに吐き出してしまいそうで、一度目よりもきつくペニスの幹を絞り上げた状態での摩擦付与。常時であれば痛みが勝ったであろう熾烈な刺激を浴びながら、肉棒は際限なく、甘露の痺れを蓄積していった。

「く、ぅぅっ」

『やっ、はぁあっ』

画面外の夫と、画面内の妻の喘ぎが重なる。

『だってまだ気持ちよくなりたいでしょ?』

藪沼の囁きに首肯できないでいるものの、否定もしない。そんなところまで夫婦で共有する。

『もうちょっと楽しもうよ、ほらっ!』

藪沼が、常の図々しさを如何なく発揮してつけ入ってくる。

『あっ、ひっ、あぁ、だ……ひぁっああああ』

ひときわ強く膣奥を叩かれた咲美の背が反り返り、豊乳が縦に弾む。それを下から掬うようにして手中に収めた藪沼の、分厚い唇がニィと歪んだ。その奴の唇を、ノック音が続くドアから目を離してまで見下ろす咲美の眼差し。蕩けきり、媚びを含んだその煌めきに、今度は彼女自身気づいているだろうか。

(気づいてれば、藪沼に注ぐはずがない。照れ屋の咲美が、あまつさえ大嫌いな男になんて……あるわけが、ないんだ)夫の記憶の中にある妻であれば、の話だ。夫が引き出せなかった妻の別の顔を、藪沼が──と。意識のふちに浮かべただけでも気が狂いそうになる。その熱を糧にガチガチに張り詰めた肉竿が、雄々しさを誇張するように己が手中でしなってみせた。

画面の中で響き続けていたノック音がやむ。

(馬鹿な僕が、咲美を置きざりにして……淡い期待に情けなくもすがって……)一階のフロントへと向かったのだ。その間も藪沼と咲美が性器を擦り合わせて恍惚に喘いでいるなどとはつゆ知らず。

乳房を捏ねられ、乳首をつままれた咲美が、イヤイヤをしながらも胸に火照りを集めている。感じ入っているのを隠すため、震える唇を噤みながら首だけで偽りの意思を示しているなどとは、思いもせずに。

『アサオカちゃんのおっぱい最高ッ、マ○コも最っ高だよ! どれだけ食らっても、飽きる気がしないよっ』

吠える藪沼に、同意する。

(咲美でなければ……これほどまでに恋い焦がれ続けられる女で、なかったなら)きっと禁忌の妄執に目覚めることもなく、平穏な日常を謳歌しただろう。それだけで、満足していられた。

『はぁっ、あぁ……っ、や、ぁ……と、智ぉぉっ』

緩やかにペースを落とした反面ねちっこくなった藪沼の腰使いに喘がされながら、必死になって夫の名を紡いだ、彼女への愛しさが尽きぬゆえに。

(咲美は……事ここに及んでも信じてくれていたんだ。僕の歪な愛情を……愛する人が汚されることで、より滾る、この汚らわしい想いをっ)信じて、受け入れるために、藪沼に抱かれることを選択した彼女の決意を、夫であり発端でもある自分が受け止められないでどうする。

(記憶の通りなら、おそらく次は……)

予測した通りのタイミングで、藪沼の部屋の固定電話が鳴った。

そしてこれも予想通り。枕元という、手の届く位置に電話が置かれているにもかかわらず、藪沼は出なかった。

『だっ、だめっ、もうっ、やめっ』

不安を再来させた咲美が、また理性の側に引き戻され、拒絶の意思を訴えだす。

『そうそう、そうだっ、腰回すんだ自分で、ほら、気持ちいいでしょっ』

藪沼は意に介することなく膣壺を掘り続けた。すでに勝手知ったるといった感じで、緩やかな速度はそのままに膣奥を突き、膣壁を摺り上げ、浅い位置に出戻っては執拗に舐るように擦る。

それを受けて咲美は──。

『あぁっ、あぁっ、あぁっ』

短く唸るような響きを口腔より発し、背を反らせ、手を後ろについた体勢となって、より深い位置で常に肉棒を味わいたいと──無言の催促を重ねていた。

(僕がフロントへ行き、大浴場を探している間も、ずっと……)悔しい、とか、悲しい、とか、そんな感情も吹き飛ばすほど、画面の中の妻は背徳的な淫靡を帯びている。

また、固定電話が鳴った。二度目の、フロントからの電話。

『いいよ、積極的になったアサオカちゃん、とってもいいっ。ほらっ、ほらっ、これもいいだろっ』

『はひっ、ひっ、ん……! ああっ、あぁっ、あっ、あっ、ああっ』

ズン、ズンと音が聞こえてきそうな重たい一撃を、咲美の最奥に見舞い続ける藪沼。ニタリと緩んだその醜悪な面を、咲美が潤んだ瞳で仰ぎ続ける。

藪沼の手がにゅっと枕元に伸び、受話器を握った瞬間も、咲美は口を噤みつつ、腰の動きを止めなかった。

『もしもし』

藪沼とフロントマンとの会話が二、三、交わされたのちに、聞き覚えのある内容が紡がれだす。

『いやぁ、すみません。部屋の風呂に入ってたんで気づきませんで』

白々しい嘘を吐きながら、咲美の膣を突き上げ。

『……ッ! っ……~~ッ!』

必死に声を殺す咲美からの睨みを受け流し、あやすように腰を回しては、女体の甘美を引き出してみせ。

『それがですねぇ……』

もったいぶった物言いで通話相手を焦らしつつ、その細君である女の乳房を、空いた手で捏ね繰り、ピンと尖った乳首を摘まみ。

『ちょっと酔っ払っちゃって、気分悪くなったみたいで寝ちゃったんですよ』

また堂々と嘘を連ねて。

『もうこんな時間ですし、明日までこのまま寝かせてあげましょうよ。ねっ』

図々しくも言ってのけた。その発言内容は、奴の視線の先にいる咲美に対しても向けられたものだ。

咲美の、ぎゅっと結ばれた唇が震えだす。堪えに堪えるその口端からは、とろみを帯びた唾液がひと筋、伝っている。

『……何を今さら焦ってらっしゃるんですか?』

(……この言葉も、か。僕だけじゃなく、咲美にも向けて……今さら、もう遅いのだと。噛んで含めるように……刻みつけて)『元々この話はあなたから言い出したことじゃありませんか。第一、もう奥さんは私と情を通じたんですから。今さら、同じじゃないですか』

(咲美が持ち掛けたのだと、もう繋がった事実は消せないのだから、と……だから、楽しんでしまおうと、いうのか……っ)咲美の応答を待つことなく、藪沼は卑しき思想を即時実行する。

手始めとして、会話の合間に咲美の乳房をしゃぶり。

『ンッ、ン、ぁ……ッ、っふ、ぅぅ、っふ、ぅンンッ』

声を殺すための踏ん張りが、膣の締めつけを誘引する。そうして絞られた肉棒が、返礼とばかりに蜜壺を掻き混ぜ。グチュグチュと、浅ましくも心地の良い水音を奏でてみせた。

『……たっぷり、ジリジリしてください』

細く研ぎ澄まされた奴の眼光は、ただ咲美の焦れ悶えるさまのみを映している。電話の相手が夫であるのを悟った咲美の表情に狼狽と、怯えが奔るほどに。突き上げる奴の腰使いは陰湿なねちっこさを隠さなくなった。

