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奴隷オークション【令夫人と哀姉妹】 · 第五章 奴隷オークションへの潜入

奴隷オークション【令夫人と哀姉妹】 第五章 奴隷オークションへの潜入 (5/6)
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第五章 奴隷オークションへの潜入

一カ月後、世間は騒然となっていた。発電所建設に絡む贈収賄で、林田英明議員の地元秘書と、龍禅グループの龍田禅次郎社長が逮捕されたのだ。

捜査の矛先は、本丸である議員本人と、グループ総帥の巌にも当然向けられていた。

「ああもう、いらいらするわ!」

林田家のリビングを歩き回っていた次女の亜希は、膝の上でノートパソコンを開いていた英太朗にペンを投げつけた。

「な、なんだよ……僕に当たるなよ」

詰め襟を着た少年は、同学年の少女におどおどした目を向けた。

「だってパパはともかく、あの人は半月に一回しか帰らないし、姉さんは二カ月も家を空けたままなのよ!……家にいるのが一番頼りないあんただけなのよ!」

八つ当たりされながらも、少年は亜希の顔に見惚れていた。

肩ほどの髪がゆるやかに流れ、耳が出る少女らしいヘアスタイル。

弧を描く眉、切れ長の瞳。まさに美少女としか言いようがない容貌に加え、姉に匹敵する抜群のスタイルは、どこへ行っても注目の的だった。

当人は背が百六十センチと智佐に比べて低めなことと、胸もFカップ「しかない」ことがコンプレックスだった。

初対面で思わず「アイドルになればいいのに」と口走って、「背が低いのをバカにしてるんでしょ!」といたく怒られたのを少年はいまでも覚えている。

「だから、姉さん……君のお母さんの部屋を調べようって言ったじゃないか」

「ふん」

気の強そうな女学生は、腕組みをした。

「大学生が探偵気取り?……そんな漫画みたいにうまいこといくわけないじゃない。バカじゃないの」

「やってみないとわからないだろ」

珍しく英太朗が反論したので、亜希も黙った。

英明議員が奈美と再婚したのが三年前。それはともかく、どういうわけか弟まで同居することになって、林田家では一悶着あった。

特に姉は継母が気にくわないらしく、医大に合格してからは家にほとんど寄りつかなくなっていた。亜希も同級生とは言いながら、オタク気質でパソコンばかりいじっている少年とは今ひとつ反りが合わなかった。

胸が発達しすぎて競技を極めることは諦めたが、新体操部で鍛えた体育会系だ。不細工ではないが、ひょろっと背が高いだけの英太朗とは、最初にわずかに期待したロマンスも生まれようがなかった。

「……いいわ。やってみましょ。何も出なかったら、きょうの夕食は君が作るのよ」

「な、なんだよそれ」

一方的に言いまくられながらも、英太朗は亜希と共同作業ができることで浮き浮きしていた。正直、義兄の議員がどうなろうと関係ない。

(見つからなくてもともと、なんとか引き延ばせればなあ)数時間後、二人は奈美の部屋で顔を見合わせていた。

事件に関係ありそうなもので出てきたのは、龍禅グループの大城建設の社長の名刺、そして彼の名前と日付が書かれたメモが数枚あった。

「……やっぱり怪しいわよね」

「そ、そうだね」

思った以上に核心に近い情報があり、少年はやや動揺していた。グループ本体にかかわる情報や名刺はなぜかまったくなく、林田夫婦と龍禅の関係を考えればかえって不自然だった。

(なんだよ、姉さん。何かやってたのか?)

シスコンと言っていいくらい、姉に心酔していた英太朗だ。美人過ぎてさまざまな階層の男から言い寄られることは数知れずだが、怪しげなことだけはしていないと信じていた。

ネットで検索すると、大城誠也は裏サイトでたびたび名が挙がる人物だった。

龍禅グループの影の支配者だという書き込みもあった。信用ならない情報だが、離島で人身売買をしているという話すらあった。

「この人に会いに行きましょ」

「ええッ……亜希ちゃん、危ないよ」

「虎穴に入らずんばよ、この人だって、龍禅グループの社長なんでしょ。ヤクザじゃないんだから、林田英明の娘に変なことをするとは思えないわ」

気が強く、明るく、行動的な亜希は少年には眩しい存在だった。いまも、不確かな情報だけを頼りに、大人に会いに行くというのだ。

(なんてすごい子なんだろう……でも僕だって、彼女を守るくらいは)少女の熱気にあてられた英太朗は、いつになくやる気を出していた。

一週間後、英太朗の予想に反して大城社長のアポイントが取れた。

しかも、東京事務所に出張しているからそこで会ってくれるという。

実のところ、亜希と田舎に泊まり旅行ができるのではと浮かれていたので残念だったし、大人に会うのはまったく気が進まなかった。

そして、依然として奈美と智佐は帰宅しなかった。

「……ここなの?」

「ここだね」

二人は、降りたことのない山手線の駅前にある雑居ビルの前にいた。築何年かわからないやさぐれたビルで、五階建てだというのにエレベーターもない。

「やっぱり怪しいんじゃない?……やめといたほうが」

言いかけた少年は亜希から凄い目で睨まれ、慌てて口を閉じた。

「じゃあ、行くわよ」

「あ、ああ」

背中のザックに、一応スパナを入れてある。刃物やスタンガンのたぐいは、街中で警察に目をつけられたら終わりだ。そのあたりの心得は十分に調べた。

五階まで上がり、息が切れる。

「情けないわね……これくらいで」

憧れの亜希から軽蔑の眼差しを投げられ、英太朗はしょぼんとする。

「呼び鈴がないね」

「門は叩けば開かれるのよ、まったく」

そう言って制服姿の少女はドアをノックした。しばらくして声がした。

「開いてますから、どうぞ」

きしむ扉を開けると、いかにも古い事務所という光景が広がっていた。すり切れた革のソファーに、レースの乗ったセンターテーブルと灰皿。

雑然と資料が放り込まれた本棚は日に焼けて、古紙特有の匂いもする。昭和の刑事ドラマにでも出てきそうなオフィスだった。

「やあ、こんなところまで悪いね」

奥の部屋から男が出てきた。身長百八十センチはありそうな美丈夫││だ、と英太朗は思った。少年がその言葉を覚えたのは、好きなライトノベルからだ。

髪をきっちりとセットし、仕立ての良さそうなストライプのスーツを着た、四十過ぎであろう男。

(大城誠也、四十二歳。百八十センチに八十五キロ、趣味は格闘技)検索で出てきた情報だ。外見にはなんの破綻もない勤め人風の大人だが、逆に雑然とした事務室とは違和感がありすぎた。

(やっぱり怪しいなあ……不動産屋ならいかにもなんだけど)「初めまして、林田奈美の娘、亜希です……こっちは付き添いで」

「なッ……」

紹介もされず、英太朗はむっとするが、自分で説明を並べるほどの勇気はなかった。しかし誠也は鷹揚な笑顔を浮かべ、少年にも会釈をしてくれた。

「申し訳ないね。うちは東京では仕事があまりないんで、出先として使ってるだけなんですよ。驚いたでしょう?」

「いいえ。同郷の企業としていつも注目させていただいておりました」

横で突然、大人のような口をきいた亜希に、少年は度肝を抜かれた。営業用の笑みまで作っている。まだぎこちないが。

「そうそう、奈美さんとうちの禅次郎……お騒がせしている彼ですが、大学の同級生なんですよ」

「知ってます」

「ああそうだ、お茶を」

ぱんと手を叩いた男に、学生二人は椅子から飛び上がる。

「おかまいなく……学生ですから、いりません」

「そういうわけには」

奥の事務室に入っていった誠也を見送り、二人ははあっと息をつく。

「なんだ、亜希ちゃんも緊張してるんだ」

「当たり前でしょッ」

ぷいっと横を向いた顔が可愛らしく、少年はまた見入ってしまった。誠也が戻ってきて、テーブルに缶コーヒーを二本置いた。

「男ばかりでね。こんなものしかなくて」

「あの、大城さん」

いつも社交辞令には我慢し切れない女学生が、割り込むように切り出した。英太朗はひやりとして、膝の上で手を重ねた。

「母があなたと頻繁に会っているという情報があります。それに姉が帰って来ないのです。何かご存じでしたら教えてください」

いきなりの直球だ。少年は頭を抱えたが、かといって自分が他に方法を思いついたわけでもない。

「わたしと……奥さんが?」

「ええ」

「パーティーでなら何度か……」

「個人的な約束のようでしたが」

ソファーに座り直し、首を傾げる姿になった男の目が一瞬きらりと光ったのを、英太朗は見逃さなかった。

「ごめんね、あまり記憶がないんだけど……どんな内容でした?」

(そうら、探りを入れてきた)

