乱舞 第5部 (5/5)
前の話
花山は慌てているが、私は冷静を保った。
道端で、彼らは好きなことをしている。放っておくしかない。
「きーっ、だめっ、だめっ、それはっ」
珠々華が目を見開いた。男の頭の横からこっちを見ている。
もう一人がペニスをアヌスに押しつけている。出会ってわずかな時間。それでもう二穴を串刺しにされようとしていた。
珠々華の力では彼らから逃れることは不可能だ。男の背中を叩くのだが、別の男に手を取られてしまう。上に逃げるにしても、押さえつけられている。足をバタつかせようにも、左右から別の男たちがその足を持ってしまう。
二人の男にサンドイッチにされている。
「うっ、きついぃ、ひどいぃぃ、切れるぅぅぅ」
男たちに拘束されてしまったようなものだ。
「だめ、入れないで、お願いだから。もうムリです」
一本、太いものが膣に入っている。腹部のスペースは限られている。そこにもう一本、強引にねじ込まれていく。
「ぎひっ、ああ、入ってくる! ううう、痛いっ!」
声がしだいに小さくなる。歯をくいしばっている。むしろ口を開いて息を吐いたほうが楽なのだが、その余裕がない。
目が飛び出しそうに開いた。
叫び声を出すはずの口が、ポカンと開いたままになる。
男の動きからして、肛門深く、ペニスが突き刺さったらしい。
彼らがはしゃぎ、足を持っている連中が下から見上げて、笑っている。離れて見ていると、幼い子を犯しているように見える。それぐらい体格差があった。
「ひどい……」
花山がつぶやく。
根元まで押し込んだらしい。なにか陽気に仲間うちで話をしたあと、足と手を持っている連中がかけ声をかけて、珠々華を上に引き上げた。
「ぎいいいいいっ!」
彼女がのけぞり、白い首筋が見えた。
前後の男たちは珠々華の脇の下から手を添えて持ち上げる。珠々華を動かして快楽を得ようというのだ。
「ウラ、ウラ、ウラ」と奇妙なかけ声とともに、珠々華の体は持ち上げられ、落とされる。
落ちてくるとき、前後の男たちは突き刺さったペニスで受け止める。
男たちが興奮しているのがわかる。珠々華の声は男たちのかけ声に消されてしまう。
「おー」とヴァギナに入れていた男が声をあげた。そして自分だけ激しく腰を使い始めた。
そして離れていき、横にどいた。
真っ赤な陰部が、裂け目のように見えた。そこから大量の白い粘液があふれた。
横にいた足を持っていた男が、そこに自分のものをあてる。
呆然として、壊れた人形のようになっている珠々華。その表情はまた男たちの間に見えなくなった。
野蛮としかいいようがない行為だが、日本の農村風景に妙に合っていた。人間のプリミティブな部分。それは私にとっても忘れかけていた獣欲であり、洗練という言葉と対極にある醜くも力強い性の発散そのものだった。
男たちはしばらく飽きることなく、その儀式を続けた。神輿でも担ぐように、珠々華の体は空中にあり続けた。一度も降ろさずに輪姦している。
ケモノたちにボロボロにされた人形のように、珠々華の体は痛々しく、それでも汗に光って美しく輝いていた。
「むち打ち症になりそうだな」と大木がつぶやいた。
細い首の上の頭がぐらぐらしていた。男たちは珠々華の状態など気にすることなく、自分たちの欲望を遂げるまで使い続けた。
路上で立ったまま。
最初に精を放った男が、私のところへやってきた。
「なにか食べるものはあるか? 腹が減ってしまった」
もちろん、山荘に用意させてあった。テーブルに並べるだけだ。大木と花山にその支度をさせに行かせた。
「あの子はすばらしいね」
彼は顔を輝かせていた。
「あんなにちっちゃいのに、すごく気持ちのいいケツをしてるよ。ホントに日本は最高だね」
「気に入っていただければうれしい」としか返せなかった。
「もちろんさ。明後日まで、満喫させてもらうよ」
大量の精液を注ぎ込み、失神している珠々華を地面に横たえると、男たちはズボンを履いて、山荘に戻ってきた。
私は珠々華に駆け寄った。
そして、愕然とした。
彼女は目を閉じて微笑んでいたのだ。砂利道に横たわりながら。
狂ってしまったのか。
一瞬、背筋がゾワッとした。
「珠々華」
声をかけると、虚ろな目を私に向けた。
「ご満足、いただけたでしょうか」
彼女の唇がそう動いたのに、なにを言っているのかすぐには理解できなかった。
「もちろんだよ」
「よかった」
ゆっくりと目をつぶる。
「戻ろう。立てるか?」
手を引いて立たせてみるが、足を閉じることができない。
ドロドロと精液があふれて足を汚している。
抱えるようにして山荘の裏手に回った。
ゲストたちがくつろぐジャグジーが表側の部屋にある。そこから彼らの喚声が聞こえてくると、珠々華はぶるっと身を震わせ、しがみついてきた。
彼女は私の唇を求めた。応じると甘い彼女の香りを打ち消すかのように、彼らの獣臭と精臭がした。
珠々華を従業員用の狭い浴室に入れて体を洗わせた。けなげにも、膣内と腸内にお湯を入れて精液をすっかり洗い流し、肌にクリームをたっぷりつけた。
そして最近、毎日、つけさせている特殊なハーブの液体を粘膜につけた。媚薬といっていい。珠々華はそれによって香りがよくなるだけではなく、興奮しやすくもなる。
「それをつけるんだ」
手枷、足枷。そして首輪は首全体をカバーするハーネスに変え、太い鎖にした。手枷は背中で手錠のようにカラビナでつないだ。
最後にビットギャグを噛ませる。硬質ゴムの棒を歯で噛む。横に大きなリングがついており、それが頬にめり込むほど、後ろでベルトでハーネスに取り付けて引き絞った。
「彼らは外が好きらしい」
部屋には入れず、彼女を裏口から出して、山荘の前に引き出した。
彼女が尻込みする。
頑丈な鉄のフレームが鉄棒のように庭に据えられている。緑のペンキを塗られているが、かなり剥げてサビが浮いていた。
物干しにしては高すぎ、鉄棒のように使うこともできない。強いて実用を考えれば、子供用のブランコを吊すことぐらいだろうか。
窓越しに中にいる花山たちに手を振る。