受け止める側の尻が、ただ跳ね上げられるのではなく、相手の突き上げるタイミングで自ずと振り落とされ、最大限の深さで結合を果たしている。

『……ッッ、ふ、ぅぅっ……んぁっ、ァァ……んんんんぅぅっ』

涙目で、なんとか声だけはと唇を噛んで堪えている女体の股座からブチュッ、ブチュッ、と卑猥極まる音色が漏れ出でる。咲美の、心と肉体の乖離度合いを示すように。唇を噛む力が強まるにつれ、牝腰の揺れ幅は大きくなっていった。

『いやあ、最高に可愛いですよ、奥さん。ごちそうさまでした』

味わっている途中であるにもかかわらず、しれっと藪沼が言い放つ。それを行為の終了宣告と受け止めたか、咲美の目端からぽろり、ぽろぽろと涙の粒がこぼれ落ち。

にんまりと笑んだ藪沼の腰が膣の上壁を摺り上げた途端に。

『ふぐっ……ンンッ、ン───ッッ!』

右手で口を押さえた咲美の裸体が、痙攣を起こした。

時を同じく、諸々の音が通話相手に漏れ聞こえぬよう、藪沼の手が受話器を覆い塞ぐ。

(おかげで僕はこの時ものうのうと、どす黒い情欲に浸った……ままで……妄想を超える痴態が繰り広げられている最中だなんて、思いもせずにっ)藪沼からすれば、お笑い草の道化に思えたことだろう。

『まあ、もう少ししたら起こしてお返ししますので、ご安心ください。私、裸なんで失礼しますね』

最後だけ真実を語った奴が通話を打ち切るや、堪えきれずにニタァと破顔する。それを視認したのか、しなかったのか。

安堵の表情を浮かべた咲美の腰が、先んじて躍りだす。

『あはあッッ! ああ───……ッ』

まずひときわ強く藪沼の股間を尻肉で打ち据えて、甲高い鳴き声を轟かせ。

『んひっ、いはああっ、だ、めっ、あァ……ンッ、だめぇぇぇぇっ』

我慢した分を取り返すように、小気味のよい回転で牝腰が上下に弾むたび。彼女の汗と蜜とが四方に散った。画面越しにも伝わるほど、藪沼と咲美の肌の間、周囲には淫猥な匂いが立ちこめている。

『はっは、自分から腰振っておいて、だめはないだろう!』

可笑しくて堪らないといった様相で、藪沼が腹を揺すった。その直後から奴の腰の突き上げもヒートアップする。クリアピンクの避妊具に覆われた肉の幹が、抜き差しの合間に覗く。汁気を含んだその肉幹は、常に脈動して喜悦のほどを見せつけた。

『ほらっ、ほらっ、ここだろ? もうアサオカちゃんのマ○コの中は隅々まで探検しつくしちゃったからねっ、弱点も全部っ、身体で覚えてるよっ』

膣の上壁を、エラ張り亀頭で

梳

るように擦りながら。先ほどまで受話器を握っていた手で、充血して小指の先ほどに膨れ上がったクリトリスに触れ、クリがすでに纏っていた咲美自身の蜜汁を、くるくると摺りこんでゆく。

『あっ、ひっ、ひゃぁぅっ、うぅ、やっ、だァァッ、やひゃああああっ!』

嫌だと口では言いながら、感極まった涙声を迸らせる。咲美はもう、声を殺すことはおろか、イヤイヤと首を振ろうとすらしなかった。

(……もう、限界が近いから。ここまで耐えた咲美を責める資格は、僕には……)あるはずがない。そもそも責める気持ちが湧いてこなかった。

代わりに、卑しい情欲が、熱と鼓動と化して肉竿の内を駆け巡る。

今すぐ、咲美を抱きたい。元々の発端となった激情に憑かれたが──画面の向こうで他人に抱かれている妻を凝視するのをやめられず。限度一杯に喜悦を溜めこみ爆発間近の肉竿を、己が手で扱くこともやめられない。

『いいよ、締まってるっ締まってるっ……めちゃ締まってるよアサオカちゃん!』

一度の絶頂を経て極上の蕩け具合となっている膣穴を、思うさま堪能する藪沼との状況差を、恨めしくも愛しく感じずにいられなかった。

奴よりも長持ちさせるとの思念にも憑かれ、ただひたすらに自慰に耽る。

『ああ……ッ、だっ、ひひゃあっ、ぁひっ、いぃぃっ! いっひゃぁぁううっ』

咲美が、腰をせわしなく振り立てながら、不明瞭な響きを吐き出した。けれど、口の動きから判別できる。たった今、妻は「イッちゃう」と、先刻藪沼に仕込まれた通りに果てる宣言をしてみせたのだ。

『いいぞ、思いっきりイくんだっ! もう我慢しなくていいんだよっ』

誰も見てない。僕と二人きりだからね──そう吠えた奴の口端から幾粒もの唾が飛んだ。内、何滴かは咲美の腹にも付着する。それでも、彼女は恍惚と震えるばかりだった。厭う余力もないのか、あるいは唾のヌルつきにすら感じ入れるほど鋭敏に性感を高めさせられているのか。

いずれにしろ惚けきった表情となり、藪沼に負けぬほどのよだれを滴らせた咲美の、淫猥に綻びた顔を、どす黒い獣欲を乗せた細い眼光が射抜く。そうして男女が互いに頷き、何事かを確認した。

『あんッッあっあっひッあぁッだめっいくぅぅぅっ……!』

『いいよっ、イって! 僕もじきにっ、このままっ、ゴム越しだけどアサオカちゃんの中に出すからねぇッ!』

(二人揃ってイけるタイミングを……計ってた、のか?)藪沼の宣言にただ頷くばかりの咲美を見るに、そうとしか思えない。突き上げられて上下に激しく揺れているのが頷いたように見えた、などと言い張れるほどの、妻に対する幻想は残ってはいなかった。

「はぁっ、あぁぁっ……!」

自慰に励む手中で、みじめな肉竿が強がるようにうめき、弾んだ。内に迸り続けている熾烈な痺れを、白濁色の蜜に乗せて噴き上げたいと、繰り返し繰り返し訴えかけてくる。それでも、藪沼より先に果てるわけにはいかないという意地が、きつい締めつけとなって、噴射口のすぐ手前にまで迫り出てきた喜悦の塊を押しとどめる。せき止められた塊が一層女々しく竿内部から脈を打ち鳴らし、狂おしいほどの甘露を味わわされても、意地が頽れることはなかった。

そうして、泣き出したくなりながら見つめる先で。

『ひぃあっああッ、いぐ、いぐっ、いぐううぅぅぅぅぅっ!!』

少しの堪えもなく、肉体の求めるがままに叫び散らし。反らせた背を、つい立て代わりの腕を、ピンと張ったつま先から汗だくの腿までを、へそ穴に汗を溜めた腹部をも痙攣させて。咲美が、二度目の絶頂を極める。

引き攣れは当然、肉棒を呑み食んでいる膣内にも伝染し。

『んほぉぉぉっ! 搾り取れっ、咲美ぃぃぃぃっ!』

目一杯に押しこまれた藪沼の腰が、ぶるり、ぶるぶる。断続的に震えた。

オルガスムスの渦中にある膣肉の蠢動。止め処もなく溢れる汁から醸される、うだるような熱。すがるように吸いつく襞肉の愛おしさ。すべてを味わい尽くしながら、藪沼が射精する。

『ひっあ! ああっ! ひっ、いっ、んっ、んんんんんっ!』

避妊具越しにではあっても鮮烈に伝わる牡汁の勢いと熱量を受け止めて、膣壺が負けじと喜悦の震えを放つ。進言通りの絞りを得られた剛直と、その根元に備わる玉袋とが喜色満面、脈動した。

一滴残らず、咲美の中に注ぐつもりなのだ。直感してすぐに、手淫に耽っていた智もまた最大限の悦波に見舞われる。

(嫌だッッ!)