少年は一気に緊張が高まるのを感じた。ここに来るまでは、亜希の好奇心に付き合うだけの目的だった。ところがこれは、意外な大当たりかもしれない。

「日時と、場所しかなくて。でも回数が多いんです」

(ああ亜希ちゃん、そこは何か知ってる振りをしないと)せっかくの情報が、遠く逃げていくのを感じた。真っ正直な少女であれば致し方ないが、英太朗は自分にコミュニケーション能力があれば、と悔やんだ。

「もしかしたら、僕の名前を使って禅次郎と会ってたのかもしれません」

「ええ?」

「理由はわからないが……失礼」

突然オフィスの電話が鳴りだして、学生たちは再び飛び上がった。

早足で奥の部屋に入った誠也は、バタンとドアを閉めた。目を見交わした二人は、急いで扉に駆け寄り、耳をあてた。

「特捜部が誰だって?……林田の?……ちゃんとあそこに置いてあるんだろうな……禅次郎から……倉庫のカギだと?……わかった」

電話が切れる音を聞いて、亜希と英太朗は脱兎のごとくソファーに戻る。

「ちょっと申し訳ない……近くで急用ができてね。十分くらいで戻るから待っててくれ」

慌てた様子の誠也は走るように部屋を出て、階段を駆け下りていった。

顔を見合わせた二人は頷き合うと、奥の部屋に駆け込んだ。机の上には資料がうずたかく積まれ、床の上にも本が積みあがっていた。

「できるだけ元の通りに、調べて!」

「わかってる!」

手分けして、資料の山を漁り出す。だが気ばかりが焦り、文字が目に入らない。

(自分が探偵気取りとか言って……こんなの見たくらいでわかるわけないよ)怪しい電話といい、男の妙な動きといい、事件の匂いがぷんぷんする。

しかし時間は刻々と過ぎていった。

「亜希ちゃん、出直そうよ」

もう時間だ。いつ男が戻ってくるかわからず、英太朗の心臓がどきどきと脈打つ。

「もうちょっと……ああッ……これは」

凝然と少女が立ちすくんだ。手にしている紙を見て、少年もどっと冷や汗をかいた。

「これは……いっぱいあるな。そっちはダメだ、亜希ちゃん。一冊しかないんだから持っていったら」

女学生が手にしていた名簿を取り上げ、慌てて元の場所に差し入れた。

「だって……手がかりなのよッ」

必死な目で見つめられたが、ビルの床が少し振動した気がした。

「ほら、もう玄関に戻ってきた!……はやく、はやく!」

階段を駆け上がってくる足音がする。

書類を鞄に突っ込み、二人並んで座ったところでちょうど、誠也が事務所のドアを開いた。

後半は上の空で、早々に事務所を引き上げた。

二人はロボットのような足どりで電車に乗り、無言のまま揺られて戻ってきた。最寄りの駅で降りると目配せを交わし、一番近い公園へ走る。

土曜の昼間で親子連れでいっぱいだったが。空いているベンチを見つけた。鞄を放り投げるようにして座ると、焦って書類を取り出した。

まなじりを決したような表情をした亜希は、手を震わせて開いた。

「オークション/ノベンバー」と英語で印字された上質な紙だ。

観音開きで折りたたまれ、写真と簡単なプロフィールのようなものが印刷されている。女性の画像が、五枚あった。一枚はマル秘となって反転している。

しかし異様だったのは、全員が男物のシャツを前を開けて羽織り、手を縛られて天井から吊されているポーズだったことだ。

みな飛びきりの美人で、スタイルも良かった。

顔はそこまではっきりとは写ってはいないが、一枚目ははっきりと分かった。

「智佐さん……だね」

少女はこくりと頷いた。

「百七十センチ、四十八キロ。二十一歳。九十、五十五、九十。処女、学歴A」

「盛りすぎよ。ウエストは六十以上あるわ」

亜希は即座に答えた。

「こっちは……参加の心得と、アクセス経路か。なんだ、N島か」

「知ってるの?」

「個人所有で、入れないんだ。昔はいい釣り場があったらしいけど」

亜希は立ち上がって、爪を噛んでうろうろと歩き出した。向こうのほうで子供の泣き声がする。

「通報するかい?」

「……待って。事情がわからなさ過ぎる。もしマスコミにでも出たら、姉さんが大変なことになるわ」

英太朗は名簿のほうを思い出した。ほとんどは知らなかったが、時々テレビで見るような政治家や社長の名前があったような気がした。

(あんなのが公になったら……僕らが消される?)背中がぞくりとする。ネットで見た、少女売春の組織のニュースがもみ消され、ジャーナリストが姿を消したというまことしやかな噂を思い出した。

あの大城社長だって、堅気ではない可能性もあるのだ。

「そうだね。これは単に女性の写真に過ぎないし、名簿は名簿でしかない。開き直られたらどうすることもできない」

「じゃあ、どうすればいいの?」

珍しく気弱な表情になった女学生が、すがるような目で少年を見た。

「なんとか……情報を押さえないと。そうすれば交渉の余地があるかもしれない」

「ほんと?」

英太朗は何の成算もあるわけではなかったが、亜希に頼れるところを見せたかった。

「伊達にオタクをやってるわけじゃない。調べ物ならお手のものさ」

きょうも亜希と二人きりだった。手早く夕食を済ませたあと、英太朗は硬い表情で食卓に資料を並べた。

「単刀直入に言うよ、大城社長と交渉した」

「ええッ……そんな」

「全部聞いて」

立ち上がりそうになった少女を制する。

「社長は主催者の代理人だって……本当かわからないけど、それはいい。あのオークションはいわば人身売買だから、本当に仲間じゃないと入れない。潜入なんか無理だ。だいたい、僕らはスパイじゃないんだし」

「じゃあ……」

「智佐さんは……誰かによって出品されたということだった。それを取り戻すには、落札をするしかないって。警察に言っても無駄だって。出品された当人が否定するから。だから、僕が参加することにした」

「なに言ってるの……子供のあんたがそんなのに参加できるわけないじゃない。バカじゃないの」

黙って聞いていた亜希は我慢できず、同級生を罵った。

「出品者ならビジターでも参加できるそうだ。それ自体が犯罪だから、信用できるって理由だね。年齢は問題じゃない……もっと下の子も参加したことあるって。だから僕が智佐さんを落札すれば、誰にも知られず取り戻せる」

