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二人の叔母・淫の血脈 · 第三章 叔母の肉を貫く若き剛直 ~ 第四章 彩子を蝕む禁断の愉悦

二人の叔母・淫の血脈 第三章 叔母の肉を貫く若き剛直 ~ 第四章 彩子を蝕む禁断の愉悦 (2/5)
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第三章 叔母の肉を貫く若き剛直

彩子のオナニーを覗き見たことで、紀彦は美貌の若い叔母とひとつ屋根の下に住む幸運をはっきりと悟った。

どうして今まで気づかなかったのだろう……。

両親を同時に失ったという衝撃が、感受性を麻痺させていたに違いなかった。

日曜日。

彩子にとっては貴重な休息日である。月曜から金曜まで、夕方の重要なニュースタイムを受け持っている。土曜はスタッフ会議で、その週の反省と次週の準備に時間をとられる。日曜だけが唯一の自由時間だった。といっても大抵の場合、睡眠に費されるのが常であったが。

紀彦も彩子に合わせて、昼近くになって起きる。目覚めた紀彦は、少し熱めの風呂に入ることにした。

脱衣室の片隅に大型の洗濯機や乾燥機が設置されている。紀彦は着ているものを脱ぐと、汚れ物を洗濯機のなかに放りこもうとした。和江小母さんは日曜日は休みなので、土、日の洗濯物は翌日まわしとなる。

洗濯槽のなかの紫色の小さな布切れに気づいた。それが何か、紀彦にはすぐにわかった。

指先でつまみあげた。薄くて小さいパンティである。

あそこにあたるのは、このへんかな……。

細くて狭小な部分は、気のせいか少しごわごわしているように思えた。

紀彦はそれを浴室に持ちこむと、まるで科学者が何かを調べるときのような真剣な表情で観察した。ひろげきっても、紐状のパンティはわずかな面積しかない。見ているうちにペニスが勃起してきた。

それを手にして、鏡の前に立った。大きくない鏡なので、腰の部分しか映らない。何気なくバスタブの縁に座った。ちょうど鏡と真正面に向き合う形になる。

アッと思った。鏡の真んなかに、裏側を見せるほど猛々しく屹立したペニスが映っている。先夜、彩子は鏡に腰の部分を映しながら激しく指を使っていたに違いない。

こんなふうにしてオナニーしていたんだ……きっとそうだ!……

紀彦は怒張に叔母のパンティを巻きつけると、鏡を見つめながら右手を使った。十回も往復させないうちに、幹がプアーッと膨らんだ。

「イクッ!」

紀彦は彩子になったつもりで、意識的に女言葉を使った。白い樹液が壁面に向かって飛んだ。

いつもよりずっと激しい快感を覚えた。白い糊状の粘液は紫のパンティも汚していた。

浴室から出ると、ちょうど電話がかかってきた。赤坂に住む知亜希からだった。

「彩子さん、まだ眠ってるの?」

「うん。呼んでこようか」

「いいのいいの。紀ちゃんに用なんだから」

「ぼくに?」

「ねえ、退屈でしょう? 私も退屈しているの。そちらへ行ってもいいけど、彩子さんを起こしちゃ悪いから、紀ちゃんがこっちに来ない? 渡したいものもあるし……それにお食事がまだなら、一緒にしましょうよ、ね」

知亜希はたびたび北青山の家に来ては、紀彦の面倒を見てくれる。それに、紀彦をあれこれと飾りたてるのが楽しいのか、必ず衣服のプレゼントを持参する。アメリカ流のセンスが抜群によく、紀彦も知亜希のプレゼントが楽しみだった。

テーブルの上に簡単なメモを置くと、紀彦は自転車で赤坂に向かった。

十分ほどでマンションに着いた。

知亜希はくつろいだ格好で、ガウンを羽織っていた。

「よく来てくれたわね」

抱きかかえて頬にキスをする。

これもアメリカ流なのだろうか。紀彦はいつも照れくささを覚える。それに、つい二、三日前に北青山へ来たばかりなのに、「よく来た」と言うのもなんとなくおかしい。

しかし、それもこれも知亜希の紀彦に対する親愛のあかしということを、紀彦自身がいちばんよく知っている。生まれてから八年間、紀彦は知亜希とひとつ屋根の下で暮らした。だから、紀彦は母に甘えるように、知亜希に甘えることができるのだった。

知亜希は紀彦より二十一歳年上で、よく「おしっこを引っかけられたのよ」とか「おしめを替えてあげたんだから」とかいう話が飛びだす。そのたびに、二十一歳の少年の胸に甘い感情が去来するのだ。

「彩子さん、すごく忙しそうだから、紀ちゃんにかまっている時間はないのね」

知亜希はそう断定してから、「淋しかったらいつでもここにいらっしゃいね。このマンションの鍵、なくしちゃだめよ」

紀彦は知亜希の部屋の合い鍵を渡されている。「あなたと私だけの鍵」と言って渡されたとき、紀彦は特別扱いされていることをとてもうれしく感じた。

でも、今までその鍵を使ったことは一度もない。紀彦は必ず知亜希が在宅のときに訪れるようにしている。それが叔母さんには不満なのかもしれないなと、思うときがある。一度見せてもらったことがあるが、紀彦のためのパジャマから歯ブラシまですっかり揃っているし、真新しい下着のたくさんつまった小物入れのクロゼットもある。それを遠慮なく引っかきまわして使ってもらいたいのだろう。

食事は外でとることにした。近くのホテルまで、散歩がてらブラブラ歩いた。

知亜希が、まるで恋人同士がするように紀彦の手をとり、自分の腕に絡ませる。オーバーコートの厚い布地を通して伝わるふんわりしたバストの感触が快い。

「ねえ……他人が見たら、私たち、何に見えるかしら?」

「そうだね……母子じゃなし、恋人でもないし……」

「じゃあ、有閑マダムと若いツバメ……」

「そうかもしれないね」

二人は声を揃えて笑った。

「私が守ってあげる」

不意に知亜希がポツリとつぶやいた。

「うん……」

紀彦は素直にうなずいた。

それがよほどうれしかったのか、知亜希はいっそう強く腕を引き寄せた。良質の香水の匂いと甘い雰囲気を、紀彦は胸いっぱいに吸いこんで、幸せな気分を味わった。

食事が終わってから、知亜希の発案で銀座まで足を伸ばし、紀彦のための買物をした。それはあらかじめ知亜希が考えていたことのようだった。

かかえきれないほどの荷物とともにマンションに帰ったのは、もう暗くなる頃だった。

留守番電話に、彩子から二本も電話がかかっていた。

知亜希がすぐに電話をして、今までの経緯を報告し、紀彦に代わった。

「ごめんね、つい疲れていたものだから……」

彩子は紀彦のために、食事の支度もしてやれなかったことを負担に感じているようだった。

「夜はこっちに戻って、お食事を一緒にしようね。たまになんだから腕をふるうわよ」

おもねるような言い方に、紀彦はなんとなく申しわけない気がした。

そうするよ、と言おうとした矢先に、すぐそばで聞き耳をたてていた知亜希が、だめだめと首を横に振り、自分の足もとを人差し指で示した。

「それが……」

紀彦は口ごもった。

「晩御飯もこっちですることになってるんだよ。彩子さんは疲れているからって、知亜希叔母さんが……そのために、たくさん買い物もしてきたし……」

晩御飯を知亜希宅ですると決めたわけではなかったが、銀座に出たついでに、松屋の地下の食品売場で、かなりの食料品を買いこんだのは事実である。紀彦の咄嗟の返答を、知亜希は満足げに聞いていた。