藪沼に注がれる咲美を見つめながら、射精する。そんな無様を曝すくらいならと、歯を食い縛り、それ以上のきつさで肉竿に絡めた五指を引き絞る。そうしてすんでのところで悦波をやり過ごし、暴発を回避した。

時を同じくして、待ってましたとばかりに上体を起こした藪沼が、咲美の上半身をも抱き起こし、引き寄せる。

『う、んッ……んっ

!?

ん───っ』

絶頂さなかで震え通しの、唾液に濡れた咲美の唇を、奴の分厚いそれが覆い、吸い立てる。不意打ちのキスに、画面内の妻と、画面外の夫、双方共に、目を見開く。

咲美とは特に約束していたわけではない。

しかしそれだけは不文律だと、信じていた。

(キスだけは。身体は許しても、キスだけはないと……)不意を打たれて防ぎきれなかったのだ。藪沼の卑劣さをなじりこそすれ、咲美を責めるのはお門違いだ。頭ではそう思えても、防波堤を突き破られた心が受け入れられないでいる。夫婦生活の中で築き上げてきた信頼が、砂上の楼閣のごとく崩れ去ってしまったのを知覚して、涙が後から後から溢れ出た。

濡れた眼で見つめる画面上では、咲美の舌が、貪るように吸われている。絶頂直後の忙しのない脈拍と、接吻による息苦しさが相乗し、訪れている切迫感に耐えかねて、怯えるように縮こまる咲美の舌先を、擦りながら藪沼が啜っていた。

そのまま舌を絡め、唇をしゃぶり尽くし、繋がった彼女の口内に唾液を流しては掻き混ぜ、そしてまた舌を吸う。

飽くことなく咲美の唇を蹂躙する藪沼の腰は、なおも突き出されたまま。咲美の膣内にペニスを根元まで埋めて、おそらく一度目と同様の濃度、密度を保った白濁色の種汁を、膣内に放ち続けている。

咲美は──抗わなかった。うっとりと惚け通しで、尊い唇を、生殖器官をも差し出してしまっている。

それは、藪沼の長い吐精が終わり、引き抜けた男根から外されたゴムの中にたっぷり詰まった白濁汁を、欲するように咲美が見つめた、その瞬間も変わらなかった。

2

忘我の境地で、なれど自慰の手だけは休めず動かし続ける男の見つめる先で、また場面が切り替わる。

粘膜が擦れ合い、愛液を絡める、卑猥な音色が響いてくる。

『ふぅ~~~っ』

えびす顔で溜息をつく藪沼が、敷布団の上に腰を下ろし、両の足を投げ出していた。

その間に寝そべった咲美の、まだ濡れた唇が、藪沼の股座へと接着している。

剥き身のペニスにフェラチオする咲美と、それを受けて恍惚とする藪沼のさまが、右側面から映し出されていた。

「それは好きじゃないって……言ってた、ろ……咲美ぃっ」

切なく漏れた夫の声が画面の内の妻に届くはずもない。

ゆっくりと上下する口元からまたも、ずぞぞ、と卑猥な音が響き渡る。そのリズムに乗って、咲美の背筋が震え、溜まっていた汗が滴り落ちていく。布団の上で潰れている彼女の乳房が、唾を飲むタイミングで、やはり汗をこぼした。

『そうそう、もっと吸い上げてくれるかな』

『ふもぉっ……うぅ』

咲美は眼を閉じ、肉棒を頬張ったままでわずかに頷き、藪沼の指示に従う意思を示す。眉尻を垂れ下げ、まつ毛を震わせている様子からは、ひと時の我慢と引き換えに行為を少しでも早く済まそうとの意思も透けて覗く。

──が、頬をへこませて目一杯吸引する姿を目に留めた瞬間。妻への憐憫も、哀切もあえなく霧散した。

『ん……ぢゅ、ぅっ! ぢゅっ、ぢりゅる、ずぢゅぢゅうぅっ!』

まるでひょっとこのように突き出された咲美の唇が、頭の前後運動に合わせて、めくれ上がり、また吸いつき、染み出た己の唾ごと啜っては卑猥な響きを吐き落とす。

男の性感を引き出すためだけに顔を崩すさまは、滑稽でありながら、底抜けに淫猥だった。一度見たら二度と記憶から剥がれないだろう、その表情を浮かべた妻を、今初めて、画面越しという形で目にしている。

哀しむべき状況で、ひと際昂揚した肉の竿が猛り立つ。まだ何発でも放てるというように、画面内でしゃぶりつかれている逸物に対抗するように、卑しきペニスはさらなる刺激を渇望した。

(咲美のあんな顔、僕はさせたことがない。してもらったことが……ない)フェラチオをしてもらったこと自体はあった。でも、本当にチロチロと軽く舐める程度。咥えるといっても、軽く口の中に含み、唾液で湿らせてくれるのが精々だった。

咲美が頑なに夫に示すのを嫌がったそれを、藪沼が、ただ咲美を性欲対象としてしか見ていない男が引き出してみせた。

認めたくない現実が、一度はやり過ごした悦波を再来させた。再び、先刻以上のけたたましさで鼓動する肉竿を握り締め、扱き立てる。駄々漏れの我慢汁を潤滑油とした手淫摩擦は、よりスムーズに、肉幹を磨くような動きを実現させた。

『久しぶりっていう割には上手いねぇ。これは旦那さんに感謝だ』

(違う! 僕じゃない。僕じゃ……じゃあ、誰……が)候補たりえる人物は、一人だけ。

(僕よりも前に、咲美とつき合った唯一の男。……大学時代の、彼氏。そいつが咲美にフェラチオを……一から、仕込んで。そいつも、咲美のフェラ顔を好き放題に楽しんだ、のか……?)顔も知らない男にまで劣等感を抱かされ、一度は止まった涙がまた溢れ出す。そいつに散々仕込まれたことで口唇奉仕を厭うようになったのだろうか。

(もし、そうだとしたら僕は……)

憐憫が先立つがゆえに、今後もフェラチオを請えない。

咲美と肉体関係を持った男三人の内、もっとも長いつき合いである夫だけが、終生、本気の口淫奉仕の味を知らずに過ごすのだ。

『おぅ、ふ、おっ……ふっ……あぁ。ほんっと、最っ、高だよぉぉ』

蕩け眼の藪沼が耽溺している、その味を。

画面越しに見る限り、苛烈な性的昂奮をもたらすそれを。

妻を想えばこそ、我が身で味わえない。

『ふごっ……! んっ、んむっぢゅうううっ』

画面の中の妻が首を傾ける。上向いた彼女の右頬が、含んだままの男根に内より突き上げられ、ぼっこりと盛り上がっていた。そのまま咲美の頭が前後、上下に振れ動き、右頬も、凹と凸、交互に目まぐるしく様変わりする。

『おぅっ……しかし、仕込まずに済むのも良し悪し、だな。なんとなく物足らん』

喘ぎながら贅沢をほざく藪沼に、咲美の睨みが向く。薄く開いた彼女の瞳は、未だ先刻の交尾の余韻を、潤みを宿したままだ。

『おっと、ごめんごめん。それだけアサオカちゃんの全部を僕色に染めてみたいってこと。愛ゆえにってことで、許してよ。……ね?』

気味の悪い猫撫で声で臆面もなく告げながら、咲美の頭を撫ぜることで許しを請う。咲美は鼻で嘆息すると、また奉仕に没頭するべく、目を閉じた。

諦めを纏った女の喉が鳴る。口中に溜まった唾と、剥き身のペニスから滴る先走り汁との混合液を嚥下したのだ。愛しき妻の胃袋へ、忌まわしき男の分泌液が落ち、染みてゆく。咲美の身体の一部となって息づいているのだと思うと、嫉妬を凌駕する昂揚が、手淫に耽る肉竿に漲る。

