本文へ移動Skip to content跳到正文跳到正文
日本と世界のBDSM映像アーカイブThe BDSM video archive — Japan & beyond日本与全球 BDSM 影像资料库日本與全球 BDSM 影像資料庫
小説Novel小说小說

小説『亜由美』第三部 亜由美シリーズ · 第6部

小説『亜由美』第三部 亜由美シリーズ 第6部 (6/6)
前の話

「うぎぃぃぃ」

乳房の下部にそれを押しつけた。鉄棒の上に乳房がのっかっている。それを確かめるように、ゆっくりと鉄棒を持ち上げて、乳房を上に向ける。

ジューと肉の焼ける音を、安里咲は聞いてしまった。耳もふさぐ。

「がっ」

さらにもう一方にも焼けた鉄棒が押し当てられる。

「ひぎぃぃ」

乳房の重さがもろに鉄棒にかかっているので、下部の火傷のほうがひどくなっている。どちらも長さ五センチほどの傷になっていた。

柔らかな乳房の上下に、炭のような恐ろしい痕跡がつけられた。

亜由美がなにかを言っている。安里咲は慌ててそこへ駆け寄る。

「もう、やめるのよね?」

「ありがとうございました」

亜由美は男たちにお礼を言っていたのだ。

「亜由美……」

安里咲は涙が止まらない。

「亜由美が、ありがとうって……」

末土に伝える。

「わかった。次は? どうする?」

亜由美は、安里咲の小さな耳にささやきかけた。安里咲は何度か確認をした。

「次はダーツの標的になるそうです。乳房に十発、股間に十発、お尻に十発、刺さるまで続けてください」

「了解」

亜由美の顔に、溶接用のマスクをつける。そして足を自由にすると、さらに高く吊り上げた。

足に鎖をつけ、左右に開く。

それだけではなく、足首を持ち上げていく。

安里咲が想像したように、亜由美を大の字にして標的にするのではない。

とうとう手首と足首が同じぐらいの高さになってしまった。

背中が丸まって、お尻が下になってしまう。

腰に鎖を巻き付けて、後ろから吊り上げていく。

大きく足を開いて、跳び箱を跳んだ瞬間のようなかっこうだ。

標的としては小さくなり、当てるのが難しくなるだろうが、的としての乳房は斜めに宙に突き出し、股間は全開になり、しかも背後からなら、お尻も突き出ていることになる。

男たちは用意されたダーツを手にしている。

安里咲は逃げることもせず、唖然としてその様子を眺めていた。

男たちの腕は確かだった。

まず乳房。

一発も外すことなく、左右の乳房に五本ずつ矢を突き立ててみせた。

次に標的は股間へ移った。まだ蝋が残っている股間を鋭い金属の矢が突き抜けていく。

「ぎゃー」

しわがれた声。

いまの亜由美には精一杯の悲鳴をあげ、体をよじる。

十発が、恥丘周辺に刺さって、矢の重みでぶら下がる。

男たちは、亜由美のうしろに回った。

鞭、釘のついた板、イス、蝋と、すっかり痛め尽くされた尻に、新たな痛みが突き刺さる。

「げっ」

安里咲から見えるのは、刺さるたびにあえぐ亜由美の姿だ。マスクで顔は見えないが、ビクッ、ビクッと体が硬直し、ダーツが刺さっているのがわかる。

終了したらしく、男がマスクを取った。

汗にまみれた亜由美は、かすかに恍惚の表情を浮かべていた。

安里咲はそれが見間違いだろうと、凝視する。

口元に笑みのようなものさえ浮かんでいる。

「どうだ、このまま続けるのか?」

「はい」

亜由美の意識ははっきりしていた。安里咲もそれは疑いのないところで、口述を末土に伝え続けるしかなかった。

「水槽に逆さ吊りして、スタンガン十発」

逆さ吊りにされた亜由美が水の中に沈められていく。

髪。目。鼻。口。顔が沈んだ。

傷だらけの乳房、足がもだえ苦しんでいる。

首。鎖骨。乳房。まだ沈めていく。みぞおち。ヘソ。そこで止まったが、引き上げようとはしない。

腰、足が、鎖を鳴らしながら、激しく揺れている。

男たちは亜由美を引き上げていく。くたくたになっている亜由美。釣り上げられた魚のようだ。

口、鼻から大量の水があふれる。かなりの量の水を飲んだに違いない。

そこにスタンガンを持った男がやってきて、亜由美の体に押しつけていく。

「ぎゅぇぇぇ」

悲痛な声を出しながら亜由美がもだえる。

四人の男たちがスタンガンを持ち、次々と押し当てる。乳房に。性器に。尻に。

そしてまた、沈められていく。

今度は顔が水面下にあるときに、スタンガンが押し当てられた。ごぼごぼと気泡が上がる。

「死んじゃうわ」

安里咲が見守る中、再び引き上げられた亜由美は、失神寸前になっていた。さきほどよりも大量の水を噴き出している。

失神してしまったほうが楽なのに……。

安里咲はそう思うのだが、亜由美は床に横たえられると、むせながらも、安里咲に次の拷問を指示するのだった。

「お尻で錘を引っ張って、この部屋を回ります。五周する間、容赦なく鞭をいただきながら」

安里咲にはそれがどういうことなのか想像さえできない。

男たちは濡れた亜由美を四つん這いにさせる。その尻に砲弾のような大きな金属の器具を向ける。

砲弾のように先端が尖っていて、途中がぷっくりと膨らみ、末端にネジのようなものがついていた。

安里咲に見せるためか、記録のためか、男はその器具の根元にあるネジを回していった。

すると、砲弾全体が花のように開いていく。

安里咲の知識にはないが、拷問の世界では「苦悶の梨」と呼ばれる中世の拷問具を模したものだった。

口、膣、肛門に使うと言われるが、当時の技術からすれば強度も十分ではないとの説もあり、主に脅しに使われたのではとも言われている。

研究者によれば、現在伝わっている中世からの拷問や拷問器具の多くは、展示することで、一般の人たちに審問の恐ろしさを伝え、抑止力として、さらには問われたことには正直に素直に話した方がいいと思わせる効果を期待したのではないかとも言われている。