「そうなの……じゃ、仕方ないわね……ごめんね、今日は何ひとつしてあげられなくて」

彩子の心底申しわけなさそうな声を聞くのは、紀彦にとってもつらいことである。

「なんなら泊まっていってもいいのよ。ちゃんと起こしてあげるわ。私は彩子さんのように仕事を持っていないから、紀ちゃんのためにすべての時間を使ってもかまわないの」

電話を切るなり言ってきた知亜希の表情は、どこか晴れがましく見えた。

知亜希は食事の前に、紀彦に風呂に入るようにすすめた。北青山の古い浴室とは違い、ところどころに大理石をあしらった浴室は、四、五人が一緒に入れるほど広々としている。

強力なバブル装置がついていて、紀彦は面白半分にそれを使った。マッサージ効果もともなうので、なんともいい気持ちである。

だが、その効果は思わぬところにまで表われてしまった。強力な泡の噴出が若い紀彦のペニスに刺激を与え、手のつけられぬほど猛々しく勃起させてしまったのである。

バスタブから出た紀彦は、とまどいながら怒張を眺めた。一度こうなったら、オナニーして射精しないかぎり、おさまらない。

紀彦は腰かけ台を枕代わりにして、大きな浴室の中央に寝ころんだ。天井のタイルに、泰西名画を模した裸婦の一部分が描かれている。

ペニスを右手でしごきながら、その裸婦を奈保子に置き換えてみた。しかし、鮮明な映像が浮かんでこない。

いつしか奈保子が彩子に代わった。しかし、曇りガラスの向こうと同じように、これも曖昧な裸像がちらつくだけである。

仕方なく目を閉じた。すると、腕を組んだときの知亜希の胸のふくよかな感触が、今度ははっきりと思い浮かんだ。あっと呻いたときには、白い大量の樹液が宙に舞っていた。

虚脱した紀彦の耳に、かすかに人の声が聞こえたような気がした。ハッとして起きあがると、脱衣室のほうへ視線を転じた。黒い人影が曇りガラスの向こうへ遠ざかっていった。

直感的に、見られた! と思った。

オナニーを見られてしまった……。

カーッと紀彦の全身が燃えた。

汚れを落として脱衣室に出てみると、真新しい下着と、ゆったりしたスウェットスーツがきちんと揃えて置いてある。

やはり知亜希叔母さんは来たのだ……。

どんな顔をして出ていったらいいのか、見当がつかない。だが、いつまでも浴室でぐずぐずしていてもはじまらない。紀彦は真新しい下着とスウェットスーツを着て、思いきってダイニングキッチンに出た。

「すっかり用意はできているわ」

知亜希はグラスに少量のブランデーを注いでいた。

「少し飲みたいの……かまわないでしょ」

知亜希の態度はいつもと少しも変わらない。オナニーを見られたのは自分の思いすごしだったかも……と、紀彦は気分が軽くなった。

「本当は紀ちゃんと一緒に飲みたいの。早くそういう日が来てほしいわ……あと三年か」

「ぼくも飲みたいな」

「え

!?

」

「甘いワインなら飲めるよ。飲んだことあるんだ」

岡部に連れられていったあの家で、奈保子にすすめられるままに口にしたのだ。ふわっとして気が大きくなり、その勢いで童貞喪失にまでつながった。そう、確かに酔い心地は悪くはなかった。

紀彦は叔母に射精を見られてしまった恥ずかしさを忘れるためにも、ワインぐらいなら飲んでもいい、いや飲みたいという気持ちになっていた。

「まあ、うれしいことを言ってくれるのね。でも、叔母の私がそんなことをすすめていいのかしら。いちばん責任重大なあなたの後見人だというのに……」

知亜希が自らすすんで「後見人」という積極的な言葉を使ったのは、このときが初めてである。

「叔母さんとぼくだけの秘密だよね」

「そうね、二人だけの秘密……なんだかワクワクしちゃうな」

知亜希は、「値段のわからないワインなの」と言って、紀彦のグラスになみなみと注いだ。

ひとくち飲むと、胃のなかがふんわりと温かくなった。

どう?……そんな顔で知亜希が紀彦を見つめている。紀彦は目顔でうなずくと、もうひとくち飲んだ。なんとなく気持ちが弾んでくる。

テーブルいっぱいに並べられた料理を次から次へと頬張るうちに、ワインの飲みっぷりもよくなる。知亜希のピッチもあがった。

「ねえ、ちょっと踊りたい気分なんだけど」

いきなり知亜希にそう言われた紀彦だったが、自分でもびっくりするほどさらりと、「ぼくもさ」と応じることができた。

「でも、足もとがふらつくかもしれない」

「そうね、だったらチークダンスでもいいじゃないの。さあ、踊りましょう」

立ちあがった知亜希に引っぱられて、紀彦は広いリビングルームに入った。

最新のオーディオセットから、すぐにしっとりと甘いメロディが流れてきた。紀彦は知亜希に抱かれるようにして、ただ体をゆるやかに揺さぶった。

へーえ、叔母さんは意外と肉づきがいいんだ……。

衣服の上から見る限り、乳房とヒップの出るべきところはちゃんと出てはいるものの、どちらかといえば知亜希はスリムに見える。

「叔母さん、わりとグラマラスなんだね」

「まあ……レディに対して失礼よ。でも、決して肥ってなんかいないから安心なさい。私と海へ泳ぎに行っても、恥ずかしいことなんかないわよ。どう? 今年の夏にでも行ってみる?」

「うん。沖縄にでも行って、ゆっくりしたいな」

「いいわ。約束する。私も楽しみにしてるわ……彩子さんは忙しいから、休みはとれそうもないからね」

「二、三日なら大丈夫じゃないかな」

「無理に引っぱりだすのはよくないわ」

「それもそうだね……」

「だったら、二人で行きましょ……ね。じゃあ、決まりね!」

知亜希が力を入れて紀彦を抱きしめた。かすかに香水とアルコールの匂いがする。紀彦の足もとがもつれた。知亜希の足もふらついている。

二人は抱き合ったままソファに倒れこんだ。知亜希が上になる格好だった。ガウンをとおして、生々しい肉の感触が伝わってくる。

「ねえ、紀ちゃん……お風呂場で変なことしてたでしょう……」

それは奇襲だった。あまりにも唐突で、予期していなかった叔母の言葉に、否定したり、とまどうということがなかった。紀彦は自分でもびっくりするほど素直に「うん」とうなずいていた。

「やっぱりね……しちゃだめとは言わないけど、ほどほどになさいね」

紀彦はただコクンとうなずいた。ちょっぴり恥ずかしい気持ちはあったものの、落ち着いている自分を不思議に感じた。

やがて知亜希は頬にわざと音をたててキスすると、スーッと離れ、紀彦に手を貸して引き起こした。

「紀ちゃん……」

「何?」

二人は肩を並べてソファに腰をおろした。

「前から考えていたことなんだけど……私の養子にならない? 叔母と甥だもの、普通より血が濃いわ。私も元の神村の姓に戻っているし……法律上の形式だけの問題なのよね」

紀彦にとって、それは決していやな問題提起ではなかった。いや、むしろ、それを自分でも望んでいたのではないかと思う。

「ぼく、どっちでもいい」

「ほんと

!?

よかった。今なら充分にあなたを守ってあげられるわ。そして、年をとったら紀ちゃんに今度は守ってもらえるのね」

心底うれしそうに頬をすりつけてくる。

若くて美しい叔母が母になる……二十一歳違いのお母さんか……。

紀彦の心も和やかに弾んだ。

紀彦が北青山の自宅に戻ったのは、十一時近くになってからだった。知亜希が送るというのを無理やり断ると、自転車は危険だから置いていけと言う。素直に従って、わずかの距離をタクシーで帰った。

玄関ドアを開けると、その音を聞きつけて彩子が現われた。ガウンを羽織り、手にブランデーグラスを持っている。いつにない恐い顔をしていた。

「ただいま」

「ただいまじゃないわ。何時だと思っているのよ。心配するじゃないの」

「ごめん……でも、赤坂にいるのはわかっているのに」

「そうだけれど……でも、明日は学校があるんでしょう。お姉さんもお姉さんだわ」

彩子は自分より二十一歳年上の知亜希のことを、「お姉さん」と呼んでいた。

「つい面白くて、長居しちゃったんだ」

「面白いって、どんなことしたの?」

なかなか解放してくれそうにないと思った紀彦は、ダイニングキッチンに入って、水をひとくち飲んだ。

ふらつきながら彩子が入って来た。「ちょっとお座りなさい」と、酔った口調で言う。彩子が酔うのは珍しいことではない。会議のあとなどに酔って帰ることがよくある。いつもならすぐに寝てしまうのだが、この日はどうも勝手が違った。