出し入れの際に垣間見える藪沼のペニスに、先刻の情交の痕跡はまったく見当たらない。藪沼の性格と、セックス後すぐにフェラに及んだ流れとを勘案すると、自然と一つの答えにたどり着く。

(咲美に、舐め取らせたんだ、全部っ……。あのこってりとした種汁が、フェラに勤しむさなかにも咲美の腹の中を泳ぎ回って……っ!)吐き気を催さずにいられない。なのに、一層硬く猛った肉竿と掌との摩擦がもたらす電撃めいた痺れが、罪深き夫の脳と、心と、股間を焦がしつけてやまない。焦土と化しながらも未だ麻痺せぬ痛みと甘露に憑かれて、無様な自慰を敢行し続ける。

『ぇはっ……はぁ、は……れぢゅぅぅぅぅっ』

ようやく咲美の口より吐き出された藪沼の肉棒が、ホカホカと湯気を立てていた。その幹へと間を置かずに吸いついた舌が、亀頭目指して滑り這う。舐めながら啜る猥褻音が、またも咲美の唇と藪沼の肉棒との接点より轟き渡った。

その音色にまで炙られて、見入る瞳から涙を、開けっ放しの口からよだれと吐息を落としながらの自慰が続く。

「咲美……咲美っ、咲美ぃ……っ」

妻の名を呼びながら、みじめを噛み締めるほどに、掌に擦れる肉竿の内に巡る喜悦の量が増してゆく。咲美に対する恋慕の深さを再認識しながら、自傷さながらの自慰に没頭する。他者から見れば理解不能な行為に違いないと思う一方で、だからこそ魅入られている己を痛感せずにはいられない。

そんな男を嘲笑うかのように、また咲美の携帯電話の呼び出し音が鳴った。

『っふ、っ

!?

』

藪沼の逸物を根元まで頬張った状態で、動きを止めた咲美が狼狽える。

それを目にしていながら。否、目にしたればこそ、藪沼はさっと伸ばした手で携帯を取り、許可もなしに通話のボタンを押した。

(きっと最初から。僕からまた電話がかかってくるのを見越したうえで、携帯に手が届く位置取りをしていたのだ)卑劣な男が口の動きだけで『出て』と咲美に語りかけている。咲美は首を振って拒絶の意思を示したが──無理に握らされた己の携帯をどうにもできず、結局は恐る恐る耳に宛がう。

『……もし、もし……』

咲美の震え声が受話器越しに夫に届いたのと同時に、藪沼の口がまた大げさに動き、ある言葉を無声で表現した。

『……と、智……っ』

咲美は奴の指示に従うことなく、夫に、助けを請うような声音を、掠れ、震えながらの響きを発する。

(この時の咲美は……受話器の向こうで、不安のあまりに怒鳴りつけるような声を発した僕に、何を思ったのだろう)涙目を、藪沼の陰毛の茂みに埋まらんばかりに伏せている様子から窺う他なく、そうすると嫌でも、雄々しく反り返った奴の逸物までもが視界に割りこんでくる。

続けて──三度重ねての要請にも咲美が動くそぶりを見せないでいると、藪沼の目の色が変わった。悪巧みを楽しむように、逸物までもが喜々と弾む。

「……ッッ

!!

咲美ッ……気づいて、ないのか? 奴の手がっ」

通話に意識を傾ける咲美の傍らを行き過ぎて、そろりと近寄った奴の左手が、もじつき通しだった牝尻の谷間に這うや、一気に滑り入った。

不測の事態に、咲美はどうにか声こそ堪えたものの、揺らぎだした尻を制御するまでには至らない。当初は抵抗のためだった尻振りが、藪沼の手がもぞつくたび、わずかずつ卑猥なくねりを帯びてゆく。

藪沼を睨みつけていた咲美の顔に、羞恥と恍惚の火照りが差しこみ。

『智っ……』

そのまま、再度夫の名を口にする。

(この時、僕はただ鸚鵡返しに問い返すのみだった)状況を知っていれば。もっと他に何かできただろうか。しても詮無い仮想に気を取られたのも、束の間。

『い……いいの……』

諦めるようにまた目を伏せた妻が、藪沼の手指に尻の内側の肉と、たぶん、尻穴までも穿られて、切々と腰を震わせる。そうして、堪りかねたようにまつ毛も震わせたのち。赤舌を静々と、黒ずんだ肉幹に添わせた。

『う、んっ……も、もう少ししたら、も、戻う、はら……』

(そう、いう……こと、か……あの時、咲美の声がくぐもっていたのは)藪沼のペニスに奉仕しつつ、会話していたから。

唾たっぷりの舌腹でベロリと大胆に肉幹を舐り上げておいて。

『……も、戻る、から……』

言い直した声音にも、粘っこい響きが染みついている。藪沼のこぼした先走り汁がちょうど幹を伝い滴っていた。それを当たり前に舐り取り、咀嚼していたためだ。

受話器越しにそれを聞いていた夫が、不安と恐怖に憑かれてひと際声を荒らげる。それを受けて哀しげに瞬いた妻のまつ毛が、藪沼の陰毛と擦れ合い、互いにくすぐったさに目を細めた。

『だ、大丈夫……す、すぐ戻るから……』

まったく大丈夫でない涙声を響かせる。

その間も、咲美は藪沼の逸物の幹を舐り上げ、滴る我慢汁を胃に収め、空いた手で奴の玉袋を揉みこみすらしていた。

『ご、ごめんね……』

(そういう意味で謝ってたのか? 心配かけてるからじゃなく、今まさに不貞を犯していることを、それを甘んじて受け入れているからこそ……僕に)気づいて欲しかったのかもしれない。

その咲美の鼻先に、藪沼の我慢汁滴る亀頭がぶら下がる。腰をわずかに引いて、奴自らの意思で見せつけられたそれを、涙の溜まった瞳で凝視して。

『ごめんね、ほ、本当に戻るから、部屋で待ってて……』

焦ったような口振りで、咲美が通話を打ち切りにかかる。

じゃあ、と告げた直後にはもう、妻の舌と唇は間近の肉凶器へと捧げられていた。

「……ッ、ぁ……ッッ

!!

」

途中から擦るのを忘れていたにもかかわらず、通話が打ち切られた瞬間に手中の肉竿が暴発する。噴き上がるのではなく、ひり漏らすといった感じで、情けなくも漏れ滴った白濁のぬるつきと温み。映像の中の藪沼が放った射精は二度とも、こんなものでではなかった。

「ち、くしょう……っ! どう、してっ……」

付随した悦の波も、悠長で、波圧自体物足らない。果てたというのにひと際の焦燥と屈辱がはびこり、それを糧として肉竿がなお伸び上がる。

一向に萎える兆候を見せない己が股間を蔑みつつ、ぎょろりと血走った目でノートパソコンのモニター上に映し出される男女の動向を窺う。

そこではすでに、三度の性器同士の結合が成されようとしていた。

3

『そうだ。せっかくだから旅行の記念に、浴衣を着てよ』

藪沼の提案を、忘我の面持ちで聞いていた咲美。その肢体がのろのろと、手渡された浴衣に袖を通してゆく。

『あ。下着はもちろんなしで。前も、はだけたままでいいからね』

言いつけ通りの着こなしで、じかに浴衣に覆われた乳房の突端部がツンと尖り盛っているのが嫌でも目についた。もじつき通しのヒップも、浴衣が汗で張りついた分余計に淫蕩の丸みを強調している。

咲美は、男に肩を押された瞬間こそ、ぎゅっと股を閉じるそぶりを見せたものの。

『ふぁッ』

仰向けに寝転がった矢先に下腹を萎えしらずの剛直に打ち据えられた途端、ビクンと大きく跳ね弾み。二度、三度と逸物が鼓動を伝えた時点で、妻の汗ばむ腿から先が敷布団上に投げ出された。

『ね、アサオカちゃん、お願い』

藪沼がフェラチオで必要以上に温まった剛直を、抜身のまま女陰へと宛がう。

「なっ……! やめろっ!」

『……っ

!?