「だから、どうやって……」

「姉さんの口座から、預金を移動した。木暮家で貯めている金があるんだ。緊急事態だから、勝手にパソコンに侵入してやった」

驚いた顔をした少女は、やや表情を改めた。

「そうなの……いくらよ」

「六千万円」

今度は本当に仰天した表情になった亜希は、口を手で押さえた。

「あと、議員の一家であるという信用も使った。おじさんには悪いけど……」

「それはいいわ。姉さんのためだもの」

目を潤ませた美少女は、英太朗の手を握りしめた。

「ありがとう英太朗……わたしたちのために」

「いや……まだ言うことがあるんだけど」

「なによ、わたしだったらなんでもするからッ」

言葉を濁す少年に、明るい顔になった少女は続きを促す。

「出品者になるっていったろ」

「うん……で?」

「僕がオークションに出せるのは……林田亜希しかいない」

リビングの空気が固まり、沈黙が支配した。息づかいの音しか聞こえない。

「……出るためには出品者にならなきゃいけない」

「うん」

「この件で君が出品できるとしたら……わたししかいない」

「……うん」

「わたしが、オークションに出品される」

「その通り」

英太朗は頷いた。亜希は口を開けて中腰になり、また座り込んだ。

「ほかの人に落札されたら?」

「前回の最高額が八百万円だそうだ。だから……二人分で絶対安全を期して、六千万円用意する」

「そう……」

女学生はほうっとため息をつき、しばらくテーブルの上を見つめていた。何分経ったかわからない頃、亜希は立ち上がった。

「……わかったわ。出品されてやろうじゃない。オークションとやらに。絶対最高額をつけさせてみせるわ」

「あ、ああ」

ことさらなんでもないことのように振る舞っているが、少女が動揺していることはわかっていた。育ちのいいお嬢様が物のように売買の対象にされるのだ。プライドが傷つかないわけがない。それに、当然危険だ。

「それと、調査なんかしてないじゃない!……彼に直接交渉しただけでしょ。まあ度胸は誉めてあげるけど」

「それは言うなって」

徐々に表情が明るくなってきた亜希に釣られ、英太朗も笑みをこぼした。

全てが順調……と言いたいところだったが、もう一悶着起きた。

「ちょっとこれえ……短いんじゃないのッ」

「そんなことないよ、ほかの人と変わらないさ……姉さんのためだろ」

「うう……」

亜希は恨みがましい目で、上げた両腕の間から英太朗を睨む。

オークション被出品者の義務として、写真の提出を求められた。

両手吊りで、カッターシャツを全裸にまとい、蠱惑的なポーズを取るというものだ。露出や焦点距離、背景紙もこの品番を買えと指定されていた。

少女はさんざん駄々をこねたが。これがなければ始まらないことは承知していた。三脚に一眼レフを載せた少年は、手を吊られたモデルの気持ちが固まるまで待った。

「ねえ……本当に下着はだめなの」

「なんか絶対に分かるそうなんだ。恥じらいとかで全然変わるって」

「そう……」

百六十センチにFカップ、脚の長さは姉と大差ない、見事な肢体だった。

シャツを突き上げるバストの量感も申し分ない。黒髪に隠れた、抜けるように白い肌が紅潮しているのも女学生らしい色気を醸し出している。

「いいわ……撮って」

バシャ、バシャと大きなシャッター音のたびに、少女が腰を引いてしまう。

「だめだよ、亜希ちゃん。なんか海老みたいだ」

「うそばっかりッ」

「本当だよ」

両手でぶら下がっている亜希に、ワイファイで接続したタブレットで、いま撮った写真を見せる。

「なにこの、不細工な写真……カメラマンが下手なんじゃないの?」

「ごめん」

不機嫌になった美少女は、少年を睨み付ける。英太朗も、こんなやりとりを何回も繰り返して疲れてきた。

「なんか、なあ。何が違うんだろう」

じっと見本を見つめる。顔ではない。シャツの質感や中の膨らみ、身体の捩り具合にヒントがありそうだった。

「ちょっとお、早くして」

つけつけと言い募られ、少年も我慢の限界が来ていた。

(なんだよ、君の姉さんのためにやってるんだろ……これ以上は)英太朗はきっと顔を上げると、亜希のもとへと近づいた。

「な、なによ」

「今度は僕の好きなようにやるから、少し言うことを聞いて」

「ちょっと何を……あああッ」

少年はシャツを引っ張り、女学生の身体に合わせるように全身を押さえ始めた。乳房から尻、腰を直接まさぐられるような感覚に、亜希は狼狽した。

「な、なに触ってるのッ……や、やめてえ」

顔を真っ赤にして腰をくねらせるが、少年は襟を抜いたり、裾を引っ張ったりするのに夢中だ。その間に前が開いて時に乳房が丸出しになり、股間の茂みも露わになってしまう。

「ちょっと、英太朗……やりすぎよ、ねえ」

決然とした少年の態度に、いつになく押され、亜希の態度も弱まってしまう。

(まさかこのまま、なにかしようってんじゃ)

英太朗が腰をぐっと抱いて止まった。肩までの髪が揺れ、上気した顔をじっと見つめられる。

「ああ……な、なに」

不意に自分が両手を吊られ、ほぼ全裸でいることに気付いた。無防備に男に腰を抱かれ、このまま何かされても抵抗できないはずだ。家には二人しかいない。

「ひッ」

腰をぐっと回されて、股間を隠そうと閉じた脚が開いてしまい、思わずうろたえた声が漏れた。美少女は両手で吊られた綱を掴んで、辛うじて身体を支えた。

「ああ、これがいい。動かないで」

「え……」

少年は早足でカメラに戻ると、連写を始めた。亜希は、どこか拍子抜けした気持ちになり、言われるままに止まっていた。

「ほら、完璧だ」

「あ……」

嬉しそうに寄ってきた英太朗に戸惑いながらも、写真を見て美少女はぎくりとする。

(これが……あたし?)

乳房はほぼ半分が出て、捩った股間も毛は見えないが、重ねた脚は丸見えだった。やっとつかまっている両手はまるで緊縛され、上気した頬はあたかも感じているかのようだ。シャツは身体の線に沿い、裸同然に見せていた。

(なんていやらしい……ううん、綺麗だわ)

余りにも露出は過度だが、目的に沿った最高の出来であることはわかった。

「い、いいんじゃない」

動揺を抑え、女学生は平静を装って答えた。

「最高さ。将来はカメラマンになろうかなあ」

「バカなこと言ってないで、早くほどいてッ」

強気を取り戻した亜希に対し、英太朗は肩をすくめると、緊縛を解いた。少女はすぐに部屋に駆け込んだ。

(なによ、あいつ……急に態度を変えたりして)

もやつく気持ちを抑えられず、シャツを脱いで丸め、床に投げ捨てた。

(あ……)

その時に気付いた。美少女の閉じた脚の間は、じっとりと濡れていた。

「……つまりは、先進国では君らが想像するような人身売買は、もうコストに見合わないってことなのさ」

秋晴れの日。疾走する豪奢なプレジャーボートの甲板に出されたテーブルには、サングラスや帽子、手袋で完全武装した林田亜希、シャツにチノパン姿の林田英太朗が座り、その前でアロハ姿の大城誠也が長広舌を振るっていた。

「みんながそこそこ豊かになったから?」

英太朗の質問に、誠也が頷いた。亜希は海上の波頭を眺めていた。

「情報はSNSで筒抜けだし、手下として命がけで動いてくれる人材もいない。もっと大きいのは供給の多様化だな。攫わなくても、同等のレベルの人材が応募してくるんだ。ならあとはマッチングになる」

「ここのオークションも?」

「金持ちは仕掛けが好きだ……昔のように奴隷をせりにかけるスリルを望んでいる。ただ、だいたいは事前に落札者と落札額は決めてあるんだ。結局人と人との相性だからな」

「なんだ、ショーじゃないですか」

どうやら英太朗は、誠也の風貌と会話に魅了されたようだ。亜希は内心で苦笑した。

(自分と正反対だから、憧れるのかしら)

「出品される人も応募なんですね」

「いまどき拉致して押し込めるなんて、専制国家や麻薬王くらいしか無理さ。そんな危険を冒す必要もなく、トップクラスの人材が安寧や金銭を目的に、身を委ねる。われわれはビジネスをやっているんだ」