「ぼく、眠いんだよ。彩子さんは昼まで眠っていたんだろうからいいだろうけどさ」

知亜希の家での楽しい気持ちに水を差されたようで、紀彦はよけいなことを言ってしまった。言ってしまってから、すぐに後悔した。

彩子は何も言わずに、ブランデーグラスを眺めていた。

「じゃ、おやすみ」

わざと元気よく言って、紀彦は自分の部屋に入った。だが、やはり気になった。二人の間に、こんなぎくしゃくした雰囲気が漂ったのは、かつて一度もなかった。

パジャマに着替えてベッドにもぐったものの、なかなか寝つかれない。それに、酔った彩子が心配でもあった。

三十分ほどで起きだしてダイニングキッチンをのぞいたが、彩子の姿はない。浴室の明かりも消えている。先夜の、彩子の孤独な行為が紀彦の脳裏をよぎった。

淋しいんだ……。

親身になって慰めるのは自分しかいないではないかと思った。紀彦はすまない気持ちでいっぱいになり、彩子の部屋のドアをノックした。

返事がない。

ドアを開けて部屋のなかをのぞきこむと、明かりは煌々と点けっぱなしになっていて、彩子はベッドに横たわっていた。

近づいてみると、眼尻から涙が流れている。紀彦はなぜか、彩子に対して取りかえしのつかないことをしてしまったような気がした。

「ごめんね、変なこと言っちゃって……本当にごめんね」

指先でそっと涙をぬぐってあげると、彩子がいきなり紀彦の顔を抱きしめた。

「もう彩子さんに心配かけないよ」

「ううん、私が悪いのよ。紀ちゃんをひとりぼっちにしておいたから……自分自身に腹をたてていたの。あなたが悪いんじゃないわ」

不思議だった。紀彦はそのままベッドに入りこむと、夢中で彩子を抱きしめ、彼女以上に強い力で顔を押しつけていた。

彩子は拒まなかった。紀彦の手が痛いほどネグリジェの上から乳房をつかんだというのに、彩子はなおも紀彦を積極的に抱いていた。酔いがそうさせたのか、あるいは一人きりの甥に対するすまない気持ちがそうさせたのか、自分でもわからない。自分自身のやりきれない孤独感に負けたのかもしれない。

紀彦にとって、それはまったく思いがけない展開であり、新しい世界でもあった。若い肉体はたちまち熱い興奮に包まれ、感情は激しく火を噴いた。

数日来の、互いの秘めやかな行為を知っているという特別な感情が、二人を衝撃的な行動に導いた。

半ば開いた美しい唇が、何かを求めるように目の前で喘いでいた。紀彦はそこに夢中で吸いついた。それを待ち受けていたかのように、彩子が舌を絡めた。ほのかなアルコールの匂いが、紀彦の鼻腔にひろがり、脳髄を心地よく刺激した。

紀彦自身もまだワインの酔いが残っていた。酔いが二人を禁断の行動に駆りたてたのではないにせよ、深みに進む役割りを果たしたことは否めない。

紀彦のペニスがパジャマを突きあげ、彩子の太腿や下腹に激しくこすりつけられた。けれども彩子は腰を引いたりしなかった。むしろ、大人の世界に足を踏み入れた甥を歓迎するかのように、若々しい腰を引きつけた。

一度渦を巻き起こした血流は、前にも増して激しく体内を駆けめぐった。紀彦の手がネグリジェのなかに忍び入ったとき、彩子はハッとしたようにその手を押さえたものの、それはいつの場合でもそうであるように、女の本能的な仕草にすぎなかった。

すぐに彩子の手は振り払われた。紀彦はそれで気持ちの余裕を持つことができた。

『女の体を触るときは、強すぎないように、そっとね』

いつかの奈保子の声が鮮明に甦った。

そうだ、そうしなきゃ……落ち着いて……。

紀彦は何度も心のなかで自分に言いきかせた。もしも彩子が本気で拒んだら、紀彦はただ力にまかせて、暴力的な行為に走っていたに違いない。

寝るとき、彩子はブラジャーを着けない。紀彦の熱い手が意外なやさしさで乳房をくるんだので、彩子はとまどいを覚えた。甥の手が伝えてくるのは、まぎれもない性の快感である。

ああ、だけど、このままこうしてゆだねてしまってもいいのかしら?……

そんな心の混乱も、二本の指で乳首をソフトにつままれると、いつのまにか霧散してしまった。乳首はすぐに反応した。久しく遠ざかっていた異性からの愛撫を思いだした体は、それを求めて一途に疼きはじめていた。

若い叔母の胸のなかにもぐりこんだ紀彦は、美しく歪んだ彩子の表情や、乱れた喘ぎ声が何を意味するものか、敏感に悟った。奈保子を相手に童貞を捨てたことで得たものは大きかった。紀彦はそれを、今はっきりと実感した。

彩子さんが感じている!……

体のなかを歓びが駆け抜けた。紀彦はそっと彩子の乳首を口に含んだ。

あせるな! やさしく……あくまでもやさしく……。

ともすればはやる気持ちを抑えるために、紀彦はまるで呪文のようにその言葉を頭のなかで繰りかえした。

その効果は想像以上に大きかった。口のなかで乳首が大きく膨らんだ。そこへソフトに舌をそよがせると、彩子の口から甘く切ない喘ぎ声が、絶え間なくもれるようになった。

その乱れた声が、耳に快い。少年は夢のような思いを抱きながら、ますます張りきった。魅惑のスロープを描く両の乳房を、自分でも信じられないような忍耐強さで、限りなくやさしくいたわるように愛撫した。腫れたような乳暈と、淡い桜色の乳首は、好奇心に満ちた少年の目をとらえて離さない。

初めのうちこそ紀彦の巧妙さに驚いた彩子も、たてつづけに体内を揺さぶる快感に呑みこまれていくにつれて、相手が甥であるということを忘れてしまった。久しぶりの男の味を求めて、彩子の媚肉はおびただしい量の愛蜜を溢れさせ、それはとうにシルクのパンティを濡らし、その中心はピタリと柔肉の裂け目に貼りついていた。

秘唇が熱い。ひどく疼く。硬い一物が、時折り不意を襲うように股間に押しつけられると、彩子はひたすらそれを求めて、生々しい淫らさと積極さで陰阜を押しつけた。

叔母の求めが紀彦にもわかった。紀彦は負けじとこすりかえした。ともすると、もうそれだけで一挙に爆発しそうになる。

せっかくここまできたのだから……。

紀彦は懸命に自分を抑制した。こわばりを彩子の股間から遠ざける。

「あーっ、あーっ……」

美貌の叔母は、明らかに紀彦のペニスを追い求めて、はしたなく腰を突きあげた。それに応えることはやさしいが、暴発してしまうのが怖い。

彩子の要求は無視した。それはまったく偶然の所作であったが、女をその気にさせるには、まずじらすことだという基本テクニックにピタリと当てはまっていた。

しかも、少年の指や舌は依然としてソフトなタッチでバストを愛撫し、乳首を弄ぶ。彩子の悩ましい喘ぎ声が湿った部屋の空気をたてつづけに震わせた。

その甘い声が、のたうつ叔母の姿態が何を意味するか、二十一歳の少年にもよく理解できる。それは幻影ではなく、現実であった。

ああ、なんて素敵な世界なんだ!……

紀彦はネグリジェの前ボタンをはずそうとした。さすがにもう冷静ではいられない。

落ち着け!……

何度もそう言いきかせるのに、ボタンはなかなかはずれない。自分でも指先が小刻みに震えているのがよくわかった。

かすかに脂肪ののった女性特有のなめらかな下腹と、それにつづく見事に発達した腰が、紀彦の瞳のなかにとらえられた。くぼんだへその可憐さに息を呑みながら、紀彦は光沢を放つシルクのパンティを見つめた。隠すという目的では、おそらくギリギリの限界かと思われる小さな布切れが、こんもりと盛りあがった中央の肉丘に貼りつき、呼吸をするたびに下腹と連動するかのように息づいていた。それは淫らというよりも、ある種の犯しがたい神々しさで紀彦に迫ってきた。

この下に……。

奈保子の複雑な下腹部の構造がちらつく。淫らにして聖なるもの。少年にとって、そこは永遠の憧憬の地にほかならない。

てのひらでスッポリとおおった。下に伸びた中指に、ほんのりと湿り気が伝わった。そっと押した。

「あうっ……」

途端に、彩子の腰が跳ねた。すぐに指先にねっとりした愛液が付着した。パンティの中心は、はっきりと女肉の裂溝を浮かびあがらせている。中指で軽くスースーとなぞると、彩子は甘やかな声を出して、大きく腰をくねらせた。中指だけを唯一の接触点にして、上から下、下から上へと何度もなぞった。