その意味で、この日の亜由美のように、次から次へと多種多様な苦痛を味わうようなケースはほとんどなかっただろう。

男たちがその器具を再び閉じてから、亜由美のアナルに埋め込んでいく。お尻が震え、あえぐ亜由美の姿は、拷問を受けるというよりも、性的なエクスタシーを感じて身もだえているように見える。

安里咲からすれば、人間の拳よりも太いその器具がお尻の穴に入っていくことさえ、信じられなかった。

騙されているのかもしれない、と安里咲はそのとき疑問を感じた。

すでに最初の段階から、登美子らが主張していたことだ。すべては作り事で、汚れた欲望のためのトリックなのだ。そこに安里咲らを配置することも、悦楽を増すための小道具にすぎない。

本当にそうだろうか。

「ぎひっ!」

亜由美が叫ぶ。

ほとんど体内に砲弾が入っていた。そのネジを男が回す。

さきほど見たように器具は亜由美の中で大きく開いているはずだ。それは苦痛なのか。それともある種の悦びなのか。

そのネジ部分に鎖がつけられ、ボーリングの球を思わせる鉄球がつけられた。

バシンと床を打ち鳴らす鞭に、安里咲は驚き、また部屋の隅に逃げた。

長い一本鞭。男はそれを振り回し、やがて亜由美の尻に打ち込んだ。

「ぎー」

歯を食いしばりながら悲鳴を飲み込んでいる亜由美。

ゆっくりと四つ這いで動き出す。肛門に突き刺さった器具の三分の一ほどが飛び出していた。

それほど鉄球は重いのだ。

安里咲は自分の目が信じられない。肛門は大きく開き、そこをぱっくりと開いた金属の花弁が塞いでいる。

それがそっくり見えるのである。

二発目をくらって、やっと一歩。

なにがどう苦しいのか安里咲にはわからない。見た目には、鞭をたっぷり浴びたいために、わざとスローモーションのように動いているとしか見えない。

亜由美は何発もの鞭を受けながら、部屋の内側を歩く。一辺が終わると、男も交代し、鞭も変わる。

今度は長い竹鞭だ。びゅっと音を立てて、背中にめり込む。

「うぎゃぁぁ」

イスの背で剥けた皮。そこを鞭が的確に攻撃し、血が吹き出る。

亜由美は手足をビクビクとふるわしながら、歩く。

途中、何度か倒れ込みながら、三辺目。鞭は再び一本鞭。下から尻、腿を叩く。

四辺目。竹鞭。

まだ一周だ。これをあと四周。

安里咲は自分はなにもされていないのに、亜由美からできるだけ遠い場所に移動し、耳を塞ぎ、壁に顔を向けていた。

長い長い拷問。

五周して、鞭打ちは終わった。

亜由美は床に倒れたまま、動けなくなっていた。

「終わりよね、これで終わるんでしょう?」

「明日。お願い、また明日、来て」

「まだ続けるつもりなの?」

「あと、まだ十ぐらい残っているの」

「亜由美、死んじゃうわ」

「そんなことない」

くしゃくしゃの顔に、ムリに笑みを浮かべている。泣き笑いのようになっている。

「あっ」

安里咲は思わず叫ぶ。亜由美はやっと目を開けているのだが、疲れ切った表情なのに、とてつもなく美しいのだ。

そんなはずはない。このような責めを受けた者が、どうして美しいものか。

安里咲の常識が見たものを素直に受け入れさせない。

それでも、亜由美は可憐で、美しいのだ。

「こんなことをして、なんになるの?」

「そんなことはもう、どうでもいいの。私にはこれしかないの」

「それは違うわ。この部屋から外に出ましょう。そうして、みんなと話をしましょう。そうすれば気持ちも変わるはずよ」

「これを続けたいの」

「ダメよ」

「ごめん。せっかく来てくれたのにね」

「そんなことないわ。お願い、もうやめるって言って」

「わかった。明日が終わればやめるから」

「そんな」

安里咲はあきらめた。できることはなにもなかった。

そしてドアに向かった。

「ゴメン、亜由美。やっぱり明日はもう来られない。私、あなたみたいに強くないから」

そう言うとドアを開けて、外へ飛び出していった。

最終拷問

治療。そしてクスリ。

亜由美は泥沼のような眠りの中でも、苦痛に悶え苦しんでいた。

恐ろしい拷問の連続に、体も心も限界になっていた。

気がつくと柔らかなベッドに寝かされていた。

控え室に置かれた簡易ベッドを剛介が拷問部屋に持ち込んだのだ。毛布をたくさんかけてあった。

起き出してみた。

体の中で痛くないところがない。

毛布には血や体液が付着していた。

剛介がそこにいた。

「目が覚めたね。いよいよ今日でラストだから」

「ラスト……。私、死ぬの?」

「そういうシナリオじゃないよ。覚えていないの? エンディングは三種類だから。廃棄、転売。それからお楽しみ。この三種類の撮影もするんだからね」

「ねえ、これはゲームの映像としてなのよね。本当のことじゃないのよね」

「脅えているの?」

「わからなくなっちゃったの。自分がやっていることが」

「気にしなくていいよ。すべてぼくたちが考えているから。すごい映像が撮れていて、小出しにしているけど、かなりの資金が集まってきているからね。ゲーム制作は成功すると思うよ」

「そう。よかった」

「あとちょっとだから。がんばってね。宇辻先生は亜由美なら乗り切れるって言っていたよ。あとで来ると思うけど」

「うん」

朝食の弁当が用意されていた。

亜由美はスープを飲み、ウーロン茶を飲み、コーラを飲みながら、弁当を半分ほど食べた。

「今日は末土教授は来ない。先生の実験はもう終わったんだそうだ。興味があれば、最後の撮影のところは、見に来るかもしれないけどね。今日はエンディングまで撮影するから、たくさんの人が見に来ていると思っていいよ。それから、今日は彼らがすべてシナリオ通りに動いてくれる。君は正式な方法に則って、拷問されることになる。声は大丈夫?」

「ええ。少しは……」

昨日よりは声が出るようになっていた。

「セリフとしては、無実の罪で投獄されて拷問を受ける設定だから、男たちにただ『ノー』とか『知らない』とか『わからない』って叫んでくれればいい。最後までそれでいいから」