いっ、いやっ、やっ』

画面を見つめる夫と、その先に映る妻。夫婦の驚愕の声が、重なって迸る。

『いいじゃん、ねっ、ほら……先っちょ……入れちゃうからねぇ……』

久方ぶりの明瞭な抵抗をも楽しんで、にんまりと笑んだ奴の腰がわずかに押し出された。

『ふァッッ!』

幾度の絶頂によって蕩けほぐれた、先ほどまでのフェラ奉仕で昂ってもいた女の秘裂が、さしたる抵抗も見せずに、亀頭を雁首部分まで受け入れてしまう。喜悦のしるしである蜜汁が、ジワリ、ジワジワ、膣口から押し出されて染み溢れている。それがそのまま咲美の心情であるように思えてしまい──。

『ぜったい、外に出すからさっ』

決定的な台詞を藪沼が吐いた瞬間。手淫を忘れた右手がデスクを叩く。

奴は、藪沼は生で──避妊具なしで咲美との結合を果たす気でいる。

「ふざけるなっ……そこはっ。それだけはしないと……誓約したじゃないかっ」

──必ずゴムはつけると。だからこそ僕は承服した。それを裏切る真似を、よくも。

──奴が約束を守る奴じゃないと、知っていただろう? そのうえで承服したんだ。こうなるのを、心のどこかで期待して……。

(この期に及んでまだ……僕を苛もうってのか)

衝動、煩悶、慟哭。瞬く間に移り変わる心模様に翻弄され、ただただ映像の中の男女を食い入るように見つめることしかできなかった。

『ねっ、お願い、絶対約束するから』

『やっ、やっ、あ……』

またわずかに正常位で覆い被さる藪沼の腰が沈む。逃げ場を求めて、咲美の身体が敷布団の上を右往左往する。その儚い抵抗さえ、のしかかる藪沼の重みに阻まれて、じきにままならなくなり。

『そのほうがアサオカちゃんも気持ちいいよ、マジで。絶対内緒にしとくからっ』

決して奥に突き入ることなく、浅い位置での、緩やかさをも保った、焦らす気満々の律動が、始まった。

『だっ、めっ、そっ、んっ、ああっ、やあああっ』

咲美の両の手が、藪沼の胸を押し剥がそうと懸命に足掻いている。一方で、投げ出されたままの彼女の両足は、ただ震えるばかり。

藪沼の手で大きく前を開けられた浴衣から、こぼれ出た双乳。足掻くたび弾むそこから、溜まった汗と熱が放散されている。

『ねっ?』

勃起し通しの乳頭を指腹で摘まみ、捏ねながら、藪沼が腰を振るう。時折膣口を掻き混ぜる動きを織り交ぜて、勝手知ったる蜜壺内を好き放題、エラ張りの亀頭で摺り上げ、奴は喜々と腹を揺すり、腰を振るい続けた。

『そっ……んっ、なっ……あァ……ッ!』

『いいよねっ?』

また、一歩。逸物が膣壺に埋まった。すでに三分の一ほどが埋没した状況で、それより先に一気に侵攻することなく、抜き差しされるたびにべっとりと蜜を纏う幹を誇らしげに見せつけて、焦らしのピストンが続行される。

『嫌なら……抜いちゃおっか』

不意にそう言い放って、藪沼が腰を引く。ずるりと大半抜け出た肉棒が雄々しい脈を打ち放つ。

『やっ……ひッ、あァ───ッ……!』

一気に引き抜かれた際、嵩高の雁首に強かに擦られた。その衝動に否応なく喘がされた咲美の顎が上がる。ずり上がっていた胴にも喜悦の痺れが巡り、逃走の動きを止められた。

『……どうしたいのか言ってくれなきゃ、わからないな』

一歩、また一歩。膣内に舞い戻りながら、下種男が囁く。同時に乳首を捏ねる動きも活発化し、咲美の煩悶を誘う。

『ふっ! うぁ……、あ、やぁぁ……』

なお耐えようと懸命の彼女が首を横に振る。敷布団上に投げ出された彼女の両足が、シーツを引きずりピンと突っ張った。そのさまは刺激に耐える準備とも、甘受しようとしていることの表れとも受け取れる。

『嫌なんだ? じゃあ……』

一気に三歩分。藪沼の腰が引け、剛直が抜き出された。

その瞬間にも、咲美の首が、おそらくは無意識のうちに激しく左右に振れた。

『じゃあ、いいんだねっ?』

ズッ、と強めに藪沼の腰が押し出される。同時に奴の指が、咲美の左右の乳首を抓るように強く摘まんだ。

『ちっ、違っ、あっあぁぅっうううっ』

咲美は、胸と股とを同時に見舞った甘苦しい痺れに呑まれてしまい、拒否の言葉を明朗に告げられず。その間にズブズブと、逸物が半ばほどまで膣壺への侵攻を果たす。

(咲美は……耐えられると、思うか?)

──思いたい。信じたい……けど。

──思えない、な。

切にすがった自問に、無碍な自答が返される。

諦観を伴わぬ確信が、望まぬ昂りを肉の竿に孕ませた。知らず知らずのうちに、再び握ってしまうほどの、苛烈で卑しい疼きが、擦り立てるにつれて、倍加する。

『もうここまで入ったんだから……いいよねっ? ねっ?』

『やぁ……あっ! ま、待っ』

待ってと、告げる時間すら咲美には与えられなかった。

藪沼の腰が目一杯、迫り出してゆく。

『ンヒッッ

!!

』

先走りのつゆでぬるつく亀頭に、膣奥をぶたれた途端。嘶く咲美の瞳から涙が、貫かれた蜜壺からは、とろみの強い蜜が滴った。

『ほらっ? あったかいでしょ、チンチンの熱、わかるよねっ?』

『やっ! やぁぁぁっ』

子供のように首を振る咲美を見下ろして、奴が意地の悪い笑みを浮かべている。

『ほらっ、ほら、ほらほらぁっ』

『ンッ……! 嫌あっ、やめ……んヒィッ、や、ぁんっ、ひんっあっああっひッ!』

とうに準備万端、蜜たっぷりの状態で待ちわびていた膣壺を、速い回転で肉勃起が行き来する。

『あぁ……最高っ! 生だから、アサオカちゃんのオマ○コの中全部っ! よぉっくわかるよっ! きゅんきゅん締まる感じもっ、ドロドロの蜜が襞のうねりに乗って絡みついてくるのもっ、奥を突いてやると……っ』

『あああぐッッ、ひあっあっあ───っ!』

『もっとして……って子宮の口がキスしてくるのもねっ!』

藪沼の告げる猥褻極まりない膣内の有様。奴の言葉通りに突き上げられて嘶く咲美の、喜悦に震える下腹。そこにのしかかる男の腹肉がぶつかってまた、甘く蕩けた嬌声が妻の口より噴き上がる。