パンティの表面を掃くようなそのやり方は、女陰のむず痒さを一気に増幅させた。「もっと」という言葉が禁句なことは、いくらどっぷりと性的快感のなかに身を浸していても、彩子は自覚している。しかし、言葉にしなくとも、体の動きが代弁していた。

パンティがぐずぐずに濡れた。腰がひとりでにいやらしく蠢いた。知らぬまに、いかにも物欲しげな声が出てしまう。

紀彦はずりさがって、パンティに目を近づけた。かすかな匂いが立ち昇った。胸いっぱいに吸いこんでから、パンティのぴっちりした縁に指先を差しこんだ。こもった生温かい空気がふわっともれてくる。

ゆっくりと引きおろした。押さえつけられていた恥毛が、解放された悦びに震えながらふんわりと起きあがる。まるで映画のスローモーションのひとこまを見ているようだった。恥毛は少なかったが、濡れたような艶を帯びていた。

それにしても……。

紀彦は左右の鼠蹊部から盛りあがった陰阜の肉づきのよさに圧倒された。恥毛の下辺に、かすかに割れた柔肉が見える。

頭を低くして、さらに下をのぞきこもうとしたとき、「見ないで……」

というかすれた声とともに、彩子のてのひらが股間をおおい隠そうとした。

「いやだ、見たい!」

咄嗟のことだったので、紀彦はその拒絶が本気だと錯覚した。初めてあわてた。彩子の手を払いのけると、そこを独り占めするように、無我夢中で顔を押しつけた。

その唐突な動きが、痛みにも似た鋭い快感を彩子にもたらした。

「あーっ……ハァン……」

彩子は悲鳴のようなよがり声をあげて、陰阜を押しあげた。生温かい舌の感触が、火照って火傷でもしたような粘膜に心地よかった。我れ知らず甥の頭をかかえこんでいた。

紀彦のうれしさは、とても言葉で言いつくせるものではなかった。叔母が自分を求めている。彩子をこんなにも愛おしく思ったことはない。がむしゃらに舌で舐めまわした。

ひたすら舐めるというだけで、紀彦にはテクニックも何もあったものではなかった。それは、成熟した女体にはつらい肉の試練を与える結果となった。彩子は腰をガクガクと震わせながら、もっとも強い接触を望んでいる箇所を、少年の舌に押しつけようとした。しかし、女体の構造について、奈保子から教えられた以外は何ひとつ知らぬ紀彦は、相変わらず舐めるという行為だけにこだわっていた。

クリトリスよ……クリトリスを舐めて!……

もっとも敏感な箇所に舌はなかなか到達しない。時折り舌先が偶然に肉芽を掃いたりするものだから、かえって切なく、もどかしい。濃厚な愛蜜が、彩子のやりきれなさを代弁するかのようにトクトクと溢れ、内腿からヒップの割れ目、さらにシーツをぐっしょりと濡らした。

性臭がいちだんときつくなった。それは牡の本能を激しく揺さぶった。紀彦のような童貞を卒業したばかりの少年がここまで持ちこたえたのは、奇跡といってよかった。知亜希の浴室で射精したことと、かなりの量のワインが興奮を抑制していたにせよ、やはり驚異的というしかなかった。それはひとえに紀彦が、彩子の悦ぶ姿をもっと見ていたいと願ったからであった。

しかし、それももう限界だった。彩子の悩ましく乱れていく姿は、一挙に少年の欲望を昴進させた。紀彦はパジャマをかなぐり捨てると、下腹を叩く肉茎に手を添えた。頭のなかも瞳もチカチカした。

さあ、紀ちゃん。来て……。

紀彦の目の前で彩子が心もち両脚の角度をひろげた。生貝のようにヌメッと陰唇が左右に割れ、膣口が露出した。

そこに肉茎をあてがう。紀彦の全身に痺れが生じた。叔母の胎内にペニスを入れることだけを願って、体重をあずけた。外にもらしたくないと痛切に思った。

彩子さんと完全につながりたい!……

彩子の体が動いた。それは性的本能がそうさせたものだった。陰阜の上を突ついていた硬いものを、すなわち血のつながった甥のペニスを、彩子は受け入れようとしたのだ。

「ああ」

紀彦の、なんとも形容しがたい声が長く尾を引いた。肉茎は柔肉の間に包みこまれた。

「あーっ、ぼく……」

ひしとしがみつく紀彦を、彩子は夢中で抱きしめた。少年の体がおこりを起こしたようにブルルルッと痙攣したとき、彩子の女体は次に来るべきものをはっきりと知った。

彩子は腰をせりあげて、より深い接触と摩擦感を求めた。膣の奥で、猛々しく肉茎が躍った。

ああ、来る……。

彩子に、まだその用意はなかった。しかし、快感はあった。腰をグラインドさせたとき、熱いほとばしりが子宮を直撃した。射精は一度だけでなく、執拗に繰りかえされた。

深い陶酔が、彩子を徐々に金色の世界へと引きあげていった。それは完全無欠の絶頂感というわけにはいかなかったが、ともかくも彩子は性感を味わったことだけは確かだった。

余韻が遠のくと、沈黙が訪れた。とまどっているであろう紀彦に、年上らしく彩子は声をかけた。

「さあ、部屋に戻ってゆっくりおやすみなさいね」

何事もなかったかのように装うことは至難の業であったが、彩子はどうにかそれをやりとげた。

紀彦が姿を消すと、彩子は悔恨という渦に身を苛まれながら、悪魔に魅入られたとしか思えない自分を、信じられない思いで反芻するのだった。

第四章 彩子を蝕む禁断の愉悦

自室のベッドに戻ってからも、紀彦は朝まで眠ることができず、何十回となく彩子との夢のような出来事を思い起こした。女体の持つ不可思議な魅力と魔性を若い叔母によって知った少年の心に、それまでひっそりと芽生えていた思慕の情が大きく成長したとしても、それは当然すぎるほど当然のことであった。

時折り日記をつけていた紀彦は、その夜のことを克明に書き記した。叔母である彩子にLという文字をあてたのは、いかにも大学生らしい発想といえた。それはLOVER、つまり恋人という意味で使ったのである。

これといって書き記すべきことのない日は空白のままにしておくのに、その日に限って、七ページにもわたって細かい経緯を書いている。紀彦にとって叔母と結ばれたことがいかに意義ある体験であったかは、それによっても明らかであった。

だが、次の日からの彩子の態度は、紀彦には理解できないものであった。テレビのニュースキャスターという多忙な日々を送る彩子だから、紀彦と顔を合わさない日もある。しかし、それが二日、三日とつづくとなっては、いかにも不自然だった。

彩子さんは照れくさいんだ……。

そう思うことにした。それはまた、紀彦自身にも言えたことである。だから顔を合わせたらどんな表情をしたらいいのだろうと、真剣に思い悩んだりもした。

とうとう四日もの間、彩子と紀彦は一度も顔を合わせることがなかった。そのうちの二日は、彩子は多忙を理由に都心のホテルに泊まっている。しかも、いつものように紀彦に直接電話をかけず、和江からそれを伝えている。

「あのお仕事も大変なのねえ……」

何も事情を知らない和江は、そう紀彦に同情しつつも、「それでも顔を見ようと思えば、決まった時間にテレビをつければいいのだから、便利なもんだわ」

などとのんきなことを言っている。

ただ照れくさいにしてはどうもおかしい……。

さすがに四日目ともなると、紀彦はいぶかりはじめた。

今度帰ってきたら、問いつめてみようか……。

少年の心は揺れ動いた。体を許し合ったことで、すべての垣根が取り払われたと思ったのに、かえって以前にはなかった大きな壁のようなものが立ちはだかっているように感じられるのだ。その壁は、日がたつにつれて巨大に、そして頑強になっていくかのようだった。

いや、やっぱり普通にしていたほうがいいのかも……。

五日目の夜、紀彦はいつもならとっくに眠っている一時すぎまで、リビングルームでテレビを見ながら必死で睡魔と闘った。わざわざそのために、学校から帰ってくるなり仮眠をとったが、長年の習慣は恐ろしいもので、一時になると自然に上下のまぶたがくっつきそうになる。