「はい」

「ブザーが鳴ったら、中断の合図だ。撮影が止まる。難しいことはなんにもないよ。亜由美は感じたままにやればいいんだ。適時、宇辻先生に診てもらうし、休憩も入れるよ」

「わかりました」

「じゃ、はじめようか」

剛介はベッドを片付けた。

拷問部屋は、わずか二日だが、すっかり亜由美の血や排泄物によって、不気味な異臭がしみついていた。

水槽の水を入れ替えている者など、数人のスタッフが準備をしていた。

全裸の亜由美はその中を通り、小さな檻に入れられる。屈まないと入ることはできない。

目覚めるところから撮影が始まる。

スタッフたちが退去し、剛介は亜由美に目で合図をし、自分も別室に入った。今日は、末土教授のいたメインの部屋を使う。

そこには、亜由美の会の会員、警備員の村木、アダルトショップの岡山、商店街の者も来ていた。エンディングの撮影はずっとあとになるのだが、拷問シーンから見たいというのだ。

そして、そこには亜由美の二人の兄の姿もあった。

剛介以外には二人が何者かを知っている者はいない。こういう場なので、お互いに名乗り合うこともない。

これから実の妹である亜由美が、肉体と精神のすべてをさらし、激しい拷問を受けるというのに、彼らは笑みさえ浮かべていた。

すべての準備が整った。

剛介は青いボタンを押した。撮影が開始される。黒人たちは今日も全裸だった。あらかじめ打ち合わせた通りに動きはじめた。

ホースで激しい水を亜由美に浴びせて目覚めさせる。

しばらくは小さな檻の中で、水流から逃れようと必死な亜由美の姿を眺める。

ギャラリーたちはそれだけで、期待感をかきたてられている。

ずぶ濡れの亜由美が引き出される。手足に鉄の枷をつけられて、台に固定されると、大量の浣腸を受ける。

ドナンを真似た強烈な浣腸液が五リットル用意されていた。

「苦しい……。出ちゃう……」

がまんのできない亜由美は、何度も薬液を噴射してしまう。そのたびに浣腸液が追加されていく。

「亜由美のお尻、ズタズタになっちゃう……」

痣と傷だらけの尻はすでにズタズタなのだが……。

さらにホースを使った洗腸も受ける。

そのあと、男たちは亜由美を洗う。その手が肛門に押し込まれていく。膣の中にも入っていく。

腕を二つの穴に無造作に入れられ、亜由美は狂う。

「ひぃぃ、感じるぅぅぅ」

連日の激しい拷問で、体がおかしくなっている。

腕を入れられてもだえている亜由美を、台から引き剥がし、ほかの者がチェーンで吊り下げていく。両手を一つにして、さらに足も一つにする。足には錘がつけられる。

「最初は人間サンドバッグです」

六人の男たちは、亜由美にパンチ、蹴りを入れる。そのバチンという音が響く。

「ひー。だめー」

亜由美が叫ぶ。昨日はほとんど声が出なかったが、今日は、しわがれたままながら、言葉が出ていた。

脇腹を蹴られ、反り返る亜由美の股間に、男の足先が食い込む。

反射的に体を折る亜由美。その尻に回し蹴りが炸裂する。

不自由な体勢で踊っているようにも見える。

六人が一人ずつ、数発を打ち込んでは交代し、三巡したところで終わった。

一人が亜由美の髪をつかんで、なにかを言う。

「わからないわ。なにも知らないの。なにもしていないの」

本当に殴られ蹴られている亜由美の素直な脅えが、声に出ている。

鉄のイスが用意される。

それを嫌う亜由美。男たちは押さえつけてイスに固定する。イスには重石がつけられる。

再び背中と尻に鋭いトゲが突き刺さり、治りかけていた皮膚を引き裂いてしまう。

「乳首とクリトリスをペンチで引き延ばします」

ペンチといっても、両手で使うような大きな「やっとこ」である。右の乳首をはさみ、男が引っ張る。人間の体の一部が、そこまで伸びるものかと思うほど引き延ばされていく。

「うぐぅぅぅ。たすけて。だめー。お願い」

引っ張られた限界で離す。

「オッパイのかっこうが変わっちゃうな」

誰かがつぶやく。

左の乳首も。

そして股間をまさぐり、縮こまっているクリトリスを引き出していく。

「あぎゃー、いたい、だめ、離して! ちぎれちゃう!」

やっとこが股間にめり込み、陰核をはさむと、男は乱暴に左右に捻る。

「あぎぃ、切れる! 切れちゃう!」

男はバトンタッチし、次の男も右の乳首から再び引っ張る。

そのたびに亜由美は苦痛の悲鳴をあげ続ける。

六人全員がやったあと、再び髪をつかまれてなにかを尋ねられる亜由美。

「知らないの。お願い。もうやめて」

以前、乳房に釘を打ち込んだときの台が用意される。

「お願い、それは痛いの。ホントにダメなの。耐えられない……。たすけて。お願い、お願い、お願い……」

男たちは亜由美の乳房をその台に並べる。手にしているのは短い乗馬鞭だ。

左右に二人ずつ立った男たちが、四本の短鞭を台の上の乳房に振り下ろしていく。

バシッバシッと本気で乳房をぶちのめす気でやらなければ出ない音が響く。

「ぎー、ちぎれる、ちぎれちゃう……」

亜由美は叫ぶ。激しく打ちのめされた乳房が弾む。

