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「お前らの今日の職場だ」
静香と友加里が連行された先は、客室フロアの一室だ。エンペラーサイズのベッドが一つと椅子などの調度品が整えられている。建物の外面に面していないため窓はなく、どことなく陰気な雰囲気が漂っていた。
「今日のお客様は仮面の令夫人とその御令息様だ」
看守が二人をつなぐ連行用の鎖と後ろ手拘束を外しながら言う。
二人の女は、後ろ手拘束をはずされると、どちらからともなく、ひしと抱き合い、怯えた表情で看守を見つめる。
「例の方ですか・・・」
「そう、例の立派なお道具の方だ。4号は何度か相手したな?」
「はい・・・」 辛い記憶がよみがえったのだろう、静香が眉をひそめる。
「27号は初めてだと思うが、今日は本番はナシだ。お前はまだ早い。そのかわりオシャブリでしっかりご奉仕しろ」
「は、はい!」 本番がなしなのはいいが、その理由がなんなのかわからず友加里は戸惑う。
「4号!」 「はい!」
「例の方が27号と本番やろうとしたら止めて通報しろ。監視室の方で見ておく。お前が止められないようなら誰かを寄越すから」
「かしこまりました。ご配慮いただきありがとうございます」
「大事な新人ちゃんを壊されちゃたまらんってね、上がうるさくてな」
何のことやらわからずきょとんとしている友加里をほっておいて、静香と看守がなにやら不穏なやりとりをしている。
「じゃ、頑張ってたっぷり稼いでくれよ」
深々とお辞儀し、看守を見送る。
—–2—–
静香はざっと室内を見て回った。目立った拷問具は置かれていない。ということは、今日の客は拷問主体ではなくセックス主体ということになる。拷問室ではなく客室を使う客の一般的な傾向ではあるが、現場を確認できてようやく多少安心できた。
所在なげな友加里を誘い、ベッドの脇に腰を下ろす。ベッドは客のためのもの、奴隷が勝手に使うことはできない。
「今日も頑張ろうね、友加里ちゃん」 「はい、静香さん・・・」
重苦しい沈黙が流れる
「あ、あの・・・」 「どうしたの、友加里ちゃん?」
「その、あの、例の方っていうのは? 本番には早いってのは?」
「友加里ちゃんはお相手したことないのよね・・・」 「はい」
「友加里ちゃん、今、オマンコに何入る?」
奴隷たちは大きなモノが膣やアナルに入るように毎日辛い訓練を受けている。
「小さい、ペットボトルを、入れる訓練を・・・」 辛くて仕方がないのだろう、友加里の目に涙が浮かぶ。
「落ち着いて聞いてね」 静香は指で友加里の涙を拭いながら言う。
「今日のお客様はお二人。女性のお客様とそのご子息なの。そのご子息のお道具がね、その、何というか、すごく大きいの。そうね、大きいペットボトルのサイズぐらい」
「ひっ!」
「お客様の前でそんな声出したらだめよ友加里ちゃん。ご子息の方はそういうことを気になさらない方だけど、奥様はすごく厳しい人だから。ううん、責めが厳しいとかじゃないの、奥様はただ見ているだけでプレイには参加されないわ。でもご子息へのサービスをすごく厳しい目でチェックされるの。それで少しでも粗相があれば運営に通報なさるの」
「ご、ごめんなさい、気をつけます。で、でも大きなペットボトルなんて、絶対入りません」
「大丈夫、ちゃんと訓練すれば入るようになるわ。でもまだ友加里ちゃんには時間が必要。だから、今日お客様の本番のお相手をするのは私だけ。友加里ちゃんはお口とか手で私をサポートしてくれればいいわ」
「ううっ」
堰を切ったように友加里が泣き始めた。肩をふるわせ、つぶらな瞳から大粒の涙をぽろぽろと流す。大声で泣きじゃくらないのは懲罰を恐れてのこと。恐怖がパニックに陥ることを防いでいる。
「大丈夫、私がついてるから・・・」
静香とて友加里をこの地獄から救い出すことはできない。先輩奴隷として友加里の負担を和らげ、彼女が一日でも早く立派な奴隷になれるように導いてやることしかできない。
「どうして、どうしてなの? なぜ私が・・・」
さめざめとすすり泣く友加里の肩を抱き寄せると、崩れ落ちるように友加里が身体を預けてくる。静香は豊かな乳房で包むように彼女を受け止める。
「お取り込み中悪いが、そろそろお客様がいらっしゃる。お出迎えの準備をしろ」
無情なアナウンスが、二人を一時の感傷から辛い現実へと引き戻す。
—–3—–
客室のドアのロックが外れる小さな音に静香と友加里は一層頭を低くし、床に額をこすりつける。許可が出るまで客を決して見上げてはならない。
「顔を上げなさい」 冷たく硬質な女の声。高い立場にいるのだろう、人に命じることに慣れた様子だ。