さっぱりした顔をした男たちが出て来た。体育部の合宿のようにトレーナーに着替えていた。白いテニスシューズを履いている。その表情は最初に会ったときとは違い、リラックスしていながらも、ギラついていた。
「スズカ」
食事の間に、大木が教えたのだろう。彼らはそう口にして、拘束されている彼女の体を無遠慮に触る。
食後のスポーツ。なんの罪もない哀れな小娘の体を楽しむのだ。
フレームの上部に彼らは簡単に手が届く。ぶら下がったり叩いたりして、その丈夫さを確かめていた。
大木たちがテーブルを用意しているので、手伝ってやる。水やフルーツジュースの入ったウォーターサーバー。グラス。もう一つのテーブルには責め道具が並ぶ。笞、鞭、医療器具、金属製品……。
その中からフックを手にした男たちは、フレームにある穴にそれを取り付けていった。
「あっ、そんな」
珠々華の声がした。噛むタイプの細い猿ぐつわは、その気になれば不明瞭ながら声を出せる。彼らは軽々と持ち上げて、足枷のO環をそのフックに引っ掛けた。
開脚で逆さ吊りになった。
彼らのペニスに耐えるだけの拡張をしたあとは、淫らな行為は当然続いていたものの、禁欲的な期間も設けていたので、彼女にはほとんど傷がついていない。
出会った頃の肌の艶を取り戻していた。湯上がりということもあり、大理石のように陽光を反射していた。
彼らはその足、尻、鼠径部を撫で回す。彼らが持参してきたオイルが塗られていく。
風呂場で使った媚薬の効果もあるのだろう。珠々華は無骨な愛撫にもだえている。
「ああん」
声まで出しはじめた。
「お願い、早く、いじめて……」
彼らに、くぐもった声で訴える。教えた通りの彼らの言葉を使って。
男たちが叫び、興奮するのがわかる。
八人が、彼女の尻を平手で叩きはじめた。舞踏のようにかわるがわる、叩いては次の人へ。水平に体を回しながらの打擲で、派手な音が響く。
「あうっ、うあっ」
以前の彼女ならこの段階で叫び、泣いただろう。
いまは甘い声を出し、尻が腫れ上がるのを感じている。彼らには先祖から伝わる様式ともいうべき暴力の段階があった。
最初の獣欲を満たしたあとは、まるで儀式のように淡々と、そして情熱的に拷問を繰り広げるのが、これまでの常だった。
若者たちもその方法に準じている。それは彼らの作法であり、生贄を差し出した私たちへの敬意でもあった。
「はー、はー、はー」
激しく肉体を打たれて、珠々華は息が上がってきた。
その様子を男たちは顎を鷲づかみにして確認し、唇を吸い、苦い唾液を注ぎ込む。
指は陰部の二つの穴を確認する。膣に太い指を二本、ズブリと突き入れてひねりあげ、淫汁をすくいあげると、その指でアナルをえぐる。
「はっ、はっ」
イキそうになっている彼女。
だが、そこから次の段階へ進む。
「あひっ、痛い!」
無防備な乳房を平手打ちする。右から左から。バシバシと激しい音を立て、男たちの手が襲いかかる。
「あっ、きつい、ちぎれちゃう!」
叩かれるたびに乳房は遠くへ飛び、戻ってくるところをまた叩かれる。
あっという間に真っ赤になってしまう。
「ぐひぃぃ、お慈悲を、お慈悲を」
珠々華は覚えたての現地語を叫ぶが、ビットギャグのために遠くまでは届かない。私はそれが彼らの獣心をさらにあおる言葉だとは教えていなかった。
「なに言ってるんだ、こいつ」
「お慈悲だとよ。生意気な」
「スケベ女のくせに身の程知らずだな」
「まったくだ。仕置きが足りないみたいだぜ」
彼らの信じる神を冒涜したと解釈する。過去の例でそれはわかっていた。彼らの国では男性と女性は社会の中で、きっぱり生き方や言動を区別されていた。女は人前で慈悲を男に乞うようなことはしてはいけない。彼らの神の前でのみ許される。つまり、冒涜していると解釈するらしい。
男たちは道具を手にした。
利き腕に手袋をし、グリップをよくする。彼らは短い一本鞭を好む。至近距離から反応を見ながら、ピンポイントで鞭跡をつけるのが好きだ。
八人は二組にわかれ、競うことになったらしい。チームから一人ずつ出して、五発ずつ打つ。そして珠々華に残ったダメージで採点する。その勝敗については、私たちにはわからない基準があるようで、何回見てもこちらの判定とは食い違う。
「はじまるわ」
花山が青ざめていた。以前、彼女が受けた痛みを思い出しているのかもしれない。
男たちはなにか喚声を上げると、競技を開始した。
「なに! なにするの! やめて!」
珠々華は日本語で叫んでいる。
ビュッと鞭が空気を切り裂き、バシッと彼女の乳房の外側から脇腹に当たった。
「ぎゃっ」
逆さにされているのも苦しいはずだ。
次の男が鞭を操ると、その傷ついた乳房を絡め捕るように打ち据えた。
「ぐう!」
みごとなコントロールだ。彼らは顔や目を防護しない。花山も耳をかすめたことはあったが、顔は無傷だった。我々から珠々華の顔を守る提案はできない。彼らの腕を侮辱したことになるからだ。
相手チームも負けていない。無傷の乳房の腹部側にくっきりと鞭跡を刻みつけた。
子供の頃から鞭を扱っているのだ。これまで私たちから受けた鞭とはまったく違う衝撃だろう。
一巡するまで乳房を打ち据えられる。
どちらかが勝ち、勝ったチームが次のテーマを選ぶことができる。
彼らは背中に回った。
向こう側から打ち据えながら、その鞭の先端が蛇の舌のように、乳房や腹部を舐める。
一巡するとその傷跡を確認して、ガヤガヤ言いながら、必ず指で股間を嬲る。
膣からドロドロと汁を掻き出して、その量の多さに喜んでいる。
彼らはぺっ、ペッとその部分にツバをはきかける。指で穴を押し拡げて、そこにたっぷりの唾液を落とす。
ここまでですでに八十発を受けている。
男たちは手枷に鎖を取り付けて引き上げていく。
背中をのけぞるように曲げられた。駿河問いのようなかっこうにされる。
ようやく顔を守る気になったのか、全頭マスクをかぶせると、その後頭部の紐に縄を取り付けて、引き上げる。頭が下がりすぎないようにしたのだ。
足は開いたままだ。かなりキツイ姿勢だろう。