「死ぬ……」

早くも亜由美の意識は朦朧としてきた。

バケツにくんだ水を頭からかける。

五十発を打ち込んだところで、亜由美を立たせると、台にうつ伏せにし、枷と鎖でつなぐ。足を大きく開く。

ローションのようなものを塗った手で、肛門を撫で回している。

「やめて。お願い」

亜由美に見せつけながら、巨大なアナルビーズを持って来る。

「あれは直径六・五センチ、長さ四十五センチのやつだな」

アダルトショップの岡山がつぶやく。

黒いその道具を亜由美の中へ入れていく。

「ひー、つらい。大きすぎます」

黒人たちの腕を受け入れていたものの、粘膜が過敏になっているから、異物の痛みに叫び続ける。

亜由美の体内を掃除でもするかのように、奥まで入れていく。最後のもっとも大きなボールが入ると、そのあとの握りの部分ごと、男の手が入っていく。

さかんに、男たちは亜由美になにかを尋ねる。

「わからないわ! なにもわからないの! 痛い! だめ! 苦しい!」

その顔に、男たちはツバをはきかける。

「やめて……。お願い……」

しばらく腸内で遊んでいた男は、ぐいっと腕を引いた。

「ぐげぇぇぇ」

そしてずるずると引き出されていく。

「あひぃ、あひぃ、あひぃ」

その感触のせいか、どろりと愛液が垂れ下がる。

すっかり巨大なアナルビーズが引き出された。ぬめぬめと光っている。血も出ている。

それを亜由美の顔にあてる。

「いや、お願い。許して……」

男は再びそれを肛門に突きつける。

「だめー。だめー」

悲痛な声を無視し、アナルビーズがまた体内へ押し込まれていく。

「裂けちゃう。腸が裂けちゃう」

すっかり押し込まれたあと、捻るようにして引きずり出される。

「これは拷問じゃないですね」

誰かが言うと、笑いが起きた。

しかし男たちが別の道具を持ち出したとき、その笑いは止まった。

「あれは……」

鉄の棒だ。大きな円錐状のパイプのような太い棒。そこには、二センチほどの鋭い突起がびっしりと植え込まれている。

「まさか、あれを」

剛介もツバを飲み込んだ。

「助けて。壊れる。壊れちゃう」

亜由美に見せつける。

それだけではない。亜由美の頬に突起を押しつける。

「ぎゃー、痛い!」

棒を離すと、頬に小さな血の玉が浮き出る。

男たちがそれを亜由美の中に入れようというのだ。

三人がかりだ。

二人が左右から肛門を押し広げている。

トゲトゲだらけの棒が、その大きく拡がった穴に入っていく。

どれだけ拡がったにせよ、無傷ではすまされないだろう。

五センチ、十センチ、十五センチ。

左右の男が手を離した。

「ぎぇぇぇぇ」

壮絶な悲鳴。

男たちは、棒を捻るように動かしはじめた。

亜由美がそのたびに悲鳴を上げる。

男たちは慣れているのか、表情一つ変えない。

いつしか五十センチほどの棒の半分ぐらいまで、体内に押し込まれていた。

腸に穴があいている可能性はある。それどころか、腸が引きちぎれている可能性だってあるだろう。

このまま放置しておけば、亜由美は苦しみながら絶望の中で死んでしまうに違いない。

再び左右の男たちが肛門を押し広げていく。

ゆっくりと棒が引き出される。鮮血が噴き出す。

剛介だけではなく、全員が青ざめていた。

棒がすっかり引き抜かれた。最後にどろりと血が流れ出た。

「ケツ穴は、破壊されたな」

「いいケツマンコだったのに」

誰かがつぶやく。

台の上に亜由美をのせる。足を拡げ、股間をマジックミラー側に向けた。

金属の嘴のついた器具を持ち出し、それを膣にねじ込んでいく。男たちの手の平と比べても、通常の医療用よりもかなり大きな動物用のものだとわかる。

ねじ込むようにして亜由美の中へ入れていく。

「死ぬ……。死んじゃう……」

ネジを回して、嘴を左右に開き、膣が裂けるほど大きくしていく。

男が腕をその中に入れると、肘まで入っていった。

「くるしいぃぃ」

その腕が引き抜かれると、子宮口が見えるところまで下がっていた。

細長い鉄の棒を持った男がやってきて、差し込んでいく。

「子宮に入れるつもりか?」

突き出た棒は、子宮口に刺さっている。そこに自動車のバッテリー上がりなどでしかお目にかからないブースターケーブルの赤いクリップがつけられた。

乳首に針を垂直に突き刺す。

亜由美はそのぐらいではもう悲鳴さえ上げない。

ケーブルの黒いクリップをその針に接触させると、バシッと激しい音がして、亜由美の体が反り返った。

前回の電流責めよりは、ややおとなしいが、電極を子宮に入れているのである。

ケーブルの末端には電流を調整する装置があり、別の男がボリュームをひねっている。乱暴に右に回したり、左に回している。

そのたびに、亜由美の体が跳ね上がる。

「あぅあぅ」

言葉にならない。

散々、飛び跳ねたあとに、男たちは亜由美に言葉をかけ、亜由美が「わからない! 知らない!」と首を振ると、今後は、口を強引に開けさせて、次々と大量のツバを入れて、飲み込ませた。

