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「きゃぁぁ!」 友加里の叫び声で静香は顔をあげる。
客が友加里を抱き上げ、彼女の乳房をむさぼるようになめ回している。驚いた友加里は手を突っ張らせ必死に押しのけようとしているが、お客様の怪力の前には友加里など赤子同然だ。足をばたつかせるが、すぐに諦めて大人しくなすがままになる。
(良かった) 静香は安堵した。
あまり激しく抵抗して客の不興を買ったら大変だ。友加里には、いつも無駄な抵抗をやめるように教え諭している。彼女もようやく少し理解してくれるようになったようだ。ここでは抵抗しても無駄だし、もっとひどい目に遭うだけなのだ。
(ほんっとに淫らな女たちだこと・・・) 浦辺美恵(うらべみえ)は椅子に腰掛け二人の女奴隷の奉仕ぶりを眺めている。 息子の宗一郎は知的障害を抱えていた。赤ん坊の宗一郎を残し夫に先立たれた美恵は、女手一つで必死に夫が残した事業を切り盛りしてきた。彼女にとって宗一郎は目に入れても痛くない宝物だった。唯一の生きがいといっても良い。
思春期を迎えた息子の性の目覚めは戸惑いでしかなかった。宗一郎の知性は三歳児レベルにとどまっているのに身体だけは人並み外れて成長した。身体の成長と軌を同じくするように性欲も膨れ上がっていった。最初は手で、次は口で、美恵は必死に息子の性処理を行った。息子が求めているのが何かわかっていた。だが、母と息子の交わりという禁忌の領域には踏み込むことはどうしてもできなかった。
風俗嬢に性処理をさせてみたが、どの女も息子の巨大すぎるペニスに恐れをなして逃げ出した。一人悩んでいた美恵を『クラブ』に誘ったのは友人の女性社長だった。
「いい場所があるわよ。どんな身体でもどんな欲望の持ち主でも受け入れてくれる女たちがいる場所。その女たちは絶対に秘密を漏らすことはないわ」
藁にもすがる思いだった。もちろん入会資格のことを聞いて驚きはした。だが、長年生き馬の目を抜く世界を女一人で渡り歩いてきた美恵だ。可愛い息子のためと腹をくくれば後は簡単だった。
生け贄は宗一郎の相手をした風俗嬢の一人だった。売春婦の分際で息子をコケにしたことが許せなかったし、秘密を知る者は一人でも減らした方が良い。『クラブ』がすべてお膳立てし、美恵と宗一郎は目つきの鋭い男たちと一緒にバンに乗り、指示されたとおり女を車に押し込む。たったそれだけ、拍子抜けするほど簡単だった。
暴れると危ないからと四肢を固定された女を宗一郎に委ねた。もう拒絶はできない。女の絶叫と新しいおもちゃをもらった宗一郎の喜ぶ声が聞こえた。美恵はずっと抱えていた虫歯を抜いたようなすっきりした気持ちだった。息子の怪物のような性欲を誰か他の女に処理させることができる。母と子のタブーにも踏み込まずに済む。何より当たり前のセックスしか経験していない美恵にとって息子のペニスはあまりにも巨大すぎた。
名前も覚えていないその女は、かわいそうに最初のセックスで陰部が裂けてしまったそうだ。
その後何度かその女の姿を見た。最下級の奴隷から一度も浮上することはなく、いつも何かに怯えた表情を浮かべていた。ガリガリに痩せ細り、身体は傷だらけだった。しばらくして姿を見かけなくなった。大方身体が持たなかったか、精神が壊れてしまったかだろう。
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いきなり商品を壊されたことに『クラブ』も懲りたのか、宗一郎が予約できる女は調教の進んだベテランばかりとなった。
大事な息子を厄介者扱いする『クラブ』に怒りを覚えた。今日のこの女たちだってそうだ。あの若い娘の驚いた表情は何だ。まるで化け物を見るような目をして。
今日も若い娘の方への挿入は禁止されていた。もう一人の年上の女、こっちは何度か宗一郎の相手をしたことがある。宗一郎のモノを扱う手つきは熟練した商売女のそれだった。
よちよち歩きの宗一郎、甘えん坊の宗一郎、みんな息子の本当の姿を知らない。本当の姿を知っていれば、喜んで彼の相手をするはずなのに。それなのに、可愛い息子の相手をするのが、男たちに汚されきった年増の淫売女ばかりとは。