今夜も帰ってこないかも……。

紀彦は半ばあきらめかけて自分の部屋に引きかえした。部屋を暗くすると、すぐに眠気が襲ってきた。

そのときである。家の前に車のとまる音がした。紀彦は睡魔を払いのけて耳をそばだてた。遅い時間になると、TV局の送迎用の車で帰ってくることが多い。

彩子の足音が階段をひっそりと昇ってきた。紀彦はすぐにでも飛び起きようと思ったが、それをこらえて息をひそめた。

足音はいったん紀彦の部屋の前でとまった。長いような、短いような、奇妙な時が流れた。やがてドアが静かに開いた。

暗がりのなかで、紀彦は久しぶりに懐しい香りを嗅いだような気がした。

すぐにドアは閉まった。いったん自分の部屋に入った彩子が、再び廊下に出てくる気配がした。ひっそりと階下におりていく。

紀彦は素早く頭のなかでプランを練った。

お風呂に入るんだな……。

そのときを狙って、思いきって対面するつもりだった。彩子は裸ならば、どこにも逃げ隠れできない。

裸……。

彩子を抱いた夜の甘くて痺れる感覚が甦った。

ずっとあの関係をつづけたい!……

そうなるはずだったのに、いったいこの空白の期間はなんだったのだろうか。彩子の単なる多忙が理由であると思いたかった。

そうだ。そうに違いない! ぼくを避ける理由なんか、何ひとつありはしない……。

そう信じることによって、紀彦は自分自身を鼓舞した。

静かに階段をおりた。浴室で湯の音がする。近づくにつれて、紀彦の考えが少しずつ変わってきた。

初めは脱衣室から声をかけるつもりだったが、その前まで来ると、自分も浴室に入ろうと決めた。廊下でパジャマと下着を脱いだ。

肉体関係を結んでしまったのだから、彩子はすぐに受け入れてくれるだろうと思った。だが、やはり多少の緊張感はある。

紀彦は何通りもの作り笑いを浮かべた。

自然に振る舞わなくては……。

忍び足で脱衣室に入り、いきなり浴室の引き戸を開けた。ちょうど下腹のあたりを洗っていた彩子が、ギョッとしたように振りかえった。

「久しぶりだね」

笑ったつもりなのに、自分でも醜いほど顔が引きつるのがわかった。それは、振りかえった彩子の表情があまりにも険しかったことが原因だった。

「どうしたっていうの

!?

出ていきなさい!」

表情と同様に、声までもがとげとげしかった。

気勢をそがれたように、紀彦はぼんやりと叔母の顔を見た。

怒ったときの顔も、とても綺麗だ……。

そんな的はずれの感慨を抱きながら、紀彦はふらふらっと叔母に近づいた。

彩子はためらうことなく目の前に立った甥を見て、かえって狼狽した。ちょうど目線の位置に少年の若々しいペニスがある。まだ力を得ないで垂れているものの、子供から大人に移行する直前の、初々しさが漂っていた。

彩子はあわてて紀彦を仰ぎ見た。瑞々しいペニスから視線をそらすには、そうするしかなかった。

「なんだかぼくから逃げてるみたいだ。どうしてなの?」

甥のぶつけるような問いに彩子は口ごもった。確かにその通りである。

「それは……ともかくあの夜のことは忘れてちょうだい。私がいけなかったの……ともかくなかったことにしましょう、ね」

説得するつもりだったが、しどろもどろになった。

「紀ちゃんらしくないわ……出てって……人が見たらなんて言うか……」

「二人しかいないんだ。誰も見るわけないじゃないか」

紀彦はしゃがみこんで、困惑しきった表情の叔母を見た。充分に勝算があると思った。目の前の彩子は、どこか頼りなげでオドオドしている。

「ともかく出ていきなさい!」

「いやだ! この前はあんなに愛してくれたのに……」

甘い体験の記憶が紀彦の脳裏を快く刺激する。

紀彦は手を伸ばして、彩子の乳房をつかもうとした。しかし、直前に強い力で跳ねのけられた。

「いやらしいこと、しないで!」

その言葉に、少年の心はひどく傷つけられた。

「なんだよ! 彩子さんだって、ここでいやらしいことしてたくせに!」

彩子の視線が宙にさまよった。全身がカーッと燃えるように熱くなる。

紀彦はここぞとばかりに追い討ちをかけた。わざと露悪的に、こう言い放ったのだ。

「ぼくがオナニーしてたのを、こっそりのぞいてたんじゃないのかい? ぼくは彩子さんがここでオナニーしてたのをのぞいたんだよ。彩子さんだって、そんなに澄ました顔してさ、やっぱりしたくてたまらないんじゃないか」

「ああ……」

それはまさしく絶望の声だった。彩子は泡だらけの体で、浴室を飛びだそうとした。だが濡れたタイルの上で足をすべらせ、ぶざまに両脚をひろげて倒れた。

濡れた恥毛の黒い翳りと、官能的なサーモンピンクの肉裂が少年の瞳に飛びこんできた。

ペニスが信じられないような勢いで一気に膨らみ、今にも獲物めがけて飛びかかりそうに勃起した。

体が泡まみれだったのが彩子にとっては不運だった。起きあがろうとしてまたすべり、肘と膝をしたたかにタイルに打ちつけた。

そこへ、紀彦が柔道の押さえこみのような形でのしかかり、そのままふくよかな乳房にかぶりついた。先夜のように、やさしく触る、ということは念頭にない。拒絶されたという怒りとあせりが、身も心も支配していた。

「いやッ! やめてよ!」

彩子は本気で抗ったが、声だけはさすがに控えめだった。この家はかなりの広さの庭に囲まれているとはいえ、それでも金切り声を夜中に出せば、近所に聞こえてしまうだろう。

血のつながった叔母と甥が肉体関係を持ったのである。絶対に世間に知られてはならなかった。まして彩子は、月曜から金曜まで全国のブラウン管に登場し、広く世間に顔を知られている人気ニュースキャスターである。『知的な女性』とか『才女の顔』などというキャッチフレーズで新聞や雑誌などにもたびたびとりあげられている。紀彦との関係が公けになれば、致命的なスキャンダルとなる。

「ああ、お願い……」

忍び殺した声が湯気に湿って、重く沈んだ。

紀彦は彩子のためらいを敏感に察した。叔母は決して大声を出さない。それがわかると、そのままぴたりと体を密着させてのしかかった。

組み敷く自信はあったものの、紀彦が怖れたのは、手間どっていると、いつ暴発するかもしれないことだった。一刻も早く叔母とひとつにつながりたかった。

泡にまみれた乳房は、いつも以上の素敵な感覚をもたらした。てのひらのなかで小気味よくツルツルとすべる。

新しい遊びを発見した子供のように、紀彦は乳房いじりに熱中し、さらに腰をぐりぐりと動かして、女体の小高い丘の感触を味わった。

するとどうだろう。泡によってすべりのよくなった女陰の一部が、ちょっとした拍子に紀彦の肉棒をツルッと呑みこんでしまったのである。

「あっ、いや……」

彩子は思いがけない突発的な事態に動揺し、あわてて腰をひねった。いったんおさまった少年のペニスが、ピョンッと胎内から飛びだした。

その一連の行為は、時間にしてほんの四、五秒だった。しかし、わずかでも女肉におさまって淫襞の刺激を得た肉棒は、もうそれだけで限界だった。外に飛びだした肉茎は、宙に向かったまま若々しい樹液を噴きだしてしまったのだ。

「あーッ……」

今度は紀彦が絶望的な声をあげる番だった。

そのすさまじい勢いに圧倒されて、彩子も呆気にとられたように熱水の行方を見守った。甥にレイプされかかっているという状況にありながら、体の一部が燃えるように熱くなっていた。

紀彦は泡と一緒に彩子の下腹あたりに付着した白い精液を、虚脱したように見つめた。あれほど怖れていた暴発をしでかしてしまった。たまらなかった。こんな形で終わったことに、次第に腹が立ってきた。