珠々華はあらゆる体位、ポーズが取れるよう柔軟性の訓練を毎日してきたから耐えられるはずだが。
三巡目は、長い鞭にかえた。少し離れたところから開いた両足の内側を狙う。
膝の裏から臀部の手前まで、まるでそういう柄のストッキングでも履いたかのように、鞭跡で赤黒い縞模様がついていく。
「彼ら、ひどいわ」
花山も驚いている。彼女が相手をした彼らの上の世代は、もう少し遊び慣れていて、なおかつ日本人女性に対する純粋な憧れが強く、傷つける遊びは最小限にしていた。
国際社会の常識を身につけていたので、抑制が働いたのだろう。
だが、今回の若者たちは粗暴だった。
「代わってやるか?」
思わず私は花山に言った。
「えっ」
「いいんだよ。珠々華がかわいそうなら、おまえがあそこに吊されても」
これまでは教育係だった花山だが、私の奴隷であることに変わりはない。当然、生贄として差し出す肉体である。
花山の目は潤んでいる。悲しみではない。欲情だ。珠々華がかわいそうだ、酷い、と言いながらも、なぜあれが自分ではないのかと思っている。
花山が誤解するかもしれないことは計算に入っていた。今度の接待は危険なものになる。花山を温存したいので、珠々華をスカウトしたのだ、と彼女が勝手に誤解してもかまわない。
私にはそんなつもりは最初からなかった。
珠々華をひと目見て、惚れたのだ。その気持ちに偽りはない。花山のことなど考えることなく、アプローチしていた。知れば花山は嫉妬で狂うだろう。
自分が社長となるこの大切な時期を支えてくれる人柱としてふさわしい女。そう思えた。
花山はどうするかと思ったが、泣くわけでも怒るわけでもなく、黙って山荘に戻っていった。
大木が後を追おうとしたのを止める。いまは珠々華を見守るときだ。
新たな四十発のあと、男たちは今度は珠々華の足をおろした。手首だけで吊されるようにし、つま先が宙に浮いていた。
全頭マスクを吊す縄も短くしたので、絞首刑になっているように見える。
足枷をまとめて縛ると、大きな石を転がしてきて、足の先に石を縛りつけた。
次は臀部だ。平手で赤く腫れた尻が、黒く変色していく。
鞭に炭でもついているのかと疑うほど、鮮やかな痕跡が白い肌に刻まれる。それは打撃によるものというよりは、重度の擦過傷であり、摩擦熱によって肌が溶けていくように見えた。
珠々華は激しく泣き叫んでいる。マスクにおさえられているとはいえ、「びえー」というような泣き声を繰り返していた。
その声はおそらく集落まで届いているだろう。日が高くなり、無風だった。鞭が彼女の肌を打ち据える音と悲鳴以外は、鳥のさえずりが遠く近くに聞こえてくるだけだ。
タフな若者たちは、一人で何百発も打てるだろう。それが休みながら交替で五発ずつである。疲れるはずがない。額の汗も、体を動かしたからというよりは、日差しが思ったより暖かいからに違いない。
「ボーリングでもやってるみたいですね」
「まったくだ」
そのゲームが終わったとき、花山が戻ってきた。
「花山さん」と大木が驚く。
予想したとおり、花山は自らボンデージ衣装を身につけてきた。真っ白な肌。大きな乳房を剥き出しにし、腹部のコルセットが下から支えている。首輪はもちろん、手枷、足枷もつけていた。
「私じゃ、代わりはムリです。でも、添え物でもかまいません。彼女の痛みを少しでも……」
あとの言葉を飲み込んだ。
珠々華の痛みを軽減させたいのだろうか。それとも共有したいのだろうか。どちらにせよ、花山の中に流れる被虐の血が沸騰しているのだ。
目に赤いアイラインを引いていた。
考えてみれば、珠々華が来てから、彼女は自分の被虐性を封じ込めて、あえて加虐に転嫁してきた。
男なら、しょうがなくヌードカレンダーでオナニーするような悦びだったろう。
「このゲームが終わるまでは参加できないよ」
男たちは珠々華に夢中だった。
自分たちが作りだした傷跡を確かめ、撫で、傷口を指で広げ、舐めた。
「あうぅぅぅ、イクぅぅぅ」
力ない珠々華の甘い声。
指でいじられながら、痛みの中で彼女は絶望的な快楽にすがっている。
二チームの勝敗はついたらしく、彼らはお互いにたたえ合い、珠々華を降ろした。
そしてようやく、花山に気づいた。
彼らは笑いながら話をして決着したようだ。勝者は珠々華を得た。敗者は花山を得たのだ。
昼食は長い時間をかけ、彼らは風呂に入り、昼寝をした。
花山は珠々華の治療をし、大木と私は午後の支度をした。
「花山さんが参加することはわかっていたんですか?」
大木が聞いてきた。
「手配はしてある。彼女を失うと手が足りないからね」
そういうことじゃない、と大木は言いたいようだった。珠々華のトレーニングを通じて、花山と大木の関係が、私の部下という以上になっていたのかもしれない。恋人。または同志。しかし大木も彼女たちの役割は知っている。
午後はゆっくりと過ぎた。
その間に、車が到着した。タクシーでやってきたのは、二人の女たち。
「三二番です」と花山より少し年上の細身の女性。
「六一番です」と学生のように若い女性。
例のクラブの女性たちだ。
花山ほど肉感的ではないものの、性愛のみに浸りきっている奴隷特有の、惚けたような無防備さが全身から滲み出ていた。
彼女たちは裏方しかしない。と同時に、私や大木の発散用でもある。大木は意外にも年上の三二番を選んだ。私に遠慮したのではなく、彼は少し年上が好きなのだ。
「はうぅぅぅ」
「ぐはっ」
珠々華と花山が、居間で苦しんでいた。
マントルピースの上に花山が磔になっている。頑丈な石作りの暖炉。そこには天井までいくつも金具が埋め込まれている。飾りのようにも見えるが、すべては人を吊せる頑丈なものだ。
全裸の花山を壁に向けて磔にしていた。手と足の枷に鎖を通している。
その腹部はぷっくりと膨らんでいる。こちらに向けている尻からは、太い管が出ていた。
「ふうっ、苦しいぃぃ」
あとから参加した花山が早くも音を上げている。もっとも花山の場合はそれも演技かもしれない。
