日本の緊縛とSMの縄の場で、単柱縛(Single-column tie)は基礎でありながら、どこにでも出てくる結びだ。英語の直訳は「単柱」だが、ここでいう「柱」は建物の柱だけを指さない。円柱状のもの全般だ。手首一本、足首一本、太腿一本、胴の腰でもよい。場にあるベッドの柱や椅子の脚でもよい。「双柱」が並んだ二本の肢をまとめるのに対し、単柱縛は一本の円柱だけを巻く。狙いは、尾を引いたときに周長があまり変わらず、急に締め切れないカフ(non-collapsing cuff)を作ることだ。
「第一結」と冗談めかして呼ばれるのも、ほぼどの縄の場面にも出るからだ。肢をベッドの頭や吊点に固定するときも、高手小手・胸縛・股縄の手前でも、まず肢を「掴む」ために単柱を使い、そのあとの複雑な編みの荷重の起点にする。腰や太腿に直接巻いて、主荷重の輪そのものにもなる。汎用性が高いので、単柱の組み立てを理解することが、日本の縄を読む鍵になる。
単柱縛は普通の滑り結びとは別物だ。滑り結びは引き続けると輪がどんどん締まり、循環と神経を締め切ることがある。きちんとした単柱は、特定の結びの形——ラークスヘッドで始めて反力で締めるもの、方結式の正向単柱、Somerville Bowline など——によって、尾を引いても本体の輪の緩みがほぼ保たれる。日本の古典的な場面では方結式の正向単柱がよく出る。西洋の教えではラークスヘッド単柱と Somerville Bowline がよく普及している。どれを選ぶかは、結ぶ速さ、ほどきやすさ、尾をどちらへ向けるかによる。
単柱が合格かどうかは、輪の中の圧力の配りかたで決まる。輪は少し広めに、複数の縄が体内で平らに並び、手首の内側で交差して重ならないようにする。交差は局所の圧力を上げ、傷めやすい。結び自体は荷重の方向にロックし、開かないこと、滑り結びに化けないこと。手首では、結びを外側に置き、橈骨動脈と浅い神経の多い内側を避ける。よく使う確認は、指が輪に一〜二本すっと入る程度の緩みだ。
「締まらない」カフと呼ばれても、リスクは残る。多くは位置と荷重の向きによる。手首の内側は神経と血管が浅く、締めすぎるとしびれ・刺痛・力が入らなくなる。両手の単柱だけで全身の重を支えるには足りないことが多い。足首や上腕にも神経の通り道があり、かけた時間が長い、位置がずれる、角度がきつい、という条件が重なれば、「構造上は締まらない」でも傷む。相手がしびれ、針のような感覚、焼ける感じ、特定の指が動かない、ものが握れない、と言ったら、止めか調整の合図であり、「縄の普通の感覚」ではない。ほどくときは、尾が詰まっていないことを確認する。緊急時に特定の位置から鋏で切れるようにするか、尾を抜いてほどける、抜け止め付きの結びに頼る。
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