「もういいでしょう……」

彩子はのろのろと立ちあがりかけた。裸で向き合っていることが、急にいたたまれないほど恥ずかしくなっていた。

「いやだッ」

紀彦が強く言い放った。語気を強めることで、萎えかけた自分の気持ちに弾みをつけたかった。

「絶対いやだからね」

彩子は、幼い頃の紀彦がわがままを押し通そうとするとき、決まってそんな言い方をしたことを思いだした。

「私たち、間違ったことをしたのよ。考え直さなくてはいけないの……わかるわね」

やさしい言葉をかけながら、紀彦の汚れた体に湯をかけていた。

「彩子さんが誘ったくせに……」

「私、あの夜はどうかしてたのよ……あなたがひどく淋しがって赤坂へ行ったんだと思うと、申しわけなさでいっぱいだったの。だから、つい……許して。私をいくら責めてもいいわ。だけど、もうあれは忘れて……恐ろしいことを私たちはしてしまったのよ。みんな、私のせいだわ。どうしたら許してもらえるの? どんな償いでもするわ。私にできることなら、どんなことだってしてあげる」

「だったら、ぼくの言うことを聞いてよ!」

紀彦の手がいきなり、ぬめっとした両腿の間に入りこんだ。泡がここでも潤滑油の役目を果たした。紀彦の手は難なく女芯に到達したばかりか、柔肉の狭い隙間に、さしたる抵抗もなくもぐりこんでしまったのだ。しかも指の腹があまりにもスムーズに陰核をこすったので、彩子は驚きの声よりも、むしろ悦びに近い声をあげて、両腿に力をこめていた。彩子のヴァギナはまるで、指の侵入を歓迎しているかのように、強い力で挟みつけた。

生温かい蜜壷にスッポリはまったことに対して、紀彦もまた、とまどいと驚きを隠せなかった。しかも、叔母はしっかりと締めつけてくるではないか。そのまま体の重みを乗せて女体を押し倒すと、そうするのが当然の義務のように、股間に没した指をくねらせた。

「だめッ……いけないわ、よしなさい……あっ、そんな……やめて……」

しかし、体は声とは裏腹に弾み、女陰は蠢きながら甥の指先に媚液を降りそそいだ。

「彩子さんが風呂場でオナニーしているなんて、知亜希叔母さんは想像もしてないだろうなあ」

それは紀彦の先制攻撃だった。あの夜に彩子が自分を抱いてしまったのは、ひょっとしたら知亜希に対する反発心からなのではないかと、紀彦は考えたのである。

その言葉の効果は即座に表われた。

「そんな……まるで脅しだわ」

彩子の全身から力が抜けて、軟体動物のようになってしまった。紀彦はここぞとばかりに追撃した。

「ぼく、実を言うと、彩子さんに見つかったみたいに、知亜希叔母さんにもオナニーを見られちゃった」

彩子が、驚きの表情を走らせて紀彦を見あげた。

「つい彩子さんの真似をして、知亜希叔母さんの家の風呂場でやっちゃったんだ……彩子さんがお手本なんだもの」

美しい叔母の不安と羞恥に彩られた表情を、紀彦は勝者の余裕をもって見つめた。

「それ本当なの?」

「本当さ。あまりしちゃだめだって、諭されちゃった」

「それだけ? ねえ、それだけなの?」

「それだけって?」

「私のお風呂場でのこと、言ったりしなかったでしょうね?」

なんだ、そんなことを心配してたのか……。

紀彦は内心、がっかりした。彩子の心配は、知亜希がオナニーを目撃したことがきっかけで、紀彦との間に叔母と甥という関係を越えた肉の交わりが生じたのではないか……そこにあると思ったのに、とんだ的はずれであった。

「彩子さんのオナニーを真似したなんて、言ったりしないさ」

わざと露骨な言い方をした。

彩子はホッとしたのか、気が抜けたように視線を宙に向けている。

「ぼく、彩子さんの秘密を守ってやったんだからね」

「ありがとう……」

彩子は完全に敗者であった。

「ぼくたちの関係は、絶対に二人だけの秘密にしておこうね」

言外に、だからもっと深入りしてもいいじゃないか、というニュアンスを含ませたつもりだった。しかし、彩子はただ表面だけをとらえて、「そうしましょう」としか言わない。

紀彦は彩子の手をとると、ペニスの上にそっと導いた。射精したばかりのペニスは力なくうなだれていた。

「彩子さん、やってよ」

そのまま彩子を抱きかかえた。身動きができなくなった彩子は、自分の負い目にこだわって、紀彦を突き離すことができなかった。かといって、紀彦の望む行為をたやすく受け入れるには、あまりにも事態は重大だった。

けれども、そのためらいも長くはつづかなかった。彩子の柔らかい手が接触しただけで、紀彦の分身は力を得て、ムックリと立ちあがってきたのだ。若いからいったん勢いがつくと、たちまち極限にまで勃起してしまい、精を放つまでは萎えるということがない。彩子は、空気を送りこまれた風船さながらに膨らむ肉棒を、我れ知らず握りしめていた。

耳もとで、紀彦のいかにも心地よさそうな呻き声がする。だが、それ以上のことはできない。もどかしそうに、紀彦の腰が二度三度としゃくりあげられた。

「知亜希叔母さんは、ほどほどに、なんて言ってたけど、ぼくが頼めばしてくれたかもしれないな」

「してくれるって……な、何を?」

そう聞かずにはいられない意味ありげな紀彦の言葉に、彩子は挑発されていた。

「オナニーさ」

「まさか……」

「そんな感じがしたんだ。ぼくが可哀相だって言ってたよ」

ひとつの嘘を創作すると、次から次へと新しい嘘が生まれた。

「それらしい意味のことをもらしたもの」

「どんなこと?」

つい意気ごんで、彩子はうながすように握ったペニスを揺さぶった。

「ああっ、それ、気持ちいいよ……もっとやって」

「いけないわ。お姉さんの言う通りなのよ」

「じゃ、彩子さんはどうしてしたくなったのさ」

そんな問いにはとても答えられない。彩子は沈黙を守るしかなかった。

「いいよ。やってくれないなら、明日にでも赤坂に行ってくる。知亜希叔母さんだったらきっと……」

「馬鹿なことを言うもんじゃないわ!」

しかし、紀彦は若さにまかせて本気でそんなことを考えているかもしれないと、彩子は不安を感じた。

「じゃ、彩子さんがやってよ。そっと動かしてくれるだけでいいんだ」

首にしがみつきながら、二十一歳の少年は、まるで交合するかのように腰を振った。

握りしめている私の手を借りて、そのまま射精するつもりかも……。

彩子は、いまさら離すに離せなくなって、まるで紀彦の動きを助けるように、ペニスを握る手を動かしていった。どうしてこんなことになったのか、彩子自身も混乱してよくわからない。ただ、今の状態から一刻も早く抜けだすには、オナニーの手助けをしてやるしか方法がないような気がした。

「あああ、気持ちいいよォ」

紀彦の呼吸が荒くなると、彩子は当惑の感情が薄れて、ようやく大人の世界に足を踏み入れた甥に、せいいっぱい歓びを与えたいという気持ちに変わっていた。その変化は、心のどこかに、知亜希には負けたくないという闘争心のようなものが芽生えたことによるもの、といっても過言ではないだろう。

何を根拠にして負けたくないのか、実のところ彩子にもわかっていない。それまでは、義理の姉妹としてわだかまりもなくやってきた二人である。紀彦の両親の死後も、どちらが相談したわけでもないのに、一人残された甥の面倒を、お互いに手をつくして見てきたつもりである。

だが、同じ屋根の下に住んでいる親近感はあっても、彩子の心のどこかに、忙しさにかまけて実際のところあまり紀彦の面倒を見てやれないという負い目があった。それが、紀彦が知亜希のところへ行った日曜日、『負けた』という意識を芽生えさせ、実の甥と関係を持つという背徳の行為に走ってしまったのだと思う。

しかし、それが最良の方法であったと思うほど、彩子は愚かな女ではない。あれは彩子が女であるがゆえのあやまちであり、一時的な情動に押し流されて犯した罪といっていいのではないか。だから、冷静になった彩子は、努めて甥の視界から逃れるような行動をとってきたのである。

だが皮肉にも、そのことがまた自分と紀彦の間を遠ざけ、逆に紀彦と知亜希の距離を狭める結果を招こうとしている。

「ねえ、これだけよ私、これ以上、恐ろしいことはできないわ」

彩子は紀彦に聞かせるよりも、むしろ自分自身に向かって言った。

紀彦は内心、ほくそ笑んでいた。このままで終わらせないつもりだった。一度目は彩子のなかに入ったにもかかわらず、すぐに外部に弾きだされて、むなしく射精した。二度目は、このまま彩子の手の動きに委ねて放出するつもりだった。