二人の奴隷女は静かに顔を上げる。客室の入り口に二人の客が立っている。一人は見上げるばかりの巨漢で特注の黒いフードをかぶっただけの全裸である。巨漢の手を握って先導するのは女だった。声の質から五十歳は超えていると思われるが、体型の維持に相当の労力とカネを使っているのだろう、三十代といってもおかしくない引き締まった肉体の持ち主だ。
ピカピカに磨かれた靴、生地の質感だけでわかる高級なスーツに身を包み、顔はおなじみのフードではなく、仮面舞踏会でつけるような装飾が施された仮面で隠されていた。
「ひっ!」 思わず友加里が声をあげる。「友加里ちゃん!」 慌てて静香が友加里をたしなめる。
友加里が驚いたのは、毛むくじゃらの股間からそびえ立つペニスの巨大さだった。太さは友加里の腕ほどもあるだろう。教材として見せられた黒人巨根モノの無修正ビデオで見たものよりも大きい。客の中にも巨根自慢はいるが、それよりも遙かに大きい。どんな女でも屈服させる棍棒のようなペニスであった。
「大丈夫、ちゃんと訓練すればこのお客様のお相手をすることもできますから」 静香がささやく。
こんな太いものが入るようになるとは到底信じられなかった。だが、友加里と大して体格の変わらぬ少女奴隷が客の握りこぶしを秘所に入れられているのを見たことがある。
泣き叫んではいたが、彼女の部位は裂けてはいなかった。『女のアソコは赤ん坊が通るんだ。赤ん坊の頭より小さいモノは何だって入るんだ』それが調教師がしばしば言うことだ。十分に時間をかければどの奴隷もフィストファックができるようになる、フィストファックができればこの客のペニスだって受け入れられるはずだ。
恐ろしさに友加里の顔は見る間に青ざめていく。自分の肉体もきっとこの男のペニスを受け入れられるよう改造されるだろう、それ恐ろしくて仕方がない。しかも友加里にはそれを拒むことはできない。奴隷の身体は『クラブ』の所有物であって奴隷のものではない。
—–4—–
巨漢を連れた仮面の女性客、その存在は静香も知っていた。他の客の前にさらされるイベントではめったに見かけたことはないが、ひときわ異彩を放つ巨漢が現れると、どの客の視線も彼の股間に引き寄せられた。巨大なペニスに恐れをなしたかのように客たちはスペースをあけ、かわってベテラン女囚たちが彼にかしづく。
その巨漢の脇に影のように付き従う女性は彼の母親なのだそうだ。彼女は他の客がいなくても決して仮面を取らない。仮面だけではない、彼女はいかなるセックスショーにも拷問ショーにも参加せず、服も脱がず、ひたすら息子の性欲処理を眺めている。
他の客から話しかけられても一言二言言葉を交わすだけ、気を利かせた看守がセックスの相手を申し出たが、厳しい口調で叱責され、すごすごと退散するしかなかった。
(何度お相手してもすごい大きさね)
前にもこのお客様の相手はしたことがあるからわかっていたはずなのに改めて目の前にするとその巨大さがわかる。そっと手を触れる。ずっしりと重い。中までみっしりと詰まった棍棒のようだ。これで殴られたらただではすまないと思う。
そっと握ってみる。普通のお客様と違って親指と人差し指の輪っかにペニスがおさまりきらない。自分の二の腕より太いのだから当たり前だ。
これが自分のアソコに入るということが信じられないが、友加里のアソコに入らないのは明らかな以上、私が相手をするしかない。
二三度棒をしごき、玉袋にも手を伸ばす。こちらもずっしりとした手応え。中に精液がたっぷり詰まっている感じがする。今日は何回射精させたら満足いただけるのか。まずはフェラチオで一回。本番で一回。アナルは勘弁してもらいたい。友加里が一回ぐらい射精させることができればだいぶ楽になるのだが。
両手でカリ首を優しく刺激する。お客様が低くうめき声をあげた。気持ちいいのだろう、亀頭が一段と張りを増す。それにしても立派な亀頭だ。普通の男の人の握りこぶしほどもあるソレは先端から滴をしたたらせている。どうやら風呂には入ってきてくれたようだ。微かな石けんの匂いと精液の青臭い臭いが漂ってくる。
口を大きく開けて亀頭をほうばる。とてもではないが入らない。亀頭の半分ほどがようやく口に収まる。舌で尿道口を刺激し、両手でカリ首と裏筋を刺激しながら、お客様の様子をうかがう。
友加里はまるで巨木に張り付く蝉のようだった。精一杯背伸びをしてようやくお客様の乳首に舌が届く。細い身体を擦り付け、ペロペロと一生懸命に奉仕をしている。
亀頭を唾液でたっぷり濡らすと、今度は裏筋に舌を這わせる。竿をしごくスピードを少しずつ早くしていく。なるべく早く一発目を出させたかった。