世の中の不条理さに怒りがこみ上げてくる。が、かといって外の世界で宗一郎を受け入れてくれる場所があるわけでもない。どんなに息子の身体に恐れをなしても、少なくともここの奴隷女たちには拒否するという選択肢はない。精一杯息子に奉仕するしかないのだ。
それにここの女たちであれば決して息子の秘密が漏れることはない。彼女たちは生きてここから出ることはないし、客の秘密を他の客にしゃべることも厳しく禁じられている。仮に他の客が知ったところで、ここで聞いた話を外でしゃべることなどあるはずもなかった。
最近、『クラブ』からは個人用奴隷を買って、早く種付けをしたらどうかと言われている。美恵だってわかっている。どんなにカネを積んでも宗一郎の知能が三歳から成長することはないということを。自分の事業を宗一郎に継がせるのは難しいかもしれないが、孫であればチャンスはある。もし宗一郎のような孫が産まれても、そうでない孫が産まれるまで何回でも種付けをすれば良いのだ。
孫が成人して事業を継ぐまで育て上げる、自分の年齢を考えれば、のんびりはしていられない。美恵は『クラブ』を訪れる度、種付け奴隷としてどの娘がふさわしいか、そういう目線で奴隷女たちを眺めていた。
種付け奴隷になるのは、トウの立った三十路奴隷が通例だが、何事にも例外はある。さすがに稼ぎ頭のAランクは難しいが、盛りを過ぎたBランク奴隷やCランク奴隷であればカネさえ積めば身請けも可能だ。
後継者にするのであれば新鮮な卵子を持つ若い奴隷がいい。二三人子供を産ませてまだ客を取れるようだったら、『クラブ』に買い戻してもらっても良い。孫の母親が酷使されボロボロになるのを見たくなければ処分してしまっても良い、そっちの方が女にとっても幸せだろう。
個人用奴隷としてずっと飼っておくという方法もあるにはあるらしい。 健康維持のために定期的に強制的に行われる運動と忘れた頃にやってくる所有者の相手をする以外の時間を「棺桶」と呼ばれるカプセルホテルのような狭い場所に「収納」されて過ごす。 食事も排泄もその中で済ませ、すぐ隣の奴隷との会話も禁じられ、24時間365日監視される生活を送る。
そんな生活を何年も送る個人用奴隷もいるという。
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全く恐ろしい場所であるが、息子の性処理のために月に何度かは来なくてはならない。美恵は特にサディストというわけではないし、セックスに関してはどちらかと言えば保守的な方であるから、ここで繰り広げられる加虐の世界や訪れる客に肉体を捧げる奴隷女たちには侮蔑感を覚えていた。
「んっ、あぁー!」
悲鳴で顔を上げると宗一郎が友加里を抱え上げるところだった。巨漢の宗一郎からすれば友加里など子犬のようなものだ。軽々と胸の高さまで持ち上げると、くるりと180度、友加里の体を回転させる。頭が下になった友加里の股を割り開くと、股の付け根の恥毛の茂みに顔を埋め、ジュルジュルと音を立てて啜り始めた。
「うひぃ、ひぃっ・・・」
友加里の両手は力なくだらりと垂れ下がり、宗一郎の大きな舌で股間を蹂躙されるに任せている。友加里の苦痛を少しでも早く終わらせようと、巨根の前にしゃがみ込んだ静香が手と口の奉仕のピッチを上げる。
何度か息子の相手をした静香のことはよく知っている。息子の子種を宿すかもしれない女だ。特別な許可を得て『クラブ』が保管する家柄や家族の健康状態に至るまでの情報をくまなく読んだ。拉致されずにいれば宗一郎の相手をすることなど決してなかったであろう良家の娘だ。
美恵は椅子から立ち上がると、逆さづりにされうめき声を上げる友加里の乳房に手を伸ばし、可愛らしい乳首をギューッと指でひねり潰す。「んぐぅっ、くぅぅ・・・」
かっと目を見開き、恨めしげに美恵を見上げる友加里。 健康そうな肌、良家の娘ということであれば、この友加里もそうだ。健康状態も申し分ない。どうせ選ぶなら、何年も男たちに汚されきった静香ではなく、友加里の方が良いかもしれない。「代わりなさい。この娘のフェラチオも見てみたいわ」
突然の命令に静香が手を止め、不安げに美恵を見上げる。