快楽のサイクルを、映像の中の男女が共同で生み出しているのだと思うと、手淫の手が止まらない。

不意に咲美の耳元へ顔を寄せた藪沼が、聴き取れぬほどの小声で何事かを囁く。

『い、いやっ、そんなっ……こと……っぁ、ひっ、や、やああっ、んっぐぅぅっ』

要請を拒絶する咲美の尻を、藪沼の両手が抱き留め、引き寄せ、ぴっちり隙間なく互いの股間がくっついた状態から、刺激する。藪沼自身の腰が八の字回転をしたのはもちろんのこと、掴んだ咲美の尻にも奴は同じリズムで動くことを強制した。

『お願い、言ってよっ』

痺れるような愉悦に悶絶する咲美を見下ろして、藪沼が言い募る。

『いっ、言えませっ』

『お願いっ!』

そしてまた、エラ張り亀頭で膣内を捏ね回す。さらに今度は彼女の両乳に舞い戻った指で、乳頭をやんわりと揉む。

『はぁ……っ、ぁ、はぁぁ……っ、いやぁぁっ』

強弱を使いわけての攻めに、咲美は対処の切り替えを寸断なく迫られる。熱い吐息が断続的に漏れ落ち続けるその口端から、よだれが糸状に滴った。

『ねっ! お願いだからっ!』

『んひぃっぃぃいんっ!』

続けて二度、膣奥を摺り上げられて、彼女の全身が派手に震えた。縦に弾んだ乳房を藪沼の手に抱き留められ、優しく揉み捏ねられた瞬間から、咲美の両手が、男の背にしがみつく。すでに、生挿入を拒む面持ちはどこにもない。

咲美の肉体は、藪沼のペニスを受け入れることにもはや躊躇しない、それどころか、求めてすらいる。

(奴のテクニックが、そうさせてるのか? それとも僕が至らないから……その分を藪沼が埋めてくれるから。だから……そんなにも)夫の前では見せたことのない表情、媚態を余さず曝け出して、他人棒にしがみつくことを厭わぬというのか。あまりに屈辱的で、陰惨──なのに痛切な欲望を刺激してやまない愛妻のさまに、心も体も魅入られてゆくのがわかる。

咲美の腰使い、締めつけを真似て肉竿を扱くと、奇妙な一体感を得られもした。ゆえに、彼女の痴態を一秒たりとも逃さぬよう、瞬きも忘れて凝視する。

「明日から……もっと咲美を満足させられるよう、頑張るから……だからっ」

咲美の恥部を見定め、より深く知るために、映像を見届けねばと思う。

歪な決意を示した矢先、再び藪沼たちのいる部屋のドアを叩く音が聞こえた。

藪沼は狼狽えもしなければ、腰の動きを止めもしない。

『もっ、もう許して……っ。ドア叩いてるの、っ、たぶん、しゅ、主人ですからっ』

『じゃあ言ってよ、じゃないと止めないよっ』

『そっ、んんァ……ッ、やっ、やはぁっあぁっ、んっ、あんっあっ、ンンンッ!』

ゴツゴツと、音が聞こえてきそうなほどの強いピストンを浴びて、咲美の肢体が上下に躍った。はだけた浴衣からこぼれる胸から股下にかけてのラインを、玉の汗粒がいくつも伝う。弾む乳房からも汗が四方に飛び散り、敷布団上で乱れ広がった咲美の髪からはきっと甘い芳香が漏れ溢れている。

甘ったるくも淫猥な匂いの数々を思うさま肺に収めながら、咲美にのしかかる腰の速度がまた一段、跳ね上がった。ピストンのさなかに垣間見える肉幹は、べっとりと絡む蜜に磨かれて黒ずみを増し、いくつも浮いた青筋が喜悦のほどを知らしめる。

(この時も、なんにも知らずに、僕はドアの前で待ちぼうけを食らって……)画面を観ることしかできぬ今と違い、ドア一枚隔てた場所に立っていながら、何もしてやれなかった。人目を気にして騒ぎもせず、ただ狼狽えるばかりだった己に腹が立つ。その怒りすら、肉竿の悦の糧に転化してしまう浅ましさに、失望しながらも、扱く手を緩められなかった。

『ほらっ、言ってくれるね?』

なお飽くことなく女芯を貪る男が、小刻みに突きこみながら言い募った。

『こっ、これで、はぅっ、お、終わりに、っ、ひくぅっ、して、してくださいっ、あんっ、やっ、約束……してっ……ひぁっ、あっ、あぁ、んっ、んくふぅぅぅっ』

悦の波を幾度も被ってきた女体に、再度の限界が迫っている。ヒクつきっ放しの膣唇が、より奥へと男根をいざなうべく、うねり盛り、泡立ち溢れた蜜汁をひり落とす。

そのさなかに受諾の意思を伝えた口唇も、絶えず唾液の糸をこぼしている。

『わかってる。さあ』

腰を止めて、相手に猶予を与えた藪沼が再度の要請をした。

『……はっ、あぁっ、あぁんっ』

息を整えるのに必死で、なのに腰の揺らぎは止められないでいるがために、咲美の呼吸は一向に静まる気配を見せず、なかなか要請された発言をなせない。

『アサオカちゃんっ』

『ふっ……』

焦れた藪沼が吠え、ようやく咲美の唇が言葉を成そうとし。

『あっんあっあっあっあふぅっふ、ふくっ、んああああっ』

間髪容れずに突き上がった逸物に、何度も強かに摺り上げられた膣襞が喜々と震えた。震えはそのまま嬌声となって、ぬかるんだ口唇より噴き漏れる。

『ふっ、副店長ぉ……っ!』

それでも咲美は。愛しき妻は、職場での男の呼び名を、口にした。合わせて口唇を飛び出した舌先から、唾液が何粒も飛散する。

『そうだっ! もっと甘い声でっ』

腰の回転をまた一段速めて、見るからに昂奮を増した男が吠える。

『はひ、ひぁっあああっ、副っ、店長ぉおっ……!』

求められるがままに幾度も幾度も、咲美は上司の肩書を叫んでみせた。

『いいかっ? アサオカちゃん、いいのかっ?』

一つの欲求を満たした男からの、新たな問いかけ。

『やっ、そん……ふぁッあああひぃぃぃっ』

またも口ごもった咲美に、ピストンの洗礼が与えられる。あえなく蜜を漏らした股間が早々に陥落し、愛しむように男根を締めつけた。

『いいんだろっ? アサオカちゃんっ!』

二度目に問うにあたって、藪沼が腰を引く。

『いっ………』

焦れた膣唇がパクついて、蜜を漏らし。その刺激を浴びた男根が、また、咲美が意を決したタイミングで膣内に舞い戻ってゆく。

『いいんだろっ

!?