彼らが離れると、ふたたび電流が流される。

「ぎひっ」

亜由美は気絶してしまった。

剛介は動くべきかと、手がボタンに伸びた。

男たちは亜由美を台から降ろして床に横たえた。

壁によりかかっていた鉄製の円形の器具を、天井からのチェーンに吊り下げ、亜由美の横まで運んできた。

床に置き、亜由美をその上にのせた。手枷、足枷で大の字に磔にする。

再び吊り上げられる。

ゆっくりと水槽の上へ移動する。男が手で円形の器具の縁を回すと、それがいわば水車なのだとわかる。

慎重に亜由美を水に漬けていく。

男が二人、水槽の縁に立って、水車を操作する。ぐるっと回して亜由美の頭部を水につける。乳房の下まで潜っている。

そしてさらに回して顔が出てくると、意識が戻っていた。

「助けて。私、なにもわからないんです。お願いです」

ぐるっと回ってまた顔が水面下へ。

わざとゆっくりになって、なかなか回さない。

ようやく顔が水から出る。

「ぐはっ」

亜由美は青白い顔をしている。

背後にいる男が、亜由美の肛門にホースを入れていく。内と外からの水責めだ。

「あああ」

大量の水が腸内に注ぎ込まれる。もし腸壁が破れていれば、水は腹部に漏れ出しているだろう。腹膜炎などを起こせば、ひとたまりもないはずだ。

水車はまた回っていく。

逆さになったところでホースが抜かれる。ビューッと勢いよく水が噴き出す。

男たちが母国語でなにかを言い、笑っている。

吊り上げられた亜由美が、水槽から離れ、床につきそうになるぐらい下がってくる。

男たちは鞭を持った。左右に分かれて、鞭を振るうと、亜由美の体に当たると同時に鉄の枠にも当たるので、回転がはじまる。

「たすけてー、こわい」

左右からの鞭の当たり具合で、亜由美はぐるぐると回される。

鞭がどこに当たるかわからなくなる。

柔らかな内腿に。そけい部に。首筋に。乳房に。脇腹に。次々と赤い筋が刻まれていく。

散々、打ち据えたあと、頭が下になっているところで止めると、男がまた亜由美になにかを告げる。

亜由美は声が出ず、顔を横に振るだけだ。

その亜由美に、別の男が三十センチほどもある細い針の束を見せつける。

「いやー。針はいやです。お願いです。それは……」

男たちに針が配られる。

彼らはルーレットのように亜由美を回し、適当に止めて、針を突き刺す。

太ももを横に突き通す。二の腕。鼻、頬にも横に貫通させる。

「ぎぃぃぃ、たすけてください」

柔らかな性器の肉をつまみあげて、そこも横に突き通す。乳房。腹部。臀部。ところかまわず五十本ほどの針で全身を飾っていく。

再び形式だけの尋問。亜由美はなにも答えられない。答えたとしても、日本語では男たちには伝わらないのだ。

亜由美の体が浮き上がり、水槽に運ばれる。

「もういや。お願いだから……」

回転させて、肩まで水につけて停止させる。

三人の男たちが水槽に縁に乗ったり、水車の役目を果たしている円盤に足をかけて、亜由美を見下ろす位置につく。

その男たちに、下にいる者が火のついたロウソクを渡す。

受け取った男たちは、その炎で亜由美の体を貫く針を炙り、皮膚に蝋涙を垂らしていく。

水の中で暴れる亜由美。ゴボゴボと気泡が激しく水面に上がる。

円盤を回して顔を、時計でいえば四時ぐらいの位置まで出す。

真っ青な亜由美。目はうつろで、必死に呼吸をしている。

斜めになっているその体に、ロウソクが近づいていく。

「いぎぃぃぃぃ」

長い悲鳴。

冷え切った体に炎と熱した蝋涙が浴びせられる。

乳房や頬、舌を突き抜けた針を炎でさんざん炙ったあとに、再び水に漬けると、ジュッと冷える音がする。

「完全にダメにしちゃう気ですよ」

「まだ十八とかそこらだったですよね」

「男を知って二週間かそこらだっていうのに……」

「廃人になったら、どうするのかな」

剛介たちの横で、そんなひそひそ声がしている。

あまりの暴虐に、こっそり部屋を出て行く者もいて、ギャラリーは半分ほどに減っていた。

剛介はじっと、亜由美が命がけで受けている拷問を見ていた。そこへ突き落としたのは剛介である。亜由美の姿をしっかり目に焼き付けておくのは、当然の義務のように思えた。

意識を失ったらしく、水から引き上げられた亜由美はぐったりしていた。床におろし、男たちが針を抜いていく。

それでも意識が戻らない。

すっかり弛緩している。

針をすべて引き抜いても、亜由美はそのままだった。

剛介はボタンを押した。

男たちはホッとしたように亜由美から離れ、道具を片付けて控え室へ引き上げていった。

二つのエンディング

剛介と宇辻が入り、亜由美の様子をチェックする。

「どう、でした、か?」

亜由美は擦れた声でそう言い、剛介に微笑んでみせた。

演技だったのだ。

すべてが演技ではないとしても、あそこで完全に弛緩すれば、拷問は一時中断するという計算があったのだろう。それに、残る拷問はわずか三つになっていた。そして、それはこれまでのものとは雰囲気も違うものになる。