「なんか写真がちょっと玄人っぽいと思った」

誠也はにっこりとした。

「さすがだな。君らは別だが、ほとんどが水商売や芸能界だ」

「……智佐さんは?」

男は少し顔を引き締めた。

「たまに素人の応募があるんだが、彼女の事情はわからない。ただ、当人は了承しているということだった」

「痴話げんかとかかなあ」

「……信じられないわ」

少女が頭を振って、つぶやいた。最近まで男の影など微塵もなかった。ただ秘密行動は増えていたので、自分の知らない背景があるのかもしれない。

「まあ心配しなくても、英太朗君が落札してから聞けばいいさ。仮にあてつけの彼氏が落としたところで、身の危険はないはずだ」

そうこうしているうちに、ボートは島の専用港に着岸した。

「ああ、そうだ……シナリオは決まってるとはいえ、始まったらその世界のルールに従ってくれ。わたしも逆らえばつまみ出される。そういう決まりにしたんだ」

「劇場ですからね。王様は裸だろって言うのは無粋ですね」

(無理しちゃって)

亜希は、相手をしてくれる大人に気に入られようと懸命な英太朗を、ほほえましく感じた。

「君は専用棟に行ってくれ。あのホテルだ」

低層の南国風の建物を示され、亜希はカートを引いて歩き始めた。

英太朗は誠也のあとについて、別の棟に歩を進めていく。

「実は、彼女の前では言えなかったんだが……ちょっとまずいことが起きた」

「な、なんでしょうか」

誠也が顔を曇らせ、少年の耳元に顔を近づけた。

「予定外だが、素人に目のない奴が今回参加してる。いつも談合を無視して、好みの女を落とすどら息子なんだ」

「ええッ……それじゃあ」

「君が二人とも落とすのは無理かもしれない」

「そんなあ……」

英太朗は激しく動揺した。亜希をそいつに落とされたらどうしよう……。なにもかもが台無しになってしまう。

「提案だが、わたしが智佐さんを代わりに落札するよ。林田議員と龍禅グループの関係もあるし、そこは義理を果たすつもりだ」

「よかった」

少年はほっとする。智佐には悪いが、勝負になったら亜希に全額をつぎ込むこともいま考えていた。

「必ずお支払いしますよ。すぐできるかどうかは亜希の値段次第だけど」

「君は見所があるな。その歳で口約束をきちんと守ろうってのはなかなかないぞ」

誠也に誉められ、少年は顔を赤くした。

「あんたが二番ね」

「ええ?」

控え室だと言われたスイートに通された亜希は、マッサージ用のベッドや明らかにプロ用らしい化粧道具を眺めているところに声を掛けられ、飛び上がった。

いつの間にか、部屋の入り口に人が立っていた。

豊満過ぎる身体をどういうわけか銀色のレオタードに押し込んでいる、十年前はさぞ美人だったろうという派手なメークをした五十近い女だった。

「ほらさっさと全部脱いで。調べるから」

「し、調べるって……」

うろたえた女学生は助けを求めるようにあたりを見回したが、窓の向こうから波の音が聞こえるばかりだ。

「出るって決めたんだろうから、ここのルールに従ってもらうよ」

「そ、それは」

美少女の身体が固まる。躊躇ったあと、シャツブラウスのボタンに手が掛かるが、一つ目で止まってしまった。その様子を腰に手をあてて見ていた女は、つかつかと寄ってくると上からボタンを外し始めた。

「ああッ……ちょ、ちょっと」

キャミソールまで露わにされた亜希は、顔を赤らめて身を引こうとする。

「出ないなら出ないでもいいんだけど?」

女は両手を離すと、関心なさそうに肩をすくめた。

(しっかりして、亜希……姉さんのためでしょ)

恥ずかしさをこらえた美少女は、震える手で服を脱ぎ始めた。

「じゃあ、このベッドに寝て」

女は女学生が覚悟を決め、ショーツを最後に脱ぎ捨てるとすぐに命令した。なんの感情もこもっていない、事務的な口調だった。

少女は諦めて、前を隠すようにしながらマッサージ用の組み立て式ベッドによじ登ると、横たわった。

「きゃああッ……どうしてッ」

上がった途端、両手をまとめて引っ張られ、枕の下に隠れていたゴム製のベルトで縛られる。少女は万歳をする格好にされ、思わず身を捩った。

「こら、暴れない。落ちたら怪我するよ……って、あらまあ」

レオタードの女は、赤子でもあやすような口ぶりで亜希の腹を押さえたが、ある部位を見て大声を発した。

「な、なんですか」

「……全然毛を処理してないじゃないか」

女の声に、明らかに困惑したというか、呆れた感じが混じっているのを亜希は聞き逃さなかった。

(なに?……あたし変なの?)

とんでもない非常識を責められたように感じ、美少女は身を竦ませる。

「脇も剃っただけか……間に合うかねえ」

「だ、だめですか」

「外人さんならともかくねえ。条件に入れてあるはずだがねえ」

(知らないわよ!……そんなの)

英太朗が見落としたのだろうか。それより、女がさも当然という口ぶりなのが、自分がいかにも女として至らないことを非難されているように感じる。

「ああッ……どうしてッ」

女が亜希の足首をベッドの脚に括りつけ始めた。あっという間に股間を開いたポーズで拘束されてしまう。

「一気にやっちまうから、我慢しな」

「あの、ちょっと、待って」

大きな瓶を抱えた女が振り向いた。

「ああうッ……はああッ」

Fカップではあるが、成長途中の乳房をぬるついた手でしごき上げられ、亜希は仰け反って喘いだ。

手荒いマッサージのようで、バストの感覚だけを研ぎ澄ませるように追い込まれていく。見かけによらぬ女の手技に、女学生はあっという間に追い込まれていた。

(なんでえ……なんなの、これえ)

息が上がり、顔が上気しているのが自分でもわかる。

両手は上に差し上げられて縛られ、両脚も開かされている。全裸に剥かれた女体の凹凸を、オイルまみれの女の手が上へ下へ滑り、肌がじんじんと痺れてくる。

「どうしてッ……こんなことを」

「決まりなんだからしょうがないだろう。それにあんたが処理して来ないから炎症を冷ますのも大変なんだよ。出番まで時間がないったら」

先刻、脇と股間に熱いワックスを塗られ、一気に引きはがされて脱毛されたの だ。大絶叫した少女に構わず、女はオイルマッサージを始めた。

ひりひりしていた局部の痛みもようやく収まってきた。

一見、気のないように見える女のアロママッサージの技は、消炎効果も含めて相当高度であるらしかった。

(おかしい……おかしいわ)

まだ学生である自分がいったい何をしているのか、亜希は潜入以来、昂ぶっていた自分の気持ちが後悔に傾いていることに気付いた。

このマッサージは、出品される女たちの魅力を上げるためだろう。

オイルに濡れ光る自分の肉体が、いかに猥褻に見えるかはすぐにわかった。

(いやらしい……)

女たちは自分の肉体を高値で売ろうとするのだから、綺麗に見せるのは当然だが、自分は年端もいかぬ女学生の身でありながら、明らかに性的な目的のオークションで品物として売られようとしている。

英太朗が落札する手はずとは言いながら、舞台に出れば男たちの品定めする欲望に満ちた視線に貫かれるのは違いなかった。

(なにやってるの、あたし……)

姉を救うという大義名分があるとはいえ、これはやりすぎだ。

とはいえ、いまさら悔やんでもどうにもならない。ここで泣きついて逃げ出すには、亜希のプライドは高すぎた。

「もう赤みが取れてきたよ。やっぱり若いってのはいいねえ」

「うくッ……ほんとッ……はうッ」

そして、この状況を受容させているのは女の手技の巧みさだった。慣れてくるにつれ、摩擦が快美感に確実に変化しつつあるのだ。

(気持ちいい……触られるところが熱い)

くすぐったい部分が多かった指の技も、慣れてくると快感ばかりが際立ってくる。

(人に触ってもらうってこんなに良かったの)

男性経験はおろか、キスすらしたことがない。しかもくすぐったがりの自分が肌への直接刺激を受け入れ、淫らがましい声まで上げてしまっている。

(男の人に愛されるとこうなっちゃうのかしら……いやらしいわ)「ああッ……ううッ」

肌を滑る手のひらに思わず恥ずかしい声が漏れてしまい、亜希は顔を赤くして背ける。乳房、脇腹、特に内腿と下腹部は押されると疼くような感覚が湧いてきて、女学生を動揺させた。

「なんでここまで……はうンッ」

盛り上がった陰阜を撫で上げられ、美少女は腰を浮かせてしまう。

「たっぷり仕上げとかないと、勝てないよ。今回の一番は強敵だろうから、あんたでもねえ」

(一番って……智佐姉さん!)