その下。両足を高く上に向けて広げたかっこうで、床に寝た珠々華がいた。その足も鎖で吊り上げてあるので、下半身は斜めに宙に浮いている。
手は床にある金具に手枷ごと取り付けられ、肘を緩やかに曲げたまま固定されていた。体をひねるぐらいの自由はある。
花山の肛門からのびた太い管は、その珠々華の肛門に接続されていた。
中間に大きな弁のついた器具があり、そこには服をかける移動用のハンガーに吊されたイルリガートルが接続されていた。透明のタンクは圧力で中身を押し出す。
接合部分には小さなポンプが仕込まれているので圧に関係なくイルリガートルの中身を送り込むことができる。弁のスイッチしだいで、上の花山にも、下の珠々華にも送ることができるのだが、いまは花山に向けられていた。
「いつまでガマンできるのかなあ」
男たちはのんびりとその様子を眺めて楽しんでいる。
ネットに接続して本国と連絡を取っている者。ゲームをしている者。タバコをくゆらし、コーヒーを飲む者。
今回来日した八人は、全員が酒を飲まない。常に覚醒している。それだけに珠々華にとっては過酷な三日間になる。
「入ったか?」
彼らは仲間内で話をしている。
「ああ、これで三リットルだな。日本流の酢の浣腸だからきついだろうね」
「ちょっとからかってみるか」
八人のうち三人が立ち上がり、デッキブラシを手にした。それで花山の背中を押した。
「ふぎーっ、お腹が……」
壁に押しつけられ、破裂しそうになっている。
肛門に挿入された管は、引き抜けないように腸内で先端が大きく広がっている。強力なバネが先端を支えているので、花山がどれだけいきんでも、抜けないだろう。
腸内の圧力で肛門そのものが脱肛のように盛り上がってきた。
赤黒い粘膜が露出する。
「ひぃぃぃ、きついぃぃ。許して、もうダメ」
男たちは体重をかけてデッキブラシで花山の背中を押す。のけぞる彼女。鎖が壁にぶつかる音が響く。
男たちは花山の肛門管が露呈してきたことが意外だったらしく、ニヤニヤしながら楽しんでいた。
管を直接引っ張る男。
「うぎー、そんなことしたら……」
内臓が引きずり出されてしまいそうだ。
四センチぐらい脱肛したのではないか。
男たちは指で肛門を触る。
「これだけ出ても平気なんだから、フィストぐらいどうってことなさそうだな」
「十分に鍛えてるんだろう。もっと痛めつけても平気なんじゃないか」
「苦しそうにしているけど、これは演技だ」
珠々華が苦しんでいるのは別の理由だった。
細いチューブが花山の尿道から珠々華の鼻につながっていた。男たちはそのチューブを鼻から喉に直接、差し込んでいた。
珠々華自身の尿道からもチューブが出ており、それも鼻に入れられている。
つまり鼻の穴はチューブで塞がっており、花山と自分の尿を強制的に飲まされている。男たちは彼女たちの膀胱にあらかじめ食品用の染料を入れていたので、花山からは赤い尿が、珠々華からは青い尿が透明のチューブを通って胃へと流れ込んでいる。
とくに大量浣腸をされている花山は、腸壁から水分が膀胱へと流れており、大量の赤い尿が間断なく流れていた。
珠々華はその尿を飲むことによって、自分の膀胱を膨らませていた。
「これをつけてやろう」
男たちは強力なメンソール系の軟膏を花山の脱肛部分に塗り込んだ。
「ふうううう、ひぃぃぃぃ」
最初は冷たくて気持ちがいいかもしれないが、その作用は血行をよくすることにある。塗り込めば塗り込むほど、腸内の血流が促進され、それは痛みも増幅させる。
ガチャンガチャンと鎖を鳴らしながら、花山は暴れていた。
暴れればよけに腹部を壁にぶつけることにもなり、便意がさらに強くなっていく。
ズズっと音がしてイルリガートルの中身が完全に吸い込まれた。
男たちはポンプを停止させた。
その弁の向きを変えれば、花山の腹部から珠々華へと排泄されていくことになるだろう。
「五、四、三、二、一」
男たちはおどけてカウントダウンをしながら、弁の向きを変えた。
「うひー」
パンパンの腹部からいっきに圧力が減っていくのを花山は感じているはずだ。同時に、それが珠々華を痛めつけることも知っているだろう。
珠々華は大量の浣腸で腸内はからっぽになっている。しかし花山はついさっきまで普通に食事をしていたので、三リットルの浣腸液に加えて彼女の排泄物が珠々華に流れ込んでいくことになる。
管が生き物のように揺れ動いた。弁には空気を抜く装置も入っているので、そこからスーッと管の中の空気が押し出されていく音がした。
ドドッと音がした。
詰まったパイプが突然、流れがよくなったように。
「あああっ」
大きな口を開けて必死に呼吸していた珠々華。細い体がのけぞる。
彼女の中に流れ込んできた濁流。
「ふいぃぃぃぃ」
悶えているのだが、男たちは足でその脇腹を押したり、軽く蹴ったりしている。
鞭によって全身が傷だらけになっている。薬とオイルを塗っているのでテカテカしている。
苦しみの中で、くねくねと淫靡な踊りを繰り広げる姿は、ヤナ場にあがった若鮎を思わせた。
青い液体がチューブを流れて珠々華の鼻へ向かっていった。
腸内がふくらみ、膀胱が押されたのだ。
男たちは手を叩いて喜んでる。
自分たちが作った装置が、ちゃんと働いていることがおもしろいのだ。
それによって彼女たちが苦しんでいるのも楽しいのだろう。
さっきまでゲームをしていた男が、弁当箱のような装置を持って来た。
赤と黒の鰐口クリップのついたコード。
「ぐげっ」
お腹がみるみる膨らんだ珠々華。
私の奴隷になってからひとまわり以上痩せているので、腸の膨らみはそのまま見て取れるようにわかる。
もう一人が、銀のケースを持って来た。それを開けると、大小の針がびっしりと詰まっていた。
その中から五センチほどの針を取ると、珠々華の乳首を揉みしだきはじめた。
「ああっ、いやぁぁぁぁ」
なにをされるのか見えている。自由に叫ぶこともできる。
右に左にと体をひねっている。
パンパンになった腹部に、汗が浮いていた。
「ぶはっ」