「最高だったよ」

「すごくつらいです」

「診てみよう」

宇辻は診察をはじめた。

「どうですか?」

「ちゃんと検査したいね」

「ええ。ぜひあとでやってください」

「じゃ、さっさと終わらせよう」

スケジュールの関係もあって今日中に撮影を終えなければならない。亜由美の体の心配はそのあとということになる。

撮影が再開された。

剛介は亜由美に白い長襦袢を用意していた。このあとは、亜由美の会による、日本的な拷問の絵を撮るのだ。

くたくたの亜由美に着せる。

十露盤と呼ばれる角材の角を上に並べた器具を床に置く。剛介は素早く亜由美に縄をかけていく。高手小手にし、十露盤の上に正座させようとする。

演技ではなく、亜由美は抵抗する。

剛介と会員たちが、押しとどめる。力のない亜由美は、倒れ込むように十露盤の上にのった。

「うひいいい」

「正座しろ」

「ぎぃぃぃ」

脛に食い込む角材。手を使えないので、体重が足にかかっている。

亜由美の形相が変わった。眉間に皺をよせ、歯を剥き出し、目を見開いて痛みに耐えている。

会員がハンディカメラでアップを撮影する。

そこに石版が運ばれ、膝の上にのせる。石抱き責めだ。

「お、折れる……」

亜由美の目が飛び出しそうになっている。口は開いたままで、声はもう微かにしか出ない。

そこに竹刀を手にした村木たちがやってきて、亜由美に振り下ろす。

バシンバシンと乾いた音が響く。

亜由美が苦悶の表情を見せている。

十五分ほども続いただろうか。

その責めが終わると、亜由美を腹ばいにし、縄をかけて逆海老に縛り上げる。天井からのフックに縄を引っ掛けて吊り上げると、駿河問いと呼ばれる形になる。

「く、くるしい……」

そこにも竹刀を浴びせかける。

「どうだ、言え!」

「知りません!」

竹刀の先が外れ、バラバラになった竹が鞭のように亜由美を叩く。

いよいよ終わりだ。

亜由美は床に降ろされた。

「拷問シーンのエンディングを撮るからね」

「はい」

長襦袢をはがされ、傷だらけの体に。足首を縛り、左右別々のフックで吊す。足を開いた形での逆さ吊りだ。

そして激しく痛めつけられた二つの穴に、何本もの花火を差し込まれる。

男たちが下がる。一人だけが残り、花火に点火して逃げる。

シューと火花がしだれ柳のように降り注ぐ。やがてすべての花火から噴き出し、亜由美の体全体に火の粉が落ちていく。

「あー、うわー」

あえて顔をカバーしていない。目に入れば失明する危険もある。

だが、表情をきちんと残しておきたい。それが剛介の、そして亜由美の欲望でもあった。

花火が終わるまでの数十秒。

目が薄暗い拷問室に慣れると、どこからともなく拍手がわき起こった。

「以上で拷問シーン、終了です」という声が響くなか、 亜由美を降ろした剛介は、思わずその顔を撫でて、唇を重ねた。

長いキスだった。

「どうしたんですか」

「いや」

亜由美が愛おしい。

そう言えばいいのだが、剛介はそれが言えないでいた。

「あとは、エンディングシーンの撮影だよ。今日は二パターンだけだ。お楽しみの三つ目は明日だからね」

「よかった。もう限界ですから」

「わかっている。もうちょっとだけだ」

ギャラリーたちがまだいる間に、「転売」のシーンを撮影する。

全裸で縛られた亜由美を台の上に立たせる。その下に、集まった男たちが囲む。

亜由美自身に薄く化粧をさせた。ファンデーション、頬紅、口紅で、人形のような美しさを見せる。

やせ衰え、全身を傷だらけにし、無数の火傷、針や釘による穴がうがたれている体。

スポットを浴びることで、わずかに残った無傷の肌の白さがくっきりと浮かび、無惨な印象を強くする。

「さて、では、このメス豚・亜由美を紹介しましょう。二十一歳ですが、男性経験は延べ二百人以上。フィストファック、アナルフィストも可能です。拷問プレーにも対応できます。残念なことに、ご主人たちに飽きられて、転売されることとなりました。じゃ、亜由美、ひとこと」

亜由美はゴクリとツバを飲み込む。

「亜由美と申します。自分でもどうしようもないほど淫乱で、底なしに激しい罰をお受けしたいです。なんでもいたします。ボロボロになるまで、かわいがってください」

頭を下げて懇願する。

「はい。では、ご希望の方、いらっしゃいますか?」

「百円!」

「二百円!」

きわめて低い価格からセリにかけていく。

これは演技なのだと思っても、亜由美の表情はこわばり、涙があふれてくる。

「はい。では、そちらに三万円で売却いたします。どうか、せいぜい厳しくかわいがってください」

商店街のおやじが、仮面をつけて参加しており、その手に亜由美が引き渡される。

「おい、大丈夫か。試してみないと、カネは払えないぜ」

体中をいじる。

「見せてみろ」

「はい」

亜由美は縛られたまま、後ろを向き、肛門と性器をおやじに向けた。

「かなり荒れてるじゃないか」

おやじは指で粘膜の感触を確認している。

「やってみないとわからんな」

ズボンから逸物を取り出すと、前屈みになっている亜由美の顔に近づける。

亜由美は自らそれを求め、口に含んでいく。

「うーん。まあまあだな」

唾液がしたたる肉棒。それを亜由美の尻に向ける。

「まずはこっち」

性器の中に沈めていく。

「あっ」

激しい拷問で傷ついてる粘膜。そこに男のものが突き刺さり、亜由美はくねくねと尻をふる。

「うーん。どうだろう」

おやじは抱え込むようにして、縄の間から飛び出してる乳房を揉みしだく。そこも釘や針、バーナー、鞭などでいたぶられ、傷と痣だらけだが、強く握られると破裂してしまいそうな痛みが走る。

「お手柔らかにお願いします」

「ふざけるな」

おやじは高ぶり、乳房をさらにつかみ、ねじった。

「うぎぃぃぃ」

亜由美は苦しみもだえる。

「まあまあ締まるかな。じゃあ、こっちはどうだ」

アナルに入れていく。そこも激しい使われ方をして、かなり痛んでいた。それでも、通常サイズの男性器をすんなりと受け入れる。

「まずまずだなあ。三万だったら、いいか」

一回の金額ではない。亜由美そのものを常時、使用することができる。

「おお、いいぞ、いくぞ」

「はい」

亜由美は自ら体を動かし、男が果てるまで協力する。

そうしながら、本当に売られていくような哀しみを亜由美は感じていた。これは撮影なのだ。現実ではない。だが、本当にそうだと言えるだろうか。実際に血を流し、泣き叫んできたではないか。

売られてしまうのか……。

亜由美の中で果てた男根を、舌で舐め、きれいに処理をしながら、亜由美は泣いていた。

縛られたままコートを羽織った亜由美は、撮影スタッフ、そして剛介たちに縄をつかまれながら、久しぶりに地下室から外へ出た。

夕方のようだ。マイクロバスに乗り込み、宇辻の病院の近くの空き地まで行く。

亜由美を裸のまま、そこに捨てる。それが第二のエンディングだ。

周囲には不法投棄の粗大ゴミがある。冷蔵庫、洗濯機、自転車、小型のタンス、机などが積み上がっている。

亜由美はゴミの中に横になって、足を開いて秘部を露わにしていた。暮れていく空が見える。

自分はこうしてこのまま捨てられ、立ち上がったら、剛介はもちろん、撮影スタッフもいなくなっているかもしれないと想像した。

このまま死んでいくしかないだろうか。それとも誰かに助けられるだろうか。

なぜか、うっすらと笑みがこぼれ、開いた口から舌がのぞいている。それは、エクスタシーに包まれているようだった。

特定の誰かに抱かれているのではない。あらゆる人に抱かれているような不思議な感覚だった。そう思うと、もぞもぞと体が動く。

カメラも剛介たちも視界に入らない。風を感じ、ゴミのニオイを肺にいっぱいに吸い込む。

痛みの引かない体のすべてが愛おしい。

亜由美はなにもしていないのに、深い快楽に引きずり込まれていった。

巨大な怪物に生きたまま飲み下されていくような感じ。

このまま、どこまでも奥深くまで、飲み込まれていきたい……。

くねり、あえぎ、そして大量の愛液を噴き出しながら、終わりのないアクメをむさぼるのだった。

残照がその体を赤く染めていく。

第三のエンディング

昨日までの凄惨な撮影が、現実にあったことだとは思えないほど、晴れ渡っている。おだやかな海風が心地良い。

貨物埠頭に亜由美と剛介がいた。末土教授、宇辻もいた。

「体調は?」

「なんとか」

亜由美は青ざめた顔に、口紅などをつけて、頬紅までしていたが、自然光の下では、憔悴を隠せない。

宇辻が「大丈夫だよ。船旅の間に回復するさ」と言った。

「それにしても、あれはすごかったな」

宇辻は、亜由美に対する拷問を思い返していた。とくに医師として疑問に思っていたのは、トゲのびっしり植わった棒である。五十センチほどの長さがあり、トゲの先端はナイフのように鋭かった。

