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菱縄:体にダイヤモンドを描く縄

日本の緊縛の視覚のなかで、純粋な幾何の美しさからよく選ばれる模様がある。菱縄(Hishinawa)、あるいは菱縛(Hishibari)だ。「菱」は日本語でひし形を意味し、この縄の核は、体の表面に連続した菱形の格子を編むことにある。英語では hishi、hishi shibari、あるいは diamond harness(菱形のハーネス)、diamond pattern(菱形模様)と呼ばれることが多い。格子が広がり、ほとんど全身を覆う形になると、hishi karada(菱体、あるいは縄衣)と呼ばれる。初心者は亀甲縛(Kikkou)と混同しやすい。違いは幾何の底色だ。亀甲は六角形の格子、菱縄は標準の菱形である。西洋語圏では菱形格子まで kikkou と呼ぶ誤りが多く、用語の取り違えとして、見た目の特徴を理解するうえで押さえておく必要がある。

見た目の魅力は、線の交差と伸びにある。縄は多くの場合、首の後ろで折り返して垂らし、胸の前で結んで最初の固定点をつくり、股を通して左右へ分け、胴の上に菱形を「描いて」いく。半結や交差の結びで一路伸ばすやりかたも、胸と腹に数マスだけ残すやりかたもある。形の幅は広く、密に編んだ縄衣にして下腹や太腿まで伸ばすことも、ゆるく残して飾りだけにすることもできる。パーティーの自撮りや漫画の挿絵では、腕はまったく自由なまま、飾りだけの菱縄も多い。拘束のない拘束が、かえって軽い色気を足す。本格的な責めに入るときは、その上に後ろ手を足す——いわゆる菱後手(Hishigote)——で拘束感を強めるのが普通だ。

実用の面では、純粋な菱格子だけでは強いロックにはならない、と押さえておく。視覚の張りと軽い圧が主だ。胸と腹に斜めの締めが乗るので、横向きの梯子状より呼吸の上下に合いやすい、と感じる受けもいる。本当に拘束するなら、格子をアンカーにして、手首・肘・太腿などの関節を格子に繋ぎ込む必要がある。股のあいだの重要な結び(よく happy knot と呼ばれる)の位置もやりとりの焦点だ。圧を効かせたい人も、飾りとして敏感なところを避ける人もいる。縛る前に確認しておく細部だ。

大衆文化や写真では、「体に菱格子がびっしり」は日本の縄縛の代名詞に近い。羞恥や色気は、隠れた見せたい欲から来ることが多い。縄衣を服の下に仕込んで外へ出る、縄で胸の線と腰を描く——どちらにも菱縄はよく効く。古い派の縄師には、左右対称できれいな菱格子は「見る」ための飾り構造であり、拘束力の唯一の基準ではない、という見かたもある。禁じ手というより味の違いを言うもので、見た目と機能の釣り合いを思い出させる。

構造の分類では、Karada(体)は体を覆う縄衣全般を指し、菱格子の Karada と亀甲の Karada がそのなかでもっとも定番の描きかただ。本稿は菱形格子そのものに絞り、六角形の亀甲との違いをはっきりさせる。受ける側としては、いくつか注意がある。首まわりは締めすぎず、呼吸と発話の余裕を残す。胸の前に結びが多すぎたり締めすぎたりすると、仰向けになったとき背中の縄が当たってつらい。股縄の圧と陰部の摩擦は、いつでも外せるようにする。長時間の飾り着用では、圧痕と血行を見る。総じて菱縄は、飾りと拘束のあいだにある形で、価値の核は模様の対称と体への密着にあり、単なる閉じ込めではない。

BDSM → Kinbaku → Patterns