口からは尿が噴き出した。腸が胃を押し上げたのだ。
固くなった乳首を限界まで引き伸ばし、その横に針先をあてた。
「ぐぎっ!」
針が突き通っていく。
左右の乳首を針が飾った。
その針に鰐口クリップをとりつけた。
弁当箱から伸びる太いコードはコンセントにつなげた。
男はそのボリュームを操作した。
「あぎっ!」
珠々華が硬直した。
電流責めにかけていた。
長い。
髪の毛が逆立ち、目が飛び出しそうになる。舌は飛び出して、尿が噴き出ていた。
顎や頬、首筋まで赤と青の入り交じった液体で汚れていく。
やっと男が電流を止めた。
「はー、はー、はー、もう、やめて、お願い」
珠々華が泣いている。
しかし男はやめない。管の弁の向きをニュートラルに変更し、再び電流責めにかけた。
珠々華は自分の意思で排泄することもできる。重力に逆らうわけだから簡単ではないが、花山まで噴き上げることはムリでも、管の中に戻すことはできるだろう。
それも電流によって硬直させられれば。
「ぐがああああ」
それにしても珠々華にはなにも救いはないのだ。
恐怖と苦痛の時間は、永遠と思えるほど長い。
男達に壁からおろされた花山。床から解放された珠々華。二人はまだ肛門をつなぐ太い管と尿道からのパイプでつながったままだ。
手足を自由にされても、それでは動くこともできない。
汗だくで悶えている二人。その首輪を掴んで男たちは外へ引きずり出す。
「うああああ」
「ひいいいい」
悲鳴をあげながら、四つん這いの二人は転がるように庭に出された。
それだけで珠々華は脅えている。
庭では激しい鞭の洗礼を浴びた。その記憶しか残っていないのだろう。実際、男たちのうち三人は鞭を手にしていた。
それだけで脅しとしては十分だった。
西に傾いた太陽。オレンジ色の光を浴びた肌。水平になって二人の腸内の汚物が行き来しているようだ。ポンプは外され弁が開いているので、お互いに排泄物を押しつけ合ってることになる。
「ごほっ」
またしても尿を吐き出す珠々華。
鞭に追いやられるようにして、鞭打ちを受けた場所まで移動する。
しかし今度は吊さなかった。
男たちは、杭を地面に打ち込み、二人の頭部をはさみこむように固定した。地面に横顔を押しつけるようにする。
膝を畳み、お尻を突き出すようにして足を固定しはじめた。杭を打ち込み、ロープで縛る。
両手は背中で縛り付けた。
突っ伏したようになった二匹の牝。お尻を違いに向け合っている。
アーチのように管が宙にある。
珠々華の鼻から二本のパイプを引き抜いた。
「うわあああ」
それも辛いのだろう。涙をボロボロと流している。
肛門部分に打ち込まれた器具。その部分から管だけを外す。管の中にあった汚物がドッと流れ出たが、大半は二人の中に留まっている。管を外すときに器具の底を閉じおいたのだ。
新たな管を取り付ける。短く先の尖った、円錐形をしていた。
そして器具の閉じていた部分を外した。
ビューッと細い弧を描いてお互いの汚物が相手に降り注いだ。
「あああっ」
「きゃあああ」
腹部が楽になっていくのだが、汚物まみれになってしまう。
ベテランの花山でさえも屈辱に涙している。
男たちは笑って楽しんでいた。思った通りにうまくいったのだろう。
汚れたままの体を放置し、肛門から器具を取り除いていく。ぽっかりと開いたままになっている。
夕日が山の陰に隠れて、あたりはたちまち薄暗くなってしまった。この時期には珍しく生暖かい風が吹いていた。鮮やかな夕日にもかかわらず、天候が悪化する前兆だった。南からの低気圧はこの山で北からの冷たい空気とぶつかるかもしれない。
その予感に呼応するかのように、山がざわざわと鳴った。
「ぎぃぃぃ、助けてぇぇぇ」
珍しく花山の叫び声がした。
見れば、男たちは二人の体に、釘のように太い針を突き刺していた。それは燭台だった。
「洗わない気ですよ」
「伝統的な風習があると聞いたことがある。彼らの国でのことだ。それは拷問というよりは処刑だけどね」
「処刑!」
大木は絶句する。彼からたちのぼる精液のニオイ。暇を見つけては三二番に放出しているのだ。六一番ともども、部屋の掃除、器具の洗浄、食事の支度、皿洗いなどをしている。今日のところは、私と大木だけのものとして裏に閉じ込めておき、彼らには会わせないつもりだ。
今回の主役は珠々華だからだ。リスクはすべて彼女に負ってもらう。
処刑としてはこれほど惨めなものもない。お尻を突き出すように杭に固定された二人。互いの汚物にまみれた姿で絶命するとすれば……。
高く突き上げたお尻の左右の肉に二本ずつ。二の腕。脇から乳房にかけて。六本の燭台を取り付けられ、太いロウソクを立て、火をつけた。
風向きによっていやなニオイが鼻をつく。
体にかかった汚物が乾いてきている。こびりついている。これまでの接待と明らかに違うのは、若さだけではなく、残虐さが見え隠れすることだ。
彼らは本国へ帰ればいくらでも美しい愛人を抱えることができる。珠々華を連れて帰る可能性もあるかもしれないと私は思っていた。
しかし、どうやらそんな気はないようだ。
日本に来て日本人のマゾをいたぶり、生贄として平らげる。それだけを楽しみにしてきたのかもしれない。
性愛とは違う次元の嗜好かもしれない。
心の奥ではマズイ、と感じている。だが、珠々華はそもそもが生贄である。本気で彼らが彼女の体を使えば、行き着くところは明らかだ。
かつて長老クラスの接待のときに言われたことがあった。
「日本では血をどう考えているのかとても興味深かった。かつて感銘を受けた日本映画があった。武士は指に傷をつけて押印していた。それがもっとも強い絆の証しというわけだ。美しい考え方だ。私たちも血を大切だと思っている。ただし指先を傷つける程度の量ではない。私たちが求める大切さは、量に比例するのだ。かつては生贄の血を酒に入れて全員で飲んだ。一族が二百人ぐらいいる。和睦のときは相手方も二百人ぐらいいる。だいたい一人が絶命するぐらいの量が必要になるのだ。我々にとっての生贄の価値はそこにある」