黒人たちはそれを亜由美の腸内に押し込んだのである。

さすがに宇辻も、これで亜由美は回復できないダメージを受けたと思い込んでいた。

ところが、いまのところ、亜由美にそのときに受けた以上のダメージがあったという徴候は見られない。

宇辻の理論的な思考は、あの棒になにかしらのトリックがあったのではないかと結論づけている。

たとえば、先端から半分ぐらいまでと、手元までのところは別ものになっており、棒を回すようにすると、先端から半分ほどまでのトゲは、内部に引っ込んでいくような仕掛けがあったのではないか。

皮膚にあたっただけで血が出るほど鋭いトゲは、手元側の数カ所だけで、ほかのトゲは、それほど鋭くもなかった、もしかするとゴム製だったのではないか。

黒人たちは、拷問をする前に、相手にその棒を見せることで脅かす効果が期待できる。そして、周囲の者には、それが実行されたらオシマイだと思わせることもできる。

宇辻もそう思ったし、あれを見ていた全員がそう感じたのだ。

鮮血は肛門から直腸にいたる粘膜の損傷によるものだ。しかし、最後に出て来たどろりとした血の塊は、医師である宇辻には、少し奇妙な印象があった。

男たちが血糊をあらかじめ亜由美の中に入れていた可能性はないか。

だからといってあの拷問が生やさしいものだったとは言えないが……。

「あれには仕掛けがあったんじゃないのか?」

「さあ。それは彼らに聞かないとわかりません。彼らのやり方なんですからね、すべて」

釘や針など、打撃、鞭、火傷。すべてが本当のことなら、あの棒もホンモノだったかもしれない。

彼らは拷問のプロなのだ。どんなことでもするだろう。危険な器具を使って、どうやれば、どのような苦痛を与えることができ、同時に、むしろダメージを最小限にする技術も持っているはずだ。

剛介も彼らの器具を子細に点検したわけではない。拷問終了後、彼らは自分たちが持ち込んだ道具を誰にも触らせず、持ち去っていた。

「これからはじまる第三のエンディングにトリックはありません。一発勝負です」

剛介はそう宣言した。先日収録した二つのエンディングはゲーム用のシナリオである。

第三のエンディング、ゲームのシナリオでは「お楽しみ」として、詳しい内容を伏せていた部分。

やり直しはきかず、少数の者しかなにが起こるのか知らない。

剛介は一人でビデオカメラを手にしていた。

「じゃあ、本当のエンディング。『お楽しみ』をやろうか」

亜由美はまぶしい太陽を見上げて、これからなにが起きるのかよくわかっていなかった。

外国船籍の貨物船が停泊しているだけで、人影もない閑散とした埠頭だ。

剛介たちがいくつかの書類を提示し、ゲートを通過して、貨物船のすぐ横まで来ていた。

旅客船ではないが、撮影の背景として船ならなんでもいいのだろうと亜由美は漠然と思っていた。

昨夜から宇辻は亜由美の体を検査し、応急の治療もしていた。傷口を洗い、消毒し、クスリをつけ、必要ならガーゼをあて、包帯を巻いていた。

乳房は包帯で押さえられており、ガーゼを定期的に取り替える必要があった。

腸内は内視鏡や超音波の検査の結果、破れてはいないと確認できたが、それでも腸壁から大量に出血をしていたので、通常なら安静にしていなくてはならないほどのダメージを受けていた。

乳房への破壊的な責め、尻たぶへの責めなど、回復に何週間もかかりそうな深い傷、火傷も多く、感染症や壊死などの恐れもあった。

「外傷もやっかいだが、内臓の傷はもっとやっかいだ」

宇辻は撮影の延期を提案したが、剛介たちは拒否した。亜由美も、「あと少しなんだから、やろう」と言う。

これで撮影が本当に終わる。

約束していたゲーム制作の素材はすべて揃うのだ。

そう聞かされていた亜由美は、元気なふりをして剛介たちの指示に従っている。

貨物船の横に、小さな檻が用意されている。拷問部屋にあったものだ。頑丈な鉄格子。床にベニア板が置かれ、粗末な毛布が入れられていた。

「じゃ、撮影するから」

亜由美は、コートを脱いだ。治療用の包帯もいったん、すべて取り去る。

痛々しい体。刺し傷、切り傷、擦り傷、火傷、痣、鞭跡で、まともな肌の部分はほとんどない。

檻の中に入る。動物になったような気持ちになる。中腰になるしかないが、人間一人が十分に横になれるほどの広さがあった。

南京錠が取り付けられ、ガチャンとロックされた。

「首輪をこっちに」

「はい」

亜由美は数少ない無傷な肌の残っている喉を、檻の間から突き出す。そこに太い鎖をつけられる。その鎖を檻にからめる。

剛介は熱心に撮影をしていた。ぐるっとひとまわり。亜由美をあらゆる角度から撮影する。

そして徐々に「引き」の映像を取るため下がっていく。

それに合わせてほかの者も剛介の背後に下がっていく。

亜由美から剛介の表情が見えないぐらい遠くまで、後ずさっていった。

背後の大きな貨物船から男たちが降りてきた。

スーツ姿の黒人たちだ。あの拷問をしていた男たちである。

剛介はセリフを書いた紙を持って、再び亜由美のところへ戻って来た。

黒人たちが檻を囲んでいる。

その中で亜由美はセリフをカメラに向かって読み上げた。

「メス豚・亜由美です。わたしは海外留学の名目で、東南アジアのある国に売られることになりました。その国は独裁的な支配者がいて、恐ろしい牢獄や、わたしのようなメス豚を飼うための施設もあるそうです。船旅の間に健康状態を回復するつもりです。それに、いまは妊娠しやすい時期なんです。この船でみなさんの性処理奴隷として勤めさせていただき、種付けをしていただきたいと思っています。そして……。その先のことはわかりません。これまで私のようなものをかわいがっていただき、ありがとうございました。では、みなさん。さようなら」