夢見心地にされていた少女は、我に返った。

「そ、そのひと……ああッ……そんなにすごかったの……あくッ」

全身を這い回る手にFカップの乳房を震わせ、腰をくねらせながら亜希はなんとか言葉を絞り出した。

「触っちゃいないが、身体はいままで見たことがないくらいだね……あんたもなかなかだけど、ちょっと幼いね」

(やっぱり……)

姉を賞賛されて誇らしくもあったが、悔しさも涌き上がってくる。肉体のボリュームでは一度も勝てたことがない。

(何を武器にすれば、姉さんに勝てるのかしら)

「でも身体は柔らかそうだね。抱き心地は良さそうだから、こっちを選ぶ人も多いだろうさ」

「はあッ……なによそれッ」

むっとする亜希だったが、羞恥と同時にどこか嬉しさもこみ上げてくるのを感じ、あわてて内心で打ち消した。

「札を上げて、金額を言うだけだ。知ってるだろ?」

「は、はい」

まるで映画館の指定席のようにゆったりとした階段席に男たちが座っていた。英太朗は誠也と並び、ウーロン茶を口にしていた。誠也は水割りをすすっている。

全員がバスローブ姿だった。温泉で一風呂浴びてから、裸の上にまとっている。少年が着たこともないほど上質な素材だった。

「やあ、誠也君」

「社長、お久しぶりです」

「きょうは相当気合いが入ってるな。契約込みだなんて、何年ぶりかな」

誠也は胸元から鍛えた筋肉を覗かせながら、頭を下げた。

「素人会ならではの趣向を、どうぞお楽しみください」

そこここで挨拶が、内緒話が交わされる。大人たちのリラックスした、それでいて秘密めいた雰囲気に少年も高揚してくる。

「きょうは君も参加するのか」

「お手盛りのようで恐縮ですが、特別にお許しを」

誠也が中腰になり、振り返って頭を下げた。

「いつもは参加しないんですか」

「競売人……司会をね。それに僕は、女を買う必要がない」

そう言って中年男はウインクをした。気障なポーズも、この場であれば違和感はなかった。英太朗は心臓がどきどきしてくるのを感じた。

いつのまにか司会らしき男が入ってきて、壇上で軽く会釈をした。

会場の喧噪が収まるのを待って、おもむろに切り出す。

「お時間となりました。秋の特別会、ご参加ありがとうございます。今回は正真正銘の素人限定、出品はわずか三件のみ、契約縛りでございます。異議のある方はどうぞご退席ください」

「いつもは正銘やないんか」

突っ込みに会場から笑いが漏れる。

降参とばかりに両手を挙げた競売人に、皆が棒のついた札で袖机を叩いて応える。少年もあわてて後に続く。

「ご異議なしと認めます。早速始めさせていただきます。一番、百七十センチ、四十八キロ。二十一歳。九十、五十五、九十。学歴A」

階段席に見下ろされる舞台に照明が交錯し、音楽が始まった。

「一番前の左端。あれがルール破りだ」

「え……ああ!」

耳元で囁かれた英太朗は視線を前方にやり、度肝を抜かれた。いつの間にか暗闇に座っていたのは、相撲取りかと見紛うばかりの巨漢だった。

(まるっきり、『古きものども』じゃないか)

少年は愛読する小説に出てくる邪神のような、台形の生命体が蠢くようなイメージを幻視した。無数の触手すら伸びていたかもしれない。

(あんなやつに買われたら、智佐さんも、亜希も……)悲惨すぎる運命を想像して、英太朗はどっと冷や汗をかいた。その時、観衆のどよめきに気付いて舞台に目線を移した。

(智佐……さん)

少年は、股間がかあっと熱くなり、痛いほどいきり立つのがわかった。

金色のレオタードを着た中年の女に肩を抱かれ、ふらつきながら舞台に出てきたのは確かに林田智佐だった。

しかし上半身は黒縄で緊縛され、メロンほどもある巨大な乳房がぎりぎりと縊り出されている。しかも全身はオイルで濡れ光り、歩くたびに揺れる双乳に光線が淫らに反射し、曲線を際立たせる。

百七十センチの長身にくびれた腰、張り出したバストとヒップはまるで外人モデル並みの迫力だった。

「あうッ」

後ろ手に縛られた縄尻を、天井から吊られたロープに連結され、ぎりぎり立てる姿勢で拘束された。以前よりやや短くなった髪はそれでも乳房にかかり、紅潮した、うつろな美貌を際立たせている。

「とんでもない美人だな」

「ハーフじゃないのか」

男たちの興奮した話し声が高まる。

(智佐さん、どうしてこんな場所に……それも裸じゃないか。毛もないし)英太朗は、想像を遙かに超える淫らな格好にショックを受けていた。

写真の、シャツ一枚のソフトエロとは訳が違う。優秀でどちらかといえば大人しいほうである女子大生が、全裸で娼婦のようなポーズを強いられている。

それよりも良家の子女が人前で破廉恥な姿をさらせる動機が気になった。

(ということは、まさか亜希も)

「八百万」

少年の衝撃と焦燥をよそに、いきなりの高値に会場が再びどよめいた。

「一千万」

「千二百万」

口々に入札の声がかかり、ざわめきが一層強くなった。

「千八百万」

巨漢の男の札に、政財界のお歴々からもため息が漏れた。

(ちょっと、誠也さん……これは)

動揺した英太朗には目をくれず、唇を引き結んだ誠也は、札を上げた。

「三千万」

智佐は自分の値段を知ってか知らずか、ぼうっとして目線が定まらず、足元もふらついて緊縛された身体を揺らしている。

「三千五百万」

「五千万」

旧支配者のような男の値を圧倒する誠也の札に、男たちが頭を振る。

「五千万……ありませんか……ない。では一番は、そちらの方に落札です」

誠也が立ち上がってお辞儀をすると、割れんばかりの拍手が起きた。

(すげえや……誠也さん。そうやって意欲を削ぐのか)上乗せ金額をはるかに上回る値付けをかぶせて、勝てないと思わせる。絶対落とすという意志がなければ勝負できない流れだった。英太朗は好漢然とした切り込みっぷりに興奮して、大きな拍手を送った。

「では、落札者は出品された女性と契約をお願いします」

誠也はそのまま舞台に上がると、バスローブを脱ぎ捨てた。鍛え抜いた筋肉と上向いた剛直が表れ、幾人かが拍手する。

「智佐、ご苦労様だったな」

「……やっぱりひどいわ、おじさま……こんなの、恥ずかしすぎる」

女子大生の腰を抱き、顔を近づけた男の言葉に、智佐は涙目になって唇を尖らせた。しかし頬はぽうっと上気し、唇は半開きになって、額からは汗が垂れている。

「しょうがないだろ。俺の女になるっていうのはこういうことだ。それに、お前のためでもある」

「わかってるけど……」

美しき医大生は俯いて、唇を噛んだ。目的のために手段を選ばないと言ったのは自分だった。結果的に妹たちまで巻き込んでしまった。

そのために犯され、さんざんに調教を受け、快楽漬けにされて露出にも応じてしまう身体にされてしまった。さらにいまでは、甘い被虐の悦びさえ理解できるようになってしまったのだ。

(逆らえないわ……もう)