日本では少量の血しか求めないと、暗に言っていたわけだ。
日本では日本式を尊重するのが彼らの流儀だった。そのおかげで、かろうじて花山も生きている。五九番をはじめ、ほとんどの女は生きている。どういう生き方にせよ。
今回は違うかもしれない。
「ここで食べるらしいな」
食堂に用意していた料理を、私と大木で庭に運ぶ。テラスに席をつくり八人に酒をふるまった。
大声で話す彼らは上機嫌だった。
ぶるぶると震えて耐えている人間燭台をときどき眺めながら、若者らしくサッカーやクルマの話をしていた。
「なにを待ってるんでしょうね」
「さあな」
昼寝をした彼らは時差ボケも治ったのだろうか。
ふいに彼らが立ち上がり、二人のところへ行った。ロウソクは半分ぐらいになっていた。熱い蝋涙を体に浴びている。その周辺には虫がたかっていた。火に呼び寄せられるようにやってきたのだ。
この時期でも山には虫がいる。
「来てくれ!」
呼ばれて私は珠々華の横へ行った。
「うっ」
ついてきた大木が思わず声を出していた。
汚物にまみれた珠々華の体の上に、なにかが動いている。白い。
「あっという間だね。蛆がいっぱいだよ」
若者は自慢そうに言う。
珠々華の表情を見る。
苦痛を通り越し、陶酔している。汚物まみれの体をロウソクで温められながら、蛆に這いずり回られている。
「傷は少ないから、まだマシだろ?」
若者は笑った。
刑罰としては体中に傷をつけたところに汚物を塗るという。蛆そのものは必ずしも害ばかりではない。傷口を食べるときにある意味、腐敗を防止することがあるからだ。
しかし不快な苦しみの中で、感染症を発生した受刑者は、長時間、苦しみながら死ぬのである。または、傷からの出血が多すぎて死んでいく。
ただ、新たな傷は作らなかったとはいえ、珠々華はあれだけの鞭を受けて、全身に無数の傷がある。ある程度の時間があったこと、治療をしたことが少しは役に立っていると思いたい。
珠々華がなにかを言った。
私はしゃがみ、それを聞いた。
「こ・ろ・し・て」
そう聞こえたので、無視することにした。
若者たちは、手に新たなロウソクを持ち、彼女たちのロウソクから火を移すと、その炎で蛆を焼き殺しはじめた。
「ぎゃー」
「きー」
二人が熱さに叫ぶ。
蛆虫がいるのは彼女たちの傷口だ。そこを炎で炙るのである。
彼らは熱中しながら、そんな作業をしていく。
とくに陰部と開いた肛門付近を焼き払う。
大木が私の腕をつかむ。
「わかっている」
酷い火傷をする可能性はある。ただ、死の危険があるわけではない。即死させるような行為は、ここではしない。それは彼らもわかっているはずだ。それはもてなしを拒絶することになる。生贄が長く生きること。それこそ、最大の返礼であり、こちらへの敬意である、と彼らの親たちは言っていた。
そのルールが変わったわけではないはずだ。
それとも、変わったのだろうか。
もし珠々華が命を落とすようなことになれば……。
私も終わる。
彼らが不満を抱えたまま帰国しても同じだ。我々が強引に二人を助けたら、饗応は終わり、今回は不首尾という結果になる。
どんな体になろうとも、珠々華と生きていくためには、この会社を成功させなければならない。
どのぐらいの時間だろう。二時間ほどやっていたのではないだろうか。
あたりはすっかり暗くなり、ポツポツと雨を感じることもあった。見上げると星も月も見えない。雲に覆われているのだ。
「うぎぃぃぃ」
男たちは次々とロウソクを二人の肛門に押しつけて消していく。そして燭台を引き抜き、それも消してしまった。
暗くなった。
「洗って、連れてきてくれ」
彼らが引き上げていく。私と大木は慌ててホースを伸ばし、二人に冷たい水をかけた。
「うああああああ」
二人の泣き叫ぶ声が、強くなってきた風にちぎれ飛んだ。
「ふえええええん」
あの花山が泣きじゃくっていた。
天井にある金具によって、二メートルほどの長さの太い角材が居間に吊り下げられていた。ブランコのように水平で、高さは百五十センチほどだ。
暖炉には火がくべられた。外は嵐のように強い風が吹いていた。鎧戸を閉めておく。
三二番たちに洗わせて、傷に薬をつけ、私がいくつかの注射をした珠々華と花山を引き立ててきたのだが、花山は全裸になっている男たちを見て、脅えたように泣きわめく。
途中から参加した花山の方が怖がっている。庭で受けた仕打ちは、肉体よりも心を強く痛めつけたらしい。
男たちはそれをおもしろがっている。
その花山を三人がかりで後ろ手に縛り上げ、角材の前に立たせた。
彼らが彼女の乳房をまさぐっていた。金槌と釘があるので、なにをしたいのかは想像がついた。
「いやああああ」
花山の乳房が角材の上に置かれた。男たちは楽しげに釘を花山に見せつける。
「お願い、そんな……」
脅えている彼女を見るのが楽しいのだ。後ろから彼女を押しつけている男が楽しそうに体をこすりつけている。
「やれ」
背後の男が合図すると、正面の男が釘を乳房に押しつけた。
「いやああああ」
花山が悲鳴をあげる。ガツンガツンと金槌の音が響き、釘が柔らかな肉を貫通していく。同時に背後の男は花山の中にペニスを突き入れていた。
「おお、締まってるぞ、もっとやれ」
苦悶する女の中で性感を得ようという男たち。
二本、三本と釘が打ち込まれていく。
泣き叫ぶ花山。その体を男たちはつぎつぎと交替して味わっている。その間に両方の肉塊は角材に打ち付けられてしまう。悲しげにひしゃげて上を向く乳首。それも彼らの欲望から逃れることはできなかった。
「ぎぃぃぃ」
ガンガンと打ち込まれて左右に十本ほども打ち込まれただろうか。
失禁した花山の足元には、男たちの精液もしたたっている。
「今度はこいつだ」
珠々華は斜め向かいに置かれ、同じように乳房を角材に並べられる。珠々華は真っ正面に私を見ていた。クスリのせいか、疲労のせいか、暴力のせいか、彼女の目はうつろになっている。