何回まで出せるだろう……。

迫りくる快感に耐えながら、紀彦はそんなふうに考えていた。

彩子は、紀彦のスリムな肉体に似合わぬ強靭なペニスをただ握っているだけではなく、さりげなく観察していた。一年前までつきあっていた男のペニスと較べると、形も大きさも色合いもまるで違う。

彩子は体内に疼きが突き抜けるのを感じた。悪い感じではない。甥に望まれてやっているという、言いわけめいた安心感がある。口では「もうこれっきりよ」などと言っているのが、自分ながら白々しいと思う。今だけなら観察することだって許される。だから、刻々と変わる少年の反応を、普通の女の感覚でじっくりと観察した。

紀彦の一途さがひしひしと伝わった。自分がリードしているという気になる。以前の男には、常にリードされ、見られているという意識がつきまとった。

「ああ……ぼく……」

手のなかで肉茎がいちだんと膨らんだ。そのあとに何が来るか、よくわかっているのに、あえて紀彦に聞いた。

「どうしたの?……言ってごらんなさい」

胸がドキドキする。

「出そうだよ……気持ちいいよ……出ちゃうよォ」

「わかったわ……出しなさい……いいのよ。出していいのよッ!」

恋人の肉茎を咥えてほとばしる樹液を嚥下したことが、昨日のように思いだされる。

紀彦の全身が波打って激しく震えた。彩子は怒張の先端を見つめながら、包皮を思いきりよく根元近くまで引きおろした。それが男にどんな快感をもたらすか、かつての恋人によって教えられたテクニックだった。

肉茎が手のなかで跳ね、噴出がはじまった。さっき出したばかりなのに、それに劣らない多量のザーメンが、まるでロケットでも打ちあげるように空中に飛んだ。

これを心おきなく胎内で受けとめることができたなら……。

相手が甥であることを、彩子はほんの一瞬だが、恨めしく思った。女だけが知るあの強烈な歓びを懐しく思いだしながら、彩子は急速に萎えてゆく甥の肉茎を、ただぼんやりと眺めていた。

紀彦は痴呆のような表情で、のろのろとシャワーの栓をひねると、そこらじゅうに飛散した精液を丁寧に洗い流した。そうしながらも紀彦は、次なる計画を練っていた。

彩子は紀彦に背を向けると、そそくさと脱衣室に去った。その背中に、紀彦は鋭い視線を投げかけた。

濡れた体をふくのもそこそこに、彩子は自分の部屋に戻ると、部屋の明かりを消し、すぐにベッドへもぐりこんだ。たった今、浴室で起こったことが、まるで夢のように思えてならない。だが、てのひらには硬くて躍動的なペニスの感触が残っているし、網膜に焼きついた白いほとばしりは一向に消えそうになかった。

それに、紀彦には知られなかったものの、女の感じやすい恥肉は、忘れがたい男の味を求めて、燃えるほど熱く火照っていた。性の快楽を求める牝の疼きが、知的で誇り高い彩子を平凡な女に押し戻そうとしていた。

しかし、うっかりオナニーもできない。ひとつ屋根の下で暮らしているのだ。浴室での秘め事を見られたいつかの夜のようなことが、また起こらないとも限らない。

それなのに、指をそそのかすように柔肉が蠢動し、媚液がトロリと押しだされてくる。

彩子は叫びたい衝動に駆られた。淫らな言葉を思いっきり口走り、荒々しく男に蹂躙されたかった。

そのとき、いきなり部屋のなかに一条の光が差しこんだ。

彩子は目を閉じ、息をひそめた。けれども動揺はなかった。こうなることを予測していたのかもしれない。

避けがたい事態なのだろうか……。甘受しなければいけない運命なのだろうか……。

いや、やはり拒否すべきだと彩子は自らに言い聞かせ、甥の次の行動に神経を尖らせた。

一方の紀彦は、背を向けてベッドに横たわっている彩子が、いま何を思っているかを考えた。眠っているわけがない。

ぼくが来ることを予期していたかもしれない……。

絶対にそうだと信じた。

いずれにしたって、もうぼくたちはなるようにしかならない……。

紀彦は自分の決意の固さを、この際はっきり叔母に知らせるべきだと結論づけた。

そう思うと、もうためらいはない。ベッドに弾みをつけて腰かけた。彩子は身動きひとつしない。そのままネグリジェの胸もとから手を差しこんだ。反応はない。乳首はもう埋もれていた。人差し指の腹で軽くこすってみた。

「私、眠いの……」

気だるい声には、いかにも作った感じの響きがこもっていた。

「今度はぼくがしてあげるよ」

この台詞は、浴室で考えついた、紀彦のお気に入りの言葉だった。

彩子の体に緊張感が走った。

「さっき彩子さんがしてくれたように、今度はぼくがおかえししてあげる……とっても気持ちよかったんだもの」

もうそのとき、紀彦の手は布団を跳ねのけて、彩子の股間の中心部をおおっていた。

「あっ、いけないわ……」

「彩子さんだってオナニーしていたじゃないか。したいからしたんだろう。恥ずかしがらなくたっていいじゃないか」

紀彦が勝ち誇ったように言う。その言葉は彩子にとって、最大級の恥辱の言葉であった。けれども反発できない。

紀彦の手がパンティのなかに侵入した。その手首を押さえるのが彩子の唯一の拒絶の姿勢だった。

「ぼくがしてあげるったら……それとも、ぼくの見ている前でやる?」

そこでひと息つく。

「それも悪くないアイデアだな」

紀彦は追い討ちをかけた。

手首を押さえる彩子の力が萎えた。

「もういじめないでェ」

「いじめてなんかいない。ぼく、彩子さんが好きなんだもの」

紀彦の声は甘かったが、パンティの奥にもぐりこんだ手の動きは素早かった。

彩子にとって、室内の様子がほとんどわからないくらい暗いのが救いだった。しかし、それは同時に、心に隙を生む原因ともなった。

彩子は気持ちの整理がつかないままに、下腹部を少年の手に委ねていた。紀彦は叔母を愛撫するだけですませるつもりなど毛頭なかった。先夜のように、柔らかくてやさしい彩子の手によって、心ゆくまで抱きしめられたかった。

ペニスはとうに回復していた。二度もつづけて放出したことによって落ち着いているが、勃起力はいちだんと高まったようで、キリキリと刺すように痛かった。

これなら少しは耐えられる……。

そんな余裕も感じられた。

紀彦の指は女芯が潤っているのを敏感に察知した。叔母のかたわらに添い寝するように横たわり、さりげなく指先を動かした。

指先が熱い潤いに包まれた。ここでそれを口にすれば、彩子は身の縮まる思いをするに違いない。あくまでもさりげなく装うことが肝心である。そうすることによって、自然と流れのままに進んで、最終的には彩子が引きかえせないところまで追いこんでしまえばいい。紀彦が最も望んでいるのは、美しい叔母によって強く求められたいということである。

彩子は紀彦の意外な落ち着きぶりに、明らかにとまどいを覚えていた。それは、かつての恋人の、自分から思わず体を開いてしまいそうな、焦燥感をともなう愛撫の仕方と同じであった。まだ二十一歳の少年が、そんなテクニックを身につけているとは思えない。

知らないんだわ……こういう単調な愛撫しか知らないから、これ以上のことができないに違いないわ……。

確かに彩子の考えているようなテクニックを、今の紀彦は持ち合わせていない。だが、目の前の美しい獲物を意のままにしたいという欲望は、人一倍強く持っている。奈保子が教えてくれた、「女体にはそっとやさしく触りなさい」というアドバイスは、単純だが最も基本的なことであった。

男という動物は、それがよくわかっていながら、いざ実戦に臨むと、急激につのる己れの欲望に負けて自分本位に陥り、あげくの果てには女を置き去りにしてしまうというのが、大抵の場合のパターンである。その点、紀彦は馬鹿正直といえるくらい、奈保子の教えに忠実であった。

いつしか女陰を弄ぶ指は、淫襞からにじみだす媚液にすっかりまみれていた。

彩子さん、気持ちいいの?……

紀彦は何度もそう聞きたいと思った。そして、彩子がうなずくのを見たかった。しかし、その言葉さえも彩子を傷つけるのではないかと考え、喉の奥に封じこめるほど、紀彦は用心深くなっていた。今の状態が、彩子にとって決して望ましいものではないことぐらいわかっている。それを望ましい状態にまで、引きあげてみせたいのである。