「じゃあ、いいな?」

「……はい」

二十一歳の女子大生は、眉をきりきりと歪ませながら、男の命令にこくんと頷いた。

誠也は智佐の背後に回ると、競売人からローションを受け取って屹立に塗り込んだ。

「ああッ……」

男は女子大生の右足、そして左足をがっしり抱え込んで宙に浮かせる。美少女から狼狽した声が漏れた。

背後から抱かれて若い女が用を足させてもらうような格好にされ、美貌の大学二年生はぶんぶんと首を振った。

「恥ずかしいッ」

百八十度に開かされた無毛の股間には、ぱっくりと割れた淫裂が紅い口を開けている。オイルで光っているのか、粘液でどろどろになっているのか遠目には判別し難い。Hカップの乳房がふるふると揺れ、真っ白な肌が猥褻に光る。

(なにやってるんだよ、誠也さん)

呆然とする大学生の内心など知らぬげに、誠也は女体をさらにぐっと持ち上げる。血管が浮き出るほど勃起した肉刀の先端を、医大生の肛門に押し当てた。

「や、やっぱり無理ッ」

悲鳴のような声が漏れ、美少女は濡れ光る尻をくねらせた。

「さっき、指で広げてやったろ」

「ああ……だってえ」

耳元で囁かれ、屈辱と羞恥に震える身体から、力が抜ける。

男はにやりとすると、腕を下げて智佐の美臀を下に降ろす。その瞬間、亀頭がずぶりと括約筋を貫いた。

「うあああああああああッ」

二十一歳の絶叫が会場に響いた。固唾を呑んで見守る男らからうめき声が漏れる。

「すげえ締め付けだぞ、智佐」

「ゆるして……こんなの……はああああああッ」

男が腰を突き上げると同時に女尻が下がり、長大な肉棒が女子大生の菊穴に完全に埋まった。甲高い嬌声が再び響き渡った。

(入っちゃった……ぜんぶ、おしりの穴に)

照明が当てられ、汗ばむほど熱い。緊縛されている上半身を、そして肛門に肉茎を挿入されているところを見られている。智佐は屈辱とともに子宮が熱く疼き、全身が痺れるような快感に襲われるのを感じた。

「いやあッ……どうしてッ……どうしてえッ」

初めてのアナルセックスでの挿入であるのに、後ろの穴は極太の男棒を喰い締めるように呑み込み、きゅんきゅんと締め付ける。

「智佐、痛いか?」

「だいじょうぶ……おしり、熱いけど」

「じゃあ、犯すぞ」

大学二年生は諦めたように、黒髪ストレートの美貌をこくりと頷かせた。

「くうううッ……はあああああッ……いやあああッ」

誠也が力任せに女体を跳ね上げ、ずぶり、ずぶりと肛門を貫いていく。秘裂から垂れ落ちる愛液とオイルがスラストとともに白濁し、長棹にまとわりついていく。

「いやああッ……おしり、だめええッ……死んじゃうッ」

白くなった肉槍が、女子大生の菊門に埋め込まれては、ずるずると抜き上げられる。智佐はロングヘアをばらばらと振り、九十センチを超える豊乳をバウンドさせながら白い喉を喘がせ、甘ったるいよがり声を響かせる。

「はあうんッ……いやあああッ……熱いのッ……おしりがあッ」

聞いているものの頭をおかしくするような、二十一歳の淫らな嬌声がこだまする。

しかもそれは女子大生が初めての肛門性交で恥ずかしげもなく快感を覚え、前の穴から本気汁を垂れ流すほど感じきっている顔を晒している姿なのだ。

(なんてすごいんだ、智佐さん……あんなにいやらしい顔をして)英太朗も呆然として鈴口から先走り汁を垂らし、肉棒をひくつかせていた。

緊縛美少女がステージの上で懸命に後ろを向いては男に口を委ね、舌を絡め合う。そして下半身では男の太茎を排泄口で飲み込み、締め上げているのだ。

後ろ手に縛られた不自由な上半身を反らしては、腰をくいくい使っている。

「いやあンッ……いやンッ……おしり、だめなのッ」

(どうしてえッ……あたし、おしりでも感じちゃってる)智佐は動揺していた。男に初めての肛門を捧げるのは愛情から仕方なくのつもりだった。ところが、直腸に肉棒を受け入れてしまった途端、いままで知らなかった黒い快美感が背中を走り抜けることを知った。

(おしりに入れたり出したりされるだけで……すごくいい)スポットライトを浴びた美しき医大生は自身の淫らさにむせび泣き、それでも菊襞で陽物をぎりぎりと締め上げてしまうのだ。

「くそ、智佐……こんなにケツの穴で締め付けやがってッ」

「違うのッ……ちがうのおッ」

黒髪を振り乱した女子大生は上向いたまま、はあはあと喘いだ。

肛門をずぶずぶ撃ち抜かれるだけで、どろり、どろり、と子宮から粘液が垂れ落ちてしまう。誠也も汗を垂らしながら、気持ちよすぎる菊穴を貫き上げる。

「どうだ、智佐……ケツの穴でイクか」

「は、はいッ……智佐、おしりでイッちゃいます!」

もう何を口走っているのかわからない。抱き上げられ、跳ね上げられて排泄孔を犯されるままに、淫語を叫んでしまうのだ。

「一緒にイクか?」

「はいッ……智佐のおしりに、おじさまの、ください!」

誠也は女子大生の口を吸い上げると、腰のマグマを一気に解放した。

怒濤のように、男の熱液が腸管に噴射される。その瞬間、美少女の身体が硬直した。

「イクううううううううううううううッ」

上半身が反り上がり、離れた口から医大生の絶叫が放たれた。

達しきった女体は痙攣しながら剛直を締め上げていく。

「ああッ……いやあああッ」

うろたえきった女子大生の菊穴が急激に締まり、にゅるんと抜き身を押し出した。そしてぶびびびと音を立てながら、白濁が床に垂れ落ちた。

「いや……いや」

究極の屈辱に呆然として震える美少女の肛門からは、湯気の立つようなザーメンがだらだらと押し出されていった。

誠也は自分の席に戻ったが、戦利品である智佐の菊座を対面座位で貫いたまま、しっかりと抱いていた。女子大生は人前でアナル絶頂をさらした恥ずかしさに、顔を男の肩に乗せてがくがくと震えていた。

(僕も亜希を落札したら、ああいう『契約』をしないといけないってことか)大学生は予想もしていなかった成り行きに動揺し、ひっきりなしに流れ落ちる汗をバスローブでぬぐった。

明らかに誠也はこの条件を隠していた。

売買が成立したら、その場で肉の交歓をするのが契約なのだった。素人の場合は特に、その場で済ませないと、女から合意をひっくり返されることが往々にしてあったからだという。それが本物の素人会なのだ。

席に戻った男を問い詰めると、平然と白状した。

「もう君はこの場に来ているんだ。彼女も出品される。逃げられないぞ」

さらに英太朗が追い込まれたのは、契約が不成立だと、次点が権利を得ることになるという規則だった。おそらく亜希は、そのことを知らない。そもそも、裸で出品されることも知らないだろう。

事務所での小芝居、これ見よがしの招待状、思わせぶりな態度。

誠也は最初から二人を欺いて、この場に誘い込むことが目的だったのだ。

(こんなことになるなんて……でもなぜ?)