』

『いっ、いっ……イイッ!』

肉棒が根元まで埋まり戻った瞬間に、女の口が事実を認めた。

『もっと、ほらっ、しがみついてっ、思いっきりっ! そうだっ』

抱き起こされ、対面座位へと移行する際も。

『んはッああああっ! 副店長っ、いぃぃっ!』

角度の変わった肉槍に深部を抉られて、咲美は偽らざる感想を吐き出した。心が快楽を完全に受け入れた。それを契機に、枷のなくなった女体は露骨に媚びを示し始める。さっそく藪沼の背と首に手を巻きつけて、より強い密着をせがみだす。

『そうっ! それでいいっ! 素直になるんだっ! 自分を解放しちゃえ! そうすりゃ、もっとずっと気持ちがいいんだっ! ほらっ、続けて! どこがいいっ!?』

快楽に呑まれゆく女を誘導する言葉の尻に、また一つ新たな要求が仕込まれる。

『やあああっ』

『言うんだっ! どこだっ? アサオカちゃんの、どこがいいんだっ?』

藪沼の右手指が割れ目の上端に息づく小指大の勃起クリトリスを摘まみ、摺り上げた。そこが答えと示すように、奴の剛直が膣壺を掻き混ぜる。

奴の卑劣な行動を、助け舟と思ったのだろうか。恥じ入っていた咲美の唇が、震えながら。

『ひ、あっ! おッ、やぁあ……ひっ、あっ、ぁんっ、だめぇぇっ』

『言ってごらんっ、はっきりとっ』

囁く奴の吐息にくすぐられ、耳朶を噛まれもした咲美の唇が。

『うぅ……お、お股……です……』

従順なる涙声で、とうとう認めた。

『そうかっ! いいんだなっ? オマ○コいいかっ!』

図に乗った藪沼が下卑た言い回しで復唱しつつ、そこを小突き上げる。

『いっ、いいっ、そ、それぇッ、いぃっ、のぉッッ!』

奴の腰が躍るたびに、咲美の上ずった嬌声が大音量で響き渡った。煌めく汗を撒き散らす茶髪の下の表情に、殻を破ったことによる晴れやかさが差しこんでいる。

『旦那がドアの外にいるのにかっ?』

咲美が、叫ぶことで解放感を味わっていると踏んだのだろう。藪沼がより羞恥を煽る台詞をがなり立てる。

(咲美は恥じ入るほどに、燃える。それくらい僕だって……!)知っている。数えきれぬほどそれを活用して彼女を昂らせてきたのだから、当然だ。彼女の習性となるように育んだのは僕だ、との自負もある。

『いやっ、やっ、あひぁっ、あっ、んん、だめぇっ』

(ほら──)

夫の予測通りに卑しく悦を貪りだした女体の脚が、ぎゅっと男の──藪沼の腰に抱きついた。

『いいんだろっ』

『あッッ、いっ、イイッ』

『どこがっ。もう一回っ、僕と同じように言って! オマ○コ! さあっ!』

『オマ……○コぉぉ……っ』

一度認めたために、たがが緩んでいたのだろうか。ついに咲美の口唇が猥褻単語を紡いだ。そうして己の吐いた言葉の意味を咀嚼して、恥悦にまみれた牝腰を自ずからグリグリと蠢かす。

『ねぇっ、もう一度だけ……旦那には内緒で、会ってよ。ねっ?』

「……ッッ、何をッ」

──何を、言っているんだこいつは。瞬間湯沸かし器のごとく茹だった怒りが、さらにグツグツ、胸の内で煮え滾る。

『いっ……そんっ、なのっ。約束が違う……っ』

(そうだ。これは一度きりの……だからこそ僕も、咲美も……!)夫婦の絆を確かめ合うための行為だと、己を納得させられているのだ。その根底から覆す愚挙を、咲美に請うなどと、馬鹿にするのも大概にしろ──。怒れる夫の見つめる先で、妻は何度も何度も首を横に振る。

それを見て取った藪沼の表情は、曇る──どころか、ますます喜々とほくそ笑み。

『じゃあ……代わりにこれだけ答えて。僕と、旦那。どっちのチンチンが好き?』

(……あぁ)

最初からそこが狙いだったのだ。納得してしまうと同時に、諦観が染む。

『……それも、言えませ、んふぅぁぁっ

!?

』

言えない、と告げた時点で、答えたようなものだ。

膣内の弱い部分を執拗に、小刻みな摩擦で摺り上げられて戦慄いた愛妻の口唇が、すでに口を割ったことにも気づかずに食い縛る。

『旦那のほうがいいのかっ?』

一転して腰をぴたりと止めた藪沼からの問いかけに、『やっ』

咲美はただただ首を振る。それがたとえ「ピストンをやめないで」との願いを表す行動だったとしても、視聴する夫の肉棒の滾りを炙るに充分の破壊力があった。

『イきたいんだろっ』

何度も、何度も、必要以上に繰り返し、咲美の首が縦に振れる。

『正直に言えばイかせてやるっ』

吠えながら緩やかに動きを再開させた藪沼に対し。

『や、ぁぁ……っ、そっ、それだけはっ、だめぇぇっ』

咲美が最後の抵抗を見せた。だが、それも。

『ふん!』

藪沼の気合の入った一撃。男女の腿肉同士、奴の玉袋と咲美の尻肉とがぶつかり弾ける音色と共に、水泡と化す。

『ひゃうっ

!!

』

『絶対内緒にするからっ、今夜限りの秘密! そうだろっ? 僕だけの胸にしまっておくよっ。夜が明けたらまた、ただの上司と部下に戻れるっ。だからっ』

御託を並べた男の腰が、二度、三度、先ほどと同様の圧を伴って打ち上がった。

『ふああっああっひっ、ひやぁぁっ』

嫌、と明瞭に紡げなくなった後は、フルフルと首が横に何度も振れる。

一方で、身も心も犯そうと躍起になっている男の背と首に巻きつく手と、弾む腰にしがみつく両脚。女の四肢が、より一層熱烈に抱きつく力を強めている。

『イきたいんだろ

!?

言って! そうすりゃ、また恥ずかしくなって、堪らなくなるよっ、最高に気持ちよくなれるんだッ』

『……っ! はひぃっ、あんっ、ンンッ、でっ、でもっ、でもぉっ』

続けて藪沼の腰が八の字を描く。膣の浅い所を捏ね回されて、じれったさに喘いだ咲美の腰が、自ずから激しく打ち下ろされた。そうして故意に苛烈な挿入摩擦を得たのみならず、深い位置を攪拌されて、膣全体をうねらせる。

迫る男の亀頭が、膣壺の奥底で縮こまり震えていた子宮の口に到達し、まるですりこぎとすり鉢がごとく、息の合った動きで摺り愛で合う。

『やはぁぅっ、うぅ、いっ、いいぃっ』

『いい? 気持ちいいんだねっ、アサオカちゃんっ』

そうしてまた、もっとも簡単な問いかけから。すでに返答済みのところから段階を踏んで、咲美の心を堕としにかかる。

『はひぃぃっ、いっ、いいっ! いいっ、のぉっ』

『どこがっ?』

『おっ、オマ○コッ

!!

』

強めのピストンを浴びせられて悶絶しながらも、早々に二問目がクリアされた。

『何が入ってるっ?』

『お、おちんちんっ!』

次は焦らされる番だと気づいた咲美が、機先を制して大声で叫ぶ。

『誰のっ?』

『ふ、副店長のっ!』

当たり前に紡がれた呼称に、藪沼の鼻息が荒ぶる。その醜面が、咲美の唇に触れんばかりに接近した。

『誰の何がいいっ

!?

』

間近で、見つめ合いながらの再度の問いに合わせて、小刻みなピストン。ギュッと抱きついた咲美自らの意思で、藪沼の胸板に押し潰れた両の乳首も摩擦に興じる。

『ふあっぁぁあああっ、ふっ、副店長のっ、おちんちん、いいっ!!』

『旦那のよりっ

!?

いいんだなっ

!?