日ごと夜ごと、若い叔母が嬉々としてベッドを訪れてくれたら……。

それが現実になってほしいと、紀彦は痛切に思った。

耳もとで、彩子の抑えた喘ぎ声が聞こえるようになった。体が時折りピクンッと跳ねる。両腿にこもっていた力もいつしかなくなり、心なしか角度がひろがったような気もする。

パンティの縁に手をかけると、彩子がまた手首をつかむ。

「やりにくいんだもの……いいでしょ」

こんな無難な言葉が、今の状況にはいちばんふさわしい。勢いにまかせて、「本当はやりたいくせに」などと侮辱するのは愚の骨頂である。

彩子は顔こそそむけていたものの、体はもう完全に無防備な状態になっていた。明かりを点けてみたかった。紀彦はそれをこらえて、少し開いたドアから差しこむ廊下の薄明かりだけを頼りに、ゆっくりとパンティを引きおろした。

フワーッと、むれた匂いが鼻腔をくすぐる。下腹や太腿の白さと、淡い茂みの黒さとのコントラストが、幻のように視覚を刺激した。

そのときすでに紀彦は、パジャマズボンの前開きから何食わぬ顔でペニスを引きだしていた。考えに考えた末の奇襲作戦の開始だった。

今のところまでは、なんとか順調にきている。しかし、この先はかなりの困難がともないそうな予感がしていた。本来ならば、最後の最後まで粘り強く愛撫をつづけ、その果てに、彩子が体を開いて迎え入れてくれるのが最も理想的な形である。しかし、どう考えてみても、彩子の立場からはそれは絶対にできないだろう。拒絶の姿勢を最後まで貫き通すに違いない。

だから、これからは力の勝負になる。若い自分の体がいつまで耐えられるだろうか。争っているうちにペニスが彩子の女体にこすれ、いつまた暴発してしまうかわからない。

一度で決める。油断しているはずの彩子さんの胎内に、怒張しきったペニスを一気にたたき入れたい!……

これが紀彦のひそかなプランだった。

「こうしたかったんだ」

紀彦の手がじかに彩子の湿ったふくらみを撫でた。彩子の体に、じんわりと官能の波がひろがった。しかし、素直に反応することは許されない。耐えなければならなかった。無言で甥の手にすべてをまかせているのさえ、本来は禁じられた行為である。これは紀彦の手を借りた自慰行為以外の何ものでもない。

我慢するのよ……。

必死に自分に言い聞かせた。それでも快感は確実にやってきた。快感に耐えることのほうが、甥と禁断の関係を持ってしまうという背徳の意識より苦痛であった。せめて目をきつく閉じ、紀彦の視界から逃れようとした。

紀彦はそれを見逃さなかった。愛撫を装いながら、彩子の両脚の間に少しずつ体を進めていった。

紀彦はてのひらで粘膜を開いて、いきなり肉茎を叔母の淫裂に押しつけた。

硬い亀頭が熱を帯びた陰唇を割ったとき、不覚にも彩子は過去の恋人との甘い追憶に浸っていた。

こんなのは序の口だったわ。あの人はこうやって私の体を充分に濡らしてから、たくましいペニスを入れてくれたのよ……。

別れた男への未練というよりも、彼によって与えられた肉の感触への未練であった。まぎれもなくそれは、五感のすべてが覚えていて、決して忘れ去ることのできない女の本能にほかならない。

まさにそこへ、灼熱したペニスがいきなり襲いかかったのである。彩子は悲鳴をあげた。嫌悪感によるものではなく、快感の叫びであった。女の湿地帯は、不意に訪れた摩擦感に鋭く反応し、反射的に強く締めつけた。

紀彦は脳髄と肉棒の痺れに耐えながら全体重をあずけて、叔母の動きを封殺した。

「違うわ、約束が……あーっ……」

押しのけようにも、体の自由がきかない。いや正確に言えば、その意志がなかった。腰を振って挿入を妨げることは充分に可能である。肉棒の一部は胎内に入っているとはいえ、まだほんの亀頭の先端部分だけなのだ。

だが、彩子はそれをしなかった。痛みにも似た快感の発生が、その意志をどこかへ押しのけてしまったとしか言いようがない。

しかし、口からは絶えず拒否の声が放たれた。これがなんら有効性を持たないことを、彩子自身がいちばんよく知っていた。にもかかわらず、それにこだわりつづけた。彩子は負けたのである、女の本能に。ただそれを認めようとしなかっただけだ。

紀彦は叔母の両腋の下に手を差しこんで万歳をさせるような格好にし、肩から胸、下腹から性器まで、寸分の隙間もなくピタリと体を重ねた。硬い肉茎が、すべてすっぽりと女の柔肉に包まれた。完全な挿入をなしとげたペニスは、その歓びを表わすように、急テンポの脈動を繰りかえした。

叔母とひとつになった時間を少しでも長びかせたい紀彦は、やみくもに腰を律動させる愚を避け、彩子の首にしがみついていた。こういった方法も悪くない、と思った。急激な、そして刺すような快感は望めないものの、じんわりと肉茎から這いあがってくる感覚をゆっくりと楽しめるし、彩子の徴妙な肉の変化をはっきりと把握することができる。

肉茎の根元をふんわりと圧迫する陰阜の盛りあがりも、手にとるように実感できた。

オヤ

!?

……

紀彦は叔母のかすかな動きを敏感にとらえた。口では「だめよ、いけない」と言いながら、陰阜がゆるやかに動いている。いやがってそうしているとは思えない。

腰の中心に力を入れて、恥丘をグッと押してみた。

「あうッ……あッ……」

彩子の歪んだ顔が二度三度と激しく左右に揺れた。それでもまだ、美しい唇の間からは拒絶の言葉がもれている。

彩子さんの嘘つき!……

彩子の真意を見抜いた紀彦はワクワクしながらも、少し意地悪な気持ちになって、今度はゆっくりと、しかも徐々に力をこめて、彩子の恥骨とその周辺を圧迫した。

彩子の白い喉がのけ反り、両手が虚空をつかんだ。そして、全身がピーンと張りつめた。少年の怒張は狭隘な彩子の胎内できつく絞られた。

「あーッ」

今度は紀彦が悲鳴をあげた。それ以上耐えることは、何度放出したあとでも、未熟な紀彦にとっては無理だった。

「彩子さん……彩子さん!」

夢中で叫びながら、腰を振りたてた。

「いけない……いけないわ……」

声とは裏腹に、彩子の腰は次第に大きくうねり、波打ち、胎内では抑えきれないほど多量の潤滑油が湧出して、二人の腰がぶつかり合うたびにズブズブと音をたてて外にしたたった。陰湿で淫らな効果音は、二人をさらに淫蕩な世界へと駆りたてた。充血した彩子の媚肉は最後の頂点を求めて蠢動し、魔性の力で肉茎を絞りこんだ。

「出ちゃう……出ちゃうゥ……」

紀彦の泣くような声が、彩子の性的感覚をいちじるしく刺激した。成人した男とセックスするときとまったく同じ気持ちで紀彦を抱けるのが、彩子にとっては不思議だったし、恐ろしくもあった。

自分の内部にひそむ魔性に愕然とした。けれども彩子は、女の本能を揺さぶる快感を放す勇気はなかった。それに、紀彦が自分から離れて知亜希一辺倒になるのがひどく怖い。絆をさらに深めたかった。

でも、そのために体を使っているなんて……。

「いけない……こんなことはもうだめよ」

彩子は自分自身を正当化するように、紀彦の耳もとに囁いたが、もう最終的な段階を迎えた紀彦に聞こえたかどうかはわからない。ただ、その言葉に反発するように、膣の奥で猛々しく肉茎が膨らむのをはっきりと感じた。

紀彦が気張った。震える腰を強く引きつけながら、彩子もまた、ある程度までは昇りつめることができた。

膣壁に浴びた激しいほとばしりを忘れられそうもない気がして、彩子は底無し沼に引きずりこまれるような、漠然とした不安を感じるのだった。

二人の叔母・淫の血脈 第三章 叔母の肉を貫く若き剛直 ~ 第四章 彩子を蝕む禁断の愉悦 (2/5)
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