智佐をわがものにするためだろうか。ただ、それくらいなら二人は必要ないはずだ。少年は男の方を振り向いた。

「二人は恋人同士だったんですね……最初から自分が落とすつもりだった」

「いまは亜希ちゃんを守ることを考えろ。君にできることはそれだけだ」

男は問いに直接答えなかった。腹は立ったが、少年は少年なりに覚悟を決めた。

(いま僕にできることは、一つしかない……けど)英太朗は童貞だった。

いまどきの大学生らしく、無修正のAVならネットで腐るほど見ている。本番は違うとか穴の位置も形も千差万別だとか、耳学問も死ぬほど仕入れている。

しかし憧れの亜希を前にして、果たして堂々とできるだろうか。しかも衆人環視で。

(なるようになれ)

「ああ……英太朗くん……」

ようやく正気を取り戻しつつあった智佐が、ぼうっとしながらも隣の少年に気付いた。英太朗は気まずそうに目を反らし、会釈をする。

「きょうで全てが決着するんだ。お前は黙って見ていろ」

誠也にそう言われ、美人医大生は顔を男の胸に埋めた。

「少年、俺が言ってやれるのは『上限を気にするな』だ。それと、これを飲んでおけ」

男は錠剤を手渡した。

「なに?」

「勃起が続いて、なかなかイカない薬だ。あとはお前次第だな」

「わかった」

少年が素直に頷いたところで、部屋が暗くなった。

「素晴らしい落札のあとは、さらに素晴らしい出品です。二番、百六十センチ、四十五キロ。十*歳、八十八、五十五、八十八、処女保証、学歴A」

猿ぐつわをされた少女が、銀色のレオタードを着た女に引きずられるようにしてきた。大きな瞳がさらに見開かれ、表情が引き攣っている。

「ンンッ……んむむンッ」

(ああ、亜希!)

明朗快活で強気一点張りの美少女が、いまは頼りなげに眉をしかめ、身体を震わせている。上半身はやはり黒縄で緊縛され、Fカップの乳房が前方へ突き出すように絞られ、ぱんぱんに張り切っている。

全身はオイルでてかてかに光り、新体操で鍛えた肉体をさらに美しく、卑猥に見せていた。こうしてみると、淫らな小悪魔といった風情だ。

到底、童貞少年の同級生には見えなかった。

(なんてエロいんだ……なんだこれは)

会場も智佐の時の賞賛と驚愕のどよめきとは違う、息を飲むような空気が伝わってくる。男たちの本気の欲望が剥き出しになっている。

「ンむむむッ」

背中の縄尻がつながれ、緊縛された女学生は天井から吊られる。逃げられないよう、かかとを浮かせられる。アイドルのような容姿の美少女は、ゆるやかにウエーブした黒髪を左右に振った。

(英太朗!……どうして)

目線が合い、すがるような瞳に射られて少年は下を向いた。

「相当暴れたようだな。ちょっと弛緩剤を打ってるな」

言われてみれば、あの亜希が大人しく引きずられてくるはずはない。足元がふらついているのもそのせいだろう。

(早く……楽にしてやらないと)

「一千万」

「千五百」

「二千」

あちこちから声が一斉に飛び、競売人も一瞬戸惑った。雄の獣欲が会場を活気づけた。かつての、中世の盗賊たちの宴会もこのような光景だったのだろうか。

「二千五百」

「五千万」

百戦錬磨の男たちも歓声を上げた。例の巨漢が一気に勝負に出たのだ。

「五千万……ありませんか」

雰囲気に気圧されて固まっていた大学生があわてて札を上げた。

「六千万円」

急に高めの声が割って入ったことで、注目が英太朗に集まった。興味津々といった目線が集中し、少年は身を竦ませる。

「六千五百」

「八千万円」

若い女好きの肥満男の声に、大学生は反射的に札を掲げた。言ってから自分で驚いた。

(そんなに持ってないのに……僕は何を)

「八千五百」

「一億円」

繋がれた女学生が、呆然としたように顔を上げた。会場が静まりかえった。少年は口の中がからからに乾いていることを感じた。

「一億……ありませんか」

今度は視線が巨漢に集まる。男は札を手にしかけて放り出し、頭を振った。

「そんな価値のある女がいるかよ」

「二番、そちらの……若き紳士の落札です」

沈黙のあと歓声と拍手が一斉に涌き上がり、英太朗は顔を真っ赤にして立ち、何度もお辞儀をした。

「では、契約を」

大学生はそれを聞いて狼狽し、誠也のほうを見た。

(お前が降りたらどうなる……あいつを見ろ)

少年は、ふて腐れている巨漢を見た。

自分が降りれば、亜希はこの男の餌食になるのだ。少女が自分より大きな腹の肉に押し潰され、泣き叫んでいる姿を想像し、ぞっとする。絶対に失敗は許されなかった。

英太朗は舞台に上がり、亜希に近づいた。全裸の緊縛姿を羞じらってか、美少女は身をよじって股間を隠そうとするが脚がふらつき、少年に抱き留められた。

涙に潤んだ目で見上げられ、大学生はどきりとする。

引き結ばれた猿ぐつわを外してやると、はあっと大きな息を吐いた。

「どういうことなの、これえ……なによその格好」

状況の異様さに打ちのめされているのか、薬が効いているのか、女学生が叫び出すような気配がないことにほっとする。育ちが良すぎるせいか、人前で騒ぎ立てるのが苦手なことは知っていた。

「もう逃げられないんだ。僕が入札から降りたら、あいつに買われていた」

「そんな……それに一億ってどういうこと」

「亜希を……ほかのやつに渡すわけにはいかないだろ」

淫らすぎる格好を強いられた美少女は、吊られながらふらふらとして、少年を見つめた。背は二十センチ近い差がある。

「落札してくれたのは嬉しいけど、呼び捨てにしていいなんて言ってない」

「君は僕が買った。僕のものだ」

「なにを言って……ああッ」

後ろ手に緊縛された上半身を抱き締められ、女学生はうろたえてもがく。

「なにしてるのッ……こんな場所で、なにする気なのッ」

「決まりなんだ。ここで契約を終えないと、僕の権利がなくなる。次点のあいつが亜希を自分のものにするルールだ」

「こ、ここでッ?……そんなの日本で許されるわけないわッ……犯罪よッ」

動揺した亜希は不自由な身体で逃れようと暴れるが、すぐに息が上がってしまう。

「あとから訴えることはできるかもしれないけど、いまは無理だよ。みな規則を承知で参加してる。僕らだけ許されるわけがない」

「だいたい、契約ってなによッ」

自分が徐々に追い込まれつつあることは、少女自身も察していた。事前にあの女に施された準備は、明らかに生贄となる女の身体を仕上げるものだ。

そしてこのような抵抗できない、猥褻な格好で拘束された。

女がそのようなことをされる理由は一つに決まっていた。

「わかってるだろ……」

「それでいいの?……あたしたちまだ、学生なのよ」

声が震え、脚がふらつく。腰を抱かれて支えてもらっているが、密着した腹には先ほどから布越しに、硬くそそり立ったものが当たっている。

(格好いいこと言って、あそこをこんな風にしてるじゃないッ)「やあ、なかなか抵抗しますな」

「こりゃ本物の学生カップルだ。実に初々しい……こんな演し物はめったに見られるもんじゃない」

大物らしい老人たちの会話が聞こえ、亜希は恥ずかしさで身が縮み上がる。

「ごめん……これ以上我慢できそうにない」

少年がバスローブを脱ぎ捨てると、思った以上に立派な男根が天を突くように聳え立っている。カリ首が剥き出しになっている逸物だ。

「ばかあッ……なんでッ……ま、待ってえッ」

生まれて初めて勃起状態を見せられたショックにつけ込まれ、女学生は裸の腰を引きつけられてしまう。脚が引っ張られ、つま先立ちで辛うじて立てる状態だ。

「ほ、ほんとうに……するの?」

少年が思った以上に決然として迫ってくるのに押され、美少女は気弱な表情になってしまう。肌はオイルで淫らに光り、自分のものとは思えないほど乳房は巨大化している。誰が見ても、その筋の女でしかない。亜希の心は折れかかっていた。

(こんないやらしい格好をさせられて、抵抗できるわけない)「あむッ……ンむむッ」

いきなり唇を塞がれた。強引に口をこじ開けられ、舌をねじ込まれる。

(いやああッ……ファーストキスなのに!)