しかし最初の釘がその美しかった若い乳房を貫通したとき、カッと見開き「ひぃぃぃ」と叫んだ。瞳に涙がみるみる溜まっていく。ほぼ同時に後ろから犯され、オモチャにされているのだが、腰を動かしながら、吐息のような悲鳴を低く漏らしている。
屈服した表情ではない。まだ彼女は強さを保っているように見えた。
私はただ、彼女を見つめ、うなずいた。
床には二人のこぼした体液と、男たちの精液が飛び散っている。
一通り楽しんだあと、彼らは釘を角材から引き抜いていった。ただし、乳房から抜いたわけではなかった。釘抜きを乳房の下に入れたのだ。それによって肌はさらにダメージを受けた。
釘が突き抜けたままの乳房。男たちはそこに細い縄をかけてきつく体に押しつけるように縛り上げていった。
裏返った乳房。凶器のように釘が突き出している。その二人を向かいあわせにした。
男達は珠々華側と花山側に別れて、彼女たちの体を押しつけていく。足で抵抗しようとしても、男たちはやすやすと体を持ち上げて、足をつかんでしまう。
「助けてぇぇ」
ガリッと金属が噛み合うような音がし、二人は乳房とそれを縛る縄を含めて違いにがっちりと突き刺さっていった。
男たちは上機嫌で二人をそのまま床に転がし、体の上に乗っかって、深々と突き刺さるように押し込んだ。
「キスしろ」
二人はキスを強要された。こんな状態でなにも感じる余裕などないだろうが、本能なのか。それとも逃れたい一心なのか。二人は情熱的に唇をあわせ、舌をからませた。
男たちはその二人を床に転がして、容赦なく竹笞を浴びせる。
「もっとやれ!」
「足をからませろ」
「マンコ同士をすりつけてみろ!」
彼らの言葉の意味はわからなくても、要求されていることはわかるのだろう。くねくねと二人は足をからませて、壮絶な愛撫をはじめた。
さんざんそのショーを楽しんだ男たちは、今度は二人を強引に引き剥がした。縄に血がにじんでいた。
その縄をとると、哀れなまでにグサグサになった乳房の残骸があらわれた。
男たちは魚の骨でも取るように、指で釘を引き抜いていく。そのたびに擦れた悲鳴があがる。
血まみれになった乳房を、彼らはむさぼるように舐めまわす。顔が血だらけになっていくのだが、それが楽しいらしい。
ここまで残酷な仕打ちを生贄に対してするとは私も思っていなかった。彼らは完全に、こちらのプレゼントをすり潰そうとしている。
「だめだ。ここで止めるわけにはいかない」と私は大木にささやいた。彼はもうやめにしたいと思っている。
「おまえだけ、いい子になるなんてムリだぞ」
「わかってます。しかし……」
生贄がどのように消費されようと、受け取った側の勝手だ。このためだけに彼らはわざわざやってきたのだから。
彼らは指で膣をいじりはじめると、しだいに指の本数を増やしていった。
「ぐうううう」
二人が新たな苦痛に耐えきれず、声を上げる。
大きな拳が叩き込まれた。そして彼らは腕がどこまで入るのかを計測しはじめた。
ぐいぐいと体の中へねじ込んでいく。
「うげええええ」
かわるがわる、男たちは自分の腕を突き入れてどこまで入るか競っている。その興味は、アナルにも向けられた。
八人が二人の二つの穴に腕をこじ入れ続けている。
途中から悲鳴はアクメの絶叫のようになっていく。本気で感じているわけではないと思いたい。異常な責めのあげく、おかしくなっているのだと。
花山も珠々華も小水のように淫汁を噴き上げはじめた。
「壊れるぅぅぅ」
花山が狂ったように体をよじっている。ひたすら静かに受け入れている珠々華とは対称的だ。
男たちは膣と肛門の両方に同時に腕を入れていく。
彼らのケモノのような体臭がさらに強くなったような気がした。
ペニスを彼女たちの口元にあてて、フェラチオを要求する。自分の体を破壊されながらも、奴隷たちはけなげに唇で愛撫しはじめる。意識が飛んでいるのではないかと見えた珠々華でさえ、ねっとりと舌をからめて、おいしそうに頬張る。
「こいつらの口マンコもいいぞ」
「どれどれ」
腕で穴をさいなみながら、喉の奥までペニスを突き入れていく。
しばらくそれが続くと、喉が傷ついたこともあるだろうが、二人とも鼻から出血をしていた。
そしてとうとう、花山は膣で男の両手を受け入れていた。
「こいつ、すげえな」
「こっちの女はまだ小さすぎる。でっかくしてやろうぜ」
珠々華に集中的に男たちが攻撃をはじめた。
床でのびたようになっている花山の膣の中に、男が足をねじ込んでいく。
「はやくそっちもでっかくしろよ。女を靴みたいに履いてみたいんだからさ」
何時間かかろうとも、彼らはやりたいことをやるのだ。
長い夜。まだはじまったばかりだというのに。
深夜を回ったころ、ズタズタにされた珠々華と花山の性器に、男たちは足を入れて楽しんでいた。
私は彼らの本国からの長いメールを読んでいた。
男たちは早くもいい知らせを本国へ送付していたらしい。私が思った以上の反応だった。
「大木。口座を確認してきてくれ」
やや青ざめている大木は、用事ができてホッとしたように別室に消えた。パソコンを立ち上げて銀行に接続し、振り込みを確認するだけなのに、たっぷり一時間は戻ってこなった。
その間に、男たちは二人の肛門の拡張をはじめていた。今度は足をそこに入れて遊ぶつもりなのだ。
「確認しました」
晴れやかな顔をして戻って来た。また精の臭いがした。そういうことか、と納得する。
「一桁、ちがっていました。大きい方で、です」
「なんだって?」
大木は数字をタブレットで表示して、私に見せた。
彼らが間違えるはずはない。こちらの求めてる金額の十倍を振り込んできたのだ。
私は裏に回って、直接彼らの本国へ電話をした。時差の関係でまだ向こうは日が暮れる前だろう。
「わが友よ」と相手が出た。「気に入ってくれたかな?」
「十倍入っています」
「おお、それは、そっちに差し向けた八人の面倒を見てもらいたいからだ。日本に常駐させる」
「え?」
「安心しろ。悪いようにはしない。こっちのビジネスも順調だ。中国とも仕事がしたい。日本を足がかりにしてもいいだろう?」
彼女たちを踏みにじるように、だろうか?