黒人たちは、剛介の合図で、檻に貨物船から下りてきたクレーンのフックを取り付けていく。

男たちが船に合図を送ると、檻がゆっくりと浮き上がった。

「あっ、なに、これ」

亜由美の声は、潮風にちぎれ飛ぶ。

剛介はその様子を丁寧に撮影していた。

「剛介さん、ねえ、どうなってるの。こわい、こわいわ!」

亜由美の入った檻は貨物船の上に移動した。

なにか声がしているが、潮風に飛ばされて剛介たちのところまでは届かない。

白い裸体が点のように見えている。その檻が、船底深く降ろされていった剛介はカメラを止めて、黒人たちに必要な書類を渡す。宇辻は車からスーツケースを二つ持ってきていた。

そのうちの一つは、亜由美のものだった。

「すみませんが、アテンド、よろしくお願いします」

「ふふふ。こんな楽しい船旅ができるとはね。治療しながら種付けか。まあ、妊娠するかどうかはわからないけど、やれることはやってみるよ。あとから来るんだろ?」

「ええ。そのつもりです」

黒人たちと宇辻がタラップからパルダ王国へ向かう貨物船に乗り込む。船員たちが彼らを迎える。宇辻からの書類を受け取ってチェックし、中へ入るようにうながしていた。

巨大なエンジンを積んだタグボートが馬力をかけはじめた。

五分ほどして、タラップは回収され、汽笛を鳴らしながら船は岸壁をゆっくりと離れていった。

船がある程度、遠ざかるまで撮影をした。最初はなかなか離れていかない。停止してしまったのかと思うほどだ。それが十分に岸壁を離れると、加速度をつけてスムーズに港の出口へと進んでいった。

タグボートが離れる。

貨物船は、行き交うタンカーや旅客船の中に入り、やがて見えなくなった。

剛介と末土教授は車に戻った。

「君はなぜ一緒に乗らないんだ」

「行きたいと思ったんですけど、今回はパルダ王国側からの要請で、彼女だけというのが条件だったんです。宇辻さんは医者ですし、英語はできるから、通訳も兼ねてなんとか入国許可がもらえたんですよ」

「じゃあ、君は向こうへ行く気はないんだね?」

「そうですね。当面は行けないと思います。安里咲さんに会う約束もあるし……」

「安里咲? おい、君」

剛介はうつむいて、口を歪めた。

自嘲的な笑みだ。

亜由美を手放し、新しい獲物を手にした。

安里咲は美しい娘だった。清純で、素直で、強い気持ちがあり、頭もよく、淫らなことは一つもない。

だからといって、亜由美の代わりは務まらない。亜由美を超えることはないだろう。

それでも、なにもないよりはマシだった。

「それでいいのか?」

剛介は、よくないと思っている。末土教授にもそれぐらいはわかっている。

いろいろな事情が重なって、このオファーを飲むしかなくなっていた。ほかの方法はなかった。

相手の国は先進国と天然資源についての取引をしているとはいえ、価値観も政治体制もまったく違う。剛介たちが交渉できる余地はなかった。

彼らが亜由美を気に入ったのは、当初はいいことだった。彼らは剛介たちの要望をすべて受け入れた。

彼らが、亜由美を気に入りすぎてしまったのは誤算だった。

剛介たちは相手からのオファーを拒絶できなかった。サーバーの押収のほか、日本の当局に通報することも臭わせていた。

犯人の引き渡しについての条約も結んではいないが、外交ルートを通じて捜査情報を提供することはできるだろう。

警察にマークされれば、せっかく作りかけているゲームは完成できないばかりか、ゲー研も解散してしまうだろう。

逮捕などは必要ない。捜査員が来るだけで、学生たちは逃げ出すはずだ。彼らにはそれぞれに将来があるのだから。

剛介が亜由美と一緒に船に乗り、パルダ王国に入国できたとして、どのように扱われるかは、まったくわからない。

亜由美だけが欲しいのだから、剛介は邪魔になる。殺されてしまうこともあり得た。

「性奴隷になる、というのはホントなのかね?」

「ぼくたちが亜由美の動画などを配信しているサーバーは、あの国にあるんです。日本の法律では違法になることが、あの国では問題なくできる。お金を出せば保護してくれる。いまではあの国の支配者が、ぼくたちのプロジェクトに資金を出してくれているんです。スポンサーになったんです。彼らを派遣させてくれただけではなく、あの拷問部屋をすべて作ったんですからね」

それを承諾してしまった。承諾せざるを得なかった。その時点で、亜由美はもう剛介たちのものではなくなっていたのである。

「これでいいのか?」

「よくはないです。ほかに選択の余地がなかったんです」

「事情はどうであれ、君がいなければ、彼女は寂しいだろう。苦痛や恥辱以上に、寂しさは人間にとって厳しくつらい拷問となるんだ。わかっているよね?」

剛介は返事をしなかった。

この件を亜由美に伝えることが最後までできなかった。

本当にサプライズになってしまった。不本意な「お楽しみ」のエンディングだった。

きっといまも船の底で、剛介たちがやってきて「撮影が終わったよ」と言ってくれるのを待っているのではないか。

「亜由美……」

ポロリと剛介の頬に涙が伝った。

小説『亜由美』第三部 おわり

奥付

お読みいただきありがとうございました。

初出・二〇一二年四月~ブログ連載

刊行・二〇一二年五月二十八日刊行

改訂・二〇一四年二月刊行(本書)

著作権 あんぷらぐど

荒縄工房の情報は下記サイトへ

ブログ「荒縄工房」

ホームページ

荒縄工房 SM研究室

荒縄工房 淫美

エロな気持ちの日々

コメント、メッセージ歓迎。みなさまからのご意見、ご感想、ご提案など随時、ブログで受付中。

小説『亜由美』第三部 亜由美シリーズ 第6部 (6/6)
前の話