初めての接吻が、衆人環視のもとでの緊縛セックスだった。女学生はあまりのショックに、腰砕けになりそうになる。

「いやンッ……あむンッ」

少年のキスは執拗で、少女の舌を吸い上げて気を遠くさせては、口内をねぶり回す。口元が互いの唾液でべとべとになるほどのディープキスに、亜希は顔を左右に振って逃れようとするが、引き戻されては口を塞がれた。

息が上がるほどの口吸いから解放された女学生は頬を染め、喘ぎながら少年を睨み付けた。

「ひどいわッ……こんなの、ゆるさないんだから……」

「しょうがないだろ、お前の顔がエロすぎるんだよ」

「な、なにを言って……あんッ」

今度は美少女の髪をかき上げ、口から耳元、首筋に舌を這わせてはキスを加える。

「くすぐったいッ……やめてえ」

女学生は感度の良さを、その反応で見せつけてしまう。あまりに淫らな状況に頭がぼうっとしてくる。

「どうして……こんなことするの」

「お前が欲しいからだよ、亜希。なんのために、一億も使ったと思ってるんだ」

「そ、それは……」

その部分は本当に驚き、どこか弱気になっている原因でもあった。受け入れざるを得ないと思わせる負い目にもなっていた。

「あッ?……いやああッ」

英太朗は女学生の右の膝裏に腕を差し込んで抱え上げると、片足立ちにさせた。そして細く締まった腰を引きつける。

(アレが……当たってる)

大きく開かされ、パイパンにされた股間に少年の剛直が押し当てられた。美少女の頬が真っ赤に染まる。

「こ、こんな姿勢で入るわけないわ」

亜希は唇を噛んで、強がった。肩までの髪が揺れ、美しい眉が悩ましくしかめられる。贅肉のない腹が呼吸で波を打った。

(さっき教えてもらったように、何度か突いていれば)英太朗は舞台に出る前、誠也に教えを請うた。立ったままできる体位のことだ。

(穴を探して挿入するのは初めてだと無理だろう。脚を持ってあそこを開かせて、とにかく突いて入るところを探せ。ガチガチに勃ってれば、そのうち絶対に入る)「あうッ……そこじゃない……ちが……あーーーーーーーーーーーーーーーッ」

横に大きく開かされた真っ白な股間を、反り上がった硬茎がむやみに突き上げるうち、いきなり肉杭が美少女の恥裂に一気に嵌まり込んだのだ。

アンバランスに開いた膣口が、露出による羞恥でぬるぬるに溶けていたのも功を奏した。一度入ってしまえば雄と雌の本能で、腰の動きを合わせてしまう。

(なんだこれ……熱い……気持ちいいッ)

少年はペニスが蕩けそうになるほどの快感に、がくがくと下半身を揺らした。熱い筒に感覚器全体が包まれ、痺れるほどの気持ち良さだった。

「いやあッ……いやあああああああッ」

突然、処女膜を突破された。傷を抉られるような処女喪失の激痛に、亜希も天を仰いで絶叫した。英太朗はそれでも無意識に腰を突き上げ、自身の抜き身を、全て少女の体内に収めた。

「あうううッ……き、きついッ」

前戯もなしのいきなりの全挿入に、片足立ちの女学生は美貌を歪ませる。後ろ手に縛られた手の指で縄を掴んで違和感に耐える。

(どうしてぜんぶ、入っちゃうの)

股間を割り裂かれて杭を打ち込まれたような圧倒的な感触に、亜希は魚のようにぱくぱくと口を開け、新しい空気を求める。

「難しい体位なのに頑張ったな、あいつ」

「あ、亜希は大丈夫なの」

自分も肛門を貫かれたままなのに、智佐は振り返って心配そうに見つめる。

「英太朗君は彼女に惚れてるから問題ないさ。学生同士でほほえましいぞ」

「あたしだけじゃなくて、亜希も巻き込むなんて……恐ろしいひと」

「そんな男のものになるって決めたんだろ」

「それは……」

智佐は俯くと、柔らかな乳房を男の胸に擦りつけた。

「あああ……あーーーーーッ」

腰を引いた少年は、美少女の秘裂をずぶずぶと貫き上げた。

亜希が腰を逃がそうとするところを、尻を押さえつけて固定する。再びずるずると抜き上げると、ずーんと深奥まで打ち抜いた。

「いやあああああああッ」

緊縛された上半身が仰け反り、吊った縄がぴーんと張った。揺れる豊乳から汗が弾け飛んだ。処女の悲痛な叫びがあたりに響き渡る。

(痛い……裂けちゃう!)

猥褻過ぎるシチュエーションに女の沼地はぬかるみ、潤されていたとはいえ、まったくのヴァージンホールだ。英太朗の年齢にしては太く長いペニスが、女学生の小陰唇を限界まで丸く広げていた。

「おねがい、せめてゆっくり……」

セックスをされるにしても、痛みはできるだけ少なくしたい。しかし童貞である大学生は同級生の哀訴にも腰の動きを制御することなどできず、自分のペースで剛槍を打ち込み始めた。

「ああ、亜希!……すごいよ!」

「うう!……ああ!……いやあ!……」

習い覚えた猿のように、腰を引いては全力で抜き身を女の傷口に打ち込む。びたん、びたんと股間が叩き付けられ、抱え上げられた右足がぴーんと空中で張る。

美少女は真っ赤な顔をして口を開け、必死に腰の動きを合わせて凌辱に耐える。

縊られたFカップの乳房は打ち込みのたびに、盛大に揺れ動く。

ぱん!……ぱん!……ぱん!……

「ああッ……いやあッ……いやーーーッ」

「すごい締め付けだよ、亜希!」

愛液なのか出血なのかわからない液体にぬらついた剛柱で、容赦なく股間が串刺しにされる。美しき女学生は懸命に腰から力を抜いて痛みを逃がそうとし、早く男が達することを願うしかない。

「ううッ……くうッ……はくくッ」

少年は美少女の乳房を胸で押し潰し、身体を抱き込むようにして腰を抉り込む。身体の中まで貫き通されるような突き上げに、亜希はただ喘ぎ声で応える。

(これがセックスなのか……なんてすごいんだ)

美少女の肉体をいい気になって貫いていた大学生は、締め付けの強すぎる膣壁の刺激に、手もなく追い込まれていた。股間の疼きが限界に来ている。

「亜希、もうだめだ……出ちゃうよ」

「え?……いやあッ……それだけはだめッ」

気息奄々となっていた美しき同級生は目を見開き、必死に頭を振る。まさかとは思っていたが、このまま中で出すつもりなのか。

「ごめん、良すぎるんだよ、亜希の中が……もうイキそうだ」

「おねがいッ……せめて外に出してえ!」

英太朗は訴えも聞こえぬげに、しゃにむに腰の動きを速めた。

「いやッ……いやあッ」

ぶんぶんと髪を振るが、文句を封じるように奥まで抉られ、女学生は片足立ちのまま呻いた。挿入がさらに深くなり、スラストが小刻みになって男の放出が近いことが本能でわかった。

「ま、まってえ」

「ああ、亜希、いくよ!」

「いやああ!」

うろたえた美少女の締め付けが強くなった瞬間、大学生の剛直から大量のスペルマが遠慮なく噴出した。熱流が膣壁に叩き付けられ、処女の子宮口に押し寄せる。

「ああッ……そんなッ」

初体験を衆人環視のレイプで奪われた上、膣内に精液まで流し込まれた。絶望のあまり、亜希は涙を流して全身を震わせた。

「最高だよ、亜希」

少年は女学生の腰をこれ以上は入らないというところまで抱き締め、尿道に残ったザーメンを一滴残らず膣内に絞り出す。

(ああ……あたしもうだめ)

亜希は肉棒を喰い締めながら、がっくりと頭を垂れた。

奴隷オークション【令夫人と哀姉妹】 第五章 奴隷オークションへの潜入 (5/6)
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