「本気なんですね?」
「嘘をついたことはあるか?」
話はまとまった。珠々華、そして花山のおかげだ。
しかし、これによって運命が決したといってもいい。
「珠々華さん!」
花山の異様な声。
男たちは穴から足を抜いていた。
ぐったりしている珠々華。
私は駆け寄り、首筋で脈を探した。見つからない。平手で頬を叩いた。
「これをやってみようぜ」
男たちは私を乱暴に押しのけると、針と電極を持って来た。珠々華のボロボロになった乳房に針を突き立てて、電極をセットした。
「いくぞ」
強烈な電気ショックで、珠々華の体がビクッと反射した。男は胸を両手で圧迫した。リズミカルに動かし、ときどき電気ショックを与えた。
「ふー」
珠々華が息を吐いた。目が動いた。
「びっくりさせやがって」
私にクスリを注射するようにと男たちは要求した。限界まで来ていた。次は戻って来ないかもしれない。
別室にクスリと注射器を取りに行き、自分だけで決めた計画を実行することにした。
注射を二本打った。珠々華はなにごともなかったように、上半身を持ち上げていた。哀れな残骸となった乳房は青黒く腫れ上がっていた。
全身が傷だらけで、股間からはだらしなく淫汁が垂れていた。
注射を打ちながら、彼女の脈などを診つつ、耳元に囁いた。
「朝まではもたない。覚悟してくれ」
聞こえただろうか。その目を見た。
「はい」
意外にもはっきり答えた。微笑んでいた。そのまま白目を剥き、頭ががっくりとのけぞった。
「珠々華!」
大声を出したが、彼女は反応しない。
男たちがやってきた。
「だめか?」
「だめだ」
私は彼女を床に横たえた。
「うそ! だめ、死んじゃだめ!」
花山が泣き叫ぶ。
男たちが珠々華の体を触る。鼓動がない。呼吸もしていない。
「屍姦させろ」
男たちが言う。
「ああ。好きにしてくれ」
男たちはまったく反応しない珠々華にペニスを入れていく。儀式のように八人が少しずつ味わっていた。
「ひどすぎる……」
花山が泣いている。
「覚悟していたんだ」と私は彼女に告げた。
大木が慌ててやってきた。
「以前に裏山に掘った穴があるだろう」
「埋めるんですか!」
私は男たちに考えを告げた。このまま葬るつもりだと。
「立ち会ってもいいか?」
「もちろん」
死んでもなお犯される珠々華。その体を分厚いビニール袋で包んだ。
花山は錯乱状態になっていたが、ほかの女たちと八人のゲストの相手をさせた。彼らは生贄が死んでも平然としていた。こちらを気遣ってはいるようだったが、自分たちの快楽を重視していた。
いままで一度もなかったことなので、本国に連絡も入れているようだったが、新しい三二番たちの登場に気分を変えたのか、乱交をはじめていた。
夜明けとともに、私たちは珠々華を裏山へ運んだ。
嵐が嘘のように晴れていた。空気は冷たく、澄んでいた。濡れた草に足元をとられながら、古い穴に向かった。
前にここを利用したときに責めで使った穴だった。
「思ったより浅いが、とりあえずはいいだろう。このあたりには掘り返すような悪さをするケモノもいないしな」
花山は連れてきていない。男たちのうち代表として三人がついてきた。珠々華を穴の底に横たえて、私と大木で土をかけた。こんもりと盛り上がるほど土を盛った。大木は泣きじゃくっていた。
「すばらしい生贄だった」と男たちは言い、そこに小便をかけた。そして笑った。
「これで、おれたちの絆は完全なものになったな。十分な血が流れた」
「そう願うよ」
握手をかわして山荘に戻った。
死人が出たことを知った本国は彼らに予定を短縮させることを命じたので、帰り支度をはじめた。
「一度、帰国して今度はビジネスのために戻る予定だ」という彼らを、なんとか気持ちを取り戻した大木がクルマで送っていった。
花山の傷はひどく、しばらく回復できそうになかった。三二番と六一番が付き添って治療をしていた。
「あのままにしておくんですか?」
花山が吐き捨てるように言う。「あんまりです」
「もちろん、あのままにはしておけない」
私は時計を見た。十分に間に合う。
一人で裏山に戻った。スコップで盛り土をどかしていく。全部を取り除く時間はない。頭部から土をどかしていった。
ビニールの端が顔を出す。そこを引っ張る。手で土を払っていく。
珠々華の顔が現れた。
「苦しい……」
彼女は目を開けていた。
「気がついていたのか?」
「はい。かなり前に」
「いま、出してやる」
残りの土をあらかた脇にどかせると、引きずり出すようにして、珠々華を地中から出した。
「うれしい」
私の首に手をからめた彼女がつぶやいた。
そのまま両手で抱えあげた。
「ずっと、こうしていたい……」
山道をくだりながら、私は彼女のほのかな体温を感じて、うれしくなっていた。いざというときのための薬物が、彼女を一時的に仮死状態にさせていたのだ。
「よく言うことをきいてくれたね」
「当然です。私はすべてを受け入れると誓ったのですから。これからも……」
「もちろんだ」
彼女を抱く腕に、さらに力が入った。
「ありがとうございます」
珠々華は微笑んだ。その唇を思わず私は求めていた。
奥付
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