』

抉り入るような突き上げを連発で食らった膣唇が、痙攣しながら蜜汁をこぼした。内部の攪拌されっぷりをまざまざ示す泡立ちぶりの蜜汁が、男女の肉同士がぶつかる部位に滴って弾け散り、その淫臭を嗅いだ男女がより一層の腰振りを披露する。

咲美の首が何度も縦に振れているのは、突き上げられているから──それだけではない。明らかに彼女自身の意思で、首肯している。

(咲美……っ)

これまでの彼女の嬌態を見て、わかっていたことだ。それでも、妻の明確な意思となって知らしめられたことが、夫の尊厳を抉った。胸に穴が開いたような虚脱感、もの悲しさ。それらがまたすぐに歪な昂揚に成り代わり、己が男根を扱く手に熱をこめさせる。

『おおおおおおおっアサオカちゃんっ、ありがとうっ! 可愛いよっ最高だぁ!』

可愛いと告げられた瞬間に、咲美の瞳の蕩けぶりが一層色濃くなった。

次いでビグリと、浴衣に覆われた背が引き攣る。きっと男の予兆を、密着する膣壺で嗅ぎ取ったのだ。

『ふぅっ、ふふふっ、さぁっ! 良くしてくれてるチンチンの持ち主の名前っ、呼んで! 何回も、っ、イクまで呼ぶんだよっ!』

『ひひぃっ、あっああひっ、副店長っ! んおっおぉ、っンンッ、副店長ッ! んほおぉぉっ! 副店長ぉっ! 副店長ぉぉっ! んあッッ、イッ、く、イきますっ、もうあた、しっ、副っ、店長ぉぉぉ~~~っ!!』

ぴったりと息の合った腰使いで、映像の中の男女が共に悦の高み目指して駆け上ってゆく。ぶつかり擦れる結合部から弾けて散った蜜と先走りの混合液が、二人の裸身のいたるところに付着して、すぐに体熱に溶かされ、消失する。

男の優悦丸出しの上ずり声と、女の獣じみた咆哮とが一緒くたになって、視聴する夫の心を穿つ。嫉妬に憑かれ、自慰に耽る肉竿が、憧憬をも孕んで喜々と脈打った。

(まだだ、まだっ……せめて藪沼よりも持たせて、からっ……)抗う心持ちとは裏腹に、精管から尿道へ、さらにその出口を求めて、悦の弾丸が駆け上がる。荒ぶる装填のさなかにも呻かざるを得ない、苛烈で甘露な痺れがひた奔り。

「くぅぁ……っ! あっ……! あああぁぁぁっ!」

あえなく射出された種汁は、三発目とあって異様に薄く、量も極少。なのに前の二射以上に痛切な悦びが全身に波及した。種の尽きたのちも肉竿の脈動が収まらない。延々浴びせられる悦波に溺れながら、涙の溢れる瞳で画面を見つめた。

『おおっ、ふ、おおおっ、一緒にっ、イくよっ!』

『んひっィィッ、はぁひぃいっ! イッ、一緒にっ、いくうぅぅぅぅっ!』

見つめることしかできぬ男の、心臓が狂い鳴る。

それよりも速く、力強く、咲美と藪沼の腰が打ちつけ合う。

『呼びながらっ!』

『ふっ、副店長っ、いくっ、いきますぅっ、あたっひぃぃっくうううッッ!』

『おおおっ、僕もっ、出すよぉぉっ!』

同時に吠えた二人の、ひときわ強くぶつかった腰と腰が、隙間なく寄り添った状態で引き攣り。

『あひっィッあああああああああぁぁぁあッッ

!!

』

『おおっ、おほっおおおおっ、いいぞっ、搾り取れぇぇぇっ』

のけ反る咲美の背を抱いて、そのまま藪沼が仰向けに倒れこむ。感極まった二人の嬌声が轟くさなかに、画面が切り替わった。

二人を背後から、アップで捉えたアングル。結合中の男女の股座が、画面中央に映し出されている。

藪沼の上にもたれかかる格好となった咲美の火照った尻たぶが、嬉しげに戦慄いていた。その谷間に、根元まで肉勃起を押し入れている藪沼の、玉袋が覗く。そこも咲美同様に喜々と震えを発し続けており。二人共に享楽の高みへと上り詰め、未だにそれを堪能し続けているのだと、知らされる。

──咲美の中に、藪沼の体液が注がれた。

認めたくない、けれど認めざるを得ない明瞭な証拠が、白く濁った粘性種汁が、未だ緩やかに突き蠢く男のペニスに絡みついて、掻き出されている。その垣間見えた分からも、藪沼の、三度目とは思えぬ精液の濃厚さ、粘り気、量の多さが窺えた。

(床にぶちまけられた僕の精子とは段違いの、それが咲美の体内に泳いで……っ)受け入れた膣肉も、甘えるように未だ摺りつき、味わい食むように蠕動を続けている。

『はひっ、ぃっ、ぁ……ン……は、ぁぁぁっ……』

男が延々腰を震わせるそのたびに、愛妻もまた大きく身震いし、汗だくの尻がうねるのをやめないでいる。下がった目尻から涙を、開き通しの口唇からはか細くも喜色満面な喘ぎを漏らす、咲美。彼女が至福の中にあることは、間違いない。誰よりもつき合いの長い夫だからこそ、疑えなかった。

恋人時代の交わり、夫婦としての性生活。その中で数知れず見てきた過去の彼女の、どの媚態よりも、今、目にしている姿が群を抜いて艶めかしい。安息の表情とはまた違う、妖艶なる笑みを湛えた妻は、美しかった。

『最後の一滴まで、出すから……んっ……そう、搾り取って、マ○コで啜ってっ、ああ……いいよ、最高のマ○コ穴だよ……アサオカちゃぁん……』

未だ射精中であることを示す男の言動に煽られて、手淫に耽る手が止まらない。すでに煙も出ない有様だというのに、手中の肉竿が壊れたように脈を打ち続けている。

『んむぅ……ちゅ、んっふ、んふぅぅっ』

再び切り替わった画面上で、咲美は藪沼に求められるまま、唇と舌をしゃぶられて──否、しゃぶり合っている。

それを目に留めた瞬間にまた、弾切れの肉竿がけたたましく脈打ち、悦の波の高みへと強制的に押し上げられてしまう。

熱未だ冷めやらぬ男女が四肢を絡め、舌を絡め、肌を擦りつけ合いながら、ゆるゆると腰を揺すって、絶頂の余韻を堪能している。

そのさまを最後に、映像は唐突に終了した。

編集済みでも二時間余という長尺の映像を夜を明かす覚悟で見終え、三度の自慰射精も経た心身は疲弊の極致にある。

映像の中の男女と違い、自慰によるものではあったが、陶酔の余韻は未だ色濃く、卑しい股間を中心に居残り続けていた。それに浸り続けつつも、ぼんやりと後のことを思案する。

「……片づけて、寝室へ戻らなきゃ……」

彼女は、隠し撮りされていたことなど知らない。一夜の秘匿と思い曝した痴態の大半が、夫の目に触れたなどとは思ってもいないのだ。

事が知れれば、人一倍羞恥心と正義感の強い妻が、罪悪感に押し潰されてしまいかねない。

咲美に寝取られ妄想が知れた結果、事態が混迷した時のように。もう二度と夫婦の関係にひびを入れたくはなかった。

(だから……これは僕だけのもの。他の目に触れないように秘匿し続けなくちゃ、いけないんだ……)萎えぬ肉棒が訴えかけてくる。

──また、種を拵え、充分蓄えた時分に観返そう。

「ああ……」

禁忌の味から、逃れることは叶わない。知らなかった頃に戻れなどしない。この卑しき妄執と折り合いをつけてゆく他、ないのだから──。

「ごめんよ……咲美」

己の身勝手を悔いるほどに、肉の竿が疼き、反り上がる。根幹にあるのが「妻への愛情」である限り、忘れられようはずもない。

床に散った薄い精子を拭き取りながら、何度も、何度も。夢の中にいるだろう妻への懺悔を重ね、映像の内容を反芻する。

罪深き肉竿は、間もなく四度目の自慰絶頂を迎えようとしていた──。

ヤブヌマ 侵食されゆく妻の蜜肌 第六章 一夜の真実(第二幕) (6/7)
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